サブタイトル、「ピアノ教室は謎だらけ」。 ひさしぶりに衝動買いした、このタイトルで。ははは。 今までこういうのは読んだことがなかったから。 ピアノに関連するミステリとしては、昔内田康夫の 「盲目のピアニスト」を読んで以来か。 菅浩江さんは、ミステリ作家でもあり、SF作家でもあるらしい。
それにしても、「ピアノ教室は謎だらけ」と、ほんわかした その表紙にうっかりして、軽い連作読み物かと思っていたら、 最後にすっぱりやられた。 もちろん、それまでのお話も、子どもたちの描写や心の動きなどは 「日常の謎」にひとくくりには出来ない細やかさがあって、 時には高く、時には低く音を奏でて、心にすっと入ってきた。 ああ、そういえば私の時は…などと懐かしい匂いを運んでくれて、 しばしそれに浸ったりもしたのだ。 最後の傷を癒すラスト章が素晴らしいだけに、その前の章の急展開が あまりにも自分的にキツいが、逆にそのキツさがあるからこそ 最後の章が生きる、ともいえるのだろうなあ。 人間、いろいろな痛みを抱えて、それでも一所懸命生きているのだ。 |
2003年06月21日(土) |
|