今年は現行憲法(日本国憲法)が施行されて60年目を迎えます。 この日記でも2004年5月3日他、数回憲法関係の文章を載せましたが、 よくよく憲法の歴史や条文を知ってきますと、よく考えられたものであることが分かります。
憲法が施行されて以来、何度となく憲法改正論が出てきますが、近年では安倍首相になってから 特に多く聞かれる言葉となりました。(彼のじいさんの思いを遂げるためか)
改正が必要である側の意見の主要点は以下の点。
1.文体が旧字体であり、読みにくいものであること 2.憲法第9条の解釈に選択肢を与え、いかにでも読めること
意見は他にもいくつもありますが、大きな点は以上のことでしょう。
およそ1については誰もが異論のないことと思います。 しかし、2については大きく意見の分かれるところです。
改正主張者は、現行憲法では現状の国際情勢に事実的な参加が難しいため、国際協調の点で 好ましくない、と言います。改正異論者は、現行憲法があるからこそ第2次世界大戦後に 日本は戦争をしなかったという事実があるし、将来もこれが歯止めになる、と言います。
そもそも自衛隊と言う軍隊を持てるのは、GHQ/日本案に対する極東委員会での議論で 憲法第9条については軍隊が持てる可能性のある条文に修正(いわゆる芦田修正)された 文章だからダメだとなりましたが、その可能性については、首相・大臣が文民であることを 追記(第66条第2項)させることで、中華民国以下、賛成することになりました。
当時の中華民国の主張は、日本は自衛だと言いながら侵略をした事実があるのだから、 そのことを忘れてはならないということでした。だから軍部(軍人)が国務大臣になることを 禁じた一文を復活(もともと極東委員会案では文民条項があった)させたわけです。 ※独立国から自衛権を剥奪することは、さすがの極東委員会でもできなかった。
さてここからが問題なのですが、憲法第9条を改正すべきかそうでないか。 自分自身は改正すべきと考えます。理由は以下の点。
1.憲法全体の文体を変えるべきであること。(そもそもこれだけで憲法改正になります) 2.現行憲法9条のままでは、国際貢献のための自衛隊派遣が法解釈だけの無意味な議論で 終わってしまう。つまり、いつまでたっても異論が出てくる。 3.上記2で言う国際貢献のための自衛隊派遣は必要悪ではあるが、不要ではない。 日本一国だけで成り立っているわけではないので、行動の伴わない国際貢献(つまり金)では もはや国際間の信頼関係において無理がある。 4.自衛隊の存在意義を明確にすべきである。 5.他国での有事の際、日本国民を救済する手段がほしい。国連やアメリカに頼るのではなく、 日本独自で行動できる指針がほしい。現行法では国民の生命を守れる直接の法規すらない。
一方、いまだ存在する国連の敵国条項排除を達成するためにも、日本は現行憲法にある趣旨を 変えてはならない。特に、上記5の拡大解釈が起きる歯止めは必要。 などなど。
戦争反対の声を上げることは大事ですが、そのことに加え、自分たちには何ができるかということを 同時に考えなければなりません。そのことを抜きにした戦争批判は身勝手・無責任と考えます。
いろいろと異論はあるでしょうが、自民党で議論されている憲法改正論は、そういった意味で 方向としては正しいと考えます。ただ、行き過ぎた議論が起きているとすれば、我々はそれを 止める必要もありますけど。
要するに、議論なき結論はあり得ないわけで、野党も議論を拒絶することなく、積極的に議論し、 国民にそれを諮るべきです。議論することすら危惧する各国はありますが、それを理由に議論を 拒絶する政党は自分は信用しません。
そもそも憲法は、政治が暴走することに歯止めをかけるものですから、政治家主導ではなくて 国民主導で議論すべきものなんでしょうけど。いかがでしょうか?
はい。今日は曇りのち晴れ。(東京地方)
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