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音のない声。

             byスイチ








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2004年06月11日(金) 『喪失の時』


ゴンッ




鈍い音が、耳にこびり付いた。
広がる赤が、目に痛くて。
泣き叫ぶ僕に彼女は微笑みながら、つい先程交わした会話の続きをした。

  そんなことどうでもいいから――

彼女がつい先程まで居たエスカレーターは相変わらず、上へ上へと循環している。


赤いサイレンが去っていくのを、僕はただ見送った。
そして、すぐ我に返り、後を追った。


しかし彼女の搬送された先は教えてもらえなかった。

それは暗に死をにおわせる内容だった。


馬鹿なこと言うなと思う反発心と、失ってしまったのかと云う喪失感。
酷く取り乱した。


会わせろと噛み付くように訴えて

          ――彼女が居ないと生きていけない、そのくらい大切な人なんだ

泣き崩れた。






目が覚めた。

隣には、平和な顔をして眠る彼女が居た。
眠っている彼女をぎゅうぎゅうと抱き締めて、堪えられず声を出して泣いた。

酷くリアルに感じた胸の痛みと混乱と、今在る腕の中のぬくもりの安堵感。
入り混じって、わけが解らなくなって。

涙が止まらなかった。

目を覚ました彼女は笑いながら、僕が泣き止むまで抱き締め返してくれていた。


頭が痛くなる程泣いたのは、いつか映画を見た時以来だ。




+++
本当に見た夢シリーズ。第二回。
さらっと読むに耐えられるように書きましたが、実際見た夢はすんごいえげつなかったです。頭部取れてんの。死んでるに決まってるじゃーん!てくらいなのに、どうして早く病院連れて行ってくれないの!て物凄い取り乱しようでした。運んだ車も実は救急車じゃなかったりマ○ド○ルドが出てきたりうちの会社の人が出てきたりと、もうてんやわんやの夢でした。
てんやわんや過ぎて、上手く詩にまとめられなかったよ…。(言い訳)


2004年06月06日(日) 『見えない糸』


  手繰り寄せて 絡まったところ解いて

     この先は きみと繋がっているんだと信じる


  まだまだ辿りつかないけれど この先は きっと きみの小指に繋がっている



  見えないのに 何故かそれは 赤い と知っている


      赤い 赤い 赤い



                     万が一きみと繋がっていなかったら

                         ちょん切って 結んでしまえばいいよ





+++
さざ○さん見てたら花沢さんが「あたしたち見えない糸で繋がってるのかもね〜♪」などと言い出したので「うわー見えない糸だって…!!乙女!そういうの書きてぇ…!」と思って書いてみました。
言わない方がいい裏話でしたか、花沢さんは。


2004年06月05日(土) 『他に何も欲していない。』


手を伸ばしたら届く距離に、きみの頬。

同じ空を望まない僕が唯一望むのは、降り積もる温度。


“結果”は訪れないけれど、“終結”するかもしれない繰り返し。

不安をぶつけることすらもどかしくて、ぎゅっときみを抱き締めた。


曇空の下、手を繋いで。


いつか訪れるかもしれない終結を恐れながら、それでも全力で思う。


全力で、想う。



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