セキセイインコ ゴン助の精巣腫瘍闘病記録

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2003年01月31日(金) 54 ゴン助三度笠



 

       ゴン助です。

※(画像を当時張っていました。これも欠番)



獣医さんに報告と挨拶もすませた。
全てのスタッフの方に感謝しつつ病院を後にした。
こちらの病院から丁寧なおくやみのメールも
戴いた。友人は阿呆な画像を送信してきて笑った。
ゴンのために祈って下さった方もあった。

数日過ぎて行きながら思い出でも、とパソコン画像など
整理して出て来たのがコレである。

ごめんゴンやん。


2003年01月30日(木) 53 顛末 2


ゴンの時間は止まった。
だが私は立ち止まる事すらできない。1秒ごとに
碓実にゴンと一緒の日々から遠ざかって行く。

こんなことははじめてではなかったから
どうすればいいかは知っている。
洗濯機をまわし、掃除機をかけ鳥カゴを洗った。
ゴンの気に入りの玩具は外して傍に置いた。鈴も添えて。

朝食を食べ、部屋を片付けた。ゴンのヒーター、
残った大量の餌と薬。
熱い湯でぴかぴかに窓辺を磨いてベランダの
プランターの土を掘り起こし柔らかくした
残った餌はスズメにやる。
ゴンはいつもスズメのおしゃべりを聞いて真似ていた。
そこにゴンを埋める。


近所の花屋を数軒まわって黄色い花を買って来た。
数種類みな黄色。ローズマリーも添えた。
ゴンの上には黄色い花がたくさん揺れている。

一気にすませた。
その間にも時間は流れていく。


小さな体で大きな腫瘍を抱えた体。
よくがんばったと思う。楽ではなかったはずだ。
お疲れさま。

空いた鳥かごと玩具が辛い。
ゴンは最後まで生きる事を諦めずにいった。
体力を使い切った体に訪れた二度の痛みが
悔しい。ゴンはまだ生きるつもりだった。
それを体の何かの異変が断ち切った。

だが、嘔吐の中に茶色の血らしきものを見ると
複雑だった。どんなに苦しかっただろう。
呼吸が止んだ瞬間いろんな感情が脳裏をよぎった。

生き物の死の概念は知らない。
本能で生きているんだろうと解釈している。
生きるときは生き、死ぬ時は死ぬ。

それを飼った生き物の場合、飼い主が引き止める。
獣医さんはけんめいに力を注ぐ。
時間を必死に引き止めようと抗う。

それが正しい事かはわからない。
でも多分、お互い命と向き合った時間だった事だけは
間違いない。数々の事を学んだ貴重な時間。
亡くした悲しみを越えるだけ、喜びもあった。
いつか来る出来事だっただけだ。
まえもって覚悟の準備期間もたっぷりあった。
ペットロス、それだけで終わらないと思いたい。

一緒に過ごした時間そのものは、変わりはしない。
きっとまた雛を探すだろう。
春になったらゴンが生まれ変わってウロウロして
いるかもしれない。探してみよう。

若々しい小鳥の姿を見る事でゴンとの日々を
思い出そう。楽しかった事は山のようにあったのだから。
生き物を飼う、と言う事は多分そういう事だと思う。

しばらくは寂しさがついてまわるが仕方がない。


日記をつけながら覚悟の準備をしていたが
笑える事も多かった。
そして見知らぬ方々からゴンにはげましの
言葉まで戴いた。
きっとゴンは幸せな一生だったと思う。


この日記を読んで下さった方々に深く御礼申し上げます。
そしてこれが同じ病気を持った飼い主の方に
わずかでも参考や慰めになればこれ以上嬉しい事は
ありません。


後日改めてゴンの処置などわかりやすくまとめたり
思い出など思い出した折に書ければ幸いです。
多分それが一番の供養であり、ペットロス(この言葉は
好きではないのですが)のいい薬なのでしょう。


2003年01月29日(水) 52 顛末 1


1月28日午前7時半頃


朝起きたらゴンがペットボトルの傍で倒れていた
嘔吐の跡があった。
血のような色が混じっていた。
食事は前日までしていた。糞も確認している。


あわてて手に取るとまだ生きていた。
ハロゲンヒーターの前に置くが最早立てない。
台所で薬と液体餌を作る。
動転して粉がうまく容器に入らない。

様子は非常に悪かった。これはもうだめだ、と思った。
病院は9時に開くが連れて行ける体力さえなかった。
朝一番で連れて行くつもりが、眠ったほんの
2時間程の間、ゴンは嘔吐を繰り返して
体力を使い切った。


もう飲ませた薬も餌も効かなかった。
前はそれで復活した。
今度は食べられなくて弱ったのではない。
早朝5時頃から7時頃にかけて嘔吐を繰り返した。

体重はー2グラム。
家人と見守った。少しでも目を離せば死んでしまいそうだった。
掌とヒーターで暖めながらゴンやんの名を呼んだ。
ほんの少しだけ足が立つ。これで餌を食べようとしたら
復活するだろう。まだがんばるのか、と驚きながら反面痛々しかった。
ボロボロになった毛並み。腫瘍は巨大化していた。
むきだしになった皮膚。糞がついてとれないまま。
顔はやせて目が落ち窪んでいた。
それでも閉じかけた目を何度も開けては私達を見ていた。

とにかく病院に駆け込もう、と電話を取ろうと
した時、体が小刻みに震え始めた。
もう一度両手に乗せて呼び続ける。体は暖かい。
呼吸もしている。
目にはまだ意思の光が見える。半開きながらしっかりと
視線が動いている。


ほっぺたを撫でた。頭をかいてやった。
病院ならば適切な薬投与など出来ただろう。
だが、私は撫でる事しか出来ない。
息がどんどん浅くなって行く。
もう駄目だ、と家人を呼ぶ。


そのまま少しの間ゴンは手の中で息をした。
そして2回、小さな悲鳴をあげて体をよじった。嘔吐。
茶色の液体。多分血だったのだろう。
飲ませた液体餌のわずかな色さえ見えなかった。

2回めの嘔吐のあと。ひとつ息をつくようにそのまま
呼吸が止んだ。

目は開いたまま。あれだけ荒い呼吸をしていたから
すぐにわかった。口の周りを拭いてやった。
体は暖かい。耳もとに体を近付けても呼吸の音はしなかった。

晴れた朝、いつもならゴンの体調がいいご機嫌な一日。
ゴンは空に帰った。
青い空が旅立ちにはふさわしい。

ゴンのいた体をきれいに拭く。
こびりついた糞はとれなかった。はさみで切るのも嫌だったので
そのままにした。目は閉じない。
まだ生きているように真っ黒でつぶらな瞳のまま。
ひとつの方向を向いたままだった。


2003年01月28日(火) 51 冬知らずの花


2003年1月28日 午前8時30分

ゴン助永眠。


プランターに黄色い花とローズマリーを植えて
その中に入れた。
ベランダで土に返す。

いつもいた窓辺の傍。スズメが毎朝やってきて
騒がしい場所。植えた黄色い花の名は
『冬知らず』


黄色いゴン助の7年と11か月。
今日は昨日までの雨はきれいに上がった
とてもよく晴れた日だった。


後日獣医さんに挨拶をしに行こう。
事の顛末は後日記録。


2003年01月26日(日) 50 悪化


ゴンの様子が悪化し始めた。
温度は暖かくしているがもどしそうな素振りを
見せ、餌も食べる量が減っている。

病院に行くか迷う。
行けば寒い外。あまりゴンを動かしたくない。
更に担当の小鳥専門医の先生は週末のみ。

いない時に連れて行っても大丈夫だろうか。
電話をしてみることにする。

体重も2グラム落ちた。
腹水がたまり始めたか。
抗生物質が効かなくなるとすぐ弱って来る。
今は深夜。明日の朝の様子次第で決める。
今は落ち着いて眠っている。


さっき少し粉餌を溶かして飲ませた。
嘔吐を心配してほんの2滴くらいしか
流し込めなかったが。
足の力はまだしっかりしている。
せめて保温はお湯のペットボトルとカイロも
追加した。外は強い雨。
ゴンは天気が悪いとすぐ影響を受けてしまう。


2003年01月25日(土) 49 呼吸



ゴンの呼吸がやや荒い。
数日ずいぶん冷え込んで暖めるのが追い付かない。
加えて羽根が抜け変わりはじめ時間がかかり
薄着状態。

もう少し様子を見てひどければ病院へ。
餌も食べ、鈴も蹴飛ばし、手にもかみつく元気はある。


そろそろ半年たつ。
長くて半年、早ければひと月。

そう言われた夏。
ほぼ半年。


崖っぷちながらゴンは生き延びた。
あとはもうけものの命。
ゴンがこう言うかもしれない。

『わし、居心地がちい〜とばかり よかけんが
もすこしゆっくりして行きますたい。
ま、金かかりますばってんがーよろしく』


予定オーバー。
死にかけちゃ復活でこっちはたまったもんじゃないが
まあ、いいか....

もうゴン助数10羽分注ぎ込んだかもしれない。
ここまで来ればもういつ、お迎えがきても
どちらも満足だろう。
獣医さんも自力で餌を食べられる限りは
生きる手助けをして行きましょう、とおっしゃった。

まだまだ食べる力はいっこうに衰えていない。
ペットショップで若々しい小鳥を見ると
時間の流れを感じる。

ゴン助の正式な名は「ゴジラの助」
雛鳥の時頭突きで突進するような奴だった。

たくましいことこの上なし。
じじいになってもかわらないようだ。

早く暖かい春が来る事を祈る。
ゴンは3月に8歳になる。


2003年01月21日(火) 48 安定


病院へ連れていった日曜日の朝。
また寒さが厳しくなった。

ゴンは腹水こそ見られるがクツクツ言う
呼吸音も消え、糞に細菌もない。
色の悪さだけがあいかわらず。

状態もあきらかに良い。
よく食べよく遊ぶ。

ただし、足やおしりが汚れがち。
止まり木をひくくした結果糞が付着。
下痢の汚れとは違う。

足の爪のまわりの糞は綿棒にぬるま湯をつけて
丁寧にふいたらきれいになった。

お尻はブラ下がったものを切った。
むき出しの皮膚(腫瘍)に付着したものは
洗うわけに行かずそのまま。
ぬるま湯で広い範囲を濡らして容態が悪化するより
ましだろう。肛門のまわりは汚れていない。

羽根のまわりの汚れは切って落とすように言われている。
腫瘍は呼吸器を圧迫している。
少しでもショックなど与えると
すぐ息があがり危ない。それでも隙あらば飛ぼうとする。
命を削る、とはこのことだ。絶対飛ばさない。

まだ元気にたくさん食べているのだから。
驚く程食べる。

羽根も抜け変わりはじめ特に栄養が必要。
温度も一定にずっと暖めるよう言われた。

咬みつく元気もある。痛い。
久しぶりにあいたたた!と叫びながら餌を取り替える。
現在餌は平皿に盛っている。
食べやすいようだ。粟の穂も齧りまくる。



次の通院は3週間後。連れて行く事そのものが
負担になるとの配慮から。


入れ替わりのように飼い主は風邪でダウン。
気が緩んだ。
のんびり寝ている暇もない。やることがたくさんある。
ゴンの腫瘍に比べれば へでもない事だ。


食べるのがなにより体にいいんかなあ、と
真似して、食事とサプリメントをザラザラ。


2003年01月17日(金) 47 粟の穂



今日ショップで粟の穂を買ってみた。
以前、頂き物でゴンにやった事があったのだが
全く近寄りもしないのでベランダのスズメに
与えた。

7年間私はスズメも食べさせているようなものだ。
こいつらまるまるつやつや、親子でやってくる。
ゴンまでスズメのような声で鳴く。

...で粟の穂は、獣医さんからの勧めもあって
再トライ。結果は。

猛ダッシュ。喰らいついてボリボリボリ.....
青菜をやっても同じ反応。


『喰うけんね喰うけんねわし喰うけんね!!』


喰え喰え。
いっぱい喰え。
もりもり食べて、でっかい糞。
健康の基本である。色はあいかわらず黒いのだが。
呼吸も安定。
とても落ち着いていい顔をしている。
膨れてもいない。多少羽根が落ちているので
換羽期のようだ。より多く栄養が必要になる。
食べるのはとても良い。


日曜日、病院へ行く。
飲水投薬もよく効いているように見える。
暖かくしているので喉も乾くだろう。
よく飲んでいるようだ。


2003年01月16日(木) 46 よく食べる。



ゴン助の状態が小康を保ち続けている。
声にもハリが戻った。


新しい治療の希望が見えて来る事を願う。

腫瘍は更に肥大。足は全くよろけていない。
温度は40度近い。

晴れた日が続くせいか毎日朝ゴンの声がする。
台所の水の音を聞くと青菜と餌をねだって鳴く。

声がしっかりしている。


2003年01月12日(日) 45 しっかりした声


ゴン助が日増しに活発になっていく。
家人と顔を見合わせては喜ぶ。

今鳴いた、とか鈴を蹴飛ばしている、とか。
糞がものすごく大きい。
たっぷり餌を食べている。

おもちゃともよく遊びはじめた。
鏡の前で踊っている。

私のキーボードを叩く音に
甘えたような声をかけてくる事もある。

ただし、ケージを開けた瞬間突っ込んで来る
事はないが。(この時弱っていた)

ほっとした一日。


2003年01月09日(木) 44 しゃべった


ゴンがしゃべった。
機嫌良く鏡の前で鳴いていたと思ったら
もし、ゴン、とかすかだがはっきりしゃべった。

しばらくゴンのおしゃべりを聞く事がなくなっていた。
もう2か月近くなるだろうか。
久々にゴンがしゃべった。

しゃべって、鳴いて、餌を食べて羽根をつくろっていた。
唄ってしゃべる行為は、気分が良くなければ
やらないだろう。羽根をつくろう事も
具合が悪い時はやらないので、ボサボサになる。

内容を変えた抗生物質も効果的だったようだ。
ひとまず獣医さんに感謝しよう。


2003年01月08日(水) 43 やや良い


ゴンの体重が45グラムに戻った。


4日に戻って以降餌をよく食べていた。
糞の量が多い事から安心はしていた。
食べている限り、腫瘍そのものが命を取る事はない。
じわじわと体の機能を低下させてはいくが。

合併症で風邪や鼻炎、それから腹水、
ショック症状には注意が必要だ。

あとは顔を見て話し掛けること。
退屈だと心が沈む。
多分鳥は特にそうだろう。
楽しければ人間や犬だって食欲がわく。
耐熱シートで覆ってあるので外がよく見えない
ゴンはケージを開けるとすぐ覗くように
顔を出し、出て来ようとした。

危ないので手で覆って少しだけ外で
なでてやった。
薬は飲水投与。獣医さんが負担が少なくなるよう
気を使って下さっている。
粉薬の方が安い。ただしなるべくスポイトで
飲ませる。これは粉が沈むのとコミニュケーション
を取るためだ。

もうグエエとも言わないゴンだが
外に出られる事が嬉しいようだ。

時折ピル、と機嫌のいい声を出す。
安定したようだ。

新しい治療は保留のまま。
出来る事ならなんとか受けられるまで
回復してほしい。

助からない病気の宣告を受けて5か月目。
長くて半年と言われている。
こいつは6か月めを越えられるだろうか。

友人が犬並みに費用がかかるねえ、と苦笑し
まあ、仕方がないわな、飼っちゃったんだから
とたまにこぼしつつ、時間が流れて行く。

人とペットの関わりはひとそれぞれだ。
溺愛してしまう人もいればほったらかしもある。

私なんかは本来犬だってフィラリアと予防接種
以外ほとんど獣医に行った事はない。
鳥だってセキセイは10羽近く飼ったが獣医に
かかったのはゴンがはじめてだ。

犬は庭、鳥は鳥カゴ、猫は室内で飼いたくないから
飼わない(幼体や老体は別)人とペットは別。
まさかそんな飼い主が獣医さんの常連に
なるとは。

生き物ってのはつくづく合理では片付かない
もののようだ。学ぶものも数多い日々。


2003年01月07日(火) 42 小康

現在、投薬を飲水投薬に切り替えた。

状態は小康。

そこそこ遊び、鳴き、餌を食べる。
糞はたっぷり。


飲水投薬にしてから外に出さない。
おもちゃがあるので、よくそれで遊んでいる。
外にも出たがらない。

温度は40度に近くしてある。
暑ければ羽根をひろげる。
ゴンは丁度良いようだ。
呼吸が荒いのはおさまっている。


甘えないので悪くない状態だとは思う。
正直新年が迎えられるとは思っていなかった。
改めて手の中にある命を認識する。


こいつが生きている事そのものが闘いだ。
食べる事をやめないゴン。
何度もういいよ、と言いたくなっただろう。


飛ぶ事もできない。それでもこいつは生きようと
し続ける。

出来る限り手助けを今後も続ける。
小さな小箱に入って来た雛鳥。
若々しい日々はとても力強く明るかった。

そして今も。
何度でも復活しようとする。
大きな腫瘍を抱えたまま。



ゴンは今力強く生きている。
ボロボロのちいさな体で。


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