一年以上も経って リスの冬眠場所を ようやく撤去した
レジ袋をちぎっては ほっぺをパンパンにして 何度も運んだその痕跡を 見るのも辛く 放置し続けていたけれど やっと手を付ける勇気が出た
中には どこで発見したのか 着物の端切れもあって ヤツがぬくぬくと 包まって眠る様子が 眼に浮かぶようで
あの小さな身体に どれ程の存在感があったか 悲しみは時とともに 次第に癒やされて 愛しいものを思う 温かい感情に満たされる
なのになんだか ヤツの棲家にと 最初に置いた鳥の巣箱は そのままにしておきたくて それさえ無くすのは 心もとないようで
まだもう少し 食器棚のてっぺんで 長い尻尾を繕う姿を まぼろしのように 追いかけていたくて
久々に 着物生地の燃焼実験を
と言うのも あまり出モノがなかった弘法市で 範囲を東寺の外にも広げ 丁寧にあらゆる着物を見たあげく 点描画みたいな柄のを発見 化繊のような気がして お店のひとに聞いてみた
直ぐに それいいでしょう 麻だと思う と返ってきたけれど 麻でないことは確かで それでもあまりにツボだったので 仕入れの関係で格安 と言うそれを購入したワケだが
燃焼結果はどうも絹 麻ではないし化繊でもない 燃え難く黒いかさかさの灰を 手で崩しながら 本当だろうかと 訝しい気分で
柄はてっきり型染め と思っていたけれど 横糸には色がなく 縦糸だけを染めてあった いわゆる紬の 織り出し柄ではないけれど 生地には織り節も確認できる
このしゃきっとした感触は 糊が効いているせいなのか 最終的には 洗ってアイロンを掛けたら 納得できるだろうけど 深すぎる着物の世界に 久々ヤラレた感じだわ
来年から お仕事メンバーに ふたり加わる話しに 早くも気が重い
作業と言うよりは とりあえず同じ部屋で 過ごしてもらう ってコトなのだけど ひとりは頻繁にトイレに立つ上 脱走の前歴があるので 目が離せない
常にアンテナを オンにしておくしんどさ いや本当はそうではなく 瞬時に切り替えればいいのだが そもそも フレキシブルには動けない
きみまろの漫談に 笑い転げる方々に 激しくシンパシーを感じるこの頃 だけど 一緒に笑ってる場合じゃない と言われているようでもあり
要するに その時々に没入しすぎず 俯瞰の視点が必要なのだ それは 老成したから得られる杖ではなく 単純にシゴトの立場上 要求されるに過ぎないけれど
そう思えば尚更 まだまだな自分を 突きつけられる感じがして
いやいや 暖冬と思っていたのに 降るったら降るのね
昨冬も雪のなか よく歩いた記憶があるけど 早くも印象はそれ以上 除雪してあったって 車もぶりぶりぐるぐると ちょっとしたトコでハマル
もうこうなると 買い物の荷物さえつらいので 昨日は友人頼みで お米ともち米を購入 さらにはサプライズで うどんときし麺とお蕎麦が 大量に届いた
パン用の強力粉は 多めに準備してあるし パスタもとりあえず一キロ これで年末年始の 炭水化物はぬかりなし ってまるで 籠城でもするかのよう
施設の利用者は 今日が年末最終日で 後はお気楽 普通のサービス業と ここがちょっと違ってイイ 冬籠りまでもう少し
昨日のイブは 施設のクリスマス会だった
そこに至るまでの利用者が多く 食事介助にオムツ交換に ふと全体を見ると 怖くなるのでやめよう と職員と言い合わせて ドタバタの一日
サンタが配った お菓子の袋には 細かいシゴトが苦手なメンバーが ため息をつきながら作った クリスマスタグがついていた
人がわんさかいる中で 隅っこにひっそりと ひとり立っていた彼女に これだけは と思って そのタグを見せながら 労いの言葉を掛けた
頷いたか はいと言ったかは よく判らなかったのだけど その後彼女は 何か手伝うことはありますか と小さな声で言った
そうなのだな きっと彼女はじいっと そんな風にして バタバタする職員を見ていたのだ そして 他人事とは思わず 手を貸してくれようとした
すごいな
よく笑うようになって たまには自分から 何かおしゃべりすることもあって その変化に驚いていたけど さらに状況を見る視点まで 持てるようになったのだ
いろいろと 反省点ばかり浮かんだ中で そのことが やけにじんわりと 心に沁みたのだった
弘法市の中だけで 何時間も歩き廻ったので 足腰が痛くて参った
なので昨日は 三十三間堂だけを観て限界で どうしようかと思いながら ベンチでコーヒーを飲んでいると 一台だけ停まっていたタクシーから 年配の運転手さんが下りてきた
お互いほぼ同時に口を開いた 何気ない会話から 京都の街中を流してもらい 最終的には駅までを格安で と話しが展開し 祇園の花街や嵐山などを ぐるりと巡ってもらった
この道45年と言うだけあって 何を質問しても 明解に答えてくれるのが面白く 次第に話しは 娘さんやお孫さんにも及び やれるだけ現役で頑張る という姿に親近感を持った
ただ流して欲しいなんてのは 昔はたまにあったけど イマドキ珍しい 金離れのいいお客さん と感心されたが お陰で冷え切った足腰は すっかり温まった
お互い名刺も交換し 駅に着いたのは ゆうに一時間以上走ったあと 賃走だったらずっと稼げたのに 約束だからとその半額以下で 珍しいのは運転手さんもだよ とか思ったりした
終い弘法に絡めて 一昨年はスルーした 拝観料の必要な講堂で 国立博物館に出張していた 立体曼荼羅の あるべき場所での全貌を 思う存分味わってきた
順路とか決まってないので 菩薩部如来部明王部を 何度も行ったり来たりして 気が済むまで浸り もっと詳しく知りたくて 曼荼羅の本も購入
それにしても 中央に座した 大日如来の圧倒的な荘厳さ 有難い を具現すると きっとこうなると思われ その為だけでも 行く価値はあった
その流れで 真言系の宿坊に泊まり 今朝はまだ暗いうちから ホーミーみたいなお経に たっぷり一時間浸かってきた 頭の中では 鐘の音とお経の抑揚が ずうっと続いたまま
あまりにも濃すぎて こんなピンポイント的旅でも なかなか消化はできない もっとも しっかり着物は選んで 東寺近くのコンビニから 先に送ったので 成果はゆっくり楽しむとして
今日は 利用者の忘年会だった 昼食をお鍋にして 施設からはジュースを準備 飲みたい人は お酒を持ち込みで
早くから そういう機会が欲しいと 酒好きの数名から 声が上がり まあオトナなんだし ってコトだったのだけど
以前酒癖が悪くて 今回は禁酒のコと 何れも大差なく みんないいトシをして どうなのどうなの ってな醜態
何度も洗濯機を廻し ボウルを持って 介抱し続けた スナック勤めの時だって こんな経験ないけど それほど普段 飲んでないってコトかも
終業時間をとうに過ぎ 最後の利用者を見送って 片付けてヤレヤレ 強烈だった今日も 明日を思えばなんのその
ってワケで 一年の垢を落としに 密教浸りに行って来るのだ これがわたしの たったひとりの忘年会 みたいなもんかな
今はお仕事メンバーが それぞれ全く違う 作業をしている
能力に合わせて 工程を分けて ってのなら 過去にもあったけれど あの箱作りを経験したことで 得られた達成感をもとに
思うように出来なかったら またやり直し その中で 自分なりの癖に気付き どうしたら綺麗に出来るのか 工夫を重ねてもらう
正解はないけれど 客観的に見た時の ポイントはあるので あちこちから何度も呼ばれつつ アドバイスをしながら わたしも細かい作業を続ける
みんながそれぞれ集中している その濃密な時間は すごく良くて 音楽がないのに 気付かない程で 時間があっという間に過ぎる
そんな中 見学者がやってきて 心なしかみんなの顔が 誇りに満ちて見え 他のどこの施設でも 成立しないだろうこんな今を 迎えられたことが ひたすら嬉しく思えたのだった
年末年始の休みに 何か予定はあるか と同僚に聞かれた 遊びのお誘いではなく 民宿でお運びさんをやらないか って言うお誘い
時給はいいし 朝から晩までとあって 例え数日でも ちょっとした稼ぎにはなる 行きたいのは山々だが 恐らく腰は死ぬと思われ 正月から臥すのはコワイ
男子でもいい と言うので うちの子が行けるかも と咄嗟に思いついた ハードだろうけど まさにうってつけ
通うのに 電車を使うなんて無理 直ぐにはそんな反応で あまり積極的ではなく 友達に聞いてみようか となったので ふたり必要らしいと言ってみる
石橋を叩いて渡るヤツでも 友達と一緒なら 勢いが付くに違いない 突然やってきた稼げる話しに 行けたらいいけど って次第にニュアンスも上々
で 台所で気を失っていたら 友達の親からオッケーが出た との報告で とりあえずはメデタシ っていうか 世間のご家庭ではそうなのだな
オッケーどころか 親から勧めるウチって とちょっぴり思ったけれど これはきっと 得難い経験になるはずで なんかわたしの方が 今からワクワクして来ちゃう
書き忘れていたが 日曜日の月食
というか そういうコトがあるとは あまり意識しておらず 夕方雲の切れ間から 覗いた月が あまりにも大きく輝いて イイモノ見た気分だった
それから 美味しいしめ鯖や 烏賊の沖漬けや 絶妙の火加減の焼き椎茸 なんかを肴にオサケを飲んで 帰る道すがら
何やら赤黒く丸い 月の輪郭と ちょうど下弦の最後の頃に 近い三日月があって ナンダナンダ と思ったのだった
妖しくも美しい あれが皆既月食 古代のひとが見たら 禍々しい様に 凶兆を感じても 不思議ではない
もっとも 何が凶で何が吉かは 時の流れのなかで 簡単にはかれるものではなく 個人的には 何ヶ月も悩みの種だった 仕事上のことが一区切り
二週間以上 スッキリしなかった風邪が そのとたんに どこかへ行ってしまい 意外とダメージを受けていた のに気付いた
ふう これから ちょっと気楽にやれるかな やれるといいな
たきち舎の展示会へ また最終日の訪問
あの アットホームな 小さなスペースでは なんだか話し声さえ 穏やかになるようで それが魅力のひとつ と再確認しつつ
いつになっても わをん的シゴトが ままならないクセに 素敵なハギレを購入 そして 捨てるに捨てられずにいる レコードを仕舞う箱も
で 今回は 施設の商品を 置いてもらったので その動向を伺いつつ 同席したお客さんに ちょっとした説明を
初めてお披露目した あの湿気っぽい夏には そんな雰囲気じゃなかったので 友人の場を借りて つかの間 ゆっくりした時間を持てた
恐らく同じモノを置いても 空間やそれに関わるひとによって 印象は全く違うはずで たきち舎ならではのテイストが あの手染め和紙商品に プラスされたと思われ
他人のモノを 預かって売ること それだけで大変なのに 誰にも惜しまず 自分を解放することのできる 彼女に改めて尊敬の念を
わをんメイドの 朱色のジャケットは 随分と退色してしまったけれど それすら味と 素敵に着こなしてくれて 本当に自分が作ったんだろうかと 疑ったりもして
一番のきっちりさんが 染めた柄が あまりにも綺麗なので そのまま生かした 商品を作りたい とずっと思っていた
いつもなら その思いついた形に 辿り着くまでの工程を わたしが考えて指示するが 箱作りでしたように みんなで進めてみることに
順番に試しながら その都度出来上がりを見て 不具合の箇所を確認し それを解消するためには どんな工夫が必要か 話し合ってはまた試す の繰り返しをしつこく
そんな積み重ねの果て ひとりのメンバーによる 起死回生のアイデアを基に 突然閃いた最終形 試しにPP袋に入れて 商品としての顔も確認し これだ ってカンジになった
もちろん 作ろうと思えば 他の形だってアリだけど 発想の発端から 途中のウロウロの 全てがちゃんと必然となって オチを迎える快感を 一瞬にして共有できた
それは わたしひとりでは 辿り着けなかったはずで 当初の目論見を遥かに超えて グループで進めることの ダイナミズムを 鮮やかに思い知らされた 瞬間でもあった
年末が近づき これまで縁のなかった 各種書類を提出となって その中に 勤務評価表があった
上司に対してと 自分についてと 五段階で○をつける項目が ずらっと並んでいて 文章でまとめる部分もあり なかなかに頭を使う
その中で 自分の長所を書く というところで 他の職員に ヘルプを頼まれた 見ると既に短所は記入済み
長所となると難しいんなら 自分で自分の好きなところ って考えればいいじゃん と言うと 好きなトコないねん と返ってきた
めちゃめちゃネガティヴ な性格らしいのだが 傍目には全く判らない 面倒なコトも進んで買って出るし 誰に対しても優しいし と言ってみるものの 本人にはピンと来ないらしい
それでよく恋愛できたね 思わず漏らしてしまったが だとすると奥さんは そんな自分を好きになってくれた 救世主ってカンジなんだろうか
ひょっとしたら 自分への要求が高すぎて まだまだ ってコトかもしれず 計り知れない他人の深みを ちょっと覗いてしまった気分だった
今朝は久々に パンの香りで目覚めた
少しずつ いろんなレシピを 試してはいるが 今のところ 一番気に入っているのは ご飯を入れたパン
ご飯鍋で炊いて 火に掛けすぎた オコゲとも言えないような 底のかっちかちのご飯を お湯でふやかして使う
いや本来なら 普通に炊けたのを 使うべきなのだけど チャーハンにしてもいまいちな そのご飯の用途として これ以上にない位有効
ふんわりモチモチで 焼きたての耳はぱりぱり あのかっちかちが 半分以上入ってるなんて 到底思えない出来上がり
で そのレシピに限らず 意外と重要なのは 塩の分量 ってコトも発見 大抵のレシピどおりだと 塩が効きすぎて 個人的にはくどく感じる
塩梅 とはよく言ったもので それに比べたら きっちり計量するのが必須 と言われるパン作りにおいて 他の材料の配合の多少は あまり重要じゃない気もする
昨日 日記を書いたあと 突然閃いた カレンダーのアイデア
何度かの試作を経て すごく可愛いのが出来たけど 一番大事な詰めの部分で また行き詰まり 敗北感いっぱいで こっそり放置したままだった
もうどっちにしろ師走 来年度分には あまりに遅すぎるけど みんなにアイデアを披露して 感想を聞いてみると すぐにいい反応が返ってきた
それに比べれば 前回の試作品は 説明が必要な分 反応にタイムラグがあって 褒めてはくれたものの いまいちだった
よおし これで行けそうだ みんなが考えずに イイ と言うなら きっと他の人が見ても ひと目惚れしてくれるはず
来年こそは 早めから準備して いい時期に 商品としてばーんと出したい っていうか 時間のある今のうちに 工程を考えてしまおう
こうなったら その工程も共有しながら やってみようか わたしひとりが主導するより 自分達の商品 ってキモチが ずうっと高まるに違いない
みんなで作る みんなの為のマニュアルだ
ここんとこ施設では 箱作りをしている
それが果たして モノになるのかどうか とりあえずひとり一個 試作してみよう ってコトで わたしが休みで することがない日に始まった
子供の頃 工作は苦手じゃなかった というコでさえ なかなかにフクザツな工程は やたら時間が掛かり 一番乗りでも三日を要した
それでも仕上がりは 愛すべきヘタウマで 個人的に楽しむ分にはいいが 商品にとなると あらゆる面で 考え直さなければならない
誰が作っても 確実に綺麗に出来て しかも工程はごくシンプルにと 並のぶきっちょさんを 遥かに凌ぐ方々用の 究極のマニュアルが必要だ
それは これまで作った 他の商品に対してよりも 大変な仕事になるはずで 本当にするのかどうか 臆するキモチが半分ありで
既に費やした時間を どうにか 価値あるものにしなければ というプレッシャーが あとの半分で
どちらかと言えば 後ろ向きな私的感情を他所に 手染めシリーズが うわーっと並ぶ図が ちらちらと 手招きするのだった
風邪気味なのを 薬で抑え込んでいるせいか いまいちぴりっとしない
推進力がないこういう時 自分に課した やるべき事を 考えれば考えるほど 自家中毒を起こすのが 判っていながらつい
最近 数学で事件を解決するという 海外ドラマシリーズを見ているが 世界を把握する概念として 個人的に苦手な分野だけに すごく面白い
同じことを例えば 現場の勘とかで 乗り切ることもできるのだけど 数字が出てきただけで 客観的に説得力がある ように思えてしまう
けれどもそこには 必ず不確定要素があって その変数が常に 結果を左右するために 何度か修正を迫られる
自家中毒を起こすのは そういうポイントなのかも と考えてみると 不確定要素に対して フレキシブルに対応できない 自分が浮き彫りになるワケで
ヤダねー 結局考えてるじゃん
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