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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2004年11月25日(木)
代々木駅前→代々木公園→下北沢。ジャズ喫茶マサコから

JR代々木駅前には革命前夜のパリの街の趣がある。あたりには高層ビルが乱立し、その大きな影が、街全部を覆っている。よく晴れた日にはそれは青い影としてクッキリと斜めの線を引く。行き来するのはおよそ報われはしない若者達と酒焼けしたホームレスたち。
街を計る。というわけでもないのだけれど、代々木駅前に着いたとき、僕は二又の道の角に立つコーヒーハウス。ドトールコーヒーショップに入った。そこにはその街の大半の人間が顔を揃えている。永福町のドトールには怪しげなセミナー帰りの有閑マダムが集っているし、方南町のドトールに集まっているのは競馬新聞を握りしめ、キャップを被った紳士連。その他、街のにおいを発散させているものがたやすく見つかる場所。僕にとってドトールコーヒーショップとはそんな場所だ。代々木駅前のドトールにはジョアンジルベルトの簡単なボサノヴァが流れていて全体に客層は若いみたいだった。東京は知ってか知らずか様々な顔を持っている。隣街でも新宿と代々木では全然違う街。ドトールコーヒーショップはある意味街の楽屋裏みたいだ。僕はそのニュアンスがたまらなく好きみたいだ。しばし耳を澄ませるでもなく吸い込めるものは総て吸いこんで店を出た



2004年11月16日(火)
夜を朝へ運ぶ

井の頭通りを一路下北沢へ、永福町の駅を越えた高台からは西新宿の高層ビル郡が見える。自転車のハンドルを握る手に力が漲るのを感じた。ついさっきまでヤマネみたいに眠っていたからだろう。ヘリポートのネオンが鮮やかだ。あの眺めは一度みてみるといい。都庁まわりの高層ビル郡はどこから眺めたってため息が出てしまう。東京タワーと同じ。あらがうことの出来ない引力が僕らを此処に釘づけにする。此処が何処なのかわからなくなった僕らにまやかしみたいに手招きする。バベルの塔。あのなかに何が詰まっているのか?なにもありはしない。スカスカのスポンジケーキ。千里の向こうから人を呼び寄せるための機械。ただほっとさせるためだけにそのガラクタは冷たく強い光を発し続けているのか?未来永劫。と、僕はまたまたため息が出てしまう。時々思うのはみんなはあれを見て何を思うのか?ただのため息ばかりがあれを成り立たせているわけではない。夜を朝へ運ぶ象徴。よく注意すれば、僕にもあのビルの足元に拡がる深い闇を見通せるようになれるかもしれない。ただただ緊密に闇があり、それがまたどこまで続くかわからぬ寒々とした11月の空に向けて唯一無二に刃する西新宿のバベルの塔に集約されて、放たれる。ドライブインのカレーライスみたいに冷たい月。キャラバンは何処までも続く。


2004年11月07日(日)
日々の切れ端

千年雨が降り続くのと千年太陽が照り続けるのとどちらがいい?
と聞かれたら、それはそれで相当迷うと思う。
千年、雨を待つのも良いかもしれないし、千年太陽を夢見るのも捨てがたい。

ほら、ほんの少しでも書き留めておかないものだから、書き留めておきたかったことはすっかり忘れてしまった。

我々は毎日せっせと更新されていっているのかもしれない。
飛んでいる矢の例えのとおりに。

更新された内容についていけないのか、空白が僕の行く道のあとに
延々と続いていく。

黄色いカナリアの話はまた今度。
七枚のシーディと一通のメールの話もまた今度。

一秒一秒が違う世界であり、一秒一秒は、勿論そんな風に割り切れるとして、
互いに互いをこすりあっている そんな悲しい営み。