後悔日誌
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2009年05月30日(土) 先輩


まもなく日本の領海に入る。
南鳥島(日本の東端)が近づいてきた。


ずっと前、この船で。
命を絶ってしまった先輩がいた。

賑やかで悪ふざけの大好きな人だった。
船に残されていた先輩の遺品を眺めながら思い出話に浸った。


一緒に山の上で酒を飲んだこと。
空っぽになったラーメンをずっと食べようとしていたこと。
スナックを片っ端から覗いて歩いたこと。
酒が大好きな人だった。


海にビールを流しながら、遺品を還した。
風もないのに不思議と紙が空高く舞い上がり。
見えなくなるまでずっとはためいていた。

先輩が、来てくれたんだと思った。



2009年05月29日(金) Mゼロ


当番の日。
警報が鳴らなきゃいいな。

そう思って布団に潜り込む。
おやすみなさい。



おまけ
 Mゼロは「Machinery Space Zero Person」の略。
 機関室に当直員が詰めない無人運転のことを言います。
 ただし、機械はやはり機械なのでトラブルは多々あって。
 警報が鳴れば自室からすぐに飛んでいって対処しなければなりません。
 ちなみにこの日は翌朝5時に飲料水ポンプの異常と。
 電力消費過多で発電機の警報と。
 朝からしっかりたたき起こされました♪



2009年05月21日(木) 聴力


聴力検査を受けた。

「低音域が全然ダメだね。」
そう言われて凹んだ。

四六時中、騒音に囲まれて仕事をしているから。
耳も参っちゃってるんだろうナァ…。


最近は機械場で耳栓がなくてもさほど苦痛に感じなくなってきているし。
機械の音がずっと耳鳴りみたいに響いていて、何の音だかさっぱり分からないし。

目にきて歯にきて、耳にもくるなんて。

「聞いてないよ〜」って言いたい。
ってか、聞こえてないんです。



2009年05月20日(水) 薄給


給料ダウン。

今年のボーナスはこんな風に下がります。
ってな紙が回覧板に一枚乗っかって回ってくるだけ。
そっけない。

仕事は増えても給料は上がらないし。
頑張っても報われない。

がむしゃらじゃなくて。
そこそこに流す。
今はこれでいいんだと思う。


プライベートを充実させた方がきっと勝ちなんだろう。
四六時中仕事のことなんて、考えるのやめます。



2009年05月14日(木) 入港


ホノルル沖からダイヤモンドヘッドを眺めていた。

「日本人がなんでハワイを攻めたのか、いま分かった。これが欲しかったんだ。」
そんなことをとっさに口走ったら後輩に
「なんかカッコいいですね。」なんて誉められた。

一ヶ月ぶりの陸地。
自然と心が開放的になる。
立ち並ぶビルに大きなトラック。
アメリカに来たんだという実感。


早速だけど上陸をして。
両替と物資の買出しに勤しんだ。

夜はバーで乾杯。
待ってましたー!



2009年05月11日(月) 繰返


注意できない半端さが。
同じ過ちを繰り返させるのかもしれない。

でも。
多少は気付かぬ振りで、送り出すしかないんだ…。
他人だけど、二人の未来は止めようがないから。

ほんとに、もうしばらく。
しばらくの辛抱なんだから。

頑張ってくれ。



2009年05月10日(日) 機走


久し振りに排気音を響かせながら波を切る。
静かな甲板。

夕日を眺めながら筋トレをしたあと、30分間のランニング。
オレンジ色に染まりながら、無心に走った。



2009年05月09日(土) 視認


オアフ島視認。
水平線の向こうに、確かに陸地の輪郭が見えた。

スコールと一緒に吹いてくる風に連れられて、徐々に迫る島影。
一番接近したときには携帯電話の電波もキャッチした。

迷惑メールが130件。
アドレス変更のお知らせ2件。
お尋ねメール1件。

これが1ヶ月分のメールなんだ、なんて苦笑い。
海外だと送信も受信も1通につき100円くらいするらしい。
まともに清算されたら、たまったもんじゃないと思った。


久し振りに家とのメールを交わして安心した夜。
携帯電話の快適さに、とにかく頭が上がらなかった。



2009年05月06日(水) 叶わない


平凡にポンプを復旧して、また夜がやってくる。
今日こそは。
そんな願いがなかなか叶わない。
寝たい。


夜のミーティングと称して一杯やったあとようやく辿り着く自室。
なんとなく、さだまさしが聞きたくなってイヤホンを付けた。

風に立つライオン。
映像も何もないのに目の前にアフリカの景色が広がる。
そんな言葉のような歌に感動してしまう。

「おめでとう。さよなら。」

最後のフレーズはこうして綴じられているんだけど。
男ってこんなもの。

辛いね。



2009年05月05日(火) 遠想


こどもの日。
鯉幟、ちゃんと出せたかナァ…。

風邪引いてないかな、とか。
ちゃんと幼稚園に行ってるかな、とか。
想像しながら。
やっぱり沖でプカリプカリ。


夜、DVDで「おくりびと」を見た。
アカデミー賞で一躍有名になったこの作品。
一人一人の命の重さを感じることのできる良い映画だった。

仕事に対する思い、家族の理解。
その仕事を通して色々な感情が渦巻いている。


鑑賞が終わって目を閉じた。
チビの顔が浮かんで少し反省した。



2009年05月04日(月) 同郷


本当にたまたま。
多摩地区出身者が3人同じ船に乗り合わせて驚いた。
ふるさと、と言うのかな。
自分が育った町のことは、やっぱり特別なんだ。

昭島、日野、国分寺。
住んでた所も年齢も、それは全然違うんだけど。
面白いことに立川という街が共通の遊び場だったりして話題がヒートアップ。
最近、大きく街並みが変わってしまったけど、昔話は楽しい。
”第一デパート”なんて単語、久し振りに使った!


そんな中。
ある予備校の話題になって。
3人とも同窓生ということが分かり絶句した。

さすがに一緒に飲んでたメンバーも、あまりの狭さについていけず。
「はいはい、今日は好きにやってください。」
なんて呆れる限り。

ごめんね。
超、楽しかったです(笑)



2009年05月02日(土) 整備


しばらく南下したせいでめっきり暑くなった。
とにかく、湿度が高い。

昼間はひたすら機械と対話して。
夜はその書類仕事に明け暮れてる。


ようやく空気圧縮機の整備が終わった。
海が荒れたり訓練があったりして、なんだかんだで5日もかかった。
たかが空圧機と思っていても難しいコツはいくらでもあるもので。
全て自分たちの道具でやろうとすると、意外に難しい。

試運転で圧力計の針が上がっていくのを目で追いながら。
ほっと胸を撫で下ろした。


いつも思うけど、機械は正直に動く。
騙してあげるのもテクニックなんだけど、きちんと手を入れて。
設計通りの力が出せるように戻してあげることはとても大事なこと。


整備に終わりはないから。
明日もまた、頑張ろう。



2009年05月01日(金) 洋酒


ウイスキー美話
123の法則

まずはワンフィンガーのストレート。
次は指二本分まで水を入れる。
最後はロックを3粒落として飲んでみる。
これが、最上だそうだ。

ニッカウヰスキーの宮城峡12年。
先輩は竹鶴の12年。
極上の酒に囲まれながら、その生い立ちを語りあった。

ひとつの樽から生まれるカスクウイスキー。
ひとつの蒸留所で生まれるシングルモルト。
そしてブレンドで味わいを出すピュアモルト。
飲み比べって楽しい。


日本酒に比べると、全然味音痴で自信ないけど。
洋酒もいいもんだネ。



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