画廊巡り感想、最近読んだ本 2004年11月20日(土)
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金曜日は雨で。ここぞとばかり寝てしまった。
土曜日は対照的にからっと晴れたので、
小一のお子さまを連れて、画廊巡りにでかけた。
子連れで画廊巡り、お子さまの、特に現代美術系に対する反応がこれまた面白く、
楽しく歩くなら断然お子さま同伴だよなぁ。
敬語でご意見伺っていたら、風船の画廊の方に「親子さんですか?」と
聞かれてしまった。変なリアクション。
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まず、ネットで見つけたリアルな人。HPで見るとこの上なく
素晴らしく、写真的に描く事に抱く夢を見てみたいものだ、と
期待してでかけた。
が、まぁ実物は普通に綺麗…かな。
わたしの写真的リアルの夢は抱けずに砕け散り、ほっと一安心する。
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次に、ギャラリー椿に。
著名な画廊だが、行くのは初めて。奥の企画室、
天久高広展が面白かった。粘土に鉛筆。素材も色もいいなぁ。
向日葵などの具象より、昨年までの土の中のイメージの方が
面白かったし良かったかな。
具象描くなら雰囲気で終わらずもっと描いて欲しい。
…って、自分もそうだな…。
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小野画廊さんの京橋支店を二つほど見て、
小山ゆうこさんの銀座ギャラリーフォレストへ。
名物エレベーターは点検中で、5階まで上がるのはしんどい。
点検中なんて嘘やろと、試しにボタンを押してみたが、
本当に点検中で動かんかったな。疑ってすまん。
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それから日展へ。
小学生も入場料取るのね。え〜"。
隣のフィレンツェ展は中学生以下無料なのに。
たまたま知人から頂いたチケットが二枚あって、セーフ。
予想以上にたくさんあったけれど、
日展は…。あまり。(^^;
技術的には巧いけど、雰囲気があまりよろしくなかった。
4時過ぎてた、ということもあるかもしれないけれど、
結構みんな足早で、立ち止まりたいと思う作品がなかった。
あ、一点だけ…。近藤欣子さんの百合の絵が好きだな。
凛とした感じ。何年も前に見たときも同じテーマだったような
気がする。
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最近読んだ本は、アタリが多くて嬉しい限り。
小説に夢中になるって、久しぶりだ。
小説、最近あんまり読まないものね。記事的論文本が圧倒的。
「ゾマーさん」が面白かったので、今度はジュースキントの代表作を読んでみる。
『香水―ある人殺しの物語』 池内 紀 (翻訳), パトリック・ジュースキント
ものすごく夢中になる。
匂い、臭い、活字で書いてあるだけなのに、
悪臭に気分が悪くなったり、芳香にうっとりしたりする。
ドイツ人らしい粘着描写、それは絵画でも感じていたことだけど、
全くもって恐るべし。
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理想の国語教科書 齋藤 孝 (著)
これは、母宅に行った時強引に貰ってきた本。
最初は題名の堅っ苦しさから気が進まなかったんだけれど、
出だしの夏目漱石『夢十夜』の怪談話に先制パンチを喰らう。
それからがむしゃらに読んでいって、中島敦の弓の名人の話に大笑い。
お子さまに読んで聞かせたら、これまた大笑い。
『マクベス』は声に出して読んだら、乗り移るような恐怖がある。
シェイクスピア、昔読んでもピンとこなかったが、
舞台のセリフは、声に出して立って読むべきだったのかと、思い返す。
ラブレーの『ガルガンチュワの幼年時代』は当然お子さまに大受けで、
暗記するほど読んだり、新しく文を作ったりして遊ぶ。
by HPY
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葉付きの枇杷〜2バージョン 2004年11月17日(水)
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この差。(^^ゞ
差があるなぁ。
ブランク空けのモチーフは葉付きの柚子、
大胆な、あるいはよく練られた色彩、
目指すは以上を兼ね備えたかつ繊細な画面、
同モチーフで2枚スケッチしてみたけれど、
温度差がけたたましい。
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先週、画廊さんとこに所用で行く。
適当に雑談した後、
会期中の悩み(他人の意見に迷いやすい)などを話すと、
ちょっとすっきりした。
人に好かれたい、好かれたいという思いと、
自分が主導だから美の基準、ついてこい、という力もなく、
今はまだ全然なくて、
まぁその辺がぐっちゃになって、出る迷い。
by HPY
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石(色のエスキース)、勢いにまかせてランダムに 2004年11月10日(水)
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小難しいこと考えるのに疲れたので、
とりあえず描く。
水彩エスキース。大きさは手帳ほど。
子供と一緒に遊びながら色塗りして、
軽くどれが一番好きか聞いてみたりする。
お子さまは2枚目お青い背景のが好きだと。
お義母さんはその隣の黄色い背景のがいいらしい。
わたしは…。3枚目の渋い色合いが好きかな。
濃淡ついて軽く遠近が感じられるヤツとか。
でもアトリエで離れて見たら
石と背景の色が似すぎていて、目立たないかも。
新しいアトリエで、試しに描いてみる。
F4号、テンペラ。
誰もいない、障子越しの光が綺麗なアトリエ、
信じられないほど集中できる。
え?まだ1時間しか経ってないの?と、
時間の経つのが遅く、肉体疲労は少ない。
やっぱ片道1.5時間電車より、10分バイクの方が楽だわ。(^^ゞ
乾くのを待って、次々と。水平に床に置いておけるのもいい。
次から次へと手が出せる。
場所に気を使っちゃうと枚数描けないからね。
今更ながら感じる。共同アトリエを離れて失ったもの、
一人アトリエになって得たもの。それぞれの利点。
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午後から始めて3時間ほど経って、一人で気持ちが煮詰まる前に、
ちょっくら散歩をしてみる。隣は広い公園。
落ち葉を拾う。
成田街道沿いに出ると、あの狭い道に車がびゃんびゃん通ってる。
全くの田舎よりも街を感じられる方が
わたしにとって現実的。
もう少し歩くと高校があって、吹奏楽の練習の音が聞こえる。
音合わせの練習、結構好きなんだよね。
by HPY
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エミール・ノルデと印刷物。リハビリ。 2004年11月09日(火)
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前も個展後一番最初に描いた絵は、こんな感じの抽象的文様だったような気がする。
個展に引越をぶつけたツケと、雑用やら仕事やらぐちゃぐちゃと義務が多くて、
1ヶ月近く、まともに描いてません。要するに気持ちの落ち着く時がない。
…ち、ちょっと休みたい…。今週を乗り切れば…かな。
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先週金曜に行った、エミール・ノルデ展は良かった。
無理して行った甲斐がある。
目黒美術館。目黒は相変わらず懐かしい。
画集は本物見た後だと特に、色合いのあまりの落差に
がっかりして買わないのが常。
今回のカタログは正方形に近い作りで洒落ている。
中身をよく吟味してから購入。
そういえば、個展の時に見に来て下さった方が口々に、
『このDMハガキの写真と実物の絵では大分印象が違う』と言っていた。
そりゃぁ1.3mもある絵とハガキサイズでは大きさも違うし、
印刷物と色が異なるのは当然じゃん、と微笑。それからふと、
わたしは自分でデザインしたくせに
写真の色の再現に対しては、全くこだわりがなかったことに気付く。
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ノルデの水彩・色彩は素晴らしい。
もちろん印刷物ではその色は出ていない。
でも今回わたしは画集を買った。
そのことについて考える。
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絵を描く意味っていろいろあると思うけれど、
色と、形と線、要素を大きく2つに分けて考える。
形は、面白い形とか、何が描いてあるか説明する言語でもあるよね。
言語だから、立体感とか質感とか空間とかは
他人にも分かることが必要じゃないかと。
線は、ひゅ〜〜っと一本引くだけで面白いもの。
勢いとか、意味づけとかを内包し、
たぶん自由曲線はコンピュータではなかなか作れない。
色は…?
何百万色と再現できるはずなのに、複製の絵画と肉筆画は全然違う。
形は伝えること、線は強弱による意志、
それらは版画や写真、印刷物を介して複製され広まっていく。
でも、物質を伴う色だけは複製しきれない。全く異質な別物。
逆に、先に画集の写真の色に見慣れて
後から本物の絵を見てがっかりしたりすることもよくあること。
わたしは今まで、形が鋭く出れば色は何でもいいと思っていたきらいがある。
でも、一枚絵を描く、という意義は、(CGではなくて)
複製不可能な物質感を伴った色にこそ、あるんじゃないかと、
そんなことを考えながら帰路につく。
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今日ようやく、引越&片づけが終わって一段落する。
明日からまた仕事が入るけれど、
徐々に制作モードの生活に持っていけるようにしよう。
ブランク空くと一番困ることは、
絵を描く習慣がなくなってること。
描く前にかなり構えてしまう。
当面は水彩とか、手軽にできるものから始めようか。
うん、頑張ろう。リハビリだ。
by HPY
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