後悔日誌
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2001年10月22日(月) おお井


広島出身の先輩に勧められて広島焼きの店に入った。
「おお井」、広島駅ビル2Fにある寿司屋と広島焼き屋が同じカウンターに入っている店だ。
広島焼きなんて、どこも同じだ。なんて思っていたけどなかなか個性がある。

おお井焼き、確か700円くらいだったっけ。
そば、キャベツなどなどがベースだけど大葉(シソの葉)が良く効いていて絶品。
お祭りで食べる広島焼きとは別世界の食べ物だった。
生ビールを飲みながら突っついた。

店の上にはメニューがずらり。
牡蠣とか鰯とか、美味しそう!
ここがこの店の良い所。
広島焼きといいつつ寿司や海産物もつまめるのだ。
たまたま昼だったから良かったけど夜なら帰れなくなっちゃうな。

多分ね。



2001年10月16日(火) 191万cc


エンジンは軽快に運転を続けている。
力を余しているエンジンを見ていると本当に頼もしい。
時化てこようが舵を切ろうが力強いの一言だ。

中までは見えないけど規則的に上下運動してるだろうピストンなんかを想像しながら
バイク乗りだった頃の事をよく思い出す。
例えば400ccの単車(もちろん単気筒)のピストンを灰皿にしているのを見て
煙草も吸わないのに憧れたり、なんとか自分のバイクのピストンを交換してみたり。
たかがピストンだけど色んな思い出がある。

あのころは可愛かったな。

手で持てたもん。

…今は違う。
押しても引いても動きやしない。
直径50cmのピストン。(もちろん鉄のカタマリです)

こんな可愛くないピストンが全部で6個。
それぞれ162cmの上下運動を繰り返す。
回転数は1分間に130。これで最大10500馬力が発生する。
ちなみに2サイクル、ターボ付きだ。

思わず排気量を計算してみたがあまりの大きさに実感がわかない。
迷いながらも出たのが191万cc。

ホンマかいな?

でも、多分そうなんだと思う。

で、気になって夜も寝られなくなってきた。
そんじゃペルシャ湾なんかに行ってる超大型タンカーとかは何ccなんだろう?
そして唖然としたのである。

大きいのは。

ピストン直径が約1m(!)

しかもストロークが2m半もある。

で、なんといっても排気量。

2500万cc。

うちの車が2000ccだから1万2500台分?
もう未知の世界。

上には上がいるもんだ。

なんて納得してたけど気付いたら寝る時間がなくなってた。
さて、ぼちぼちエンジンの様子でも見に行こう。



2001年10月14日(日) 悪寒


疲れのせいだろうか。
熱が出た。
北海道は今、紅葉の季節。
残念だ、せめて函館山でもいいから登りたかった。

最初は一泊二日でもいいから羊蹄山へ、なんて考えていた。
しかし遠いので却下。

次は近場で駒ケ岳(これまた大沼公園あたりから見ると立派な山である。)
しかし、これは2000年にも噴火した活発な山。
登山禁止なので登れない。

有珠山は当然ダメ。

となると恵山。
函館から東へ40キロくらい行った所にあって、春先のツツジが有名な所だ。
活火山なので周りには温泉もある。

良い選択だとは思ったんだがナァ。

…結局、函館ではどこにも行かず。



2001年10月10日(水) 魔法の翼


時化は続いている。
大揺れが続き、あちらこちらで物が落ちたりすっ飛んだりしている。
少しでも抑えようということでフィンスタビライザを展張した。

フィンスタビライザというのは横揺れ防止の為に作られた機械だ。
普段は船底に格納されていて揺れが大きくなると翼を広げる。
人でいえば両手を斜め45度下に広げたような感じで、この抵抗で揺れを少なくする。
もちろん抵抗となるのでスピードも落ちるが、船酔いの人には魔法の翼だ。
人を相手にするフェリーなんかには標準装備している。

効果はあった。
けど、相変わらず新入り達はトイレを行ったり来たり。
困ったもんだ。



2001年10月09日(火) 未熟者達


台風はそれたが低気圧がすぐに追っかけてきた。
低気圧が二つくっついて、しかも前線付き。
海上は猛時化だ。

風力階級は8。風速は25mにも達する。
うねりは5m、時折来る大波に船首は完全に姿を消す。

よく持つもんだな。
この前まで乗っていた船では絶対に乗りきれない所をすいすいと走っていく。
といっても、ローリング(横揺れ)とピッチング(縦揺れ)にさすがに気分も麗しくない。
食欲も落ちるし、仕事の能率も下がる。

…函館はまだまだ遠い。

さて、この船に乗っている新入りが次々にダウンした。
4時間の当直の間にトイレを10往復する者もいた。
これでは全然使い物にならない。
顔は白く、唇は紫色。
蛍光灯のせいか不健康極まりない。
座り込む彼らを気合で立たせる。
でも、一波来ると崩れるようにしゃがむ。
あんなに強がっていた奴らもなんと呆気ない。

気持ちは分かるよ。
けど、これは乗り越えなきゃいけない道なんだよね。
布団の中で泣いて頑張れ。
そのうち慣れてくるもんさ。

さて、次の当直でも余裕ある所を見せつけよう。
船酔い防止の基本は充分な睡眠だよ。



2001年10月08日(月) 深日仮泊


今年はよく台風に当たる。
仕方ないので神戸から函館に向かう途中に深日(ふけ)に寄り道をした。
大阪府の南の外れ、ほとんど和歌山県といってもいいだろう。
遠くには淡路島や関西空港なんかが見えている。
錨泊船は多いような、少ないような…。
台風が来るかも曖昧である。

久し振りに一杯やってみた。
ちょっと古い剣菱が転がってたので一口舐めたら強烈な味がした。
完全にひねていて悲しくなった。

おいしいお酒が飲みたい…。



2001年10月07日(日) セユダル


韓国の訓練船、セユダルと交流を持つ機会があった。
交歓会があり、少しだけコミュニケーションを取った。
お互い片言の英語だ。
韓国の人達は元気がいい。キムチのお陰?なんて偏見かな。
人種の違いとか、宗教の違いとか、それぞれの文化の違いはあるけれど
やっぱり同じ人間だから、お互い尊重しないといけないだろう。

韓国の訓練生との交流は楽しかった。
そこには昔の戦争問題とか、教科書がどうのこうの、という話はなくて
本当に一対一の人間関係があったから。

ところで韓国は徴兵がある。
決められた歳になると軍隊に入る。
しかし、船乗りになる人は免除となるそうだ。
だから船員への道を選んだという人も少なくないらしい。
聞いてなるほどな…と思った。

会話は難しい。頑張ったんだけどうまくいかなくて気まずかった。
もっと語学が達者になりたい。



2001年10月06日(土) すれ違い


神戸に入港した。
と、いっても忙しくて上陸どころではない。
結局、ほとんど地を踏むことなく過ごした。

同じ頃、東京の友人や彼女さんまで神戸に来ていた。
皆、出張や学会だ。
珍しいこともあるもんだ。
出来れば餃子でもつつきながら一杯…。

なんて頭の中で描いたけれど
それぞれの都合もあって叶わなかった。

果敢ないね。



2001年10月04日(木) 過回転


救命艇のエンジンの調子がおかしくなったので点検した。
車のエンジンと違って付属品が少なくストレートな作りがなんともシンプルで良い。
ヤンマー製の3気筒だ。

原因はきっと、燃料系統の不良だろう。
エンジンを使っていたら突然回転が上がり始めた。
恐ろしい光景だ。最大回転数が3300回転なのに5000回転の回転計を完全に振切った。
6000回転くらいは出てたんじゃないかな。
エンジン停止のワイヤをひいても止まらず、結局燃料タンクの取出し弁を閉めた。
焼きつくかシリンダヘッドが飛ぶかを爆音の中で見守った。
エンジンは頑張った。燃料切れになりようやく果てた。

よく耐えたもんだ。
メーカーの話では自動車用ではこうなったら5分と持たないそうだ。
開発中のエンジンなんかは随分おしゃかになるらしい。

火花点火機関のガソリンエンジンなんかは点火プラグの給電を止めれば爆発も止まるけど
ディーゼルってのは回ってて燃料っ気があればいつまでも止まらない。
別に燃料を噴射しなくても混合気で供給すれば回りつづけるのである。
シンプルなだけに難しい。

でもそんな所がちょっと好きだ。



2001年10月01日(月) 転船


とても忙しい毎日だった。
9月中はほとんどが検査工事に費やされ、ずっと船につきっきりだった。
ようやく工事が終わっても異動で他の船に乗ることになり引継やら残った仕事やらで全く休めた気がしない。
事実、毎日の睡眠時間は片手で間に合うくらいだし大好きな(?)お酒もほとんどほったらかし状態。
さすがに疲れた。

さて、しばらく振りの航海が待っている。
館山を経由して神戸へ向かうことになった。

そろそろ腰をあげて秋を探す旅に出ることにしよう!
真っ赤な紅葉が楽しみだな。



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