後悔日誌
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2009年07月29日(水) 遠足


運動しに行こう。
そんな仲間が集まっての函館山トレッキング。
天気は地元の人も首を傾げるくらいの雨続きだけど。
何とかなるかナァという軽い気持ちでアタックした。

登り口を間違えてお墓に迷い込んだり。
山頂へ行っても霧に包まれて何も見えなかったり。
描いていた予定より早すぎて昼食ポイントがなくなっちゃったり。
よくよく思い出せば色々な出来事があった。


雨に濡れた紫陽花や立待岬で見た浜茄子の花。
自然にいると、ついつい自分だけの”キレイ”を探してしまう。
立ち止まって、写真を撮っては皆を追いかけるという繰り返しが意外に疲れた。
それでも300mちょっとの山だから、無理のない良いコース。
函館どっくから立待岬に至るまで、約3時間のハイキングだった。


最後は廉売でしっかり鮭トバを買って。
谷地頭の温泉で疲れを癒した。

お風呂の横にあったベンチでうたた寝。
「先に出てるね。」という声で起こされたけど、ずっと寝てしまいそうな快感。

山登りの後の温泉ってどうしてこんなに気持ちがいいんだろう。
あと、そのあとのビールってどうしてこんなに美味しいんだろう。

分かりきっている事だけど。
思わず顔がにやけた。



2009年07月28日(火) 高速船


函館から青森へ。
青函航路を1時間45分で航行する船がいた。

その名もナッチャン。
ウォータージェット推進の大型フェリーだ。
登場して脚光を浴びたが燃料費高騰であっという間に姿を消した幻の航路。
それが夏だけ復活中と聞いて早速乗船しに行ってみた。


ガラス張りのターミナルから飛行機に乗り込むようなタラップを経て船内へ。
立派なロビーや十分にくつろげるシート。
明るい船内に圧倒されながら出港時間を待つ。

船体は軽量化のためアルミ製で、ところどころに無垢の素材が見えていたりする。
それがなんとも言えず格好よくて、見とれてしまう。


煙突から少し黒い煙を吐いたあと、定刻に出港。
スローで走った湾内を抜けると気持ちいい位に加速していく。
窓から見える海の景色が流れていて、普段ではありえない感覚だった。
津軽海峡を35ノットで横切る。
青函連絡船の時代には考えられなかったスピードだね。


9000kw×4台。
船体のサイズに比べれば不釣合いなくらい大きなエンジンが船底で一生懸命回る。
心地よい小刻みな振動と、はるか彼方まで続く太い航跡。
とにかく記憶の中に刻んでおこう、と思った。

燃料の消費は半端じゃない。
2時間ちょっとで軽油10トンが燃えてしまう計算で、素人勘定でも維持が大変なことは理解できる。

もし、青函トンネルがなくて昔と同じように連絡船の時代なら。
もし、北海道行きの飛行機の運賃が高価であったら。
もし、…。


船は陸奥湾に入ると減速し、定刻で青森港へ。
ちなみに帰りは在来型のフェリーにしたけど時間はかかるし退屈だし。
旅行で乗るなら倍の値段を出してでもアルミの高速船に乗るべきだと思った。


日本のどこかで、いつまでも就航していればいいのに…。
あれからずっと、ナッチャンに恋をしている。



2009年07月22日(水) 日食


出港日。
生憎の雨。

深夜から身支度を済ませ、家を出る準備をするが雨脚が弱まらない。
自転車だけは前日に船に持っていっておけば良かった。
そんなことを考えながら早めの朝食をとった。

静まり返った家の中。
心の中で「いってきます」をしたあと、タクシーで岸壁へ。
イージス護衛艦が着いているらしく、ゲートはいつも以上に警備が厳しい。
車を乗り入れることが出来ず、結局雨の中を大荷物で歩いた。

ツイてないよナァ…。

びしょ濡れの靴を脱ぎ捨ててしばし休憩。
なんだかこの先、ずっとこんな感じの気がしてきて滅入る。


定刻1000出港。
そのまま浦賀水道を南下中のこと。
空を見上げると三日月型の太陽が雲の向こうに見えた。

「あ、日食だ♪」

天候が悪いからまさかの出来事だった。
なんだかご褒美をもらったようで嬉しい。


太陽は形を変えずにまた深い雲の中に消えてしまったけど。
天体ショーを観測させてくれた雲に感謝。


次は函館港。
久し振りに焼き鳥弁当でも食べに行こうと思う。



2009年07月21日(火) 大脱走


車中泊2日目。
すやすや眠る子供を眺めながら車内を整理整頓していた。

なんだかんだでクワガタもそこそこ取れたナァ…。
なんて思っていたら袋の中に1匹もいないじゃない!
無残に食い破られたビニール袋。
慌てて捜索を開始した。

まずドアのサイドポケットから女の子1匹。
それから助手席のサンバイザー裏にノコギリクワガタ(オス)発見。
幸先いいけどそれから先は全然見つからず。
どこかでビニールがガサゴソいうと慌てて覗き込んでみたりした。


空が明るくなり始めて徐々に車の量が増え始めて。
チビが起きてからは二人で捜索。

フロアマットの段の間とか、シートの隙間とか。
なんとか全員救助することが出来た。
暑い車内でひっくり返ってたら可哀相だから、やっぱりホッとした。


午後はホームセンターで虫かごを新調。
朽木を詰めて枝木に蜜を塗って、すっかり夏休みっぽいグッズの完成。
なんだか子供に帰ったみたいで楽しい。

捕まえてきた虫たちは、なんだかやっぱり違うようで。
子供に「逃がしにいこうか?」なんて聞くと必死に抵抗する。
「やだ!」「だめっ。」

そんな言葉がちょっと嬉しい。



2009年07月20日(月) 機関車


蒸気機関車を眺めに大井川鉄道へ。
汽車を見るなり子供のテンションは大幅にアップ。
もちろん乗車した。

汽笛の音も、窓から流れ込んでくる煙も。
熱気も油の匂いも、全てが新鮮。
息遣いにも聞こえるSLの走行音で、大井川を一生懸命登っていった。

整然としたお茶の畑。
鮎釣りをする人たち。
ところどころにテントやキャンピングカー。

車窓からは手を振ってくれる人たちがたくさん見える。
とにかくゆっくり動いているところが良い。
自転車旅行にも似たような、心地よい小一時間の旅。

飛んできた煤が目に入るのが嫌らしく。
トンネルに入るたび、目を半分つぶってるチビの姿もなんだか可笑しいネ。


帰り道。
沼津の友に寄り道して高速に乗ろうと思うと赤い看板。
「御殿場→横浜 渋滞50km以上。」

はぁ?

夏休み最初の連休最終日ゆえ、仕方のないことかもしれないけど。
渋滞するなら帰らないほうがいいや、と判断して山中湖経由で道志の道へ。
夜は街灯に集まる虫取りツアーに変更。

これがとても楽しくて。
子供が寝た後も一生懸命捕まえてしまった。

超楽しかった。



2009年07月19日(日) 東名


どっか行こう。
気ままに始めた旅。

高速道路1000円のせいか、早速渋滞に巻き込まれ。
それが嫌で下りの高速に乗った。

伊勢あたりまで行っちゃおうかナ…。


夕暮れの東名道。
オレンジ色の空に浮かぶ雲を堪能しながら西へ向かう。
「あそこに怪獣がいるよ!」
雲を色々なものに例える息子の表現力には本当に驚く。
幼稚園に入ってからずいぶん言葉が巧みになってきていると思う。

二人旅。
今日はチビが妙に素直だ。


時々ぱらつく雨と、間欠に悪くなる車の流れ。
名古屋の手前で渋滞していることが分かったので静岡で高速は降りた。

気まぐれで富士山空港に立ち寄ると、単車が集まっている。
走り屋と族車を足して2で割ったようなバイクたち。
物怖じせず話しかけ、余っていた食料を振舞うと思いのほか喜ばれた。
「この中で、どの単車がイケてますか?」
そんな質問に
「割り切ってるからこれが気に入った。」
なんて答えると、そのライダーが絶好調になっちゃったりして面白い。

自分の高校時代も、きっとこんな感じだったんだよな…。
久々に遠くを振り返った。


焼津の駅前で温泉に入ったあとは、ノンアルコールビールを片手に流す。
便利な飲み物ができて嬉しい。

いくらでも走れそうな夜だけど、ほどほどで車中泊にした。
天の川がはっきり見える真っ暗い山の上。
少し蒸し暑いけどエンジンを止めた。


大人顔負けにいびきをかき始めた我が子。
そっと、タオルケットをかけた。



2009年07月16日(木) 虫


虫が怖くなったのはいつからなんだろう。


その昔、住んでいた一軒家はとても凄い家だった。
畳の隙間からアリとか当たり前だし。
天井に大きいクモがペタン、なんてよく見る景色だった。

あの頃、出来たことといえば蚊取り線香を燻すくらい焚いて。
あとは部屋を真っ暗にしてただ寝るだけ。
虫がいるのは仕方のないことだと思っていた。


我が家の子供はかなりの虫嫌い。
嫁も虫がまったくダメ。
これはなんとかしてやらなくては…。
ということで原っぱに出掛けた。

ありんこ釣りをしたり。
バッタを追っかけたり。
蜜を吸うハチをこっそり見に行ってみたり。

本当は自分だって虫は勘弁…。
なんて言えませんネ、子供の前で。


本気で遊ぶと子供の遊びって奥が深くて。
割れた木の中を覗き込んだり、落ちてる石をひっくり返したり。
短い時間でも、色んなものを発見したりする。
あっという間に慣れちゃうトコ、凄いと思った。


帰り道に大きなミミズがいて。
「見ろ、でっかいぞ!」
とチビに見せつけるといきなり手で捕まえて得意気な顔をした。

これには驚いて。
もう虫嫌いなんて言うのやめようと心から思った。


もうすぐきっと。
この子はパパを超えます(笑)



2009年07月15日(水) 巣立ち


チビを連れてスイミングスクールへ出掛けた。

車を駐車場に入れていると
「すずめさんは?」とキョロキョロしてる姿が可愛い。

それは燕さんですよ。
と、一人ツッコミをしていると、巣がないじゃない!!
コンクリの壁には真新しいペンキが塗られていて、跡形もない。
これじゃ子供に説明も出来ないや。
なんて、今日も肩を落とした。



ずいぶん上手くなったよネ…。
初めのころはおっかなびっくりの水遊びが、今では水に向かって飛び込んだり。
ほんの数ヶ月で変身しちゃう子供に驚きながら見学をする。

浅い幼児プールで何度も飛び込む姿は巣立ちの前の若鳥に似てる。
巣の中で、一生懸命羽ばたく練習をするんだよね…。
と思っていて気がついた。

あ、あのツバメ。
飛んでっちゃったんだ!




帰り道。
駐車場のおじさんに聞くと、ちゃんと巣立ってからペンキを塗ったことが判明。
そしてペンキの上に少しだけ泥を盛ってから旅立った事も分かった。
これならちゃんと帰ってこれるに違いない。

内心とてもホッとした瞬間だった。


燕。
健気な渡り鳥。
どうして日本人はこんなに燕に優しいんだろうネ。

その優しい心をしっかりと息子に伝えてあげたいナァ…。
そう思いながら燕の旅の話をしてみた。


なんとなく納得したような、子供の目。
とってもきれいな目をしていた。



2009年07月13日(月) 寄り道


久し振りに晴海埠頭に来た。
見回しただけで変わっている景色。
ビルがニョキニョキ生えてくる。
そんな雰囲気に嬉しくなった。
この街は、いったいどこまで成長するんだろう。


せっかくだから、バスに乗り込んで銀座で降りて。
久し振りに「クライスラー」にでも寄ってみようか。
そう思って店を探すと、こちらは見当たらない。
大きな看板の店だから分からない訳がないのに。

結局、ビルごとすっかり入れ替わってしまい跡形もないことを知った。


オーシャンバー「クライスラー」
銀座で40年以上続いていた老舗。

昔、親父が商売をやっていた頃。
「店の内装を参考にしたことがある。」なんて聞かされたその店。
その話どおり、天井にはコースターがたくさん貼り付けられていて。
オールバックで決めたバーテンダーさんがずっと時を止めているような。
とにかく味のある店だった。
さすがに悔しくて。
肩を落としながら駅で缶ビールを空けた。


スクラップ&ビルド。
古いものは壊し、新しいものが作り出されていく。

その波に乗れず、消えていく灯火(ともしび)に哀愁を感じる。
またひとつ、大好きな街が消えていってしまった。


寂しい夜になった。



2009年07月09日(木) 大人


悲しいことだけど、たった一言の言葉や。
そんな振る舞いが相手に誤解を与えてしまう。

100%悪気のない自分の行動で傷ついてしまった人がいた。
その繊細さに驚きを感じつつ。
100人いれば100人の感情がある訳で、これは素直に受け入れなくてはいけないと反省をした。


自分は十分に大人だと思っている。
けど、もっと大人にならないといけない時期にきている…、と思う。

立場もあると思うけど。
自分らしさをどこまで殺せば今の役になれるんだろう。

暗中模索のまま溺れている毎日。
他人(ひと)の言葉を借りて言うならば。
「大人って、つまんないなーーー。」


ほんとにつまんない。



2009年07月03日(金) 異人館


神戸も最終日。
三ノ宮の街を梯子(はしご)した。

その中で、良い店。
マスターとは色々な縁で知り合いだったんだけど。
「夕暮れに来てください。女の子がグラッとくる雰囲気のお店ですよ。」
そんな一言に、ついつい足を向けてしまった。


北野坂を上がり、雰囲気が変わるとそこは異人館の立ち並ぶ町。
そんな中に英国館という洋館があるけど、そこが隠れ家のバーなのだ。
もちろん昼間は観光地として営業をしているけど。
夜はその場でお酒を飲めてしまうという驚きの場所。

一発で気に入ってしまったので、思わず仲間を呼びまくって。
最後はカウンターを占領して飲んでしまった。


私は意外にバー好きで。
淡々と仕事をこなすバーテンダーを眺めながらグラスを傾けるのも。
溶けてく氷を眺めながら次の酒を何にしようか悩むのも。
もちろん話に埋もれるのも楽しくて仕方がない。
この店は十分に合格点。
そう思う。

宣伝だけど、神戸北野「King of Kings」
ふらっと立ち寄ることがあれば、寄ってみてください。


ほろ酔いで庭を散歩しながらカクテルを飲む。
すっごい贅沢だな、なんて感動した。

夜風がとても心地よかった。



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