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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2006年03月07日(火)
フィクション

テレビをつける。
パチンっ!
「ほら、ついた。」
ニュース!ニュース!ニュース!
まるで砂糖のお城みたい。
流れている映像が、というわけではなく、四角い括弧の箱の中の全部が…ちょうど画面は泳ぐ子どもにクローズアップしていくところ。
「泳げるようになったよ。」
子どものバタ足とビニールの浮輪と水の音がキュッキュキュッキュと素敵な感じ。
それから歯磨きのCMを挟み、チャンネルを変え、兵士が砂の丘を腹這いでほふくぜんしん。その真上に大きな月が架かっている。これは時計のCM。またチャンネルを変えるカチャリっ
「あぁ、やっぱり変わった。」

とたんに大きな笑い声。パチンコ台みたいにデコレートされたゴンドラに人が乗って、そのゴンドラはひっきりなしに上下している。クイズ番組なのだ。
さてそのうちテレビのそとがガヤガヤしてくる。二度日が暮れたような気がしてテレビを消す。
パチンっ
「ほら、消えた」



2006年03月06日(月)
そして歌が生まれた。

ルイ・アームストロングの古い録音にそんな曲が混じっている。ジャック・ティーガーデンと一緒に吹き込んだ一曲でちょうど有名なタウンホールでのコンサート盤の延長みたいなノリだ。サッチモの売春宿そのものみたいな声とビック・Tの酔いどれな濁声の掛け合いが面白い。面白いというよりこの手の掛け合いに珍しくとても滑らかにスイングしている。僕がそのスクラッチ音すらも愛している歌だ。今はどこにそのアルバムがあるか分からないけれど時々聴いてみようと思う。この曲を聴くと、録音媒体が発達した世界に属していてほんとに良かったなと思う。この単純な数々の違和感を濾して、なお胸にピタリと寄り添う感じは本当に心から信頼している。