umityanの日記
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2011年06月19日(日) |
9人の旅(5)。とっちゃん坊や編 |
今日も雨。誰も来ない日曜日になりそう。僕は傘をさして庭に出た。紫陽花の花と、月下美人の茎の成長を見るためだ。雨に打たれた紫陽花はきれいだ.ぼた餅みたいな花びらが、「これでもか」と言わんばかりに美を競っている。花の命は短くて・・・・・。考えてみれば人間もそうなんだよなあーーー。
おっと、感慨にふけっている場合ではない。旅日記の先を急ごう。僕たちは数時間?、いやもっと短い時間だったか?のフライトで目的地へ着いた。機内乗務員のお姉様達が、にっこり笑顔で僕たちを送り出してくれた。「さあーーいくべーーー」と、皆、足取りは軽そう。それにしても、この空港は広い。どこまで見渡しても平原だ。ただただ感心しながら、先客の後ろについて歩いた。本来、方向音痴のジャイアンだが、かくケースの場合、迷うことはない。皆、出口へ向かっているからだ。
出口では最後の審判を受けなくてはならない。パスポートと機内で書いた入国証を出さなくてはならない。これも、きちんと書いておかないと、分からない言葉で質問を受ける。数年前、旅したところで、英語で質問された。旅の目的は何か?」と問われた。あわてて「see sighting」と応えると、no,sight seeing」と、怖い顔の女性に訂正させられた。僕は再度、「オーーーイエス」と、どもりながら応え、難を逃れた。
そういう経験もあり、「こんどは 大丈夫」と思っていたら、さにあらず。 流暢な日本語で「泊まるホテルは?」と、質問された。あわてること常のごとし。だが、しかし、ばっと、これは覚えていた。すかさず、応えると、オッケーだった。周りを見回すと、誰もいない。「俺って、鈍くさい男なんだなあーー」とあらためて思った。
集合場所へ急いだ。皆、既に待機していた。よく見ると、メンバー達の輪の中に、めがねをかけた、あられちゃん風の小太りまでとはいかない、小々太りの若い女性が、立っていた。添乗員さんだ。「皆さん、そろいましたねーー。今から迎えのバスで市内観光、夕食を済ませてホテルまで行きまあす」と、慣れた日本語で話した。
僕たちは、あたりをきょろきょろ見ながら、添乗員さんの後に従った。結構、観光客がいた。平日でも、人は動くんだと妙に感心。皆、無言のまま、送迎のバスを首を長くして待った。生憎、外は小雨交じりの空模様。「おいらは傘を持ってきたぜ」とは、ネズミ男君の弁。さすが抜け目のないネズミ男君だ。大半の人たちは傘を持っていない。「傘がない」。井上陽水さんの歌を思い出した。傘がなくちゃあ、ぬれていこう。これが僕、ジャイアンの主義だ。
程なくバスがやってきた。僕等9人専用の小型マイクロバス。色はダークブルー。何度か来たことがあるこの都会。久しぶりに来ると、様相も一変しているに違いない。さて、これからどこへ連れて行かれるのやら?。皆、バスに乗り込んだ。ジャイアンはネズミ男君と同じ席。いつも、彼はちょろちょろと僕の周りを徘徊する。ネズミの習性か?。のび太君は僕達の後部座席。象さん夫婦は、一緒の席かとおもったら、さにあらず。いつも一緒じゃ、気も滅入るのだろう。「あんたは荷物持ちよ」と、言っているようだ。離れて一人がけ用の椅子へ。ドクターは一番前の席に一人で陣取った。いがぐりさん、ニヒル君と、のっぺらくんは後部座席へ。添乗員さんは、僕たちの横の席にある一人がけ用に椅子に腰かけた。短いスカートから、にょきにょきと出ている白大根のごとき、大きな足が気になった。皆、そう思っていたようだ。口には出さないが。
バスは小雨交じりの道路を器用に走っていく。いやああ、こちらのドライバーは皆、運転がうまいと思った。車線変更、なんのその。すいすいと割り込んでいく。生きるも死ぬも運転手さん任せだ。添乗員さんに話を聞くと、事故は結構あるそうだ。さもありなん。のび太君や僕たちは、緊張しながらカメラのレンズを手で押さえた。
2011年06月18日(土) |
9人の旅(4)。とっちゃん坊や編 |
相変わらずの雨が続いている。今年はどうも、雨が多いようだ。良しにつけ、悪しきにつけ自然の織りなす現象は、未知数だ。なんでも、太陽の活動も、これから収縮期に向かうそうな。地球への影響はどうか?。小氷河期がおとずれるという学者もいる。そうなれば地球温暖化に歯止めがかかり、良い面もあるかも知れないが、なにしろ、自然の動向は読めない。
おっと、旅日記の続きを書かねばならない。どこまで行ったっけ?。時の経過と共に記憶も定かでなくなる。そうそう、朝食を食べて、免税店で若干、お買い物をして、いよいよ搭乗だ。VIPの人たちが最初に乗り込んだ由。そう言えば昔、僕も一人でビジネスクラスに乗ったことがあった。きれいな、お姉様が迎えに来て、「こちらの通路からどうぞ」と僕を招き入れた。不慣れな僕は、お姉様のおしりを眺めながら、恐る恐る後に従った。案内されたところは、ゆったりとした空間と広い座席。お姉様が、にっこり笑って「ごゆっくりどうぞ」と、優しい声をかけてくれた。いやああーーー照れたぜ。「あのときの夢をもう一度」と思えど、とっちゃん坊や達との旅とあらば、それも不可能というもの。
まああ、窮屈な席でも、短時間ならば我慢できる。今回もそうだった。僕、ジャイアンと、ネズミ男君、それに、いがぐりさんの三人が同席だった。こともあろうに、僕は真ん中、まいったぜ。他の6人のメンバーはどこに座ったか定かではない。機内はほぼ満席の状態。定刻になり、機体は滑走路に、ゆっくりと移動し、スピードを上げながら、地面を駆け抜けた、やがて、宙に浮き、上昇していく。この瞬間が一番、嫌いだ。ネズミ男君は平然として、「これから水平飛行になるよ」と、涼しそうな顔で僕に告げた。僕の隣の、いがぐりさんは目を閉じて腕組みしている。怖いと思っているのか?」そうでないのか判読不能。
機体は水平飛行になり、静かになった。シートベルト装着のサインが消え、「ほっ」と一安心だ。頃も良く、フライトアテンダントのお姉様たちが、通路を行き来しながら、入国に必要な書類を書いていない人たちに、書類を配っていた。僕たちは皆、そうだった。書類を受け取り、フライトの便名や、旅の目的、宿泊のホテルの名称、パスポートのナンバー等を記入した。これが以外と面倒だ。狭い座席の中で書くのも大変。あまり、下手な字で書くと、「いい加減な奴」と、入国の審査官に、にらまれそうだ。
てなわけで、一応丁寧に書いた。分からないところはお互いに見せ合い、なんとか空白を埋めた。ペンをポケットに入れていなかったので、アテンダントのお姉様から借用。こともあろうに、ネズミ男君は、そのペンを、ちゃっかり、懐にしまい込んだ。まああ、それくらいは許せるか?。
しばらくして、機内サービスで、軽食というか、サンドイッチが運ばれてきた。朝食を食べていたので、あまり欲しくなかったが、三人ともきれいに平らげた。通路の横の席に座っていた、女性客の一人が「食べませんか?」とサンドイッチを、そのま僕たちに差し入れした。一応、受け取ったものの、ジャイアン、ネズミ男君共々、お腹いっぱい。結局。いがぐりさんが、全ての後始末を。お見事。
次に、サンドイッチの横に据えてあった、こぎれいな、プラスチック製か、何かのコーヒーカップに、客の好みに応じて、お茶やらコーヒーが注がれた。もち、僕たちはコーヒーを所望。飲み終えて、あらためて、コーヒーカップを眺めると、意外と、このカップがしゃれているんだよなあーー。僕、ジャイアンは、すかさず、ネズミ男君に勧めた。「あんた、このカップも、もらっとけばあーー。現地の、かわいこちゃんに、あげたら喜ぶぜーーーー」と言うと、触手は動いたが、さすがに、それは遠慮した。ペンの一件もあるからなあーーーー。とは言え、そういう、よこしまな考えは罪と言えば罪だ、僕たちは「主」に祈った。「主よ、僕たちの、この心ない考えを許し給えーーー。アーメン」。
僕たちは、座席の前の背もたれに設置されているモニターに見入った。高度何千キロ。温度○○度。時速○○キロ。今はただ、刻々と変わるそのモニターだけが頼り。我が腕時計を、モニターの時計、はたまた、ネズミ男空の時計を見比べた。「おいらのは、電波時計だから正確だぜ」と、ネズミ男君が言う。僕、ジャイアンは笑いながら、「わてもそうだぜ」と、ネズミ男君の腕時計と見比べた。若干、違っている。この差は何だ?。時計の値段の差か?。お互いに、腹の中では、「我が方が勝ち」と思った。まあ、それはそれで良いわけだ。
かくして、機体は高度を落としつつ、着陸態勢に入った。僕たちは緊張しながら、機体の車輪が滑走路に触れるのを待った。「ガタゴトガタゴと、音がして、見事車輪が地面に触れた。逆噴射がかかり、機体はスピードを落としながら滑走路を滑った。成功だ。僕たちの心は異国の地を踏んだという、妙な安堵感と期待感にあふれていた。あいにく、外は曇り空だった。
地下鉄を降りると、そこは国内線のロビー。今度は無料バスに乗り、国際線のターミナルまで行かなくてはならない。結構、面倒くさい。マイカーでくるなら、則、到着なんだが。連れがあるから、そんなことは言っておれない。無料バスは満席だ。バスはいくつかのゲートをくぐって、僕たちを運んでいく。ゲートの扉が開き、バスがくぐると、バスはゲートが閉まるまで一時停止。ゲートが閉まったのを運転手さんは確認し動き出す。なかな凝った指向だ。恐らく、不審車や迷った車の進入を防ぐためなんだろう。
そんなことを思っていると、バスはいよいよ到着だ。我ら9人は互いに顔を見合わせ、にっこり。リーダーの、のび太君が言う。「さあ、旅行代理店のカウンターまで行きますよ。パスポートを確認くださーーい」と。僕たちは、てくてくと、のび太君の後に従った。遅れをとるまいと、皆早足だ。キャスター付きのバッグの音だけが、うるさい。
ぐるーっと会場を一回りしたところに代理店のカウンターがあった。そこでパスポートを差し出すと、受付のお姉様が、「のび太さん、一行様でございますね」と、「にこっ」、としながら言う。「は、はい。そうです」とのび太君が緊張の面持ちで応える。一通りチェックの後、パスポートと航空券を渡してくれた。
さああ、まだ搭乗には時間がある。「ちょっくら軽食をとろう」と、ネズミ男君が提案。三階のレストランに赴いた。さすがに、平日だ。中はガランとしている。ウインドウに飾られたメニューの中に、「ビール定食、1000円」というのが目に入った。オーダーは全員これに決定。早朝に飲むビールも又格別。僕たちは乾杯の後、記念撮影を。ジャイアンのマイカメラで率先して撮ったが、あにはからんや、逆光線で顔が真っ黒に映ってしまった。急いては事をし損じるとは、まさにしかり。のび太君とネズミ男君に、笑われること恒のごとし。
軽食も終わり、「さあーーー、荷物検査を受けて中にはいろうや」と言うことになった。いよいよ魔の瞬間がやってくる。過去、幾たびと苦い思い出がある。かかしをさせられて、タマタマまで、触られそうな・・・・。のび太君は「歯磨き粉」没収。ネズミ男君はバッグの中身の検査。
今度は失敗もなかろうと、ジャイアンは上着とポケットの中身を全部かごに入れた。チャペルの門のような入り口に足を踏み込もうとすると、係のお姉様が、「帽子を取ってください」という。おっと、忘れていたぜ。照れ笑いしながら門の中央をくぐった。ピンポンとなにやら来客が来たような音が聞こえた。「誰かしら?」と思ったら、な・な・なんと、この僕、ジャイアンではないか?。
「はあーーい。両手を広げて」と。係員のおじさんが言う。僕は言われるままに両手を広げると、なにやら金属探知機のようなものが、僕の体を這い始めた。一つはジーパンのベルトと分かっていたが、もう一つは腕時計だった。うっかり腕時計を外すのを忘れていた。原因が究明できて、見事通過。
僕の後ろにいた、ネズミ男君がやけに遅い。どうやら「ピンポン」の来客に遭遇したようだ。怪訝そうな顔で、こちらへやってきた。「どうしたの?」と聞くと、「おいらは靴まで脱がされたぜ」という。「そうか、ネズミはちょろちょろするから、不審に思われたんじゃない」と言うと、彼は、眉をつり上げ、顔を背けた。
それはそうと、リーダーののび太君がなかなかやってこない。「一体、どうしたんだあーーー?」と思っていると、平然とした様子で、「ごめんごめん」と言いながらやってきた。「特別室でもはいっていたの?」と聞くと、皆大笑い。なんでも、バッグの中の高級カメラを見られたらしい。「僕のは安物でよかったぜ。」とは、ジャイアンの負け惜しみか? 他のメンバーは事もなくクリアー。
次は出国審査でパスポートの提示だ。プラットホームの白線のような線からはみ出さないように縦に並ぶ。一人ずつ通路を通って審査官の前に赴き。パスポートを差し出すと、「じろっ」と一瞥をなげられて、写真と比較される。最近のパスポートは顔写真が大きいので、「おいら、アップに耐えられないぜ」とはネズミ男君の弁。僕、ジャイアンは「じろっ」と一瞥を投げられると、いつも「にこっ」と笑い、「ご苦労様です」と声をかける。これがいいんだろうなあーーー、「はい、お次」と、スムーズにクリアーだ。
「象さん夫婦」の番がやってきた。何を勘違いしたのか、夫婦一緒に審査官の前に赴くと、「一人ずつ」と言われ、象さん女房は、あわてて白線まで戻った。「夫婦ならよかろうに」と思ったが、法はそれを許さない。
まあ、全員、事もなく通過。さあ、後は案内があれば機に乗り込むだけだ。その前に免税店で頼まれた物を買っておかなくちゃあ・・・・。参ったぜ。
電車が音もなくスーーーーッと滑り込んできた。我々9人のメンバーは、早く車内へ乗り込みたい一心だった。なんと、ネズミ男君は、まだ降客がいるのに、その横から車内へ入り込もうとする。僕、ジャイアンがそれを制した。ここいらが、人間が出来ているジャイアンの証なんだよなあーーー。そうでもないか?。
とにかく、車内へ入った。案の上、空席は見当たらない。というより、一人がけの座席が、ちらほらあるのみ。団体で行く旅の時は、なんとなく他人の横には坐りたくないものだ。他のメンバーはあまりそういう事を気にしない様子。手当たり次第に空いている席に坐った。僕、ジャイアンとネズミ男君は、やっとの事で、奥まった場所に二人がけの空席を見つけた。やれやれだ。
余談であるが、僕の一人旅ならば、他人の横でも、やむなしと坐る。特に美女の横の席とあらば、{May i sit here?]と尋ね、「Yes, please]という返事を期待するだろう。かくして、一時の会話が始まり、恋の花が咲くことに なるやも知れぬ。考え過ぎかあーーーー。あり得ないぜ。変なおじさんと警戒されるのが落ちだ。
ネズミ男君と二人がけの座席に座り、久々に見る車窓の風景を眺めた。ネズミ男君曰く。「ほら、見て!見て!。このあたりは、おいらが昔、働いとった場所の近くたい」と。彼はアパレル関係の商人をやっていたらしい。時々、「おいらは○○商人たい」と、懐かしげに語る。
その後、転職したが、働いている間、悲しい出来事もあったようだ。どこかで知り合い、好きになった女性が、彼の勤める卸店で、たいそうな買い物をしたらしい。月賦払いということで、約束したが、月末になっても一向にやってくる気配がない。彼は彼女のアパートを訪れたところ、な・な・なんと、もぬけの殻。連絡もつかず。「だまされたかあーー」と、彼が失意のどん底におちたことは言うまでもない。それ以来、女性恐怖症がつきまとっている。武田鉄矢を追い越した130回のお見合いも、うなずけるというものだ。最近は、そのことが彼の自慢話の一つになっているからおかしい。
おっと、話が脱線した。僕たちは事もなく終着駅に到着した。さああ、次は地下鉄だ。ガタゴトガタゴトと、皆、荷物を引きずりながら、黙々と乗り場へ急いだ。「切符を買ってください」と、のび太君が言う。僕たちはいわれるままに、販売機へ。おや、小銭がない。「タクシー代はジャイアンが出したから、ネズミ男君、君が僕の分まで買って」と言うと、彼は「よございますたい」と、一発返事。ほんの数十秒すると、電車がやってきた。僕たちは固く閉ざされた乗り口のゲートが開くのを、「いまや遅し」と待った。最近は危険防止のため、乗り口と、その横には転落防止用の塀があしらえてある。「さもありなん」と思った。車内は意外と空いていて、皆なんなく座れた。
それにしても、エアポートに到達するまで、時間がかかることよ。こんな時、ドラえもん君がいれば、「竹コプター」で、皆を運ぶんだが。それも不可能とあらば、とにかく行くしかない。
皆の顔はまだ緊張している。「ドクター」さんは、腕組みをして、じーーつと、前方を見つめている。「ニヒル君」と、「のっぺら君は」互いに横に坐り、目を閉じているようだ。「象さん夫妻」は、仲良く、なにやらしゃべっている。とにかく、「象さんの女房」は明るい性格のようで、ケラケラとよく笑う。「象さん」も、顔を引きつらせながら、あいずちを送っている。
さあ、まだ旅がスタートしたばかりだ。先を急ごう。
僕たちの旅が始まった。五月も末日。曇り空。僕、ジャイアンは朝五時に起床。全ての準備を整え、ネズミ男君の到来を待った。彼は我が家に車を預け、一緒にタクシーで駅まで行こうという寸法。いつものパターンだ。
折りもよく、ネズミ男君到着。彼の出で立ちは、北海道に行ったときのごとく、野球帽をかぶり、白のジャンバー。その下に、はでなシャツを着込んでいた。綿パンにスニーカー。大事そうにカメラと、キャスター付きのほどよいバッグを携えていた。
僕、ジャイアンも、ほぼ似たり寄ったりだ。ただ、頭には、はっと驚くようなハットをかぶっているのが相違点か?。もち、安物のカメラを持参だ。ネズミ男君が言う。「あんた、少しは操作方法を覚えたんかあーー?」と。僕はすかさず、言ってやった。「あんたと同じオートだぜーーーー。何の心配もなかーー」と。ネズミ男君は「ふうーーーーん」と怪訝そうな顔をして、目をそらした。
タクシーが駅構内へ滑り込んだ。8時集合だったが30分早く到着。改札口の近くで待っていると、例によって、銀色のはで派手なシャツに同色のジャンパーを着込んだ、のび太君が登場。「ありゃーーー、北海道の時も同じ服じゃあなかったっけ?」と思ったが、まあいいか。よほど好きな服らしい。なんでも、カンボジアに行ったとき、格安で手に入れたものらしい。僕たちが「似合っている」と褒めちぎるので、味を覚えたようだ。
と、そこへ、紳士風の見知らぬ人が「おはようございます」とやってきた。 同じ仕事仲間の一人だと、のび太君が紹介してくれた。かの有名なドクター中松氏を彷彿とさせる顔立ちなので、ニックネームを「ドクター」と命名。もちろん、本人には言っていない。
次に登場したのが某税理士先生。ニックネームは「象さん」だ。3つばかり年上の姉さん女房を同伴していた。女房の鞄持ちってわけか?。「強き者、汝は女なり」。ふうっつと、そんな言葉が心に浮かんだ。僕、ジャイアンとは既知の仲。のび太君が他のメンバーに紹介した。これで、6人そろった。後3人がまだ来ない。約束の時間にはまだ5分以上ある。出立の記念写真をとりながら待った。僕のカメラによる初撮りだ。
8時の声を聞こうとするとき、二人の男が現れた。二人とも痩せ型で、一人は色黒、もう一人は色白の好青年達だ。二人とも見たことのある顔だが、親しくしゃべったことはなかった。色黒の彼を「ニヒル君」、色白の彼を「のっぺら君」と」命名。一通りの紹介があり、最後の一人を待った。8時を過ぎてもまだやってこない、のび太君が電話を入れた。まだ事務所にいて、今から出るとのこと。なんとか電車に間に合いそうだ。待つこと数分。でっかい体で、いがぐり頭の人物が登場。僕はすかさず、「いがぐり君」と名付けた。おっと、これは失礼か。僕等より年上とあらば、「いがぐりさん」だ。
電車に乗るのは久しぶり。座席確保の為、「早くホームに行き並ぼうや」ということになった。僕たちは荷物をひきずりながら、ホームへと急いだ。先には先があるものだ。すでに、自由席らしきところには長い行列が・・・。 「あわてない、あわてない。指定席でも空いていれば座れるさ」とは、のび太君の弁。さすがリーダーだぜ。
とはいえ、この変てこな、9人のメンバーによる旅は先が読めない。吉とでるか、凶とでるか、今の所は不明。まあぁ、終わりよければ全て良しとなる。それを期待しよう。まずは旅の安全を祈るだけだ。
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