★折原一・新津きよみ。 『二重生活』

意味深なこのタイトル。
なんだか最初から感じていた違和感が、最後までぬぐえなかったのは
当たっていたのだけれど、隠された意味を看破するところまでは
とてもとても・・・・見事にやられた。
けっこう深読みしすぎちゃったりなんかもして。
複雑に入り組み、もつれた糸はちゃんときれいにほぐれていくのだ。
思わず最初に戻って・・・・というのは、作者にしてみれば
してやったり、なんだろうな。

確かこのお二人は夫婦なんだっけ?
どんな風に執筆したのだろう・・・・もし文庫が出ているなら
後書きや解説なんかがあるのかな。

最近は結構探偵業も流行りらしい。
主婦のアルバイトとしては・・・・だめか?
ワタシ気が小さいから、きっと聞きこみとかできへんわ(自爆)


2002年08月05日(月)
★恩田陸。 『黒と茶の幻想』

いやあ、最近分厚い本づいている。
前回は「あかんべえ」だったし・・・・・
だいたい分厚いというだけで敬遠してしまうというワガママな
読者なのだ。活字中毒とはおこがましくて言えない。

4人の友人が、久しぶりに再会して旧交を温める?旅をする。
わかるのだ、彼らが「なんで今まで忘れてたんだろう?」という
気持ちは・・・・・なぜなら、同年代なのだ。
過去はきっと、自分の都合のよいように改ざんされて、表面上の
記憶としてじりじりと蓄積して行くのである。
彼らはたぶん、恩田さんと同い年でもある。
きっとこんな風に過去を思い、たわいのないことを考え、緑の
森に圧倒されながら彼女も旅をしたに違いない。
読んでいて感じるこの安心感はジェネレーションギャップのなさか。
それとも、作中の時間の流れのゆるやかさか。

ミステリ、ではないのかもしれない。でも、随所に飛び出す
謎解きごっこは、なんだか楽しく、うらやましい。
それに覆い隠されていた「楽しくない」謎も明らかになっていくが
すでにもう過去は取り戻せない。
それぞれが、それぞれの心の森の部分を感じながら、旅は終わる。

うーん・・・・あのころの誰かと旅がしたくなったぞ!
2002年08月01日(木)
★宮部みゆき。 『あかんべえ』

本当に、久しぶりの予約だった。
・・・なーんてことはどうでもいいのだが。人気なのね、やはり
宮部さんの本は。

久しぶりに浸った宮部ワールド、やっぱり基本は温かい。
でもちゃんと言うべきことは言っているし、やっぱりこれは
ホラーなのだ・・・・
亡者が見えるのはそのひとの持つ心の闇に関係する、
なるほどと納得してしまった。
もしワタシなら?どんな亡者が見えるだろう、と思うと
ちょっと怖い。

「ただのおちゃっぴいじゃない」おりんが、一所懸命でとても可愛い。
後半そんな娘に引っ張られて開き直る母とのシーンが好きだ。
そして、かわいそうな女の子、お梅。
本当は愛してほしいのに。本当は仲良くなりたいのに。
あかんべえはそんな気持ちの裏返しだ。
きっと成仏していますように。
2002年07月31日(水)
ドラマ最終回。 『王都妖奇譚・陰陽師安倍晴明』

ついに終わってしまった〜淋しい。
やっぱし、全五回はまったくもって短すぎるぞ。
前回いきなり晴明と将之は親友になってたし。
ドラマの方は、はっきりと影連は悪役に徹していて、
最後のあの名セリフも原作とはまったく逆の使われかたを
していたのが印象的。
晴明と将之の関係も、ドラマはまた違った形だった。
あれぐらいの方が、映像的にはいいのかも。

エピソード1終わりって出ていたけど、それって
また続く可能性アリってことなのか。
それはそれで、なにが出るのか楽しみではある。
2002年07月30日(火)
★アンソロジー。 『名探偵の饗宴』

キッド・ピストルズ、葉村晶、暮林美央、法月綸太郎、
二階堂蘭子、メルカトル鮎、大道寺綸子、桜井京介。
うーむ、なんという豪華キャストだ。
といいつつ、自分が読んだことのある「名探偵」ものは
この中でわずか4名である。(しかも一人は漫画のみ)
最近、アンソロジーが好きになってきたので、色々な人の
短編に触れることが多い。その中で思わぬ自分的発掘が
あったりすると「ふっふふ」とにやけてしまうのだ。
今回は「バルーンタウンの裏窓」。
SFとミステリがさらりと溶け合っているのがとても
新鮮で楽しめた。シリーズらしいので、もちょっと読みたい。
なんたって、「人工子宮が一般的な世の中」なんだもんね。
それから、亀腹って・・・・これはたぶん他の短編を読めば
もうちょっとわかるような気がするが。
でもほしいぞ、ウミガメの剥製!←カメ好き
2002年07月29日(月)
★栗本薫。 『青の時代』

以前に読んだ「早春の少年」は、文字通り伊集院大介の少年時代
だったが、今回の彼は大学生だ。
うーむ、「名探偵のタマゴ」か、いい響きだ。
「青の時代」というからには「青春時代」なんだろうが、
伊集院大介に「青春」という言葉はなんだか似つかわしくない
ような気がする。
すでにもう彼は名探偵伊集院大介なのだ・・・。
かわっちゃいないのだ。
そういう意味では目新しさはないけれど、そういう時代を
彼もまた過ごしてきたのだなあ、と思った。
ワタシが過ごしてきた時代とは全然違うのに、なんだか急に
遠い過去、それなりに一所懸命だった昔の自分が懐かしく思い出された。
21の頃か、ふふふ。
2002年07月28日(日)
★曽野綾子。 『天上の青』上下

ハードの上下本というのは、なかなかに勢いがなくては
読めないものだが。
前々からこの本のタイトルだけは知っていた。
なんてロマンチックな名前なのだろう。これは西洋朝顔、
「ヘブンリーブルー」の名前である。
その名前と青さにあこがれて、毎年自分の庭にも植えている
ぐらいだ。
1日中咲いているので、普通の朝顔のようにはかなげではない。
そのへんが、ちょっとこの話と似ている。

それにしても・・・昔見たドラマで、ちらりと二人の主人公の
からみを見ただけだった印象で本を借りたのだが、なかみは
まったくイメージとは違っていた。
その救いようのなさに何度もやめたくなったが、それを読ませたのは
ひとえに主人公雪子のちょっと変わったまっすぐな生き方のせいだ。
ありのままに生きていくということ。
すべてをあるがままに受け入れるということ。
そんなことをやりとおせるひとは、なかなか現実にはいないだろう。
いったいこのひとは、「あんな」彼になんと言うのだろう・・・と。
物語は淡々と進み、まるでドラマチックでないのが妙に現実的だ。
そして・・・ワタシにはちょっと理解するのが難しいのが残念。
2002年07月23日(火)
By ちゃいむ

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