詩的エッセイ、つづっています。...笑 満ちる

 

 

夜明け前 - 2005年03月19日(土)

夜明け前

夜明け前の空気には、
凛とした高潔さがある。
それは誰びとにも容易には犯されぬ
麗しき聖域であるといえる。

私は26歳を過ぎた頃から
なぜか背が丸まってきたことに気づく。
そして、わがままな飽食が
身を不必要に緩ませる結果となった。

同じ頃、私は朝起きるのがつらくなりはじめた。

これはまんざら偶然の「時の一致」とはいえないだろう。

慢性的な遅刻癖とギリギリの行動が
私の生存を阻むという
自ら生み出した罠に陥っていたことに
今さらながらに気づいた。


私はある、生きた聖人と出会った。
手紙をつづることによって。
彼は私に幾度も手紙を送り
「いつかあなたの話もきかせてください」
とその手紙の末尾に添えていた。

私の話?

何か、話せることがあるだろうか。

彼の数十年にも渡る地域貢献や
人生を豊かにするためにできる、すべてのこと。
彼のことを手紙によって知ることで
その実直でいてしなやかに貫かれた信念に
私は全くもって敬服せざるをえない。

私が志半ばで断念したこと。
それらが達成できなかったのは、
この揺ぎない信念の「質」であったことに気がついたのだ。

信念。
それは、誰か他の人から与えられて備わるものではない。
別の人の人生を代わりに生きることでもない。

「これは素敵だ、貫こう!」
そう感じた自分に正直でいながらにして
包み込むような、柔らかな愛と強靭さ。

足りないものを、教えてもらいました。

ありがとう。

あなたへの接し方も変わるはず。
もっと優しくなれるはず。

ありがとう。


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