喰いえるコトなど

グルメ?何それ?ウマイはウレシ、マズイはタノシ。
いわゆるひとつの食い意地日記

2001年07月30日(月) 豆腐作り・その弐(某会社の回しモンやないけれど)


某月某日、然るスーパーの一角で日記一日分(29日付のね)、
思い出にひたってしまった。
その思い出の素は、今ワガ手中に。
いざ、永年の屈辱をはらすべき時は今!!!

なんてな。
そんな事を思い出したり、考えたりして豆腐を作る。
本当は「永年の屈辱をはらす」なんて大層なモンではない。

今回買ったのは、某大手食品メーカーの「豆腐の素」ではなく豆乳。
豆乳のおまけに、にがりが付いていて豆腐が出来るという。

豆腐をつくる前に、豆乳自体の味も試してみた。

私が通常買う紙パックの豆乳は、一口目がおいしい。
だが、ちょっとくどくて180ml でさえ、
一気には飲めない。休み休み飲む。
そうこうするうちに、よく冷やしてあったハズの豆乳は、
生温くなって、より一層くどさをます。
一回に飲める量は徐徐に徐徐に減り、
飲みきるのにめっちゃ時間かかるっちゅーねん!!!

自分が勝手に飲みたくなって、自分の意志で買ってきて、
自分の意志で飲んだというのに、つい突っ込んでしまう。
私にとって、豆乳とはそういう面倒臭い飲み物であった。

ところが、買ってきた豆腐の素(豆乳の事ね)、
コレがごっつい美味しかった。
ちゃんと味があるのに、口の中はサッパリ〜。
製造業者に言わせると
「本格豆腐もできる、すっきりした飲みごこちの豆乳です」だ。
そうか、そうか、言うてる事はよぉ〜く、わかるゾ〜。

で、以下その本格豆腐のレシピ(?)。

一、ボウルに豆乳500mlを開ける。
二、おまけについている、にがりを一気にボウルへ入れる。
三、充分に混ぜ合わせる。電子レンジ対応容器3つに分ける。
  広口で、丸底のがいいらしい。
四、後はラップをかけ、レンジで1個づつ過熱。
  600Wで1分半。うちのは500Wなので、2分に。
                   以上!!はや!!

出来た、出来た、出来ました。所要時間3分。
イヤ、下手したら2分半。

出来たてを口の中にいれるでしょう?
ほわりとして、つるりんとして、あぁ、もう!!
いや〜、コレが旨いの旨くないのって。
どっちやねん!?ん?美味しいのよ、コレが!!

醤油なんぞ、いりません。そのまんま喰らうのが最高に美味しい。
冷ましたのも食べましたが、出来たてのが私好み。
口の中で潰す感じで、食べたりしたら、また旨い!!
ほの甘くて、大豆の味がわかって………。
「あ〜、幸せって、まさにこんな感じ?」とかまで思うね。
豆腐用の型も、水の中に泳がせる過程もなかったですが大満足。

買ってきた豆乳は「太子食品工業株式会社」のもの。
『国産大豆100%無添加豆乳にがり付』。
ホームページアドレスは
http://www.taishi-food.co.jp

食い意地の張った皆さ………………、もとい、
食べる事が大好きな皆さんは、すでに御存知の方も多いかと思います。
それでも、「食べる事は大好きだが、まだ試した事がない」
という人には、ぜひぜひ試してほしい。

わずか3分、イヤ、下手したら2分半で、
イヤ、600Wの電子レンジを持っていたら、
わずか2分で出来たてほかほかの豆腐が食べられる。
その上、ひょっとしたら、
「あ〜、幸せってまさにこんな感じ?」とかまで思えます。

何かと便利な世の中になったもんだ、イヤホント。




2001年07月29日(日) 豆腐作り・その壱


自家製豆腐を喰らう。

なんか、ごっつい大層な事のように思いませんか?
私にはそういうイメージがあった。

小学生の頃、某大手食品メーカーから「豆腐の素」が発売された。
「家で豆腐が作れるなんて!!なんとすばらしい思いつき!!」
ほとんど理科の実験気分で、兄と一緒に面白がって作る事になった。

具体的な作り方は、はっきりと覚えてない。
プラスティックの組み立て式豆腐用型がついていた
………ような気がする。
粉を水にとかして、にがりの素みたいな粉を加えて、
その過程のどっかで、過熱もした………と思う。
それを、型に流し込んで、冷やしたものを食す。
兄と一緒に作ったので、兄が製作過程における、
美味しいトコだけやりやがって…………もとい。

           兄が製作過程における、
製作する事の喜びを実感できる部分を担当していた
………のは気のせいではないハズだ。

私はといえば、兄が豆腐用型を組み立てている間に、
これから使うはずの鍋やら、その他の道具を用意したり、
粉を出した後の空き袋をゴミ箱にいれたりしていた
………のも気のせいではないハズだ。

兄はたいそう充実した面持ちで、
豆腐の素が流し込まれたプラスティック製の型を冷蔵庫に入れ、
出来上がりを待つように指事した
………のも思い違いではないだろう。

ああ、だんだん思い出してきたら、
なんか腹が立ってきた気がする。

製作(つーか、調理なんですけど)という観点においては、
ひとつの事を成し遂げたという実感など、
つゆ程にも得られなかった。
私の小さな胸の中で(今よりももっとな。ほっといてくれ)、
何かがブスブスと不完全燃焼を起こしたまま、
豆腐が出来上がるのをひたすら待った。そして私は思った。

「次こそは。次の過程こそは」

豆腐が固まったら、メインイベントだ。
子供にとっては、それはそれは楽しみな作業。
大きな大きなたらいだか、鍋だかに、
いっぱい張った水の中、固まった豆腐が入った型を泳がせる。
その型の下にそっと、手を添え、水の中で型を外していく。
まずは底にあたる一面を。最初に外すのはなかなか難しい。
他の部分を壊す事もなく、一応外せた。
右の側面、左の側面、手前の側面、そして最後にあちら側。
水の中、だんだんと型を外していく作業は本当に楽しかった
……………………………………………………やろなぁ、兄は。

その後やはり、兄はたいそう充実した面持ちで、
今やその白い四角い全貌を見せた、豆腐をのせた手のひらを、
水平に保ちながら、ソッと水の中から引き上げる。
そうして、手の平の上に豆腐をのせたまま、
包丁をあてて何当分かに、切り分けた………ような記憶がある。

はっきり言おう。
面白がって作る事になったが、私はいっこも
オモンなかった、ちゅーねん!!!!!!!
しかも、味はごっつまずかったし……ぶつぶつ。

作るのオモンないし、味はまずいて…………………
……………………………………………………………
……………………………………………………………
………………………………………………最悪やん。

そんな事を思い出しながら、豆腐を作りをする事になった。
今こそ、あの時の憂さをはらすべき時がきたのだ。

続く。




2001年07月28日(土) 続々・はじめての味、シオ納豆


さてはて。
口の中がぴりぴりしない、納豆汁が出来た。
(ココだけ読んだら、恐いな)
やっぱり、ちょっと甘いけど気にはならない程度。

晩ご飯は「塩納豆の夕べ改め、納豆汁の夕べ」に変更。
改訂版本日のメニュー。
玄米ご飯、木綿豆腐となめこ入り納豆汁、ぬか漬け。

納豆好きな私は、納豆汁も好きなのであるが、
いざ納豆汁を作るとなると、アノ強烈な匂いを
我慢して、我慢して、我慢して作らねばならない。
ところがこの塩納豆入り納豆汁。
しませんでした、我慢。しませんでした、匂い。
ちょっと味見してみる。
「うむ。ヨイではないか、ヨイではないか」

思わず口にするセリフも、新婚家庭の若旦那から
どこぞの百万石大名に変更。
食事を運んできた腰元(新顔←コレ肝心)の、
初々しい魅力に耐えきれなかった設定。
………つくづく阿呆やな、私よ。

食事前、一口味見した時は「ひと袋、よう食べん。どうするよ、コレ」
と思ったものの、結果オーライ。
無事「塩納豆の夕べ改め、納豆汁の夕べ」を満喫できた。
美味しかった。ごちそうさまでした。


ところで、ネットで調べたところ、塩納豆には二種類ある。

一つは東北地方の保存食。
納豆にこうじを加え、再発酵させた、私が今回食したタイプ。
これは原料の大豆より、ミネラルの吸収が良くなり、
栄養学上とっても優れているとか。
そして塩分少なめらしい。

もう一つのは高知で作られている。
納豆に塩とぬかを混ぜ、鉄鍋で煎るタイプ。
これは粘らないのだそうだ。
節分で豆まきに使う煎り大豆のようなモン?

いずれにしても、はじめに私が語感から想像したように
単純に「普通の粘る納豆が塩味」な訳ではないのだな。
そんな一筋縄ではいかんのだな。塩納豆は。

一つは「塩」を名前にかぶせながら、塩分すくなめ。
超私的感想を加えれば「塩い」のに。そして甘くすらある。
もうひとつは「納豆」を名前にかぶせながら、粘らない。

一つめの味を確認した今、私は二つめの味が気になって、
気になって仕方がない。

次なる野望は粘らない塩納豆。いつの日か確認します、その味を。
例え今回の塩納豆の様に、どんな意外な味だろうが、
美味しく食べてみせるのだ。




2001年07月27日(金) 続・はじめての味、シオ納豆


あ〜ん、ぱくり。もぐもぐ。

あ〜、この味、なんじゃ、こりゃ!?
なんといいますか…甘い……。塩納豆なのに……。
確かに甘口とは書いてあったが、売り場に辛口があった訳でもない。

関東の居酒屋さんで出てくる甘塩の卵焼きみたいなもん?
はじめて甘塩の卵焼きに大根オロシがのっかって、
出て来たのを食べた時はびっくりした。
基本的に「甘い」と「塩い」の共存味って、実は苦手。

普通の納豆が、ただのさっぱり塩味になったのを
想像していたので調子が狂う。
私にとっては、予想範囲外の味。

アルコール分の抜けた甘酒にゆで納豆が入って、
昆布の旨味が入ったような……。

「そうか、その手があったか!ちっ、騙された」とでも言うか、
て、全然騙されてないんですけど。
て、原材料(26日分参照)どおりやん。しかも、めっちゃ忠実。

そりゃね、コウジで甘酒つくりますわな。
酒粕を使って作った甘酒もどきとは、比べモンにならんほど旨い。
甘酒を飲みながら、コウジのブツブツを食べるのが、また楽しい。
その中にゆで納豆と細切り昆布を入れ、ご飯にかけて食べてみる。

あ〜ん、ぱくり。もぐもぐ。

「あら。お好きな方は、答えられない味でしょうね。
ただ、私にはちょっと……」
そんな感じか。

口の中、ぴりぴりするし。
正味期限は、まだ数日先のはず。
ここんトコ、暑かったから冷蔵庫の中もバカになって、
正味期限より早くに、発酵が進んでいるとか?
それで、こうじが甘酒みたいになって、甘い……とか?
う〜ん、謎。そして、ちょっと心配。

仕様が無いので、作りかけの味噌汁にぶちこむ事に。
熱湯消毒にもなるしな(こんなコトばっか、言うて……)。
幸いにも、味噌を溶かす直前。味の加減はこれからできる。
具は木綿豆腐となめこ。煮えた鍋の中に、残りの塩納豆をいれる。
大豆たんぱくと、ぬめりモンの二乗。
こうじも昆布も、味噌汁には良い具合。
味噌を少なめに溶き入れる。
ちょっと甘いけど、口の中、ぴりぴりも無い、納豆汁が出来た。

続く。




2001年07月26日(木) はじめての味、シオ納豆

塩納豆って、御存知?

私は知りませんでした。
二ケ月ほど前、デパ地下ではじめて見かけた。

むかしむかし、幼い頃。
まだまだ各家庭で、障子や襖の張替えなんかをしていたと思う。
思い出してみてください。障子・襖の張替えに、使っていた糊。
ただでさえ薄いのを、さらに水で薄め、
刷毛で障子や襖の骨に塗っていた。そうそう、水のり。
そっくりなんです。その包装に。塩納豆の包装も。
納豆やのに?

そう、納豆なのにビニール袋入り。
納豆に全卵1個まぜたくらいのゆるさで、
中身は「たっぷんたっぷん」。
細長いビニール袋に入れて、口を輪ゴムでキュッと閉じてある。
キュッと。器用にね。
ビニールは「ぱんぱん」にはって、中は「たっぷんたっぷん」。
触り心地も良く、なんとなぁ〜く美味しそうな気がする。

ビニールの表に白く表示された原材料名。
『塩納豆(甘口)
 原材料名/丸大豆・納豆菌・塩・こうじ・昆布』

そうか、そうか。こうじ入りか。この白いツブツブがそうやな。
うむうむ、昆布もほそ〜に切って、入ってる。
丸大豆は味噌汁に入れた時の納豆みたいで、柔らかそう。

あ〜、触れば触るほど、中身を見れば見るほど、
「なんとなぁ〜く美味しそう感」は増すばかり。

むかしむかし、幼稚園の帰り道。
漬け物屋を営んでいた親戚の店に立ち寄り、
店先で納豆を食べていたほどの納豆好きの私。
味を確かめずにはいくまい。
一緒にいてた友達の分も買い、プレゼントする。
たまたまその日、関西から遊びに来ていたので、
一緒に味見する事はできないけれど。
お試しのワクワクした気分を彼女と分かち合おう。


はりきって買って帰ったが、御飯を炊く機会がしばらくなかった。
しかし、そろそろやばい時期にさしかかる。
(……こんなんばっかり、トホホ)
正味期限が近づいて来た。

私は意を決して、塩納豆の夕べを催す事に。
玄米を炊いて、味噌汁をつくる。後は漬け物だけ。
塩納豆をメインにおいたメニュー。
味噌汁が出来上がる前に、玄米が炊きあがった。
炊飯器の蓋を開け、御飯を底からほぐす。
薄茶色の皮が破けて、間からのぞく白い柔肌がピカピカ。
玄米に限った事ではないが、できたてのお米は本当においしそう。
「ええやろ?ええやろ?な、ちょっとだけ」

思わず、新婚家庭の若旦那のようなセリフを口に。
食事を作る新妻の、初々しい後ろ姿に耐えきれなかった設定。

ゴムを切ってみると、この包装、本当にゴムだけで止めてある。
ゴムをとってもビニールの口は止まっているかと思ったら。
なにやらそれだけで、美味しそうな気がする。

こぼれないようソ〜っと持って、中身を徐徐に器に移す。
お茶碗によそったご飯の上にちょこっと、塩納豆をのせる。
大口を開け、塩納豆のかかったごはんを口の中に運ぶ。

あ〜ん、ぱくり。もぐもぐ。

あ〜、この味!!

続く。




2001年07月25日(水) ステップ5「どっちの勝ち?」※21日からの続き

ちょっぴりのスリルをともないながらも、当初の目的は遂行された。
とりあえずポトフの具としての、コンビーフのはしっこも口にした。
毒消しに粒マスタードを使ったとはいえ、それを口に運ぶ時は、
ちょっぴりのスリルなんかでは済まなかった。
それはきっと、高い高いふたつのビルの間に渡らせた、
細い細い綱の上を渡るかのような。
まだ春浅い早朝、池の表面にはった薄氷を踏むかのような。
……………………………そこまで、命かけてどうすんねん。

寝苦しい夜を過ごしたその次の日。
心配していたお腹の調子も悪くはならなかった。
よかった。

いろいろ、消毒をこころみた成果が。
やっと、安心して、味わえる。
ここまで苦労して作ったものは、それなりに味わいたい。
それが、調理人の醍醐味というもんだ。
たとえ肉の小片が、粒マスタード味や、
ゆずとうがらし味でしか、確かめられなくても。

その日は前日に引き続き、めちゃくちゃ暑かった。
いくらなんでも、もう熱々ポトフを食す気にはなれない。
氷をいれて、冷やしポトフを食べるコトにしよう。
スープはやや塩辛かったし、氷が溶けたら、ちょうど良く薄まるだろう。

苦労して作った、ポトフが入っている鍋の蓋をとる。
とると同時に感じた、はっきりしない一塊の空気。
………………………………………………もあ〜ん。

間違えて、アラジンのランプでもこすったか?
そして、異臭…………………………………………。

え?

視線はしばらく空中を漂い、その後ゆっくりと鍋の中に移った。
なぜかその時、すべてが止まってみえた。
その時なら、どんな豪速球投手からだって、ホームラン、
と言わないまでも、確実にヒットを打てたはずだ。
ビデオフィルムのコマ送りのように、視線が移っていったその先には。

ポトフの表面全体にうっすらとかかった、クリーム色の被膜。
そして、異臭…………………………………………。

たった一晩です。
たった一晩で、それはそれは見事な腐敗進行。
倒したと思っていたヤツは、表面に出てこなかっただけで、
どこかで再び、食品を侵略するすきをうかがっていたのでしょう。
どこかって、そりゃもとの肉の中に決まってますけど。

もう、疲れました。ヤツと闘うのは。
もとより、闘う必要などなかったのですが。
私は鍋をシンクの上で裏返し、一面に広がった野菜を黙々と、
ビニール袋にほりこんだ。
キャベツ、小玉葱、にんじん、だいこん、しめじ、ブロッコリ。
毒消し効果を期待して入れた、セロリ、長葱、しょうが。
全てにさようならだ。ごめんなさい、お百姓さん。
本当に本当に、ごめんなさい。

こうして、コンビーフ作りのグランドフィナーレは終わった。
あの無気味な白い泡をつくりだしていた例のヤツ。
ヤツに全てを持っていかれて。

が。

前日、粒マスタードをたっぷりつけていたとは言え、
私は確かにそれらを口にした。一食分、しっかりと。
そしてその後、お腹になにひとつ、異常の起きなかった私。
ヤツと私との闘いのみに、焦点をしぼれば?
ひょっとして、私…………………勝ってる?

「そうだ、そうとも!なんたって、君の勝ちだよ」
そう思ってくださる方、どうぞ左のボタンを押したってください。
私は自分が勝ったと思ってます!!
誇れるコトかどうかは、別として。




2001年07月24日(火) ステップ4「ここまでキテしまいました」※21日からの続き


調理というのは「後に食す」という事を前提にして、
なされるべきものである。
しかしその時、「どあほ」(言うまでもなく私)には自信がなかった。
はたして今、自分が調理している物体は、
後に人体に入れていいものだろうか。
つーか、ホンマに食べんの?コレ?

このくそあっつい中、そんな疑問を抱えながら調理しているもんだから、
なぜかしら冷え冷えとした気分である。なかなか、経済的だ。
イヤイヤ、そんな問題ちゃうやろ。
つーか、それ以前に確固とした疑問を早々に持ち、そんな調理
つーか、実験やめろよ、
つーか、思いもつくな、「どあほ」よ。

命を危険にさらしても、コンビーフ作りのフィニッシュはあくまでも、
ポトフで〆ようとする「どあほ」。
「どあほ」は「どあほ」なりに考えて、
コンビーフの「ヌメ」リをとり、煮沸消毒をくりかえし、
なんとか、ゆでても普通の泡しか出ないまでに持っていった。

ひととおりの儀式を済ませたコンビーフの小片を、さらに薄切りにし、
両面をこんがりと焼く。ここまできたら、誰にも文句はいわさん。
他に入れるものにとりかかろう。

キャベツはすでに、悪い部分を取り除いている。
買い置きの小玉葱をむく。後はポトフ用に今日、買ったもの。
にんじん、だいこん、しめじ、ブロッコリ。
そして、買っててよかった、セロリに長葱、しょうが。
ええ仕事してくれ。オレの命は任せた。
はっきりいって、毒消しである。

それらを、こんがり焼いたコンビーフとともに、鍋にいれる。
コンビーフの「ゆでたれ」もいれ、鍋いっぱいの水をたす。
そしてひたすら、煮るべし、煮るべし、煮るべし…………。
クツクツクツクツクツクツクツクツクツクツクツ…………。
親の敵ほど、煮立てた。
幸いにして、例の白い白い泡は出てこなかった。
よかった。ヤツは倒したのだ。

そうして、ポトフは出来上がった。
「ゆでたれ」は「ゆで汁」になり、今「スープ」になった。
ちょっぴり、塩からいがなかなかのもんだ。
野菜に関しては、まあ、こんなモン。よくあるポトフの野菜だ。
問題のコンビーフだって、もちろん食べた。ひとかけ。
なにしろ、この調理はコンビーフ作りのフィニッシュなのだから。
味は塗りたくった粒マスタードの味。ダメ押しの毒消しだ。
もう、味なんて、どうでも良くなっていた。
味を求めていたら、絶対にこんな実験……いや、調理はしてない。
コンビーフ作りの〆に、ポトフを作り、大量の野菜とともに、
コンビーフのはしっこを口に入れる。
その行為こそが大切だったのだ。

ちょっぴりのスリルをともないながらも、当初の目的は遂行された。
汗を流しながら、食し、さわやかな達成感と充実感を味わい、
無事、コンビーフ作りのグランドフィナーレを迎えた…………
…………………………………ように思ったのだ。その日は。




2001年07月23日(月) タイプは…つーか、ステップ3「物好きなあなたへ」※7月4日参照


「自家製コンビーフの調理に於けるフィニッシュは、
その『ゆでたれ』で、ポトフを作ること」
その信念に基づいて、ひたすら準備をすすめていた。

そんな信念を脅かすかのように、次々と襲い掛かる災難。
「でろり」とした触感に、変貌を遂げていたキャベツ。
気をとりなおし、愛しく旨いはずの自家製コンビーフを
取り出してみたら、見事に「ヌメ」られていらっした。
コンビーフを手作りする一連の作業を、
真っ当するのを諦めざるを得ない状況にいた私。

それが昨日までの展開である。

手作りコンビーフの小片の匂いを嗅いでみる。
クンクン………回復の余地がありそうな、ないような。
……………………………………………………………………
……………………………………………ぬめりを取らねば。
!!!……………………………………………………………
……………………………………………ええのか、それで?
目的を諦めざるを得ない状況にいたのでは、なかったのか?

おおかたの一般常識を持った方々なら、
素直に作業断念の道を選んだであろう。なんの躊躇もなく。

ところがその状況に立たされていたのは、
コノ日記を書いている「どあほ」である。
過去日記を読んでくださった方なら解るであろう。
そういう状況にたったら、私の思考は一般規格外の回路を開く。
新しい状況にどう反応するかを考えるべき頭脳は停止し、
始めの目的を遂行するコトにのみ思考が進む。
とりあえず目的遂行可能な状況を無理矢理作る、という訳だ。


「ヌメ」った部分を淡々と塩で揉み、流水で水洗い。
そして、熱湯消毒するコトに。
思いっきり熱伝導率のよい、小鍋にコンビーフをほり込む。

煮立ってきた、煮立ってきた。白い泡がぶくぶくぶくぶく………。

白い、白い、白い泡だ。どこにも、白い食品なんか無いのに。
お湯の中に入っているのは、小さな肉片だけなのに。
いっておくが、灰汁の類いとはあきらかに違う。
食品を煮て、この手の泡がたつのを始めてみた。
食品を調理する際には見た事のない色。
牛乳の白でも、豆腐の白でもない。
絵の具のような白。ある意味、とても美しい白。
そして、それはとても不自然な色。

いったい、これから口に入れるはずの食品から出る
泡の色がそんな色でいいのだろうか?

その日は暑い暑い、一日だった。
その上、狭い部屋の一角で煮えたぎるお湯、コンビーフの小片入り。
なのに私は、冷え冷えとした思いにさらされていた。
汗は出てはいるのだが、どうにも寒いのだ。
はたして、そんな思いをしてまで、達成せなあかんほどの目的か?

それでも、私は淡々と作業をくり返した。

ひととおり、煮きって、ゆで汁を捨てる。
再び、塩で揉み、流水で洗い、煮ること、つごう4回くり返す。
くり返す度に、不自然な泡は少なくなり、
4度目には、普通の泡だけになった。

……………………………………………………………………
………………………………………………あ〜、よかった。
!!!……………………………………………………………
……………………………………………ええのか、それで?

この「どあほ」は、これからどこへ進むのか?
「もうすこし、読んだってもええで」という方、
どうぞ横のボタンを押してみて下さい。




2001年07月22日(日) タイプろ…つーか、ステップ2「これくらいなら大丈夫?」※7月4日参照

手作りコンビーフの『ゆでたれ』を使って、ポトフを作るのが私の念願であった。
「このクソ暑い中、ポトフかい!?」       かたいこと、いいなや。

ええ、そうです。暑いからこそ、ポトフです。
暑い時に暑いものを食すのは、身体にとってイイのです。
私の中では、コンビーフの残り汁を使って、ポトフを作る事も、
コンビーフを手作りする一連の行為の中に含まれるのだ。
ポトフを作ってこそ、コンビーフを手作りする
一連の作業を終える事ができるのだ。

オシャレ指向(!?)の私としては、『ゆでたれ』ではなく、
『ゆで汁』いや、『スープ』を使いたかった。
しかし、コンビーフを作る際に出来た、手許に残っている水分は
今や『ゆでたれ』としか呼べない代物である。
それもこれも、不本意ながら、十うん年前、つまんねぇ〜メニューで
餌付けされて手に入れた「熱伝導率のすばらしく良い鍋」のおかげ。

まぁ、よろしい。どっちみち、水を足したら汁になる。
野菜をたっぷりほりこんで、お楽しみにのこしておいた、
手作りコンビーフを入れりゃ、ポトフの出来上がり。
『ゆで汁』はそこで『スープ』と呼ぶにふさわしく、変身を遂げるのだから。

まずは野菜。数日前にキャベツは買った。
もちろん、ポトフにほりこむために丸ごと。
買った日にすこし、サラダにしたきり使ってない。
そのまんまざっくり切って、残り全部ほりこもう。
外に出してあった、キャベツをいれた袋を手にする。「でろり」。

………なんでかなぁ〜?
中はキャベツやのになぁ〜?触ったら「でろり」ってするよ。
「でろり」………って…………。

袋の中身をのぞいてみると、全部が「でろり」でもない。
「でろり」部分を淡々と切り捨て、生きている部分だけ残す。
元の五分の一程度になるが、まあ、仕方ない。

気を取り直して、美味しい事を考えよう。

あまりの旨さに、すざましい勢いでなくなりかけた自家製コンビーフ。
本当に本当に、思いがけず美味しかった。
そのまんまで食べるのがきっと一番美味しいとは思うけど、
それを使ってポトフにしたら、さぞや美味しいポトフが出来るだろう。
知人にいただいた手作りゆずこしょうもある。
ゆずこしょうってば、ポトフの中の大根につけて食べるとおいしいのよね。
旨いポトフができそう。よし、イメージトレーニング、終わり。

このイメージを大切にしよう。
野菜を切り分けるのは後まわし。
美味しいトコから攻めて行こう。

次はコンビーフを取り出す。うふふふふ。
小さくなったコンビーフの塊をいれたタッパの蓋を開ける。「ヌメ」。

………なんでかなぁ〜?
コンビーフやのになぁ〜?触ったら「ヌメ」ってするよ。
「ヌメ」………って…………。

賢明な方にはお分かりですね。
美味しいトコから攻めて行くどころか、地雷を踏んだ。

私はコンビーフを手作りする一連の作業を、
真っ当するのを諦めざるを得ない状況にいたのであった。




2001年07月21日(土) タイプい…つーか、ステップ1「堪忍しといたら」※7月4日参照

その日。
私はひさびさに御飯づくりをする気になった。

「コンビーフのゆで汁で、ポトフをつくるのね〜。ふふふ」
そう思って、ゆで汁はちゃんとおいてある。
いや、今やゆで汁と呼ぶにふさわしくないソレを。

コンビーフを作ったのは、6月24日の日曜日。
そして、今年の夏は暑い。暑い。暑い。
私がポトフを作れる日はなかなか来ず、
とっておいたゆで汁がダメにならないように、日々、火を通した。
コトコトコトコト、コトコトコトコト。
毎日毎日毎日毎日、毎日毎日毎日毎日。

あぁ、ごめんなさい。嘘です。
そんなに毎日火を通す前に、火を通しはじめて2・3日目にコトは起きた。

話は変わるが、私の鍋はステンレス3重構造である。エッヘン!
エッヘン!とかいうても、自慢じゃない。
エッヘン!は、青春の苦い思い出(青春て……)。
もう十年程も前、ホームパーチーとか言う会合につれて行かれた。

「赤飯」「砂糖未使用にんじんのグラッセ付きハンバーグ」「大学イモ」。

コレ、メニューです。ホームパーチーの。

もっぺん書いてみよ。
「赤飯」「砂糖未使用にんじんのグラッセ付きハンバーグ」「大学イモ」。
「赤飯」「砂糖未使用にんじんのグラッセ付きハンバーグ」「大学イモ」。

まさに、実演販売の実演販売による実演販売のためのメニュー。

当時、まだうぶなねぇちゃんで、当時、やはり食い意地の張っていた私。
「食材に火がとおんの、はや!」「にんじん、あま!」「大学イモ、うま!」
まんまと罠にはまり、3重構造目くらましにすっかり目もくらまされ。
気がついたら、豪華ステンレス3重構造鍋セット購入のローンを、
組んだりしちゃっていたのである。しかも、イソイソと。
………………しっかり餌付けされてんでやんの。アホである。
ま、いいんですけどね。実際調理する時、時間早いし。

ソコ!「負け惜しみやね」などと、本質はつかない!

てなわけで。
熱伝導率のすばらしく良い鍋を持っている私。わははは!(自棄)
そのすばらしい鍋で、仕事の作業中ごっつ弱火で過熱していた。
ほんの小一時間程。なのに、なのに、それなのに。すごおまっせ。
4000mlはあろうかというスープが、ほんの50cc ほどに。
4000mlつーたら、牛乳の大パック4本分。
50cc つーたら、大さじに3杯強。

普通の鍋でも小一時間程でそこまで凝縮されるんですか?
そんなコト、ないですよね。きっと。
すごいですね、さすが熱伝導率のすばらしく良い鍋。
おかげで、普通の鍋で調理する際のカンなど、すっかりなくなりました。
おかげで、外で調理を手伝う機会があったりしても、
「アラアラ、お料理なんてしたことないのねぇ」なんて、言われたりな。

ともあれ、ゆで汁は凝縮されて、「ゆでたれ」に。

さ、ゆでたれを使って美味しいポトフをつくるわよ。
あまりの美味しさに、すざましい勢いでなくなりかけた手作りコンビーフだって、
そのつもりではしっこおいてあるんだからね。
さ、どうなることかなぁ〜、…………………………ふふふ。




2001年07月20日(金) ちょっと留守にしてる間に

ココ数日所用にて、家を留守にしていた。

昼、帰ってきてエンピツに来てみた。

「どれどれ、ひさしぶりに日記でも見てみるか」。
まずは『Who is My』を確認。
数少ないお得意さんが、ひとり減ってる。
…………………………………………………
…………………………………………………
…………………………………………ちぇっ。

ええねや、ええねや……。

総べてこの世は常ならず。
とか、わかったような事でも言うとくとするか。

次に『My Enpitu』を確認。
おや、ココもひとつ減ってる。
そして、それは『Who is My』から
名前が消えた、その人。

……………ってこたぁ……………
日記、やめたの?

ハンドルネームで、日記検索してみる。
……………やっぱり、いない。

彼女は、私の日記をお気に入りにしてくれた、
いっとう最初の見ず知らずの人。
私の実家はすでにソコにはないけれど、
お住まいがどうやら、私の大好きな故郷と同じ街で。
出てきた店名に、ひとり、過剰反応しつつ読んだり。
彼女の日記を読んで、ちょいと思うトコロなんぞあったりして。
ちょいと思うトコロというか、心配というか。
メールとか出してみようかな、とか思ったり、
いやいや、そっと見守るのだ、とか思ったり。
で、結局メールを出すことはなく。
そして、そっと見守る事もできなくなった。

次の一文は彼女にだけあてて書く。

「祈るぜ。私、祈ってます。」

はじめてリアルタイムで日記を書いた。

……………あ、ウソ、ゴメン。思い出した。

一度だけ、リアルタイムな出来事を書いた日がありました。
仕事中、締めきり間際のクソ忙しい時、頭の線が切れて。
人ひとり、座るスペースしかない床にカラーインクぶちまけて。

いやだがしかし。
ただお気に入られなくなっただけかもねぇ〜ん。
それでも、祈っているのは本当です。

前の続きは、もうすぐ、マジ、更新。
ひょっとして、覗きに来て下さっている方、どうぞヨロシク。




2001年07月04日(水) 「食」についての質問……か?

ただいま。
しばらくの間、書いていませんでした。
しばらくの間、部屋も散らかしっぱなし。
しばらくの間、つーか今も、
仕事部屋の4畳半の床上は人間ひとり、
座り込めるだけのスペースしかあいてなかったり。
なのに、カラーインクの瓶を倒してみたり。
(6月30日付報告済み)
その日が締め切りで、まさに締め切りに向かって、
ネコまっしぐら……なハズなのに。
つーか、自分まっしぐら……やないとあかんハズやったのに。

床上のインクを拭き、左足のウラも、
歩いても足型スタンプが押されない程度に拭い、
やおら、パソコンにむかって、
日記を書きはじめる……って、どうよ?
しかも、やおら。
その内容にあわせて、ジャンルも「衣食住」以外のトコに
律儀に期間限定プチ引っ越ししたりして。
そういうのって、絶対誰かに報告したいやん?

そして、上記の行動はあくまでも、
当日が締めきりの仕事完成間際の仕業……って、どうよ?

その後、仕上げて納品に行ってみたら、
しっかりひとつ、描き落としがあったりする……って…
…………………………………………………………………
…………………………………………………………………
…………………………………………………………………
…………………………………………………突然、無口に。

書きだしてみると、あまりの行状に
「どうよ?」で〆るコトすら、恐ろしい。
ぷるぷる
  ↑恐ろしさのあまり震えてみた。

そんなこんなで「衣食住」に戻れるだけの余裕が、やっと。


ここで、出戻り記念「食」についての質問。

質問=腐りもんの食べ物話、読める?

1……………堪忍してください。  
2……………読めるけど、読みたくない。
3腐りもんの食べ物話!?
 イヤイヤ、意外と好っきゃねん、これが。
 もちろん読んでる最中、顔がイガムねんけどな。
 けど、なんでか読んでまうのよね。
 目が離されへんちゅーっか。
 そんでもって、読み終わって
「あー、恐かった」とか思ったり。

1=タイプい=7月21日の日記にススム
2=タイプろ=7月22日の日記にススム
3=タイプは=7月23日の日記にススム

コレ、「食」についての質問…………か?
まあヨシ、とする。つーか、して?

ともあれ、近いうちにススメる………ハズ。



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