後悔日誌
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きのう あした もくじ
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2011年04月25日(月) 靴紐


9時15分の汽車に乗って南へ向かう。
新幹線の開通で賑わう鹿児島。
震災の影響はあまり感じられない。

ローカル線らしく、途中の駅でのんびりと停車する。
反対ホームに汽車が到着すると、こちらもまた出発だ。


キハはいいネ…。
踏み出すエンジン音と、じわりと効いてくる加速、そして伸びの良さ。
中でも両面に運転台のあるキハ40はお気に入りの車両のひとつだ。
九州にはまだ、そんな汽車たちがあちこちで走っている。
ローカル線の旅が面白い。


降り注ぐ日差しに新緑が映え、青い空に鯉幟が悠々と泳いでいる。
燃料基地の喜入、温泉街の指宿、錦江湾に沿って町も様々な表情を見せる。


久し振りに開聞岳に登る。

このまま雲が出ないといいナァ…。
期待に胸を膨らませ、ぎゅっと靴紐を結んだ。



2011年04月22日(金) 作戦


昨日は漁港が見えていたのに今日は桜島。
窓の景色が変わっていくこの生活がなかなかやめられない。

街の灯はまだ遠いけれど、明日の夜には自分もあの中の光のひとつかナァ…。
入港前日ってのは、子供の頃に感じた”遠足の前日”の気分に重なる。


仲間は皆、酒飲みだ。
夜は誰が誘うわけでもなく集うし、日付が変わる頃には静かに撤収する。
そんな日々が、激務を癒してくれていると思う。

「明日はどうする?」
「毎晩飲んでいるのに、まだ行くんですか?」
なんて、お決まりの問答集。
今夜はすっかり上陸作戦で盛り上がった。


アフターファイブの猛者ばかり。
いいメンバーで仕事をしていると思う。



2011年04月20日(水) 灰汁


スーパーに山積みにされている”不思議なもの”を買った。
東京育ちの私には、想像できないものだけど、どうやら節句で食べるもののようだ。

灰汁巻き(あくまき)。
もち米を灰汁で炊いたもので、売られていたのはそれを笹の葉で包んだもの。
500mmのペッドボトルくらいの大きさで300円也。


早速船に帰って得意げに切ってみると、これがなかなか悪戦苦闘。
包丁があっという間にベタベタになる粘っこさ。
そしてそのお味は。

まずい・・・というか味がしない。

慌ててネットで食べ方を調べると、やはり砂糖やきな粉をかけるそうで。
とりあえず手近な砂糖で頂くことに。
気味悪がる後輩たちと、気を遣って試食する先輩。
微妙な空気が流れた。

なんだか節目で頂くって感じでは、沖縄の”ムーチー”にも似てるなと思う。
地方の特産に怖気ないトコ、見習ってほしいんだけどネ!


ちなみに後日、きな粉で頂きました。
これは絶品で、関東でいうとまさに”信玄餅”みたい。
黒蜜もかけたい、とか更なるアレンジを企てた今日この頃です。



2011年04月19日(火) 内之浦


予定は未定。
大人の事情に悩まされながら、貧乏航海が続いている。

スケジュール担当の仕事をしていて一番厳しいのは、いきなり行き先が変わったりすること。
苦労して作ったものが一瞬で吹き飛ぶ訳で、たまったものじゃない。
そんな寝耳に水の話がこの1ヶ月でずいぶんあった。


宮崎の南、鹿児島で言えば東のはずれ。
太平洋に面した志布志湾の外れに内之浦という入り江がある。
強風を避けるべく、そこへやってきて、ついでに上陸した。

ロケットの町、内之浦。
奇跡の帰還を果たした人工衛星”はやぶさ”を打ち上げた発射場のある町だ。
ただ、最近は大型のロケットは種子島から打ち上げているそうで、ここは小型専門の発射場。
それでも、山の上には大きなパラボラアンテナが並び、いかにも宇宙な町だ。


基地の中へ入り、大型ロケットをかつて打ち上げていた広場に行く。
展示用のM−Vロケットと、発射台の前でシャッターを切った。

「宇宙開発事業団」
そういえば、高校の頃にその名前を求人票で見た。
遠くの宇宙が近くなるような、なんだか惹かれる名前だった。

今は「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」というけど。
昔のほうが名前は格好良いなと思う。

資料館も含めると、ずいぶん見所はある。
惜しげもなくロケットエンジン等が展示してあって、正直言うと時間が足りなかった。


帰り道、町のあちこちで見かける「ロケットは内之浦で。」というスローガンが痛々しい。
日本がどんどん収縮していくような思いでそれを見つめた。
予算がなく規模縮小、そして廃止。

どこも同じようで切ない。



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