新世紀余話
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2003年06月07日(土) |
市民社会の義務とは? |
小林よしのりの「戦争論」では、「国のために戦ってこそ、はじめて市民の資格が得られる」との主張をぶち上げた箇所がある。 古代ギリシャの市民社会がそうだったから、現代の日本人もそうあらねばというわけだ。
小林よしのりの言うことだから、もちろん、それは間違っている。 戦うだけなら、愛国者どころか給金が目当ての外国人傭兵にもできる。 しかも多くの場合、傭兵のほうがずっと巧みにやってのける。
だから市民であるとは、戦うか否かを決め、戦いを支えることではあっても、血を流すことそのものではない。 市民の義務とは、百人の敵を倒した傭兵になくとも市民一人一人には要求されるもの。 それは、近代国家を運営する一員としての責任を持つことではないだろうか。
自分の国も世界の中のひとつの国であり、国民として国を誇りにしたければ、その過去の咎までをも受け容れねばと悟ったとき、人は初めて、ひとつの国の市民の資格が得られるのだ。
こうした基準を適用すれば、「戦争論」にあまりにも影響され、小林よしのりの門弟を自称する者どもは疑いもなく、非国民そのものであろう。 彼らは、他国を貶め、自国の過去を正当化するばかりで、したがって国民としての義務をまるで果たしていないわけだから。
自国のやったことをなんでも自分側に都合よく解釈して悦に入る。 「日本人である」とは、そんないい加減なことではないはずである。
納豆のパックに付いてくる小さなたれの袋。 いつも納豆二パックに一袋しか使わず、余った分を冷蔵庫に貯めておいたら、いつのまにか一隅を占拠するまでになってしまい、整理することにした。 百袋はあろうかという、この納豆のたれ。 一袋ずつハサミで開封し、液をしぼっていったら、カップ三杯分の量になった。 つゆの素として使えば重宝するだろう。
芸術もこれと同じ。 要は、自分の創造力に価値を認め、微細なひらめきを積み上げようという気を持つか持たぬかだ。
2003年06月05日(木) |
ドイツと組まなければ災いは避けられた? |
不思議でたまらないのは、「四十年代に、日本はドイツと組まなければ災いは避けられた」と大真面目で主張する御仁のいることだ。 それらの人々は、問題の核心をまるで見誤っているとしか言いようがない。 日本が災禍を被ったのは、ドイツと結んだからではなく、ドイツと同じように国民一丸となりファシズムの道を驀進した報いだったはずである。
実は、災いは一人のアメリカ人を敵にすることによって招き寄せられた。 フランクリン・ルーズベルト。 今日、右翼が「日本を開戦に追いやった張本人」とこき下ろす、当時の合衆国大統領。 タイム誌によって「二十世紀を代表する偉人」に選ばれたこの人物は、わが国が露骨な侵略国家だから目の仇にしたのであり、ヒトラーの相棒になろうがなるまいが、日本が軍国主義からみずからを解き放たないかぎり、同じ扱いを受けた(すなわち敵対者として扱われた)のはまるで疑う余地がないところだ。
アメリカが日本を追い込んだ最大の理由は、英米両国が覇者としての将来的な適性を備える世界の中で、日本が自国の進む道を、まさにドイツやイタリアと同じかたちで踏み外していたことにある。 国家も国民もはるかに未成熟だった頃の英語圏諸国によって新時代の正義が遂行されたあの戦争で、イギリスもアメリカも、まったく紳士的で人道的に戦争を進めたわけでなかったのは自明の理だろう。 にもかかわらず英米両国民は、理想を具現化する場合に発揮される能力というか、実際状況への適応性においてドイツ人や日本人よりもはるかに恵まれており、そうした資質の差の国家的集積が勝敗を分け、歴史をつくったのだった。
彼らは、勝つべくして勝者となったことを銘記したい。 「勝てば官軍」だと言い訳する人は、この巨視的事実を見ようとしないだけなのだ。
ドイツと組もうが組むまいが、日本が武力で周辺地域を従わせようとする国策を捨てないかぎり、すなわち帝国であることを放棄しないかぎり、結局は、前途で災いが待ち受けていたことは確実だろう。
大ニッポンが存立できる時代は終わりつつあったのだから。
2003年06月03日(火) |
隣りのオバアが暴れています! |
以前から気になっていたことで、今更したためるのは遅すぎるほどだし、そのうえ私的な用件で恐縮ながら、近頃とみに訴えたくなったことがある。
三年ほど前、集合住宅の隣りに越してきたオバさん――まだ若いのかもしれないが、オバさんという呼び方で十分だ!――というのが、どうやら健常な人格の持ち主ではないようなのだ(怖)。
どういう具合に? この日記では今後しばらく、そのオバア(仮名)について語っていこうと思う。 異常な人格に興味のない向きにはまるで面白くもない読み物となることを保証するが。
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