Memorandum


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− メモランダム −
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2007年09月25日(火) ある衝撃

何故か誰も指摘しないことだが、今回の政変劇で非常にショックを受けたことがひとつ。
それは福田陣営が「麻生・与謝野が安倍首相を騙して辞任に追い込んだ」という「麻生クーデター説」なるデマ情報を流したことである。
過去に自民党は総裁選挙に絡み汚いカネが乱れ飛んだりしたことはあるが、謀略で相手を陥れたというような卑劣な手段が使われたことは未だかつてなかった。
自民党と言えば、たとえどんな熾烈な派閥闘争が行われていてもどこかアバウトでおおらかなところがあったものだが、いったいいつからこんなファシストか革命党派のようなやり口を真似する政党になったのかと唖然とした。
そういう意味で福田政権は非常に後ろ暗い、陰気な成り立ちをしたものだと思う。


2007年09月23日(日) 福田康夫の正体は「老いた安倍晋三」か

自民党政権はこれまで振り子のように右から左へと党のイメージを変える事で再三ピンチを脱してきた。
古くは「ダーティ」田中から「クリーン」三木への転換が知られている。
昨年、人気を当て込んで若くて未熟な安倍晋三を選んで失敗した。
なので今回は、人気には多少目を瞑っても、年配で安定感のある福田康夫、というわけである。
だが本当に安倍と福田は違うのだろうか。違うのは単に年齢だけではないのか。

例えば思想・政策の善し悪しは別にしても、麻生太郎はこの6年間、経済財政相、政調会長、総務相、外相の要職を歴任し、更に昨年も既に総裁選出馬済みである。つまり総理総裁たるべく準備を重ねてきた。
一方福田はかつてソツなく官房長官を務めたことはあるが、この3年間は無役。
また、その官房長官にしろ、行政全般を掌握する立場ではあっても、政策立案・実行省庁の大臣ではないから実務能力は未知数である。
だったら安倍だって官房長官の時は、大過なくこなしてきたのである。
要するに、福田は単に年を食ってるから、何となく安倍ちゃんよりは安定感がありそうに見えるというだけ。
更に安倍や麻生には曲がりにも総理総裁としての経綸があったが、福田の場合、何をやりたいのかもよくわからない。
つまり何もやって来なかったし、また何もやろうとしないから、今のところボロが目立たない、というのが、福田の「安定感」の正体である。

たかがこういう人物を総理総裁に選ぶしかなかった自民党も、随分と落ちぶれたものである。
私は民主党を全く支持していないが、今のていたらくでは、自民党が政権を失っても自業自得で仕方がないと思う。
福田次期政権の使命とは、一刻も早く「国民の審判」を受けることであろう。


2007年09月21日(金) だから麻生は嫌われる

麻生太郎はマンガなどの所謂サブカルチャーに造詣が深いことで、若者から多くの支持を得ている。
しかしその反面、そのためにある種の層からは嫌われる原因にもなっている。
先日、たまたまある老ジャーナリストのブログを目にしたところ、
「麻生は若者に迎合している!」
と、大変おかんむりであった。
実際は、別に「迎合」しているわけではなく、麻生自身が若者文化に理解が深いのだが、
年寄りにはこれが気に食わないらしい。
そもそも、老人というものは必然的に「時代遅れ」となる定めにある。
だから老人の多くは若者が嫌いだし、若者の流行が嫌いである。
ところが、老人の中にも麻生(67歳)のごとく、稀に感性が若者に近い者がいないでもない。
しかし他の大部分の老人は尚更これが気に食わないし、従って「近親憎悪」の対象となるのである。
麻生が永田町の政治家達に拒否反応される理由の一端もここにある。
と言うのも、政治家には老人が多いし、また比較的若くても世間の流行には甚だ疎い者が多い。
少なくとも若者に支持されることは滅多にない。
なのでマンガを語り若者から支持を受ける麻生には嫉妬と憎悪が入り混じった感情を抱くのである。
そういう意味で麻生は小泉以上の「変人」かもしれない。
(ちなみに私自身はマンガに全く興味がないし、若者文化など理解する気もさらさらない)


2007年09月16日(日) 「意地」の麻生太郎に「次」のチャンスはあるのか

自民党の総裁選挙といえば、事実上次の総理大臣を決める最大の政治ショーと言ってよい。
ところがここ数年、さっぱりその見せ物としての価値が下落している。
前々回(03年)の小泉、前回(06年)の安倍に続き、今回また事前に福田圧勝の流れがほぼ決まってしまっているからだ。
残るは負ける麻生が果たして何票取れるかに興味があるだけ。
「角福戦争」とか「大福戦争」の昔が夢のようである。

その麻生太郎は今回が三回目の総裁選出馬になる。
過去、三回以上総裁選に挑戦した政治家は3人いる。
藤山愛一郎(1960年、64年、66年)、三木武夫(1968年、70年、72年)、小泉純一郎(1995年、98年、01年)。
このうち三木は後の74年に「椎名裁定」で総裁になり、そして小泉は三度目の出馬で当選を果たした。
唯一、「絹のハンカチ」と言われた財界出身の藤山だけが、「政治道楽」に金をつぎ込むだけつぎ込んで総理の夢を果たせずに終ってしまった。
しかし藤山はともかく、三木にしろ小泉にしろ、負けを覚悟で総裁選に挑戦し続けたことで却って名をあげ、後に総裁になる芽を残したと言える。
一方、前尾繁三郎などは、大派閥宏池会(現古賀派、谷垣派)を率いていながら勝ち目がない戦に腰が引けてしまい、出馬を断念。
その結果、失脚に追いやられてしまっている。
今回、その前尾と同じ運命を辿りそうなのは津島派の額賀福四郎。
前回にひき続きまたしても出馬を見合わせ「福田支持」の大勢に乗っかってしまったことで、今後もう有力な総裁候補としての道はないだろう。
三木や小泉がそうであったように、やはり政治家にとって勝ち負けを度外視してでも「旗」を揚げ続けることは、重要なファクターなのだ。
そういう意味では、意地と面子であえて負け戦に挑む麻生には、まだ「次」のチャンスもあると言えるだろう。
もっとも、その時まだ自民党が政権の座にあれば、の話だが(河野洋平同様野党総裁ということも考えられるが)


2007年09月15日(土) 「福田康夫」という自民党の選択

あれよあれよと言う間に「福田後継」の大勢ができてしまったようである。
あからさまな「派閥談合」で政権が決まる様は、
まるで「小泉以前」に逆戻りしたかのようで、見苦しいことこの上ない。
また、私個人的にも福田康夫という政治家・人物はあまり好きではない。
しかし現在の自民党にとってはこれが最も「賢明な選択」と言えるのかもしれない。
無愛想な皮肉屋の福田に国民の人気は出ないだろう。
また、その内閣の構成には「派閥人事」が復活することが予想される。
従って、たとえ政権に就いてもその支持率はのっけから低いであろう。
だが、それでもいいのである。
自民党の現在の状況は、選挙目当ての人気首相が必要な時ではない。
次の政権の役割は、地道に実務で成果を挙げつつ、総選挙までの時間を稼ぐのが目的である。
また、次期政権下の自民党は、必ずしも選挙で「勝つ」必要はない。
と言うのは、自民党が衆議院の現有議席300余を維持するのは最初から不可能に決まっている。
過半数は240であり、公明党が25〜30議席を維持する前提に立てば、
自民党は90議席近く減らしても210〜220議席獲得できれば良い。
つまり次の総裁に求められているのは、政権を維持するためのギリギリのハードルを越えることである。
そのためには、乱高下するような「人気」「支持率」は要らないのであり、
低空飛行でも「手堅い政治」を行えばいいのである。
党内を見回した時、そのための「無難な人材」として最も適任なのは
結局福田しかいないのが現状なのかもしれない。


2007年09月14日(金) 「小泉の幻影」に敗れた安倍晋三

かつて鈴木善幸首相は対外的に全く無名だったため、就任時には
「Zenko,who?」
と言われ、更にこれと言った理由もないのに突如退陣したので、最後には
「Zenko,why?」
と言われたとされる。
今般、所信表明から僅か2日後に辞意を表明した安倍晋三首相が、それを上回る「why?」であることは間違いない。
しかし、そもそも「わからない」と言えば、安倍晋三は何故首相になれたのか、「安倍人気」とはいったい何だったか、ということである。

言うまでもなく、安倍を一気に「人気政治家」たらしめたのは、「北朝鮮拉致問題」の存在だった。
小泉内閣の官房副長官としてこの問題の対応に当たった安倍は北朝鮮への強硬姿勢で名を売り、やがて「ポスト小泉」の1人にまで数えられるようになったのである。
とは言え、たかが当選3回(当時)、閣僚経験もない官房副長官を首相候補にまで押し上げたのは、やはり小泉純一郎首相の存在が大きい。
安倍への「引き立て」は勿論だが、小泉が日本の首相像を「若く、力強いリーダー」というイメージに塗り替えなければ、安倍に脚光が当たることなどもなかったであろう。
ただ、現実の安倍と言う人は、思われていたほど「若く」も「力強く」もなかったのである。

そもそも「若さ」とは、「未熟」の裏返しだ。
従って安倍が万事において経験不足なのは、わかり切った話である。
それでも「若さ」や「未熟」が武器になるのは、古い物をぶち壊していくパワーやエネルギーになるからだ。
ところがその「ぶっ壊す」ことは、既に小泉前首相が役目を果たしている。
また、どちらかといえば安倍は本来温和な調整型の古いタイプの政治家であり、「永田町の反逆児」小泉とは全く正反対のキャラである。
つまり安倍は年齢において一回りも上の小泉より、ちっとも若くなかったのである。

更に安倍は拉致問題での強硬派イメージの見掛けとは裏腹に、実はひ弱な単なる二世(正確には三世)政治家に過ぎなかった。
この点、同じ二世三世でも小泉の場合とは全く異なる。
小泉の父・純也はさほどの大物ではなかったし、しかも小泉自身は初出馬で落選の辛酸を嘗めている。
また、小泉は所謂「三角大福」の派閥権力闘争が最も激しかった時代を経験してきた、百戦錬磨の闘士でもある。
同じ世襲政治家でもボンボンの安倍ちゃんとはわけが違うのだ。
政治の修羅場を潜り抜けてきた小泉の力強さに適うわけがない。
要するに安倍ちゃんは偉大な前総理・小泉の「幻影」に負けたのである。

ところで、安倍の次ぎの総理総裁には福田康夫が有力になっているらしい。
言うまでもなく福田はあの「世界の福田赳夫」の息子である。
安倍晋太郎の息子の晋三よりはましかもしれないが、所詮は親の七光りに過ぎない。
自民党の総理総裁も、随分と小粒になったものである。


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