絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


コーディング、つづき         2004年02月23日(月)

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チューリップ

今週こそはと思ったけれど、
なかなかまとまった時間はとれない。
空いた1時間、2時間を大事にしていかなきゃ。

例のジェルコーディングに、透明な油層をかける。
鮮やかなインディアンイエロー、ブラウンマダー、
プルシャンあたりが、遜色なく発色する。

こないだ生徒さんの模写で感じたのは、
シンプルな静物構成だと、質感描きわけが効果的。
今まで「形」vs「色」のことばかり考えて、
質感なんてほとんど意識したことがなかったから、
一歩進んで完成度は質感を描き分けるまで、と決める。

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それにしてもちょっとサイズが大きくなったくらいで、
何日もかかるとはちょっと困ったなぁ。(^^ゞ
一日で終わるF0サイズが懐かしい。
これで100号なんて来た日にゃぁ、
根性だけでは飽きてしまうし、
さて、どうしたもんだろうねぇ。

by HPY


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コーディング〜絶縁体をつくる         2004年02月20日(金)

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枯れた花びらと赤い構成 去年の芽吹き

水彩紙にテンペラ、続き。
水彩でもあるテンペラでガシガシこすった後、
ペンで起こすと、紙が擦れて剥け、
とても描きづらい。

ここで考えた。
インクは吸収性地で紙の方がいい、
インク+ペンは、紙・キャンバスどちらでもいい。
テンペラは紙・キャンバス・石膏地、All OK。
油彩は吸収性地だとマットになり、
表現としての不都合はさほどないが、
保存上紙はまずい……。

格子床と花 チューリップ

ここでたどりついた実験。
絶縁体をつくろう。
紙にインクで下描きをし、油彩を塗る前にアクリル・ジェルを塗る。
そうだ、ついでに盛り上がりで凹凸もつくろう。

試しにやってみると、油彩の発色が実にいい。
時間を経て裏を見ても、オイルの抜けが全くない。

油彩は透明なので、下描きの線が綺麗に残るし、
透明感の上にテンペラ白を置くと、
混合技法独特の重層構造ができあがる。
それになにより手軽なのもいい。

チューリップ(部分)

ジェルが乾くまでそれなりに時間がかかったので、
以前描いた途中の絵を引っぱり出して
油層色彩+テンペラ白ハッチングをやってみる。

チューリップ(部分) チューリップ(部分)

イメージは頭の中から生まれるんじゃなくて、
手や道具から引き出される感じ。
そういうのも結構面白いな。

by HPY


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天気がいいので         2004年02月18日(水)

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変わったチューリップ

テンペラ絵の具をのせる。
ブランクが空いたおかげで絵の具はみんな腐ってる。

そう、テンペラ絵の具は卵から作る。
冷蔵庫に入れておいても3週間も放っておけば腐る。(-_-)
とりあえず5色限定作り直し。
どうも青は気に入った色がない。

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下から見上げた高木 柑橘

頭がイタイので、思い切って散歩に出かけた。
いい天気だし。近辺工事うるさいし。
とやかく理由をつけて出かけた。

環七まで路地路地を抜けて道に迷うのを楽しみ、
面白そうな人の曲がり方についていき、
面白そうな景色の方に向かい、
このご時世、ふらふら歩いていると不審者と思われそうだなと
多少びくびくしながら写真を撮る。

適当に疲れて、途中から駅へ向かう。
そうだな、頑張ってもいいけれど、
1割くらいは余裕がなくっちゃ、
テンぱるだけではつぶれてしまう。

地図もないので全然違う駅に着いちゃって、
ふらっと漫画喫茶によってから、電車で帰る。

by HPY


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イメージなぐり描き         2004年02月17日(火)

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困った顔 春の芽吹き
困った顔。
心奪われて心ここにあらず。
長い長い旅をして
戻ってきたときやる事は。

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遠い月まで行ってきた 混乱したフィクション
遠い月まで行ってきた。
暴力にまみれて行ってきた。
哀しい気持ちを食らわされ。
ともに泣き震撼する、混乱したフィクション。

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花 波の花
いつか来た道帰る道、
よせてはかえす、波の花。

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夕陽 夕陽が落ちていく
頭痛も気が済んだら。
夕陽が落ちていく。




by HPY


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円山応挙展感想         2004年02月14日(土)

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葉っぱ

観葉植物の造花。
ペンを使わないで筆だけで、どこまでできるかの実験。
ペンを使わない…ということは、
ある程度大きい絵でも楽に下描きがとれるってこと。
心なしか日本画のよう。

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円山応挙展を両国で見る。
かっこよかったわね。
本画よりも、デッサンに興味をそそられる。
応挙が最初に学んだものは、西洋画の透視図法だったなんて、
江戸時代にモデルを使ったヌードを描いていたなんて
骸骨の絵までばっちりあるぜ、
すごく意外。解体新書の影響で、
知識欲旺盛、学ぶならなんでもやろうぜ、という時代の風、
だったらしい。そんな中で進む、応挙の写実。

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解体新書と言えば、今「風雲児たち」を読んでるのよね。(^▽^)
ちょうどその頃で。ワイド版5巻。
地道で根っから学者の良沢さん、
先駆者すぎる仕事を抵抗なく世間に知らせるため、
広告宣伝根回しにも心を砕いた玄白さん、
多芸なためかえって自分のしたいことを忘れがちな源内さん、
浮きぼりとなるそれぞれの生き方は。

by HPY


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可愛い人には気をつけろ         2004年02月09日(月)

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珍しい種類チューリップ・エスキース
フラワーの先生からいただいた、珍しい種類のチューリップ。
あれから1週間たったけれど、まだ健在だったので、
この子を描くことにした。

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パソコンやりすぎで、手と目がいてー。

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珍しい種類のチューリップ
今回は小さいサイズではなく、A3・水彩紙に描くことにした。
インクを薄めて明暗を調整する。
怖がらずに色面での濃い黒も出してみる。

A3を選んだのは、細長いから。
Fサイズより、細長い方が描きやすいみたい。
額では苦労するだろうけれど。
特注額は高価だというだけで、貧乏人はサイズを限定される。
そんなのもうナンセンス。
これから自分で作るからいいや。(^^ゞ

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日曜は午前中から仕事をしていてとてもイライラしていた。
仕事と言ってもタダ仕事。
要するに卒園式に向けての父母会の仕事があり、
それは分担なのだが、他の人の分も手伝ったりする。

それが今回、
「手伝ってもらってること他の人には言わないで」
というおかしな注文。
要するに「この仕事はわたしがやったことにして♪」
ってことだよね。無給労働+匿名かい。
わたしの特徴的なデザインでは、すぐばれるだろうけれど、
かわいい感じの人だし、仕事も軽そう、
断る理由もなかったんで引き受けちゃった。
これが2週間重荷になるとは、想像だにしなかった。

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以前会社の社長さんが、
「女性クライアントは3割増し」と言っていて、
そのときは大した差別的発言だなと曖昧に
「そうですか」と答えたけれど、
今回の仕事でそれが身にしみた。

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かわいいんだよね、性格が。基本的に。
人にやってもらうのに慣れている。
「大変じゃありませんか〜?」と声をかけつつ
平気で追加を持ってくるところが恐ろしい。
かわいいからやっちゃうけどさ。
局所的には得な性格かもしらんけど、
度がすぎると憎くなる。

やってもらった方が上手だからと、
手を抜いて人任せにすればそりゃ楽でしょう。
可愛いに加えて優しい性格なのか、
提出した形を見るたび、それに合わせてくれるけど、
結局「ここもう少し変えて」のおねだり。
エンドレスの予感がした。
きっと他人であるわたしがどこまで追いかけても、
おそらく彼女のもやのようなイメージには近づかないだろう。
作業後に残った作品は、すでにわたしのイメージですらない。

雑誌なんかで目は肥えていて、
チョイスする審美眼はあると思う。
だからもうちょっと頑張れば
自分でイメージを出せるようになって、
大変かもしれないけれど、言葉やラフ画の形にしてみれば、
その案を自分でどんどん練っていけば、
独力でもいいものができただろうに。
清書だけ任す、という方法もあったのに。

結果的にわたしの「代わりにやってあげる」親切は
彼女の考える貴重な機会を奪っているだけ。
作業は最後まできっちりやったけれど、
このイヤな感じはわたしにも原因がある。
それに気付いて落ち込んだ。

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イメージを強烈に持っているのに、
それを第三者に打ち出せない人は不幸だ。
文章でも、話言葉でも、絵でもいい。
美術教育や、詩や論文の勉強って
思ってたよりずっと大事かもね、なんて
空々しく思った一週間だった。

by HPY


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描けなくても制作日誌         2004年02月01日(日)

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先週は結局一枚も描きあげる時間がとれなかった。
描かないのに制作日誌というのもヘンだが、
描けないのも日誌の一部かな、と思って一応記録。

仕事運がいいのか仕事はたくさん来て、
それは喜ばしいけれど、会社員時代に経験した、
増やすのは簡単、減らすのは難しい。
何日か半徹がつづき、連日眠くてたまらない。

眠いときは特に、考える仕事はできない。
パソ作業でも考えなくてもいいベタ打ちや流し込みは
いつでも可能。文章やデザイン考えたりは作業時間より
前の精神統一(?)というか、インスピレーションが
降ってくるまでの時間が長く、片手間ではできない。
実際、たとえ絵描いてる途中でも、
インスピばんばん湧いてくるともう、手がつけられない。
脇の机にペラ紙を出して、メモを取るしかない。
そんなこんなで、前回日誌に書いた「続きは明日」は、
まだ来ない。

そんなとき、フラワーの先生宅に仕事で行った。
パソとWeb制作について説明する傍ら、
ふと部屋を見渡すと
いろんな押し花やらドライフラワーやらが飾ってある。
とても変わったチューリップがあって、それを数本頂いた。
それで10分くらい描く。

珍しいチューリップ

涙が出るほど懐かしく、嬉しかった。
久しぶりだもの、描くの。

先生に、わたしの絵の感想を聞いた。
なんかこう、自己主張が激しくない分、
すっと見ることができる、
そんなことを言ってたかしら。

とても嬉しく感じて、
今回の仕事があと数日、
終わったらまた、制作に打ち込もうと静かに誓う。

あ、確定申告もあったっけ。しかも二人分。(T_T)
時間の調整は難しい。

by HPY


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