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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
スパイと自然科学者

「スパイと自然科学者とは切っても切れない縁にある」という記事が2月20日のニューヨークタイムズに掲載されたと、米国のパトリック・オブライアン・フォーラムで話題になっていました。

ニューヨークタイムズは特定期間を過ぎると記事が読めなくなってしまうので、下記URLはいつまで有効かわかりませんが、この記事なかなか面白いです。

Species Seekers and Spies
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2011/02/20/species-seekers-and-spies/

007ジェームズ・ボンドをこの世に送り出した作家イアン・フレミングが第二次大戦当時は英国情報部の所属だったという話は有名ですが、フレミングは実はバード・ウォッチングを趣味としていたのだそうな。
それゆえにジェームズ・ボンドはときどき鳥の話をする(ハル・ベリーがボンド・ガールを演じた「ダイ・アナザ・デー」では実際にボンドと彼女の間に鳥をめぐる会話があるのだとか)。

実際、19世紀〜20世紀の英国では、自然科学者を隠れ蓑にして他国の偵察をしていた「スパイ」がとても多かったのだそうです。
もっとも有名なのは、ボーイスカウト運動の創始者として知られるロバート・ベーデン・パウエル。

007ジェームズ・ボンドの上司Mのモデルと言われるマクスウェル・ナイトは、BBCの自然史番組の解説者でした。そのナイトが執筆する鳥の本のイラストレーターに雇ったのがデイビット・コーンウェル…コーンウェルは後にジョン・ル・カレというペンネームで一連のスパイ小説を書くことになります。

この記事を書いたRichard CONNIFF氏によると、CIAの歴史学者Nicholas Dujmovic氏は最近、今日我々が求めているのは、スティーブン・マチュリンのような人物である、と語ったそうです。

今日も我々情報部はマチュリンのような人物を必要としている。
医師としても自然科学者としても知名度が高く、本も出版している。
このような表の身分があれば世界各国を旅行し、あちらこちらで多くの人物に会っても誰も不思議には思わない。
彼は当時のみはなく今日でも理想的な情報部員(intelligence officer)である。


2011年02月27日(日)
ビクトリー号の修繕事業

1月16日の記事でご紹介した、英国の緊縮予算とビクトリー号修繕の苦境、海軍は修繕業者を公募することで、問題を解決しようとしているようです。

Restoration work for HMS Victory
http://www.calverleytoday.co.uk/news/restoration_work_for_hms_victory_1_2963288

国防省はビクトリー号の修繕業者をbids in an open conpetitionで募集する、とありますが、これって一般競争入札ってことでしょうか?
それで最安値を提示した業者が落札する…ということなのだと思いますが、

これって大丈夫なんでしょうか?
文化財…それも250年以上も前に造られた木造船って、けっこう特殊技術…つまり職人技とか必要なんじゃないでしょうか?
ふつうの造船とか建設工事とはわけが違うのでは?安かろう悪かろうになってしまわない?
それにopen conpetitionでしたら外国業者も入札できる筈ですから、英国以外の新興国の業者が名乗りを上げる可能性も当然あるわけで、
まぁビクトリー号がいくら現役の就役艦だからと言っても、最新鋭の原子力潜水艦ではありませんから外国業者が担当しても軍事機密うんぬんの問題はないでしょうけど、英国には英国の誇りとか国民感情ってものがあるんじゃないの?
…などと余計な心配をしてしまう外国人の私でした。


2011年02月20日(日)
「宝島」のテレビドラマ

映画ニュースにこんな記事が、
イライジャ・ウッド、テレビ映画「宝島」でドナルド・サザーランドと共演決定
http://movies.yahoo.co.jp/m2?ty=nd&id=20110203-00000031-flix

フロドはベン・ガンで、ドナルド・サザランドはフリント船長です。
ジョン・シルバーのエディ・イザードって???
いやそれより主人公のジム少年は誰?
…と調べてみましたら、

Treasure Island (Movie Database)英語
http://www.imdb.com/title/tt1820723/

エディ・イザードは、私はナルニア国物語のリーピチープの声しか聴いておりません。
ジム少年のToby Reqboは、ショーン・ビーン主演の「シャープ」のインド編マハラジャの城塞で候補生役だった子役さんだそうですが、みなさん覚えていらっしゃいますか?「ハリー・ポッター」のダンブルドア校長の少年時代も演じているようです。

しかし!
それより何より私が狂喜乱舞してしまったのは、

スモレット船長:フィリップ・グラニスター
黒犬:ショーン・ギルダー
「ホーンブロワー」のホッブス掌砲長と、スタイルズですよ。

いや二人とも役柄的にはぴったり!
とくに黒犬…上手いだろうなぁショーン・ギルダー、いやフリント船長のドナルド・サザランドもとても楽しみなんですけどね、アクのある役にアクのある役者さん。
これに関して言えばイライジャのベン・ガンも楽しみです。

現在撮影中で、本国放映が来年のようですが、日本でも放映があることを祈ります。


2011年02月13日(日)
ブライ州首相の舵取り

1月に度重なる大雨とサイクロンに見舞われたオーストラリア北部の州クイーンズランド。
その州知事にあたる州首相(premier)はアナ・ブライという女性政治家です。

ブライと聞いて「あら?」と思われる方は多いと思いますが、彼女はあのバウンティ号の反乱で有名なウィリアム・ブライ艦長の直系の子孫、great grand daughterだそうです。
great grand daughterは「ひ孫」なのですが、ウィリアム・ブライは1754年生まれ1817年没で、アナ・ブライ州首相は1960年生まれですから、お父さんもおじいさんも長生きだったのか?(ブライ州首相は私よりちょっと年上な程度ですが、私のひいおじいさんは幕末の生まれだそうですから、ひいおじいさんの時点では100年以上の年の差があるんですが)

じつはブライ州首相の支持率は年末には28%まで低迷していました。
しかし、今回の大洪水に際し、機敏なリーダーシップを発揮したことで、支持率は急回復、
さすが7メートルの無蓋のボートで十分な食糧も水もなく、南太平洋で47日間の漂流航海をやりとげた艦長の子孫!と新聞に書き立てられているそうです。

Captain Bligh steers Australia in flood crisis
http://www.allvoices.com/contributed-news/7966045-captain-bligh-steers-australia-in-flood-crisis

Captain Bligh steers the ship in face of adversity
http://www.theage.com.au/opinion/politics/captain-bligh-steers-the-ship-in-face-of-adversity-20110112-19ob0.html?comments=71

どちらの記事も「ブライ艦長、舵をとる」という新聞見出しになっていますね。
ここで注目されるのは、ブライ艦長が航海士の反乱にあって、7メートルのボートでバウンティ号から追放されたことではなく、47日間の航海をやりとげたリーダーシップの方である、というのが、第三者から見ると面白いなぁと思うのですが、

歴史上の有名人を先祖に持つと大変ですね。
フィギュアスケートの織田信成くんも織田信長をご先祖さまにもったがために、マスコミに「信成の野望」とか持ち上げられ、負けると「天下統一失敗」とか書かれてしまうところが、気の毒だなぁと思います。


2011年02月06日(日)