三十一文字
ナオコ



 LOVE LETTER

箱の中に閉じ込めたいとか
事故に遭って半身不随になれば良いのにとか
独占したいあまり
あなたの不幸を願ってしまう日もあるほど
好き でした。

毎日逢いたくて
毎日抱いて欲しくて
毎秒声が聞きたくて
毎瞬見ていたくて
生まれて初めてあんなに
何かに狂いました。

辛い事も不安も不満も逆風も山ほどあったけど
確かに幸せだったのだと思います。
そんなに大事なものが
手が届くところにあったのだから。

その幸せは
あるとき不意に壊れました。

今思えば
すごくありふれた失恋だったのだろうと思う。
どんな恋愛にも
どんなカップルにも起こりうること、
どこにでも転がってる話。

実際
とっくに私はその出来事もあなたの事も
気持ちの上で「許す」事が出来ています。
それを思い出す日よりは
思い出さずに過ごす日の方が多いし
冗談にすら出来るのだから。

水すら喉を通らなかったり
眠ろうとしても一睡も出来なかったり
渦中にいる時は狂うかと思ったくらいの苦しさも
今はもう「過ぎた事」でしかない。


だけど


私にはもうあんなに自分を失くすほど
「何か」に狂う事が出来ない。

これはきっと"成長"であったり
"自立"であったりするのだろうけど
好きになっても、大事に思っても、失いたくなくても
どこか気持ちの奥は冷めていて
本当はどうでもいいのかもしれない。
あんなに無条件に好きでいられた自分が
どこか ちょっと 懐かしい。

本当はまだあの出来事はちくちく痛くて
夜中に泣きながら目覚めたりする。
そんな時に思うのは
私はもうあれより前の私には戻れないということ。
痛みが1つわかるようになるのも
自分を失わないでいられるのも
きっと大人になるということで
後戻りなんかするものじゃないんだろうけど
大人に近付くのはやっぱりちょっと苦い。


…こうして
逢わなければ呼吸が出来なくなるんじゃないかと
本当に思うくらいあなたが全部だった私を
少し脱皮してしまった今の私がいて
でもね、やっぱり私はずっとずっと
あなたの事は好きだと思う。
どんなに時間が経っても
二度と逢えなくなっても
あなたが私の事を忘れる日が来ても。

こうして自分の足で立って生きていること、
狂わずにどうにか前を向いていること、
自分の人生を投げずに歩こうとしてること、
全て、あなたのおかげだから。
人間だから、「恩」だけはきっと忘れない。
今の私はあなたがいなければいません。
絶対に。

その時その時の自分の限界の淵ギリギリを
どうにか歩いてるような時に
男性としてやオスとしてよりももっと大きく
まるで親のような目で支えてくれた。
愛されたというよりも、恋情というよりも、
「慈しまれた」のだと感じています。
そんな温かさは、私は初めてでした。


もう、私はあなたの不幸は願わないから
どうか、幸せに生きて欲しい。

進みたい方向へ進めること、
自分のしたい事を大切に出来ること、
あなたの良さをまわりの人に理解されること、
いい人生を歩んでいくこと、
あなたに支えられて今がある私に
あなたを支え返す力はないのかもしれないけど
笑っていて欲しいと祈る気持ちは
いつもいつもここにあります。


大好きだったし、大好きだよ。
そして、感謝してる。本当に。

2004年09月23日(木)



 短歌*明日

  明日なんか来ないと言い張る頑なな
    誰かの口を閉ざして日曜

  傷付ける事さえ厭わなくなれば
    そっと出て行く 明日は曇り

  「そこにある<未来>はきっと偽物よ」
    「それでも構わないから行こう」

2004年09月15日(水)



 短歌*寝顔

  何が怖いのかもさっぱりわからずに
    あなたの寝顔を見ているのです

  人肌のお湯に浸かれば
    ゆっくりと一日分の「寂しい」溶けて

2004年09月13日(月)
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