ナナとワタシ
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K姫のお店できょんと夕飯をとり、そのあと24時間営業のスーパーで楽しくお買い物をし、帰路についていたときです。
ワタシの携帯に電話。 誰だよ!この和気藹々な時間をジャマするのは!
ナナでした。
いそいそと電話に出るじょりぃ。
「もしもし?」 「ナナですけど」 「どうも」 「今、どこ?」
突然ですね。(°▽°)
「国道○○○号線上を走っております」 「そう。 ならいいんだけど」
なにそれ。
「どういうことだ?」 「あたし、またサウナ来てるのね(笑)」
好きだねキミも。
誘ってくれようとしているのかしら。 でもそれにしては、「ならいいんだけど」というセリフはなんだかヘンですし。
「そうなんだ」 「うん。で、じょりぃが来てないか確認したかっただけ。いないならいいの」
どういう意味ですか。 ワタシがいるとジャマなんでしょうか。 ワタシにハダカ見られるとイヤだからということでしょうか。 そんなことでわざわざ確認入れるなんて、失礼なヤツだなおまへ。
「なにそれ。 どーゆー意味かなっ」 「だって困るでしょ?」 「なにが」 「じょりぃとお風呂や着替えでバッタリ会っちゃったらさ、じょりぃに悪いかなと思って」
あ、そうでした。
ハダカ見ないでよ!!と、いつも大騒ぎしているのはワタシの方でしたね。
「そんなことになったら、どうしたらいいかわからなくなっちゃうでしょ?じょりぃ」 「なるほど。確かに。それは恐ろしい事態だ」 納得じょりぃ 「じゃあね」 「はい」
電話終了。 となりではきょんが、CDに合わせて聖子ちゃんを熱唱中です。 あなた、でかい歌声が電話に入っていたわよ。恥ずかしくないのかしらそーゆーの。
カーポートに車を停め、きょんが先に家に入ったのを確認したあと、こそこそとナナに電話をし直す姑息なじょりぃ。
「今日は、お風呂のあと、まっすぐ帰っちゃうの?」 「その予定だけど? 一緒にサウナ入る?」 「いや、今日はそれは無理なんだけどさ。 そのあとお茶でもするならご一緒したいと思って」 「そうなんだ。 でも今日は帰る」 「そう」 ちぇ 「じゃあね」
あ。
「今ってハダカ?」 と、冗談で訊いてみたんですが 「うん」
え!
ハダカを期待して訊ねたくせに、 ハダカだと知った途端、狼狽しまくりの情けないじょりぃっぷり。
「うわ! ゴメン! じゃあお風呂入ってください」 「うん。じゃあね」
ホントにハダカだったのかしら。 それともからかわれたのかな。 ハダカで電話してたんだろうか。 いややっぱりからかわれたのかな。
とまあ、この程度のことで、じょりぃ、大興奮。 安上がりです。 だいたい、ハダカで電話したからって何だと言うのか。 見えるわけでもなし。
それでもなんだか嬉しいのは、日頃ワタシが刺激に飢えているからというさびしい理由に他ならないのかもしれませんが、そもそもワタシはそういうちまちました陰湿な萌えが大好きなんですよ悪いかちくしょうめてやんでえ。
小一時間後に、ナナからメールが。
さっき私が帰るとこだと思ったの? 来たばかりだったんだけど。
このメールをなぜわざわざ送ってきたのか、よくわからなかったじょりぃなんですが。 よくわかりませんねん灸ながらも返信。
これから入るとこかなと思って慌ててかけた。
そして、プチ変態じょりぃとしては、これも忘れずに鼻息荒く確認。
で、あのときって、ホントにハダカだった?
丸一日以上経った今も、返事がきません。 おかげさまで、ナナが上目の白目になってためいきをつきながら携帯を閉じたであろう姿は想像できてますが。
| 2005年04月19日(火) |
言ってはいけなかった |
「あたしさ、女の人の脚って、細すぎない方がカッコイイと思うんだ」
先日のこどもの日に食事に行った帰りの車中での、長女ちゃんの突然のこのセリフ。 細いことが正義!のような「この春中学3年生」にしては、モノがわかってる発言でございます。
「え〜〜? 次女は細い方がいいと思うなー」と次女ちゃん。この春6年生。
「うん。次女ちゃんの気持ちもわかるけどさ。 細すぎない方がカッコイイって、その年齢でわかる長女ちゃんはたいしたもんだ」とワタシ。
「なんかさ、細いだけって、色っぽくないよね」と長女ちゃん。
ますますわかってるじゃねえかコノヤロウ。
「そうそう。やっぱり女性らしい肉付きとかね。曲線とかね。そのへんが色っぽさだよね」
あまり口数が多くなると余計なことまで喋っちまいそうなので、自分を抑えながら相づちを打つじょりぃ。
日頃「やせなきゃー」を連呼している上の娘ふたりに対して、「そんなこと気にしすぎるなよー」と諭す意味もあったことはあったのですが。 ふたりともやせる必要ないですし。 次女ちゃんなんか、特にやせっぽちですし。
ワタシの同意を得たのが嬉しかったのか、長女ちゃんは「女性の美しい脚」について、持論を展開しております。 やはり、中3ともなると、言ってることがかなり一人前です。 観察力の鋭い長女ちゃんとはいえ、「14歳のオンナノコが、そこまで女性の脚の色っぽさについて的確に語れるものなのか」と思うほどに。
もしかして、お仲間? (そんなことになったら、ナナはどう思うんだろうなー)(やはりうろたえるのだろうか)
というのは期待のかかった冗談ですが。
長女ちゃんとワタシのやりとりを聞いていた次女ちゃんが言いました。
「次女の脚、このまま細いまんまだったらどうしよー。色っぽくないってこと?」
じょりぃ、にこやかに
「大丈夫だよ次女ちゃん。 ママの子供なんだから、イヤでも太くなっちゃうよ。ははははははは」
ははは
はは
は?
あの。
誰か、 なにか言って。
かつてないほど空気が凍っているんですが。
まあ、確かにナナは脚太いの気にしてますから。 言ってはいけなかったかもしれません。 日頃そのへんの口がうまいはずのじょりぃなのに。 一体これはなんの奇跡ですか?
ワタシにとって永遠とも思えるような時間が流れたあと(大袈裟です)、やっとナナが
「どういう意味だよまったく」
と、超無感情な声で。
「言ってはならないこと言っちゃったねじょりぃちゃん。 全員敵にまわしたよ」<長女ちゃん
「あたしもママみたくなるってことー?」<次女ちゃん
ひとりで歌を歌っている末子ちゃん。 <唯一の救い
ナナ家において、いっぺんに3人を敵にまわしてしまったのは、 この日が初めてでありました まる
・・・怖かったです。
| 2005年04月17日(日) |
耳鳴りドライブ・心音はヨコシマ |
さあて。 村々しながらサウナをあとにし、村々しながらナナの車まで駐車場を歩いております。 このへんは治安が悪いので、まあ一応送ってやろうかなと。
てく てく てく てく てく てく ててっく(スキップ入れてみました)。
「このあとどうする?」とナナ。 「あなた帰らなきゃでしょ? もう1時過ぎてるよ」 村々しながらも立派に冷静なじょりぃ。 「うん」
てく てく ててっく てく てく。
「お茶する?」とナナ。ワタシに気を使ってくれているのかしら。 「帰りなよ」 「のど乾いた。なんか飲みたい」 「そう。 じゃ、家に電話してみる?」 「んー・・・パパがね、『じょりぃちゃんと一緒なら安心だから、何時になってもいいよ』って言ってくれたんだよね」
ぐ。 ナナへのしばりがキツめのパパにそんなに信頼されてしまっては、ナナに悪さができないではありませんか。 って、もともとそんな甲斐性はないじょりぃですが。
「安心なのか」 村々してるというのに。 「と、パパは言っていたよ(笑)」 「じゃあ、お茶しようか。少しだけ」 「うん」
となりにあるガストに寄ってお茶。 15分ほどぼんやり過ごしたあとに、ナナが「眠い」と。
だから帰れって言ったのに。 って、帰られちゃったらさびしいんですけど。
「少し寝る?」とワタシ。 「うん。寝たい」 「じゃ、ここで寝ちゃえ。 置いて帰るから」 いひひひ 「別に全然かまわないけど? 帰れば?」 ぐ。
と憎たらしい口をききつつ、ナナはホントに眠そうです。 このまま家まで帰すのは心配です。30分はかかりますからね、ナナの家まで。
「・・・車に戻って、車で寝る? 少しでも眠ればスッキリするよ?」とワタシ。 「うーーん・・・」 「椅子倒せば、ごろんと眠れるじゃん。 一緒にいてあげるよ」 恩着せがましく言ってみました。 「じゃ、そうしようかな」
あっという間にガストをあとにしまして。 車まで歩いたところで、「どっちの車で寝る?」とワタシ。 「うーーーーーん・・・・車で寝るっつーのもどうもなぁ」 じゃ、道路にでも寝やがれ。 「うちに来る?」 「きょんさんのとなりにすべりこんで寝ようかな。こたつで(笑)」 「いいよそれでも」 「きょんさん、びっくりするだろうね」 「寝ぼけて抱き付かれるかもよ」 そんなことワタシでもしてもらったことありませんけど。 「動物らしく振る舞えば、かわいがってもらえるだろうか」 「体中に毛が生えてればね。 で、どうする?」 「車が走っててくれないと眠れない」 てことは誰かが運転するんですね? 「・・・・じゃ、ちょっと走ろうか?」 「うん」 うんじゃねえよ。 「じゃあ、ワタシの車だね。 乗って」
ごそごそとシートを倒して寝床をつくるナナ。
「どれくらい走ろうか?」
返事なし。
まだ寝てないはずだろーよおまへ。 無視するなよ。おう。 わかりましたよ。 テキトウに走りますよ。 無言で。 BGMナシで。(ナナは音に神経質なんです)
「じょりぃは眠くないの?」 起きてるんじゃねえかやっぱり。 「眠くない」 「ふうん」
また自分の世界へ行ってしまったようなので、ワタシは孤独に車を発進させました。ぶるるるーーーーーー。
道がすいてて気持ちいいです。 このまま高速乗って、どっか行っちゃおうかな。 なんだか気分いいなーー。
と思ったものの、ガソリンがない。 ちぇ。
最初の信号待ちで、助手席のナナをちらりと盗み見ました。 シート倒しているので、ナナの顔は遠くにあって、盗み見るのもものすごく「わざわざ感」があって気が引けますが。 これくらいの特典はあってもいいですよねー、と、ちらり。
か、 か、 かわいい・・・・。 <石でもおひねりでも投げてください
こちらに顔を倒して寝ているので、反対側の首のラインはばっちり出てますし、なにしろ「あんた誰?」つうくらい、いつもよりかわいいのです。 暗いところで、街灯の明かりを照明にしているので、アラが見えないせいだと思いますが。(ワタシも失礼ですが) おまけに、なぜか本日のナナ様はグロス系のナチュラルテイストな口紅つけてます。 てか、さっきガストにいたときはつけてなかった気がしたんですが、いつの間につけたんですかあなた様。 ワタシはグロス系の口紅が好きなんですが、ナナは嫌いと言っていたはずです。 「油ギトギトの焼きそばでも食ってればいーじゃん」とすら言われたことがあります。 それに口紅の色も「あたし濃い色じゃないと似合わないんだよ」と言っていたんですが。 なんだなんだ、似合うじゃん。 唇に灯りがきらきら反射して、ウソみたいに顔がきれい。かわいい。
くらくらくらーーー。 蔵
よ、 よ、 ヨコシマなココロが。 耳鳴りが。 ワタシにはめずらしい衝動が。
しかーーーーし。
相手がワタシに気のないのはわかっておりますし。 もちろん、何も起きないしできないわけですが。 だからこそ、困った困った小股。
ていうか、あなたもしかして誘ってませんか。(誘ってません)
ちょっとちょっとこんな煩悩にとらわれてばかりいたら事故ってしまうわ!と、自分をどうどうとなだめながら運転再開。 たまにちら見。 ほんとに「ちら」っと。 ナナと目が合ったら困りますし。 セクとは別の部分で「じょりぃってヘンタイ」と思われているフシがありますし。 それって事実ですし。
信号待ち。 ちらり。
あ。 胸に目がいってしまった。 でも、手がいってしまったわけではないですし。 み、見るくらい別に。 ねえ?(ワタシは誰に許可を求めているのか)
日頃見られないので、ぢいいいいいいいいいいっっと見るじょりぃ。 ナナが目を開けませんように。 と念じつつ、視姦。
何度目かの信号待ちでの視姦で、ついにナナと目が合いました。 ぎゃ。
キミのことなんて全然見てないし興味ないからという顔で上手に目を逸らしましたが。
ナナめ、体勢を変えやがりました。 顔を反対側にして、ワタシに背を向けましたよこの人。
愚か者め。 ワタシに背中とお尻を凝視されるだけですよ? けけけけけけけけけ<壊れてきました
とまあ、いけない衝動に耳鳴りさせながら30分ほど走らせまして。 もうすぐ元の駐車場、というところで、ナナがむっくり起きあがりました。
「・・・・・・・・・・・・」無言ナナ。 「・・・・・・・・・・・・」無言じょりぃ。 「・・・・ここ、どこ?」 「あと2〜3分で元の場所、という位置」 「・・・・・・ああ。 ここか。 わかったわかった」
また寝ました。 だからもうすぐ着くんだってば。 起きろ。
駐車場について。 ナナは起きる気はないようです。 しかたがないので、そのままぼんやりとナナを見ているじょりぃ。 10分経過。
ナナ、寝の体勢のまま「どれくらい寝てた?」 「40分くらい」 「そんなに寝たのか。 ていうか、あたしほとんど寝てなかったけど」
え。
「寝てなかったの?」 不毛だ。 それにもしかして、ワタシが視姦してたのバレバレ?(冷や汗) 「うとうとしてた程度」 「ふうん。 張り合いないなあ」 「(笑)車の中、すごい気持ちいいね。温度とか、ちょうどいい」 「それはよかった」
また寝ちゃった。 でも寝てないのかな?
ヨコシマヨコシマヨコシマヨコシマ <じょりぃの心臓の音
「眠いよー」とナナ。 「もう少し寝れば」 「じょりぃ、眠くないの?」 「うん」 ぎらぎらしちゃってますし。 「エンジン切っていいよ」 「寒くなるよ」 「それはイヤ」
また寝ちゃった。 でも寝てないんだろうな。
ヨコシマヨコシマヨコシマヨコシマ
「キミだけいい匂いして、ずるいなあ」と呟くワタシ。 ワタシ、汗かいたままシャワー浴びてないんですもの。 「ひひひー。いいでしょー」 起きてるんかい。
でもまた寝ちゃった。
ヨコシマヨコシマヨコシマヨコシマ
「じょりぃ、眠くないの?」 寝るのかよ寝ないのかよと。 「うん。大丈夫」
このへんは物騒なので、ぼけーっとしているようでも用心深いじょりぃは、肉食鳥のような目で付近やまわりに駐車中の車内に目を光らせております。 アヤシイ人がいたら、ナナを差し出して自分だけ逃げなければなりませんからね('-^v) って、また寝てますけどナナ。
「帰れよって思ってる?」 なんだい起きてるのかよ。 「思ってないよ」 「・・・眠い」 だから寝りゃあいいじゃんか。 「炭酸飲料でも買ってきましょうか?」 「いい。いらない」 「家、平気?」 「帰らなくちゃ」 「うん」 「でも眠い」
ならとっとと寝ろ。
ヨコシマヨコシマヨコシマヨコシマ
と、ここまできて、もしかしてもしかしたら。 ワタシったら、ボケ作のヌケ作状態なのかしら。 なーんて考えが頭に浮かんだじょりぃ。 もしかしたら、これは据え膳なのですか? せっかく寝てるフリしてやってるんだからさー、 みたいな。
まさかまさか。 わはははははははははははははは(乾) まーた自分に都合良く妄想が暴走してしまうところでございました。
ヨコシマヨコシマヨコシマヨコシマ
ていうか、暴走する前に、ナナを帰しちゃおうっと。 もう3時半まわってますし。
「あ!」 とナナ。 「うわ、なに?」 「明日、東京なんでしょ?」 「うん」 「朝早いの?」 「早くないよ」 「何時に起きるの?」 「8時を予定しているけど」 「早いじゃん!」 「早くはないでしょ」 「ゴメン。 帰る」 「大丈夫?」 「・・・・・眠い」
やれやれ。
「よし! 帰る!」 とナナ。勢いつけてますが。 「そうか」 「・・・・・・・・」 「・・・・どしたの?」 「寒いので車から降りたくないんですけど」とナナ。 「降りないと乗れないね」 「なんとかして」 「なんともできない」 「しょーがないなー」
しぶしぶ車のドアを開けて降りるナナ。
「じゃあね」 「ついたらメールして。 とっても心配」とワタシ。 「(笑)わかった。今日はありがと」 「気をつけて」
4時をかなりまわってから、ナナから「着きました。おやすみなさい」とメール。
そうですか。よかった。
ワタシも掲示板のレスつけたり仕事の片づけをしたあとベッドに入り、たぶん今頃、ナナはぐうぐう寝ているんだろうなぁ、と思いつつ。
ヨコシマのせいですっかり目がさえてしまったワタシは、ぜんぜん眠れないまま東京出張の朝を迎えたのでありました。
で。
ひとりでヨコシマってましたが、今読み返してみたら、単にナナが「眠い眠い病」にかかっていただけですねこりゃ。 まったく人騒がせな話でございます。 ナナも、ワタシも。
| 2005年04月16日(土) |
ヨコシマゴコロ健在なり |
昨日の話の続きです。
結局お約束どおり、ナナが自分で勝手に予定した時間に大幅に遅れまして。 「お風呂出てこれからサウナ。おいでよー」とナナからメールが来て、ワタシがサウナに出かけることになったのがほとんど日付が変わる頃でございました。 ワタシの山の神・きょん様のいないうちに出かけられるかと思っていたのに、出掛けようとしているワタシとダンスから帰ってきたきょんが、ちょうど玄関でばったりと。
「やっぱサウナ行ってくるね」とワタシ。 「あっそ」 相変わらずどうでもいいらしいきょん。ステキ。 「生理だから入れたとしてもちょっとだけなので、すぐに帰ってきます」 「ふうん。いってらっしゃい。気を付けてね。いろいろと」
どうやらまだワタシが大恥をかくと決めつけているようです。 ここまで期待されると、きっちり恥をかいて帰ってこなければ、きょんに対して申し訳が立たない気持ちになってまいりましたが。
ばびゅーんとスーパー温泉に到着。 さて。 ワタシ、入れるかしら。
入れました。
お風呂の方はもちろん生理の人はダメーってことでしたが、サウナのほうは「自己責任で」ということでございました。 「当館の語りぐさになるような大恥をかかないよう、お気をつけください」とは言われませんでしたが。
それでもなんだか、パンツはいて館内着着て、というのが反則技な気がしてしまい、裸になるときよりもこそこそと着替えを済ませ、やはりこそこそとサウナに向かうじょりぃ。 こそこそおどおどの似合う女・じょりぃ。 そんなもんちっとも似合いたくありませんが。
ナナを見つけてとなりに座ります。本読んでましたこの人。
「何読んでるの?」 「これ。今頃やっと読んでるの(笑)」
見せられた表紙は「検死官ケイ」シリーズの・・・あれ、どれだったかな?
「ほう」 とワタシ。ふくろう。ほうほう。 「ルーシー気に入らねー。むかつく」 とナナ。
まあ、ワタシのルーシーになんてこと。
「ルーシーかわいいじゃん」 「やだよ。 何このクソ生意気な女は」
ええと、ルーシーの話? あなたの話?
「小利口ぶってて理屈っぽくてひねくれてて憎らしいことばっかり言ってさー」とナナ。
ええと、ルーシーの話? ワタシの話?
で、いいしばらく、ひそひそとおしゃべりしながらぽかぽかと。 ナナはもうすっかり汗をかいております。 ワタシもすぐに、胸から上はじんわりだらだらと汗ばみはじめました。 頭と顔ばっかり汗かくんですワタシ。カッコ悪くてイヤ。 でもここはサウナ。 日頃汗をかかないナナも汗大放出です。 いつもは滅多に見られないので、やっぱり嬉しい、ナナの汗。
「じょりぃ、足に汗かかないの?」
と言いながら、人差し指でちょいちょいっさすさすっとワタシのすねのあたりを撫でるナナ。
うわーお。 ナナに足触られちゃったーーーーーーーー。<自分で書いててイヤになるほど大興奮
むだ毛の処理をちゃんとしていてよかった☆ <やっぱり乙女ならばこーゆーことをつい考えてしまいますよね。
「あなたはどうなの?」 と言いながら触り返す、なんてことができるじょりぃならば、今頃ナナワタの展開ももうちょっとアレでこうなってドドンパなんでしょうけど、もちろん「うん。まだかいてないね」と無表情に返事をする程度のじょりぃが現実なわけですよ奥さん。
途中暑くなっちゃって、休憩室のすみっこで休んでいるときなんてアナタ、露出度の高いポーズご披露でいつもよりサービス満点のナナでございまして、なんかヤバイ薬でもやっちまったのかなというほどでは全然なかったんですが。
ワタシの横で、急に柔軟体操めいて足を高く持ち上げないでください。<建前 (いや、もっとやってくれ<本音) あの、その足の組み方、尻が見えそうですよ?<建前 (そこまで見せたんなら尻も見せろよ尻もっ<本音) だからその首のラインを強調するのけぞり体勢はやめなさいって。<建前 (一生そのままでいろ<本音) そうやってかがむと、胸見えちゃうよ。<建前 (いいぞいいぞー<本音)
「あたしと、キスとかそういうことしたいとか、思うの?」と訊かれたくもないことを訊かれ、しかも正直に「うん」と答えたワタシを相手に、よくそーゆー無防備なことできますね。(いや、こんなことは非常にめずらしいので大歓迎ですけども)
よっぽどワタシに危険なかほりが漂っていないのでしょうね。(漂ってませんが実際) ていうか、もうそんな会話をしたことすら記憶にないのかもしれませんが。 ま、フツーの友達ならば、足を高く持ち上げたり尻が見えそうになったりのけぞったりなんてことはあたりまえのように行われることですからね。 あはははははははははははははははははは。
しかし、ワタシの気持ちはちっともさっぱり、「フツーの友達」なんかではないのでありまして。
両思いになったわけでもないのに、すっかりナナとも馴れ合い・倦怠期めいていた昨今のじょりぃだったのですが、なんか、こう、アレですよ。
みなまで言わずとも、察してください。 村々
ヨコシマゴコロ、健在なり。 困ったような。嬉しいような。 汗がなおさら吹き出ちゃうような。
小1時間ほどサウナで村々していたんですが(村々していたのはワタシだけですけど)、ナナが「暑い。もう限界」ということで、サウナをあとにすることに。
「じょりぃはもう少しいれば?」 「ワタシも出る」 「あたし、シャワー浴びたい」 「いいなー。ずるいなー」 ワタシはシャワーはダメですし。
とはいえ、心配で途中、トイレでチェックしましたら、「あたちホントに生理?」つうくらいのアレでしたので、大恥かく心配は何もなかったんですけどね。
ふたりして、更衣室に向かい、更衣室の手前でナナ 「で、どうするの?」 「は? なにが?」 「なにがって」
ああ。 ナナはハダカにならなくちゃいけないんですものね。
「ああ。あなた、それ脱がなくちゃならないのか」 「そーだよ」 「どうぞ。脱げば? ワタシは覗いてますから」 「やだよっ」 イヤでしょうね。 「じゃあ、時間差攻撃しなくちゃね。シャワーって、どれくらい時間かかる?」 「25分」
たかがシャワーに25分かよ! その前に1時間以上風呂入ってたというのにあなた様ったら。 結局ワタシはサウナに戻り、15分ほど時間を潰してから着替えを済ませ、更衣室の外でナナを待ちました。 なんだかいつものこととはいえ、バカみたいですねワタシたち。
で、まだこの話は続きます。 すみませんねえ。 村々
仕事の納品が終わって、ああ、ひとつ仕事をやっつけたぞーと満足感に浸っているときによく起こる現象なんですが。
ナナに会いたい病。 発病。
これと似たような現象で、仕事でテンパって時間に追われまくって、もうダメぽ・・・となっているときによく起こる現象が、「焼肉食べたい病」。
焼肉もナナも同列扱いというところがワタシったらキュウト☆とか思ったりはしませんけど別に。
で、まあ、ナナに会いたい病が発病し、でもだからといってどうすることもできず、今日はきょんもダンスのレッスンで出かけちゃうし、さてこれからセブン行って夕飯買うかとやさぐれていたちょうどそんなとき。 電話が鳴りまして。 ナナでした。 あらまあ嬉しいじゃありませんか。
「もしもしー?」 しかも明るい声のナナ。めずらしい。 「はいはーい」 「仕事してた?」 「フツウ」 「今夜も仕事?」 「たいして忙しくはないけど」 「あたし、今晩、○○○に行こうと思うのね?」
○○○というのは、うちの近所の例のでっかいサウナのある温泉でございます。
「そうなんだ」とワタシ。 「じょりぃも行かない?」 「! 行く!」 即答。
なんだかんだ子供の世話をしてから家を出て、まずあたしはお風呂のほうに入っちゃうでしょー、それに1時間くらいかかってからサウナ行くからさー、11時頃電話するから、じょりぃもそれからサウナ一緒に入ろうよー、と。
ワタシ的にも時間がちょうど良い感じなので、にこにこと承諾いたしまして。 電話を切って浮かれて、仕事の段取りを考えておりましたら。
あたちったら。 肝心なことを忘れておりました。
今、生理じゃん。
がくーーーーーーー。
でもでも。 サウナは館内着着て入るから、パンツ履いて入っちゃえば別にOK? でもマナー違反かしら。 ワタシ量が少ないし(何の?とか聞かないでください)、大丈夫だとは思うけど。 でも汗かくしなあ。
あ、きょんが出かけてしまう。
サウナには行かないかもしれないけど、行くことになったらきょんが家に帰ってきたときにワタシはいないかもしれないので、一応ご報告。
「あのね、ナナにサウナ誘われたの。行ってくるかも」 「ふうん・・・・」
あら。おもしろくないのかしら。どうしましょ。
「あれ? 不愉快かなもしかして」 「・・・ダンス行きたくない・・・めんどい・・・」 なんだそっちかい。 「じゃ、ダンスやめて、一緒にサウナ行く?」 優柔不断が高じて、なぜか勇敢なお誘いを試みる結果になるじょりぃ。 「ううん。 ダンス行かなきゃ」 「じゃ、ダンスから帰ってきてから一緒に行く?」 優柔不断が高じて、なぜかしつこく誘っているじょりぃ。 「やめとく。あたしの血圧では、運動したあとサウナ入ったら死ぬから」 「死なれては困るので、では誘いません」 ほっ。<何か間違えているじょりぃ
「でさー、ナナに行くって言ってから気づいたんだけど、今生理だったのよ、ワタシ」 「じゃ、やめときなよ」 「うん。 でもパンツ履いて入れそうなんだけど」 「まあ、好きにすれば? そのサウナの語りぐさになるような大恥かくのを覚悟していく分にはいいんじゃないの?」
何が起こればそんな大恥をかけるのかは不明ですが。しかし
「・・・かきそうだね、ワタシ」 どんな恥かはやっぱり不明ですが。 「かきそうだね」 「じゃ、やめておく」 「ナナに早く連絡してあげたほうがいいよ」 「うん」
きょんを見送って、ぽつーーーーーん。
ちぇ。 生理のバカ。
ナナに電話。 してみましたが、話し中でございます。 5分おきに3回トライしてみましたが、話し中。 長女ちゃんでも使っているのかな?早く連絡しないと悪いよなと思い、ナナの携帯に電話。
「もしもし?じょりぃd」 「はいもしもし〜〜あたし〜〜」
ひいっ。デカイ声のオカマ様が電話に。 誰よあなた。
・・・って、だいたい見当はついてましたが、どう反応していいのかわからないので無言でおりましたら。
「パパちゃんだよ〜ん」 パパでした。 「どうもー。じょりぃですこんばんはーー」<うってかわって営業用発声 「ママ、今電話中でさ。きっとじょりぃだからパパ出てって言われたから、ママの声で出てみたんだけど」と嬉しそうなパパ。
ぴっ <営業モードボタンが押された音
「かわいすぎちゃってわかんなかったーーー。もー、パパったら」きゃぴきゃぴ☆ 「かわいかったろー」
ええ。(無表情に)
かけ直してくれるということなので、待機。 夕飯が食べ終わってから電話が鳴りました。(長電話だなあ相変わらず)
「どしたの?」とナナ。 「誘われたのが嬉しくて、コロッと忘れてたんだけどさ」 「うん」 「ワタシ今生理だった」 「きゃははははははははは」 なぜ笑う。 「わはははははははははは」 ホントは泣きたいがな。 「じゃ、やめとく?」 「うん」 「わかった」 「ごめんね」 「ううん」
ちぇ。 生理のバカ。
・・・・・・・・・。
せっかく誘ってもらったのに。
・・・・・・・・・。
今日のワタシ、ナナに会いたい病だったのに。
・・・・・・・・・。
ぴぽぴぱっと、ナナに電話。 しつこいなワタシも。
「何度もゴメン」 「(笑)どしたの?」 「あのさ、サウナから出たら電話して」 「なんで?」 「あのー、アレですよ。 一瞬会いに行く。 せっかくこっち来るんだもん。ちょっとでも顔見たい」 「なんだそれ(笑)」 「ダメ?」 「(笑)なら、帰りに寄るよ、じょりぃんち」 「ホント?!」 「うん」 「じゃ、待ってる」にこにこにこ 「ていうかさ、サウナ入っちゃえば? 大丈夫でしょ」 「大丈夫かな」 「どうせ家が近いんだしさ、ちょっとサウナに入って、汗あまりかかないうちに出て、家帰ってからシャワー浴びればいいじゃん」
汗かかないうちにって、サウナの意味がありませんが。 まあ、もともとサウナが目的ではありませんしあたちの場合。
「じゃ、そうしちゃおうかな」 そのほうが、家に寄ってもらうよりあったかそうですし。 「そうだよ」 「わかった」 「じゃ、電話するね」
つうことで、いそいそと出かけることになったじょりぃ。 サウナはお店で入ってもいいか確認してから入るか入らないか決めようっと。
今日はとんでもない時間になってしまったので、オチのないまま続きは明日にして寝ます。ぐうぐう。
ナナに会ってきました。
温泉旅行が流れてしまって、さらにしばらくは遊びに出かけられないと言われ 「ちぇ」と伝えましたら、笑いながら 「じゃあ、その日に家に来る?」と誘っていただけました。たぶんお情けで。
「でも家に来るとさー、結局子供の相手ばかりになっちゃうからさー。 それじゃイヤでしょ? 疲れるし」とナナ。 「ううん。しばらく子供らにも会ってないし。ゆっくり顔が見たい」 「じゃあ覚悟してきてね。春休みでパワー余ってるからあの子たち(笑)」
パワー余ってました。
ナナの家に着いたら、ナナは末子ちゃんを迎えに出かけておりまして。
ピンポンを押すと、長女ちゃんが迎えてくれました。
「あれ? おねえちゃんひとり? 次女ちゃんは出かけてるの?」 「いるよ。2階」 「あ。そうなんだ」 「降りてこないと思うけどね」 「どして?」 「あたしの強烈な蹴りが入って泣いてるから」
余ったパワーで妹を蹴るな。
「蹴ったのぉ?」 「だって、次女の奴、あたしに対して言ってはならないことを言うんだもん。当然だね」 「そうなの?」
まあ、姉妹ゲンカというのは、その家その姉妹のルールがございますから。 ふたりとももう、何もわからない子供ではありませんしね。 じょりぃには治外法権でございます。 長女ちゃんもバツが悪そうですし。これ以上つっこまず。 日頃仲がいいのもわかってますし。
で、まずは長女ちゃんのエピソードを。
「じょりぃちゃん、コーヒー、薄いのと濃いのどっちがいい?」と長女ちゃん。 「濃いの」 「わかった」 「え? 入れてくれるの?」 しかも味の好みまで訊いてくれて・・・。 「うん」 「わあ、嬉しいなあ。 ママよりやさしいじゃん(笑)」 「あったりまえじゃん! あの人よりやさしくないようじゃまずいよそれマジで(笑)」
まあ、まずいよなそれマジで。 というのは半分冗談ですが。
しばらくして。
「じょりぃちゃん、どうしよう! マジで濃くなっちゃったみたい!」 「だいじょうぶだよー。 いくら濃くても」 「えー? ・・・マジでこれ、飲めるのかなー・・」 「だいじょぶだいじょぶ」
出されたコーヒーを飲もうと、ちょいとクチに含みましたら。
むむ!
飲めないかも。
なぜなら。
コーヒー豆挽いた粉が、お湯の中にそのまま入っていたのでした。 粒々が自己主張するかのようにつぶつぶと浮いております。
たぶん、コーヒー嫌いな長女ちゃんはコーヒーなんて自分でいれたことがなくて、ママがいつも使っている缶を見つけ、ココアとかを作る要領で作ってくれたのでしょう。
せっかくだしな。 確か、こんな風にして飲むコーヒーなかったっけ? 飲んで飲めないことはないかも。 要は、上澄みだけを上手に飲めばよいのです。そおっとね。
そおっ。 じゃりじょりじゃりざらざらつぶつぶつぶぎゃああああ
無理でした。 マジで無理。 あっという間もなく、口の中は挽いた豆でいっぱいに。 少ししかクチに入れてないのになあ。
ティッシュに豆を出しながら、ちょっと悩んだあと、長女ちゃんに告げました。
「長女ちゃん、あのさ」 「やっぱ濃いでしょ?! どうしよ!」 「いや、味は非常に良いよ。とてもおいしい」 「ホント?」 「でもね、このコーヒーって、濾紙のようなものでつぶつぶを濾して、液体だけを飲むのだよ。粒は溶けないのだ」 「きゃははははははははははは」<ママと同じ笑いかた <恥ずかしくて大笑いしたらしい 「(笑)コーヒーフィルターって、どこにあるかわかる?」 「いいよじょりぃちゃん、飲まなくて」<恥ずかしそう 「味はいいのだ。もったいないのだ。飲みたいのだ。フィルターさえあればいいのだ」 「えー? どこにあるかわかんないよー」
しばらくキッチンを探してくれていた長女ちゃんですが、フィルターというものを知らなければ探しづらいでしょう。
「ね。キッチン入っていいかな」とワタシ。 「うん。いいよ」
不用意にキッチンに入られる「ひえーー」感はワタシにもよーくわかりますので、ナナを気遣って流しのほうは見ないように、ありそうな棚だけに目星をつけて。 ちょっと探してみたけど見つかりません。
「じょりぃちゃん・・・・・これじゃダメ?」
長女ちゃんが手にしていたのは、キッチンペーパーでした。 じょりぃちゃんも、そろそろそれで手を打とうかなと思っていたのだよ。
「いいと思う」
協力しながら、別のカップにキッチンペーパー越しに粒々入りコーヒーを注ぐふたり。 ちょろちょろとやっておりましたら、ナナと末子ちゃんが「ただいまー」と。 長女ちゃんとワタシ、キッチンから「おかえりー」
「ちょっと! じょりぃ、キッチンにいるの?」 案の定慌てているナナ。 「ええ。諸事情により。スミマセン」 「すげえ散らかってるのにーー!!!! やだ! 見た?」 「見てない」 「ウソだーーーー」 「見ないようにした。見てないよ」 見えちゃったけどさ。洗い物たまってましたね。 「あーーん、もーーーーー。 ・・・ま、いっか」 <開き直った模様
その後、うすーーーい色のぬるくなったコーヒーをすするじょりぃ。
「んまーーーーい」 「ウソだーーー」<長女ちゃん 「いや、ホントにおいしい。初めて飲む味だけど(笑)」 「なに飲んでんの?」とナナ。
長女ちゃんがなりゆきを説明しましたら「おいしいわけないじゃん!(笑)」とナナ。 「いや、それが、おいしいのだ」 「残していいよ」と長女ちゃん。 「おいしいよ。 飲んでみる?(笑)」 「げろまずそう。 絶対いらない」
まあ、確かにフツウのコーヒーとしてこれが出てきたらおいしくないかもしれませんが。 偽善チックでアレですけど、なぜだかホントにおいしかったのだよ長女ちゃん。 久々に、ココロで味を感じましたよアナタのおかげで。
さて。 いちばんパワーの余っている末子ちゃんが帰ってまいりましたので。 ママゴト開始。
「あたしはおかあさんね?」 「はい」 「この子はたくみ」人形A 「はい」 「この子はいつもどおり、じょりぃちゃんが動かすのね?」 「はい」 「この子はえみりーちゃん」人形B 「はい」 「この子は赤ちゃんで寝てばかりだから、動かさなくていいから」 「はい」 「じょりぃちゃんはパパね?」 「また男の役ー?」 「わがまま言わないの!」 「・・・はい」
と、ごくフツウにスタートしたママゴトだったんですが。 じょりぃパパが「もう働きたくない。会社やめた。仕事が見つからない。ママ、食わせて」とヒモ亭主状態になった頃から、家庭が荒んできます。
まず、末子ママが働きに出ることになりました。外科の女医さんです。すげえ。 「じゃ、あたしは仕事に行ってきますから。パパは仕事ないなら、洗濯しておいてくださいね」 「洗濯って、できないよー」 「もう! 裏に川があるでしょ? そこで洗えばいいから」
いったいナナは日頃どんな洗濯をしているのでしょうか。
「できるかなー」とワタシ。 「干すところまでやってね、ちゃんと」 「干せない」 「干しなさい!」 こわっ 「ねえママ。今日はいくらくらい稼いでくるの?」 「そうねえ・・・6千万かな?」 「6千万?!」
なんて素敵な女房でしょう。 ていうか、もしかしてワタシの嫁は、ブラックジャックなんでしょうか。
「ねえじゃあさ、ぼくにもおこづかいくれる?」 ヒモ亭主らしい発言をしてみました。 「いいわよ。 じゃあ、半分こで、5万円あげる」
計算が合ってませんが。それともわざと間違える賢い嫁なんでしょうか。
嫁さんはテーブルの上で手術をしております。 手持ちぶさたなヒモ亭主じょりぃは、嫁さんに電話しました。
「ぷるるるるる ぷるるるるる」とワタシ。 「はい? もしもしー?」 「あ、ぼくだけど」 「もう! 仕事中よ! 大事な手術してるんだから!」 「ゴメンゴメン。 ねえ、おなかすいちゃったんだけど、いつ帰ってくるのー?」 「あーーん・・・ちょっと遅くなるからー、あなた、子供達につくってあげて」 「何も作れないよ」 「もうあなた!なんにもできないんだから!」 ああ、耳が痛い。 「おなかすいたー」 「じゃあ、イモがふかしてあるから、とりあえずそれ食べててー?」 「イモー?」 「じゃあね」
ここでナナがキッチンからきゃはははははと「ふかしイモかよーー」と。
しばらくして、また嫁さんに電話をかけるじょりぃ。
「何回電話するのよ!」 この嫁さん、おこりんぼだなあ。 「ごめーん。 おなかすいたー。いつ帰ってくるのー?」 「んー・・・今日は遅くなるの。飲んでくるから」<超気取った声で 「えーーー?」 「彼氏とデートしてくるし」 「え! 彼氏がいるの?」 ひどいなあ。 「ごめんねーー」 「いいけどぉ・・・おなかすいちゃったよー」 「ごはん炊いて」 「炊けないよー」 「あんたってホントにダメな人ね!」
ついに「あんた」扱いになりました。
「お吸物があるからそれ飲んで」ちょうど長女ちゃんがお吸物飲んでいたのです。 「お吸物だけー?」 「んもうーーー。 乾燥イモでも食べてなさい!」 「またイモ?! っていうか、なんで乾燥イモ?!」
ここでまたキッチンからナナが大笑いしつつ
「末子、外でそんなこと言わないでよねー。おそろしー」と。 「末子ちゃんちのママ、夕飯に乾燥イモ出すんだって思われちゃうじゃん、困るよーーーー(笑)」と。
それは困るだろうな。 ていうか、アナタ、実際出してたりして。
その後、飲み会の帰りに送ってきてくれた彼氏を紹介されるヒモ亭主。 さらにまた別の彼氏と旅行されてしまい、子供の世話を押しつけられ、離婚まで言い渡されました。 でも、離婚後も毎日おこづかいを5万〜60万円くれました。 ぐうたらヒモ亭主にはけっこう理想的な嫁かもしれませんね。
夜になって末子ちゃんが寝てから、やっと次女ちゃんの出番です。
次女ちゃんは映画「呪怨」のビデオを見てから、ひとりで家にいられなくなり、夜もひとりで眠れなくなってしまっているのですが。
「だってホントに怖いんだよーー。としおくん」
から始まって、1時間以上呪怨について解説してくれました。 ちなみにワタシもナナもまだ見ていないんですよ、呪怨。 テーブルの上に出ていた消しゴムやらハンドクリームやらを人間や物に見立て、ものすごく細かいディテールまで話してくれます。 ホントに細かいんですよ、話が。
が、次女ちゃんの本当にすごいところは。
ナナとふたりで感心したのですが、ここまで詳しく話してくれながら、 「呪怨」という映画のストーリーがまったくわからなかったという事実です。 将来は映画解説者にどうだろう、とナナと話したりして。
「ねえ、せっかく次女ちゃんがこんなに詳しく教えてくれたんだからさ、 ひとうひとつのシーンを共に確認しようじゃないか」 ワタシはナナに言いました。 「どゆこと?」 「今度一緒に見よ。 呪怨」 「(笑)まあいいけど」
ありがとう、次女ちゃん。 いっこデエトの約束ができました。 (あ、でもナナ、コワイ映画ダメだったはず・・・流れるかなこりゃ)
そして、このときってナナと次女ちゃんとワタシの3人だけでコタツで話していたのですが。 なぜかたまたま、ナナがワタシのとなりに並んで座っておりまして。 幸せでございました。 この程度のことですが。 次女ちゃんがおもしろいことを言うたびに、ナナがいちいちワタシの顔を見て笑ってくれるのもこの上ない幸せでありました。
って、ホントはこの日のこの時間は温泉でまったりしているはずだったんだがな。 おかしいな。
子供達に気兼ねし、心配しながらふたりで温泉旅行するかわりに、 お子さま万歳モードで遊び倒した一日。
ふむ。 今回はこれで良かったのかも。 (自分を納得させるのが得意なじょりぃであった)
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