⊂つばめつばめつばめのそら。⊃
2001年12月27日(木)

つばめつばめしす。
飛んで。
もっと高く、飛んで、見えないから。
もげて仕舞った訳じゃないでしょう、
だって貴方が飛ぶ為の羽根でしょう、
だからぼくはその羽根の一枚になって仕舞っても構わないんです。
貴方が空を見れる頃には、
きっと貴方のそのあしを、
支えられるひとつになるのです。
そして、撃たれ、舞い散る羽根は。
いつか地上にたどり着くでしょう。
そしたらきっと腐った地上にも、
根を張れるはずのぼくに成れるのです。

ぼくはぼくが嫌いです。
何時の日も運命を否定し、
愛されることすら分からないのです。
けれど、大勢の中の唯一はぼくにはぼくでしかいないから、
貴方が嬉しい時、愛していると云われると、
何故か嬉しくなるのです。
もっとかたちのないものを、望んでいるはずなのに。
真実でも、約束でも、すれ違いでもないその言葉に、
意味や答えを見い出したいと思って仕舞うのです。
愛という重みも、恋というもどかしさも。
今のぼくには必要はなく、
ただ、思い出だけで充分あたたかいのです。
言葉に救われ、言葉に傷付き、何もかも受け入れたくない時でも。
結局は誰かと関係して、ひととひととは繋がって仕舞うのです。
今のぼくがもしひとりだとしても、誰かしらぼくの存在を認め、
どんなに苦しくても、ここに生かされて。
そして時々ぼくを思い出し、
過去を慰めてくれたりするのです。

つばめつばめつばめ、
ぼくは貴方の中のひとりです。
貴方が自由に生きてるように、貴方が風を受けてくれれば、
ぼくらは自由に揺れる事が出来るのです。
そして貴方がいつか…
この世界を閉ざす時には。
ぼくは貴方の身体から、本当の自由に気付けるはずです。
貴方の赤に染まるのも、貴方の身体から散る羽根も、
全ては過去に息づいた、思い出の塊なのです。
一瞬など誰も併せる事など出来ないくせに、
同じように呼吸をしたいと思うのは、弱いから。
強い貴方に、心を托し、助走の時を、一緒に探して往くのです。

そして掠めた螺旋の果てに、
ぼくはぼくを人間として、認める日々を始めるのです。

つばめつばめつばめのたまご、つぶれた。
のみこまれてしまうからちきゅうにまもってもらいましょうな。


⊂寝息。⊃
2001年12月15日(土)

「我慢をしなさい」
とか、云われると。
我慢って何物か解らない。
あなたは、いつも『我慢』と『努力』の羅列を詠う。
ねぇ、その見本を見せて。

でも時々、突然、我慢なるものが何物か漠然と理解出来る事もある。
あなたは家を出て行った。
「耐えられなくなったから」と云って、柔らかに約束をほどいた。
何度もほどかれた小指は、約束も信頼も失くした。
逃げたあなたには云われたくなんてないの。
あたしは夢を見れば進むことしか出来なくて、あたしなりの理解さえ糧にしたつもりで。
ほんの、簡単なことだった。
我慢に努力を足せば、何事も解決出来たハズだった。
だけど、今は蝕まれたままの身体で、あたしは何処へも行けない。
屋上から飛び下りることさえ希望の日だってある。

全てを恨んで、復讐は切り口も甘く。
あたしの残した足跡は、ひとの波に掻き消されてゆく。
瞬きする一瞬だって、とても恐かった。
あたしは飲み込まれる。
夜闇も雪も鮮やかな赤い唇に絡み付く、白くうねる息も。
異常すぎる程、それらを愛し。
矛盾するほど、それらに怯えた。
もう、今年も冬が来て。
あたしは強い風に呑まれることもなく。
きっと誰にも愛されることのないまま。
歌声でひとを殺せる日がくるまで、あたしは留められた希望に未来を託す。

友達感情の限界なんて、あたしは解らないけれど。
あたしはあのこが入り込んで来る隙間をもう赦さない。
あなたの言葉を赦さない。
矛盾、絶望、束縛、非力、憂鬱、早く消えて仕舞いなさい。
消えて無くなって貴方の消滅は、ひとをひとり救うのよ。
せめて、それだけは認めてあげる。


⊂サディストの優越。⊃
2001年12月05日(水)

貴女達は壊れてゆく。
『ひとは支え合って生きてゆくもの』
シニシズムの海に沈んだようなイニシエだわ。
猿の脳は記憶し、イケナイコトも覚えるのよ。
彼女達は壊れてく。
壊すのはとても楽しい。
全てはあたしの一言で、増殖する憂鬱。
『ひとは利用するもの』
『利用し利用されて生きてゆく』
そうでしょう。
指折り数えてみて。
ねぇ、誰と誰が生き残っていた。
愛失きこの世界を少しでも覗いてみれば、夥しい裏切りと。
復讐と、聴こえもしない闇の中。
腕を伸ばせば誰かの傷跡。

あたしの拡げた時間のフローチャート。
全部、解っているわ。
どんな一言で貴方を沈め。
どんな一言で貴方を救えるか。
嘲笑って遠くもない未来を眺めるのよ。
機械は壊れるの。
流れてしまうの、あたしの実験台。
ねぇ、あたしを普通じゃないって云って。
いつまでも可愛く、無邪気に在るのよ。
いつまでも貴女達があたしを守ってくれるように。
もうあたしが傷付かないように。
苦しい?
気付いてるの、馬鹿じゃないもの。
雑魚じゃないの、ひとめで貴方の心なんて理解るわ。
だからちょっとくすぐってみただけよ。
上手に生きるの、培った慰めと引き換えに。

愛なんて知らない。
どんな場面でどんな風に感じればいいものなの。
どれが本物?
真実?嘘つきばかりでしょ。
犯したいの?こんな密室。
あなたの口付けなんて、あたしはなくても生きて往けるから。

触らないで触らないで触らないで見ないで笑わないでねぇ、
もう此れ以上。
あたしに愛など見い出さないで。

さようなら。



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由弥 [御手紙]