『日々の映像』

2007年08月31日(金) 日本とアメリカのホームレス



世界で最も豊かな国はアメリカである。
しかし、この国のホームレスは74万人もいる。人口が日本の3倍強といっても74万人は多すぎる。自由主義社会はある面では残酷な側面を持つ。

それに対して、日本のホームレスは、以下データの通り3万人前後である。
これが多いのか少ないのか・・・

8月29日に書いたネットカフェ難民など、さまざま情報を踏まえると、日本のホームレスは増加するといわねばならない。

平成11年 3月調査  16,247人(報告のあった自治体数 77市区)
平成11年10月調査  20,451人(同 132市区町)
平成13年 9月調査  24,090人(同 420市区町村)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/03/h0326-5c.html








全米のホームレス数は74万人

自治体では支援と反発が交錯戸田邦信(2007-01-26 18:10)

ホームレスはアメリカだけでなく、世界各地で社会問題になっている(サンパウロで2006年10月撮影、ロイター) 公園の木の根元やベンチ、また高層ビルの脇で毛布などにくるまって寝ているホームレスにとっては、寒さがこたえる季節になった。こうしたホームレスは、豊かな社会といわれる米国において大きな社会問題になっているが、そのホームレスの数は2005年の段階で、全米で74万4313人に達しているという。この数字は、民間支援組織「ホームレスをなくすための全米連合」が今年1月12日に発表した報告からわかった。

 米メディアによると、同連合は、住宅都市開発省(HUD)や地方の支援関係者からのデータなどを基に推定した。寝る場所を毎日のように変えているホームレスの実数を掌握するのは、かなりの困難を伴ったという。全米規模の調査は1996年以来。

 11年前は、ホームレスの数が44万から84万人と推定されていた。前回は幅が相当大きかったが、今回の調査は、かなり正確に絞り込んだものになっている。

 74万人の各州の内訳を見ると、ホームレスが最も多い州はカリフォルニアの17万270人。同州だけで全体の4分の1弱を占めている。次いでニューヨークの6万1094人。以下フロリダ、テキサス、ジョージアの順になっている。

 各州でもホームレスの対応には頭を痛めている。人道的な配慮から各種の支援活動が行われているが、自治体によっては、ホームレスの締め出しに動くところも出ている。

 ホームレスになるのは、さまざまな理由がある。家に住む金銭的余裕がない。家庭内暴力で家出して住む家がない。ほかに、失業や病気、麻薬などの乱用や、刑務所から出所し、行くところがないといった理由もある。救援組織は、住む家を見つけ、ホームレスの人々が、早く自立し、仕事を見つけることを期待している。

 いくつかの自治体では、ホームレスをなくすためには住宅の確保が必要として、低所得者向けの住宅建設に乗り出している。

 一方、フロリダ州では、若者がホームレスを襲撃する事件も多発している。自治体の中では、公園で暮らすホームレスを警察が追い立てることがしばしば起きるなど、ホームレスの行き場も狭くなっている。

 米カリフォルニア州エスコンディド市では、救済組織「救世軍」が、冬場に雨が降り、気温が下がった場合にだけ、ホームレスを収容する臨時シェルター(40床)の開設の許可を求めたが、同市議会は1月に、これを拒否している。

 フロリダ州オーランド市では2006年に、教会関係者らがホームレスに対し、公園や公共の場所で、許可なしで無料の食事を与えることを禁じる条例を制定している。このため「全米市民自由連合」(ACLU)が条例は憲法違反だとして提訴している。

2007年08月30日(木) 改造内閣支持33%、不支持なお53% 

本社世論調査
2007年08月28日22時48分

 安倍内閣の改造を受けて朝日新聞社が27日夜から28日夜にかけておこなった全国緊急世論調査(電話)によると、内閣支持率は33%で、過去最低だった参院選直後の前回(7月30、31日)の26%から上がったが、不支持は53%(前回60%)と引き続き半数を超えた。改造によって支持をやや持ち直したものの、依然として低水準だ。改造に伴って首相の評価が「よくなった」は18%どまり。「悪くなった」は9%で、66%は「変わらない」と答えた。秋の臨時国会で最大の焦点となるテロ対策特別措置法の延長に「反対」は53%と過半数を占め、「賛成」の35%を上回った。

 改造内閣は自民党各派閥の会長らベテランを多く取り込んだ布陣だが、「人材がそろっている」との見方は30%で、「そうは思わない」が39%と評価は必ずしも高くない。ただ、個々の閣僚には期待感もある。厚労相に起用された舛添要一参院議員に「期待する」人は73%に達した。地方対策の目玉として総務相に就いた増田寛也・前岩手県知事に対しても「期待する」が41%と、「期待しない」の30%を上回った。

 新しい内閣で一番力を入れてほしいことは「年金問題」39%、「地域格差の問題」20%、「財政再建」19%、「経済成長政策」17%の順だった。

 安倍首相の自民党総裁の任期は残り2年。任期切れまで首相を続けてよいと思うかを聞くと、「続けてよい」は41%、「そうは思わない」は47%だった。「続けてよい」と思う人のうち、72%は「ほかにふさわしい人がいない」を理由に挙げ、消極的な賛成が目立つ。一方、「そうは思わない」人の56%は「国民の感覚とずれている」を理由に挙げた。

 衆院で与党、参院で野党が多数を占める状況になったことを受けて、与野党の議論が進んで「よりよい法律ができるようになる」と肯定的に見る人は44%、「そうは思わない」と否定的に見る人も43%と割れた。与党支持層では否定的な見方が、野党支持層では肯定的な見方がやや多い。

 政党支持率は自民25%(前回21%)に対し、民主が32%(同34%)と、前回に続いて民主が自民を上回っている。その他の政党は公明3%(同5%)、共産3%(同3%)、社民1%(同2%)などだった。

2007年08月29日(水) ネットカフェ難民:全国で5400人

ネットカフェ難民:全国で5400人 厚労省が初の調査

住居がなくネットカフェや漫画喫茶などに寝泊まりする「ネットカフェ難民」が、全国で約5400人(推計)に上るという。約半数は日雇い派遣など不安定な非正規労働者が占め、年齢別では、50代が20代に次いで多い。ネットカフェ難民が中高年層に広がっている実態を深刻に受け止めなければならない。

 ホームレスの数などの資料は手元にないが、 ホームレスとネットカフェ難民は社会が生みです負に典型といえる。ホームレスの数などの情報を把握している人がいましたら書き込んでください。






1、ネットカフェ難民:仕事途絶え、中高年層にも拡大
 
厚生労働省が28日公表した初めての「ネットカフェ難民」調査では、景気拡大が続く一方、貧困も着実に広がっている実態が浮かんだ。若者中心と思われていた難民だが、20代に次いで多いのは50代。路上とネットカフェの間をさまよう高齢者もいる。生活に疲れ、働く意欲さえ失った人たちの姿が映し出される。

 川崎市のJR川崎駅付近には、格安のネットカフェが並ぶ。午後9時台、6〜8時間のパック料金を利用しようという50代の男性が目立つ。

 自動車工場を10年前にリストラされた男性(51)は、日雇い労働の建設現場を渡り歩き、昨年からレンガを積む日雇い派遣で食いつなぐ。ネットカフェ暮らしが始まったのはそのころだ。

 荷物は着替えの入ったリュック一つ。他の生活用品は、コインロッカーに預けている。「あしたは午前5時起きだから、早めに入って寝ちゃう」。店は8時間1380円、シャワーは別に500円かかるので、1回430円の銭湯を利用する。

 「社会保険も何もない日雇いみたいな派遣がやっと見つかった仕事。50万円ためてアパートの敷金礼金を作ろうと思ってる」。向かいのハンバーガー店を指さし、「若いのがたくさん寝てる。一晩100円。みんな椅子に座わりうつ伏せで寝てる。あれじゃ仕事はできないよ」と歳の離れた“仲間”を心配する。

 看板洗いの日雇いの男性(58)は、かつて野宿を経験し、市の就労支援センターを利用したこともある。だが、「いつもアパートの更新で(金がなくて)出されちゃう」と頭をかいた。汗に濡れたシャツに作業ズボンの男性(58)は、衣類を入れた小さなビニール袋をぶら下げていた。「建築の仕事がある日はここ。ないときはその辺で野宿だよ」と日焼けした顔をしかめた。

 厚労省の調査では、平均月収は10万円ちょっとだ。アパートを借りるための50万円は遠い金額。東京・新宿区のネットカフェを使っている男性(29)は、2年前のお盆の時期、日雇い派遣の仕事が途絶え、更新代が払えず、住居を失った。男性は「簡単に住む場所を失ったけど、家を借りるのがこんなに大変だとは思わなかった。来月30歳になる。もう限界。何とか立て直したい」と訴えた。【東海林智、市川明代】

毎日新聞 2007年8月28日 11時12分

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2、ネットカフェ難民:全国で5400人 厚労省が初の調査
 住居がなくネットカフェや漫画喫茶などに寝泊まりする「ネットカフェ難民」が、全国で約5400人(推計)に上ることが、厚生労働省の初の実態調査で28日明らかになった。約半数は日雇い派遣など不安定な非正規労働者が占め、年齢別では、50代が20代に次いで多い。背景には雇用問題などがあり、中高年層に広がっている実態が浮かんだ。

 調査は今年6、7月、同省が把握しているネットカフェ、漫画喫茶の全3246店舗に電話で行った。回答があった1173店舗への個別アンケートから終夜利用の人数、週に半分以上寝泊まりする「住居喪失者」(ネットカフェ難民)数などを推計した。

 その結果、終夜利用は1日当たり約6万900人。「パソコンなどの利用者」が半数を超えたが、住居喪失者は1割近くの約5400人と推計している。

 住居喪失者では、アルバイトや派遣などの非正規労働者が約2700人で最も多く、職を探している失業者が約1300人、職を探していない無業者が約900人、正社員が約300人など。年齢別では、20代が26.5%と最も高く、次いで50代が23.1%。総務省の労働力調査で、この二つの年代層は他の年代より、非正規雇用で働く人が多く、完全失業率も高くなっている。

 東京都と大阪府の265人の住居喪失者を対象にした個別調査では、約4割が路上野宿も経験、ファストフード店を終夜利用する人も4割を超え、路上生活などとカフェと両方の生活をしている実態が浮かんだ。また、求職については「日払いでないと生活が続かない」と答えたのが東京で4割、大阪で5割を超え、貧困が住居確保と就業の妨げとなっていることを示した。

 厚労省は「仕事がないから住居がない、住居がないから仕事がないとの悪循環に陥っている例もある。生活相談や入居のための貯蓄相談などをNPOに依頼し、就労はハローワークで支援するなどの連携が必要だ」と話している。【東海林智、市川明代】

 ▽ネットカフェ難民調査や野宿者支援などにかかわってきた「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長の話 路上とネットカフェなどを往復している層が相当数いるということが分かる。厚労省が4月に4年前よりホームレスが減少したとの調査結果を発表したが、景気回復や就労支援で問題が解消に向かっているというのは筋違いであることが明らかで、就労支援だけでなく住宅・生活保障をからめた横断的な施策が必要だ。

◇厚労省の難民(東京都)調査による生活関連費(1カ月)◇

給与  10万7000円

食費   2万5000円

寝泊まり 2万4000円

衣服・日用品 6000円

携帯電話   4000円

娯楽   1万7000円

毎日新聞 2007年8月28日 11時03分 (最終更新時間 8月28日 11時16分)


2007年08月28日(火) 地震被害公的支援の実態

昨日地震があった柏崎の25年来友人を訪ねる。
自宅は壁の大半がぐらついている半壊であった。
地震被害の公的支援がいかに少ないかを記述しておこう。

1、友人の家は40坪
2、半壊の修理費は800万円である〔業者の積算〕
3、この状態だと国から50万円・県から50万円の補助が出るとのこと
4、 ただし、年収が500万円を超えているとゼロである。
5、 友人は年金のほかに、多少の働きあって年収が500万円を超える。
6、 よって、友人は公的な支援はゼロなのである。

 これが、日本の自然災害の被害者に対する支援の実態なのである。
 もっと国民が声を上げるべきなのである。

2007年08月27日(月) 中越沖地震の記録 (45)

1、東海地震の緊急参集チーム、原子力保安院院長が参加へ  朝日新聞
2、中越沖地震:入居2週間「仮設だってご近所さん」  毎日新聞
3、柏崎刈羽原発:揺れは想定の2.7倍 耐震策見直しも  毎日新聞
4、自衛隊、柏崎市から27日撤収  新潟日報
5、中越沖地震:柏崎市などで都市ガス復旧
6、政府の地震研究推進本部、「ひずみ集中帯」を重点調査へ
7、東電が原発周辺の海底を調査



1、東海地震の緊急参集チーム、原子力保安院院長が参加へ  朝日新聞
2007年08月25日10時05分
 新潟県中越沖地震で、柏崎刈羽原発で火災や漏水などのトラブルが相次いだことを受け、政府は、想定される東海地震の緊急参集チームに経済産業省の原子力安全・保安院院長を参加させることを決めた。9月1日に行われる国の総合防災訓練にも、初めて参加する。
 緊急参集チームは、国内で震度6弱以上の地震が発生した場合や東海地震の危険が高まった場合に、各省庁の局長以上が集まり、被害の把握や今後の対応を協議する。
 東海地震の防災対策強化地域内には、浜岡原発がある。中越沖地震で原発にトラブルが続いたことから、東海地震が予知されたか、予知できずに発生した場合には、緊急参集チームに保安院院長を参加させ、原発の被害を抑えるために何をするべきか意見を求める。
 保安院院長が必ず参加するのは東海地震に限るが、このほかの大規模地震でも、近くに原発があれば、原発の揺れの大きさなどによって招集するかどうか決めるという。



2、中越沖地震:入居2週間「仮設だってご近所さん」  毎日新聞
入居から2週間を迎えた仮設住宅では夏祭りも開かれ、コミュニティ形成に気を配っている=新潟県刈羽村西谷の仮設住宅で25日午後3時34分、五十嵐和大撮影 新潟県中越沖地震は、仮設住宅入居が始まって26日で2週間。高齢の被災者からは早くも「孤独感が募る」という声が出ており、コミュニティー作りの取り組みが進んでいる。

 13日に入居が始まった柏崎市。仮設住宅は市内38カ所に点在し、規模も5世帯から100世帯までさまざまだが、市は「町内会などに準ずる組織」とみなし、9月上旬までに代表者を選んで文書配布やごみ出し管理などをしてもらう考え。さらに、被災者が孤立しないよう、地震前に所属していた町内会などに入居場所を知らせてつながりを保つよう協力要請した。

 自宅が半壊して同市東港町の仮設住宅で1人暮らしの無職女性(79)は「寂しい気持ちになることが一番怖い。顔も知らない人もいて不安もあるが、多くの人と話して交流したい」と自分を励ますように話した。

 一方、15日に入居が始まった刈羽村では、入居前に住居地を考慮して十数世帯ごとに班を編成して班長16人を選んでおり、「班長を中心に、独居高齢者の見守りなどを担ってほしい」(村総務課)と期待。班長の一人は「近所の人たちと一緒なら一定の安心感はある」と話す。だが、自宅が全壊した同村の男性(78)は「避難所生活には戻りたくはないが、人のつながりは感じられた。ここは表札もなく、大勢で一緒に暮らしている実感がない」と話していた。

 仮設住宅は今月末までに計1182世帯分を建設予定。3年前の中越地震でも仮設住宅でさまざまな対策が講じられたが、少なくとも2件の孤独死が起きている。【五十嵐和大、光田宗義】
毎日新聞 2007年8月26日 6時50分



3、柏崎刈羽原発:揺れは想定の2.7倍 耐震策見直しも  毎日新聞
 新潟県中越沖地震の際に、東京電力柏崎刈羽原発直下の岩盤で記録された揺れ(993ガル=ガルは加速度の単位)は、「事前に予測できない断層による地震への備え」として、全国の原発が共通に想定している揺れの約2.7倍だったことが東電の観測で分かった。専門家からは「中越沖地震の揺れを共通の想定にすべきだ」との指摘が出ている。各原発が大幅な耐震想定の見直しを迫られる可能性が出てきた。
 原発では「解放基盤」という一定の固さの岩盤で想定される揺れを基に耐震設計をする。柏崎刈羽原発では1号機の地下255メートルに、解放基盤の揺れを測る地震計があった。揺れの強さの指標となる地震波の加速度は東西方向993ガル、南北方向753ガルだった。
 国の旧原発耐震指針は「事前に予測できない断層による原発直下地震」への備えを全原発に求めた。電力各社はこの地震の揺れとして、解放基盤で370ガル前後を想定してきた。全国17原発中8原発で、これが耐震設計上の最大想定だった。
 旧指針は、周辺の断層調査でより強い揺れが予測されればそれに耐える設計を求めたが、最大の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)でも想定は600ガル、柏崎刈羽原発は450ガルだった。
 指針は昨秋改定され、「事前に予測できない断層による地震」の想定も引き上げられたが、それでも事実上450ガル程度にとどまっている。
 今月開かれた原子力安全委員会の耐震安全性調査プロジェクトチームでは、中越沖地震を「予測できない断層による地震」と位置づけるべきだとの指摘が出た。指摘に従えば、中越沖地震の993ガルが新たな共通想定となり、各原発は耐震策の見直しを求められる。
 指摘した同チーム委員の山崎晴雄・首都大学東京教授(地震地質学)は「地震の前に調査して分かるのは地下5キロ程度までの断層だ。中越沖地震の断層は余震分布からみて主に地下10キロ以上の深さで、見つけにくい」と説明。「全国の原発で中越沖地震程度の揺れを想定すべきだ」と主張する。
 経済産業省原子力安全・保安院は「東電の観測データの評価や、他原発の耐震補強に反映すべきかは、専門家に議論してもらう」と話している。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月26日 8時30分



4、自衛隊、柏崎市から27日撤収  新潟日報
 中越沖地震で災害派遣されていた自衛隊の支援活動が刈羽村の仮設風呂1カ所を除いて終了し、柏崎市からは27日、撤収する。これまで延べ9万人以上が派遣され、給食、給水、入浴などの支援が実施されたほか、地震発生直後、倒壊家屋から女性1人を救助した。しかし自衛隊と各市町村との連絡手段は電話しかなく、直接駆け付けるまで情報が伝達されにくい現状も垣間見えた。一刻を争う人命救助の現場へいかに早くたどり着けるか、関係機関との連絡体制が問われている。

 「声が聞こえる」。地震発生から4時間が過ぎた7月16日午後2時半ごろ、同市東本町2の倒壊住宅で屋根から家の中に潜り込んだ陸上自衛隊第2普通科連隊(上越市)の隊員が叫んだ。救助活動に当たった隊員20人や消防、県警、見守っていた住民は耳を澄ました。「助けに来たぞ」。隊員のその声に、再び答える人の声がかすかにがれきの下から伝わった。

 救助方法を指示していた和栗保男二曹は驚いた。3階建てだった住宅は崩れ、1時間前に到着したときは「生存者はいないのでは」と思った。「急がないといけない」。和栗二曹は屋根の進入口を広げるように指示。現場にはチェーンソーの音が響き、柱や壁、家財が次々と運び出された。

 30分後、住宅2階のベッドに寝ていた坂井ケンさん(84)を隊員が発見。「頑張って」と手を握り、酸素ボンベを坂井さんの口元に当てた。ベッドの真上に倒れていた太いはりをジャッキで持ち上げ、坂井さんをほぼ無傷のまま救助完了。それは午後3時37分に起きたマグニチュード5・8の余震直前だった。

 「初動が早かった成果」。同連隊の穴久保聡宏連隊長は振り返る。地震発生時、本県など4県の各連隊を統括する陸上自衛隊第12旅団(司令部・群馬県)の行事が新発田市の第30普通科連隊で開催されていたため、長谷部洋一旅団長ら幹部が顔をそろえていた。それぞれが一斉に各連隊へ内線電話で非常招集と情報収集を指示。派遣地域や役割分担も決めた。県からの災害派遣要請もその場で長谷部旅団長から各連隊長に伝達。要請は中越地震では発生から3時間後だったが、今回はわずか36分後の午前10時49分だった。

 その前後、ヘリコプターや無線中継班、地上偵察班などが各地から出動。坂井さんを助けた部隊は12時50分に柏崎市役所に到着後、市から救助要請を受けた。

 「人命救助は少しでも早く対応すべきだが、どこに助けるべき人がいるか、各市町村に行ってみないと分からない」。穴久保連隊長は懸念を打ち明ける。各市町村とは電話がつながらなければ連携できないため、災害時は小隊長クラスの連絡幹部が無線を抱え、市役所や町村役場に出向いて情報や要請の窓口となる。「もっと被害が広域になった場合、情報を早く収集するためにはどうするかが課題だ」と言う。

 自衛隊の支援活動はその後、給食約87万食、給水約3万トンに及び、仮設風呂や輸送艦で行った入浴支援は延べ16万人以上に利用された。

 坂井さんは現在、三条市の長男宅で暮らし、「地震のときはもう終わりだと思った。自衛隊の人の声が聞こえたとき、本当にありがたかった。おかげで元気でいられる」と話している。
新潟日報2007年8月26日



5、中越沖地震:柏崎市などで都市ガス復旧
 新潟県柏崎市などは27日、中越沖地震で供給が途絶えていた都市ガスの復旧作業が終了したと発表した。復旧対象は柏崎市と刈羽村の計3万978戸。居住者不在などの61戸があるが、今後は個別に供給開始していく。
 これを受けて、日本ガス協会と柏崎市ガス水道局で作る対策本部は同日、解散した。
 柏崎市と刈羽村では、地下に埋設された旧式のガス管の接合部に地震で亀裂や破断が生じ、配管に地下水などが流入し、復旧作業の妨げになっていた。【西嶋正法】
英文を読む
毎日新聞 2007年8月27日 11時18分



6、政府の地震研究推進本部、「ひずみ集中帯」を重点調査へ
 新潟県中越沖地震など、近年大きな地震が頻発している新潟から神戸にかけての「ひずみ集中帯」について、政府の地震調査研究推進本部は、来年度からこの地域の重点調査と研究を行うことを決めた。
 文部科学省は来年度予算の概算要求に13億円を計上、大地震のメカニズム解明を目指す。
 計画では、<1>陸域で5キロ、海域で約20キロの間隔で地震計を設置、観測の精度を高める<2>人工地震や音波を使った地下構造の調査<3>全地球測位システム(GPS)による地殻変動の連続観測――などを実施する。
 ひずみ集中帯は、陸と海のプレートが押し合うことで、新潟〜神戸間の幅約50〜200キロの帯状に、断層や変形した深部の地層などの地殻のひずみが集中している。
 推進本部では、これまでM7以上の地震を起こす恐れのある全国98の主要活断層などを対象に評価を進めてきたが、ひずみ集中帯は大規模調査の網がかかっていない空白域だった。
(2007年8月26日19時47分 読売新聞



7、東電が原発周辺の海底を調査
 東京電力は27日、中越沖地震で被害が相次いだ柏崎刈羽原発の周辺海域に、同原発に影響を与える活断層があるかどうかを調べる海底地質調査を始めた。調査範囲は本震や余震の発生域を中心に、上越市名立区沖から新潟市西区沖までの沿岸約140キロ、沖合約50キロ。10月末まで調査して年内をめどにデータを取りまとめ、耐震安全性評価に反映させる。

 同日午前6時ごろ、東電から委託を受けた民間地質調査会社の船が新潟市中央区の新潟西港を出港した。調査船から海中に音波を出し、地層からの反射波をとらえて分析、海底下の地下構造を調べる。初日の調査範囲は出雲崎町沖から柏崎市米山沖まで。

 東電は同原発の設置許可申請に当たり、1979、80年にも周辺海域を調査した。この際には、同原発北西約20キロ沖で断層を確認したが、活断層ではないと評価した。今回は調査範囲を当時より大幅に拡大、この断層についても分析する。

 また、海底調査と平行して9月からは陸地の地質調査を実施。同原発敷地内をはじめ、半径30キロについて地下に振動を与えるなどの方法で、地下構造を確認する。
新潟日報2007年8月27日

2007年08月26日(日) 株式投資、する理由、しない理由


(Business Media 誠 - 08月24日 20:10)

ネット取引経験がある証券会社では「ジョインベスト証券」が大幅に伸ばした 写真:Business Media 誠 Copyright(c) ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


 株式売買を経験したことがある人は約3割で、過去3年間の利用状況は横ばいであることが分かった。また、株取引経験者の8割がネットを使って売買をしたことがあるという。

 調査会社のマイボイスコムは、「ネット証券の利用」に関するアンケートを実施した。同社に登録しているモニターが対象で、1万2408人が回答。ウェブ形式のアンケートで、調査期間は8月1日から8月5日まで。

●ジョインベストの利用が大幅に増加

 ネットで株取引をしたことがある人は、どこの証券会社を利用しているのか。調査結果によると、145万口座をもつネット証券最大手のSBIイー・トレード証券が40.7%でトップ。次いでマネックス証券21.0%、楽天証券20.9%、松井証券19.9%で、昨年の調査で1.0%だったジョインベスト証券は10.5%と大幅に増加した。

 ジョインベスト証券は野村ホールディングスの100%子会社として、2006年5月からスタート。2007年3月末までに50万口座を目標に掲げたが、2007年7月現在で17万4467口座と伸び悩んでいる。同調査でジョインベスト証券の利用者数が増加した背景には、昨年の調査時は開業後まもなかったからだと思われる。

●ネット証券を使っての株取引、負のイメージも多い

 現在、株取引をしている人を対象にネット証券のイメージを聞いてみると、「手数料が自分の投資スタイルに合っている」が最も多く49.1%。次いで「分かりやすい」38.3%、「ツールが使いやすい」21.7%だった。

 株取引がない人を含め、ネット証券を使っての株取引のイメージについては「専門知識がないと損をしそう」(43.2%)が最も多く、次いで「いつでも取引ができる」(39.7%)、「便利」(25.1%)が上位となった。このほか「難しそう」(23.6%)、「情報漏えいが心配」(22.6%)、「どの証券会社を選んでいいかわからない」(22.5%)など、マイナスイメージが目立った。

●株式投資をしている理由――「給料だけでは暮らせない」

 株式投資をしている理由として、「お金の有効利用。損することも儲かることもあるけれど、経済の動きに興味が持てるし、それによって政治や国際的な出来事にも関心がでてきた。自分の考えで儲けたり、損したりボケ防止になると思う」(女性55歳)、「給料だけでは暮らせない」(男性39歳)などのコメントがあった。

 株式投資をしていた理由のコメントは、「株を投資していると、毎日株価が気になって一喜一憂して気が休まらないので、やめました」(女性46歳)、「新興企業の不祥事で株価が下落し、懲りたから」(男性44歳)。

 株式投資をしない理由は、「ギャンブルと一緒で、儲かったり、損をしたりの繰り返しで、結局は得をしないような気がする」(女性32歳)、「自分が知っているような有名企業の株は高くて買えないし、かといって無名の企業に投資するとなると、ちゃんとその企業の事業を調べるべきとなり、面倒」(女性33歳)などの声があった。


他のグラフが掲載された記事
シニア層の半数以上がネットで購入するものとは?
「他人が勧める銘柄は、絶対に買わない方がいい」――株アタマの鍛え方



2007年08月24日(金) 中越沖地震の記録 (44)

1、刈羽3号機変圧器の火災、地盤沈下で絶縁油が漏れ引火 読売新聞
2、復興対策で関係省庁が初会議  新潟日報
3、柏崎商店街、9店が廃業検討  新潟日報
4、原発炉心点検 信頼回復へ入念な作業が大事だ 読売社説



1、刈羽3号機変圧器の火災、地盤沈下で絶縁油が漏れ引火 読売新聞
 東京電力は23日、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発3号機の変圧器から出火した原因について、地盤沈下で内部の絶縁油が漏れ、引火したとする調査結果をまとめ、甘利経産相に報告書を提出した。
 報告書によると、原子炉建屋と変圧器を結ぶ電気ケーブルの支柱が地震で20〜25センチ沈み込んだ。その衝撃で、変圧器側の磁器製絶縁体(直径約20センチ)が破損し、変圧器内部の絶縁油が漏れ出した。同時に、金属製の管に覆われていた電気ケーブルが中でショートするなどして火花が生じ、漏れた絶縁油に引火したという。
 東電は、再発防止策についても、まとまり次第、報告することにしている。
(2007年8月23日21時19分 読売新聞)

2、復興対策で関係省庁が初会議
 中越沖地震から1カ月が過ぎたことを受け、内閣府は23日、初めて「復旧・復興対策に関する関係省庁局長会議」を東京都内で開いた。
 会議の冒頭、溝手顕正防災担当相は被災地を21日に視察したことに触れ「復興への動きが加速してきたが、商店街や信越線の復旧、個人住宅の再建など課題が残っている」と強調。「地元の要望を聞き、被災者が一刻も早く元の生活に戻れるよう政府一体で取り組む」と呼び掛けた。
 その後、内閣府の担当者が、県から出された約60項目の復旧・復興関連の要望を説明。これに対し、「風評被害対策として省関係団体主催の大会、会議などを新潟県内で開くよう依頼する」(国土交通省)、「教員対象に子どもの心のケア対策説明会を開く」(文部科学省)など、各省庁の対策も紹介された。
2007年08月23日



3、柏崎商店街、9店が廃業検討
 中越沖地震で被災した柏崎市の中心商店街で、9店舗が廃業を検討し、17店舗が資金難などのため再開のめどが付いていないことが22日、県と同市、柏崎商工会議所の共同調査で分かった。また、営業を再開した店舗でも売り上げの減少を不安に感じているケースが多いことが判明した。
 調査は、同市中心部の東本町2丁目商店街、駅前商店街など10商店街の280店舗を対象に実施。約88%に当たる247店舗から回答があった。このうち、201店舗は既に営業を再開、20店舗は再開の準備を進めている。
 廃業を検討している9店舗のうち7店舗が「高齢」を理由に挙げた。回答者全体の平均年齢60・9歳に対し、9店舗の平均年齢は75歳と上回っている。柏崎商工会議所は「後継者がおらず、再建のためにこれ以上の資金負担ができないという人が多い。地震がなければ今、廃業するようなことはなかった」と指摘する。
 「建て替えや修繕の見通しが立たない」「再開しても売り上げが見込めない」などを理由に、再開のめどが付いていない店舗も全体の6・9%を占めた。
 営業を再開した店舗も含め、特に困っていることを聞いた項目では、「来客の減少」(42店舗)、「売り上げの減少」(26店舗)、「市全体の消費低迷と購買力の低下」(17店舗)となっている。
 県商業振興課では「店舗の再建はもちろんだが、中心市街地のにぎわいをいかに回復していくかが大きな課題。地元の意向を聞きながら支援していきたい」としている。
2007年08月23日



4、原発炉心点検 信頼回復へ入念な作業が大事だ(8月22日付・読売社説)
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、地震による原子炉への影響を調べる作業が始まった。
 原発の中核部分だ。大きな損傷が隠れていないか。補修が必要なほど傷んでいるところはないか。見落としがないよう、点検には万全を期さねばならない。
 原子力安全委員会や経済産業省原子力安全・保安院も、東電による点検の手順や結果が妥当かどうかを判断する必要がある。地道に信頼を積み重ねて行く。それが早期の運転再開につながる道だ。
 地震で、全部で7基ある原子炉のうち運転中だった4基は自動停止した。3基は定期点検中で停止していた。
 いずれも、外部からは安全性を損なうような傷は見つかっていない。
 今回の点検は、激しい地震の揺れでも炉内部の健全性は保たれたかどうかを確認することが最大のポイントだ。結果は速やかに、わかりやすく、公表しなくてはならない。
 地震の直後、政府、東電は、不安拡大を食い止める効果的な対応ができなかった。風評被害も深刻化した。点検を通じて、原発の耐震安全性に対する誤解や不安を解消することが求められる。
 点検では、まず地震発生時に定期点検中で炉のふたが開いていた1号機の炉にカメラを入れて調べる。炉のふたを開けるクレーンが損傷した原子炉もあり、7基すべての点検が終わるには、1年以上かかるとみられている。
 原発を襲った過去最大の地震だ。安全性を確認するのに、それなりの時間がかかるのは、やむを得ない。
 国内の他の原発にとっても他人事ではない。中越沖地震の規模が全くの想定外だったことを踏まえると、耐震安全性のチェックを急ぐ必要がある。
 原子力安全・保安院は、他の原発についても、仮に柏崎刈羽原発を襲ったのと同じ揺れが来たらどうなるか、検討するよう指示している。さらに、多くの原発で周辺の断層を追加調査する。着実に取り組むことが大切だ。
 心配なのは、電力の安定供給、ひいてはエネルギー安全保障への影響だ。
 お盆明け後も猛暑は続き、冷房用などの電力需要が伸びている。柏崎刈羽原発が停止している東電は、気温35度以上の猛暑日が続けば、供給力不足となる恐れがあり、綱渡りの状態だ。省エネや節電を呼びかけており、電力利用者も協力して乗り切るしかない。
 原発の重要性を考えれば、大きな地震に余裕を持って耐えられる安全性向上策も今後、検討して行くべきだ。
(2007年8月22日1時19分 )

2007年08月23日(木) 中越沖地震の記録 (43)

1、柏崎刈羽原発:地震被害は2381件 東京電力が発表  毎日新聞
2、震災死:04年中越地震の犠牲者68人に  毎日新聞  
3、柏崎の罹災証明交付28000件に  新潟日報


1、柏崎刈羽原発:地震被害は2381件 東京電力が発表  毎日新聞
 東京電力は23日、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の被害が、確認分だけで2381件に達したと発表した。
 今月9日から15日までに、新たに432件の被害が確認された。増加分の内訳は機械の破損・変形が191件、建物のひびなど118件、油漏れなど50件などだった。
 これとは別に、22日には5号機の変圧器の周囲で、油が漏れた場合に拡散や土壌への浸透を防ぐ「防油堤」にひび割れが見つかった。変圧器から漏れた絶縁用の油約100リットルが、このひびから地面に染みこんだ可能性があるという。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月23日 19時23分



2、震災死:04年中越地震の犠牲者68人に  毎日新聞  
 04年10月23日の新潟県中越地震で、地震4日後の同27日に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した同県燕市の女性(当時83歳)について、同市は23日、県に災害関連死と報告した。同地震の犠牲者は68人になった。女性の遺族が災害関連死と認めるよう市に申請していた。【前谷宏】
毎日新聞 2007年8月23日 21時43分


3、柏崎の罹災証明交付28000件に  新潟日報
 中越沖地震による柏崎市の罹(り)災証明書の交付が2833件(21日時点)に上ったことが22日、分かった。また、証明書発行に伴う被害判定を不服として再調査を申し込んだ数は1564件(同)あり、交付窓口を訪れた人の3割強を占めた。会田洋市長が同日、明らかにした。
 会田市長は「県などに支援してもらい、再調査をできるだけ早く終わらせたい」と述べた。
 37カ所計967戸が市内に建設される仮設住宅は、22日までに23カ所計771戸が完成。582世帯1521人が入居した。今後の完成分を合わせると31日までに732世帯2026人が入居する。
 入居を希望しながら一部損壊と判定され、再調査を申し込んだ人に対して会田市長は、優先して再調査をするだけでなく生活状況などの事情調査も行うとし、「今週中にある程度のめどをつけたい」と述べた。
 22日現在で2157億6400万円に達した被害額のうち、主な公共施設については、煙突が壊れるなどしたごみ処理施設「クリーンセンターかしわざき」が約8億円。市役所庁舎が約2億8000万円、市民会館が大ホール、事務室棟など合計約4億4300万円、市史跡の飯塚邸が約2億600万円などとなっている。
 被災地域の観光産業の復興を目指す「柏崎地域観光復興推進協議会」が27日、同市で初会合を開くことも決まった。同市、刈羽村、出雲崎町の各観光関係団体で構成し、県内外の観光客の誘致などに取り組む。
2007年08月22日

2007年08月22日(水) 中越沖地震の記録 (42)


1、中越沖余震データ、停電で一部観測できず 東電  朝日新聞
2、中越沖地震:新潟〜神戸の「ひずみ集中帯」を詳細調査へ 毎日新聞
3、柏崎刈羽原発:余震でも地震計50台が停電でデータ取れず  毎日新聞
4、中越沖地震:柏崎市の被害額は2157億円に  毎日新聞
5、中越沖地震:溝手防災担当相、上越市の激甚指定に慎重 毎日新聞
6、柏崎の罹災証明交付2800件に  新潟日報
7、原発1号機の第1期点検終了  新潟日報



1、中越沖余震データ、停電で一部観測できず 東電  朝日新聞
2007年08月22日19時45分
 東京電力は22日、柏崎刈羽原発内の地震計が観測した新潟県中越沖地震の余震データを公表した。設計時の想定を超える揺れはなかったが、全7基のうち5、6号機の地震計が本震の影響で停電、計4回分の余震データが観測できなかった。
 また、東電は22日、1号機の水中カメラで原子炉内の予備調査を終え、現段階で異状は見つからなかったと発表した。



2、中越沖地震:新潟〜神戸の「ひずみ集中帯」を詳細調査へ 毎日新聞
 新潟県中越沖地震で注目された、新潟から神戸へ延びるひずみ集中帯について、政府の地震調査研究推進本部は22日、地震の発生場所や時期の予測を目的にした詳細な調査を来年度から実施することを決めた。文部科学省は来年度予算の概算要求に盛り込み、5年間の調査を予定している。
 調査は新潟県中部地域を中心に、東北日本の日本海側と日本海東縁部で行う。東京大地震研究所など複数の機関が連携し、海域の音波探査も含め詳細に調べる。地震調査委員会が現在進めている調査では、ひずみ集中帯は対象外だったため、相次ぐ日本海側の地震を受けて調査することにした。【関東晋慈】
毎日新聞 2007年8月22日 21時25分



3、柏崎刈羽原発:余震でも地震計50台が停電でデータ取れず  毎日新聞
 東京電力は22日、柏崎刈羽原発(新潟県)に設置している地震計97台ののうち50台が、新潟県中越沖地震の影響による停電のため、地震当日の午後から翌日未明まで余震のデータを測定できなかったと発表した。同原発では本震でも、地震計64台分の地震波形記録が、記録装置の容量不足などで失われている。
 使えなかったのは、5号機の31台と6号機の19台。それぞれの観測データを蓄積する装置が「地震観測小屋」と呼ばれる建物にあるが、中越沖地震直後の7月16日午前10時23分に停電した。その後は電池で動いたが、6号機分の装置は同日午後1時20分に、5号機分も午後6時20分に電池が切れた。復旧は翌日午前3時40分で、6号機で3回、5号機で1回の余震を観測できなかった。
 一方で東電は、今月17日までに起きた153回の余震のうち規模の大きい6回の観測結果を、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。すべて同原発が設計で想定した地震以下だった。東電は今後、本震と余震のデータを合わせて分析し、機器にかかった揺れの強さなどを調べる。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月22日 21時14分


4、中越沖地震:柏崎市の被害額は2157億円に  毎日新聞
 新潟県中越沖地震で、柏崎市は22日、総被害額が概算で約2157億円に上ると発表した。中越地震(04年10月)の市の総被害額257億円(05年7月31日現在)に比べ約8倍に達した。
 住宅、車庫などの建物被害が5万1325棟、計約1711億円で全体の80%弱を占めた。中越地震では全体の5割弱だったのに比べ建物被害が突出している。土木関係では約52キロにわたって損壊した公共下水道が93億7600万円、約55キロの被害が出た農業集落排水も95億7700万円−−などが多い。公共施設の被害は40億7600万円で、煙突が倒壊しかけた同市橋場のクリーンセンター=8億円▽市庁舎=2億8000万円▽使用不能状態の市民会館ホール=2億5800万円−−などと算出した。市は引き続き国に支援を求めていく。【萩原滋樹】
毎日新聞 2007年8月22日 19時26分



5、中越沖地震:溝手防災担当相、上越市の激甚指定に慎重 毎日新聞
 溝手顕正防災担当相は21日、新潟県中越沖地震の被災地の復旧・復興状況調査のため、新潟県柏崎市と上越市を視察した。溝手担当相は一部損壊などの被害を受けた上越市内の柿崎総合体育館で、記者団に対し、同市が激甚災害指定されていないことについて「(被害額の)本格査定をして、一定額の積み上げがあれば受け入れたい。即断するわけにはいかない」と述べた。
 また、担当相は復興状況について「16日で地震発生から1カ月がたち、そろそろ緊急避難から本格的復興への切り替えの時期だ。避難所となっている学校も学校の機能を取り戻さなくてはいけない」と語った。
毎日新聞 2007年8月21日 21時03分


6、柏崎の罹災証明交付2800件に  新潟日報
 中越沖地震による柏崎市の罹(り)災証明書の交付が2833件(21日時点)に上ったことが22日、分かった。また、証明書発行に伴う被害判定を不服として再調査を申し込んだ数は1564件(同)あり、交付窓口を訪れた人の3割強を占めた。会田洋市長が同日、明らかにした。

 会田市長は「県などに支援してもらい、再調査をできるだけ早く終わらせたい」と述べた。

 37カ所計967戸が市内に建設される仮設住宅は、22日までに23カ所計771戸が完成。582世帯1521人が入居した。今後の完成分を合わせると31日までに732世帯2026人が入居する。

 入居を希望しながら一部損壊と判定され、再調査を申し込んだ人に対して会田市長は、優先して再調査をするだけでなく生活状況などの事情調査も行うとし、「今週中にある程度のめどをつけたい」と述べた。

 22日現在で2157億6400万円に達した被害額のうち、主な公共施設については、煙突が壊れるなどしたごみ処理施設「クリーンセンターかしわざき」が約8億円。市役所庁舎が約2億8000万円、市民会館が大ホール、事務室棟など合計約4億4300万円、市史跡の飯塚邸が約2億600万円などとなっている。

 被災地域の観光産業の復興を目指す「柏崎地域観光復興推進協議会」が27日、同市で初会合を開くことも決まった。同市、刈羽村、出雲崎町の各観光関係団体で構成し、県内外の観光客の誘致などに取り組む。
新潟日報2007年8月22日


7、原発1号機の第1期点検終了  新潟日報
 東京電力は22日、柏崎刈羽原発1号機の原子炉圧力容器が中越沖地震によって損傷していないかどうかを調べる第1期の目視点検を、予定より2日早く同日で終えたと発表した。水中カメラで炉内上部を調べ、目立ったゆがみや損傷は確認されなかったとしている。

 東電によると、炉内の水の透明度が予想より高かったため、点検が早く進んだ。炉内中間部を調べる第2期点検は9月中旬から、底部調査の第3期は11月から行う予定。

 一方、東電は同日、中越沖地震の約5時間後に発生した最大の余震など、同原発で観測された6回の余震データを解析した報告書の第2報を経済産業省原子力安全・保安院に提出。地震計に余震データが上書きされて一部消失した本震データの代わりに、地震のメカニズム解明に役立てる。

 報告書によると、余震の揺れの強さ(加速度)はいずれも同原発の設計時に想定した「限界地震」の値を上回らなかった。また、本震では柏崎市側の1―4号機の揺れが強かったが、最大余震では刈羽村側の5―7号機の揺れが強かったことが判明。同地震で余震データの一部も、停電のため消失していたことが新たに分かった。
新潟日報2007年8月22日




2007年08月21日(火) 中越沖地震の記録 (41)

1、東電、原子炉の点検始める 柏崎刈羽原発 朝日新聞
2、柏崎刈羽原発「閉鎖すべし」 学者らが声明 朝日新聞
3、原子炉内を異例の「手作業」で点検 東電柏崎刈羽原発 朝日新聞
4、東京電力:電力需要6013万キロワットに 今夏最大 毎日新聞
5、柏崎刈羽原発:科学者や技術者4人、閉鎖求める声明 毎日新聞
6、柏崎刈羽原発:圧力容器の点検開始 ロープでカメラ下ろし 毎日新聞 
7、国内8原発、海底断層調査を追加実施へ 読売新聞
8、柏崎刈羽原発、原子炉圧力容器内で地震の影響調査始まる  読売新聞
9、柏崎刈羽原発の閉鎖を 新潟日報



1、東電、原子炉の点検始める 柏崎刈羽原発 朝日新聞
2007年08月21日19時54分
 東京電力は21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の原子炉圧力容器内部の点検を始め、様子の写真とビデオを公開した。水中カメラによる点検では今のところ、機器の変形や故障はみられないという。
 この日点検したのは全7基の原子炉のうち、定期点検のために圧力容器のふたを開いていた1号機。高さ22メートルある円筒形の圧力容器の上半分を見た。
 中性子を測る計器が外れたり、核燃料を支える格子板がずれたりする可能性があったが、異常は見つからなかった。1号機の原子炉の点検には今年一杯かかる見通し。全体の点検が終わる時期はわからないという。



2、柏崎刈羽原発「閉鎖すべし」 学者らが声明 朝日新聞
2007年08月21日18時57分
 地震学や材料工学の研究者らで組織する研究者グループが21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発は「運転再開を前提とせず、閉鎖を視野に事後処理をするべきだ」とする声明を発表した。経済産業省にも声明文を送るとしている。
 発表したのは、「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」。国の新耐震設計の検討会の委員だった石橋克彦・神戸大教授(地震学)や、中性子による原子炉の劣化を研究している井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)ら4人。
 石橋教授は記者会見で「今後も原発周辺で再び大地震が起きる可能性がある」と指摘。かつて原発の設計に携わった田中三彦さんは「重要機器の安全性を検証するのは、事実上地震の揺れをもとにシミュレーションするほかなく、安全解析は不十分だ」と話した。


3、原子炉内を異例の「手作業」で点検 東電柏崎刈羽原発 朝日新聞
2007年08月21日11時17分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所で21日、地震後初となる原子炉内部の点検が始まった。点検に使用する機器の作動確認が終わっていないため、手作業中心の異例の手順をとっている。
 炉内の点検は通常、重量約35トンの可動式の燃料交換機を炉の真上に移動させ、水中カメラを下ろして、炉内の壁面などを撮影する。
 今回は、燃料交換機の作動確認が間に合わず、モーター類を動かせないため、作業員8人が人力で燃料交換機を炉上に移動。釣り糸を垂らすように、手作業で炉内に水中カメラを入れた。
 1号機は当時、定期点検中で、原子炉圧力容器のふたが開いており、核燃料も取り出されている。点検はまず原子炉上部から始め、9月上旬から炉心周囲を本格的に調べる。2〜7号機は圧力容器のふたが閉まった状態で、ふたを開けるための天井クレーンの安全確認が必要なことから、炉内点検は10月以降になる見通しだ。
 東電は「少しでも速やかに点検作業を進めたい」としている。



4、東京電力:電力需要6013万キロワットに 今夏最大
 東京電力の最大電力が21日、6013万キロワットとなり、今夏一番の電力需要を記録した。6000万キロワット台は今夏初めて。東電は6230万キロワットの電力供給を確保していた。しかし、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止しているため、電力需給は逼迫(ひっぱく)しており、当面厳しい綱渡りが続く。
 この日は、埼玉県熊谷市で最高気温が36.7度になるなど関東各地で35度を超える猛暑日になり、冷房設備がフル稼働。それに、オフィスや工場の本格操業が重なり、電力需要が膨らんだ。
 東電は電力供給が不足する場合に備え、停止していた塩原水力発電所(出力90万キロワット、栃木県那須塩原市)を緊急運転するため、準備を完了。さらに、「随時調整契約」を結んでいる大口需要家に操業の一部停止を要請する検討も始めていた。しかし、同日の最大電力は想定の範囲内だったため、塩原発電の緊急運転や随時調整契約の発動は見送った。
 東電によると、気温が30度を超えると、1度上昇するごとに電力需要は170万キロワット増える。このため、同社は緊急時に備えるとともに、さらなる節電を一般家庭やオフィスに呼びかけている。【内山勢】
毎日新聞 2007年8月21日 18時42分



5、柏崎刈羽原発:科学者や技術者4人、閉鎖求める声明 毎日新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発について、石橋克彦・神戸大教授(地震学)や井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)ら科学者や技術者4人が21日、閉鎖を求める声明を発表した。
 4人は、原子炉内部の被害状況が不明のまま「損傷は予想を下回った」とする報告書を公表した国際原子力機関(IAEA)の姿勢を批判。(1)一帯は地震活動度が高く今後も大地震が起こる可能性がある(2)敷地内に大規模な地盤変形が起こり耐震指針に違反する(3)機器や構造物にひずみが残り強度が落ちている可能性がある−−ことなどを理由に「運転再開を図ることは許されない」と訴えている。【西川拓】
毎日新聞 2007年8月21日 19時19分



6、柏崎刈羽原発:圧力容器の点検開始 ロープでカメラ下ろし
 東京電力は21日、新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発1号機の原子炉本体(圧力容器)の点検を始めた。水中カメラでの点検で、今のところ異常は見つかっていない。点検終了は1号機だけで12月になる見通しだ。
 圧力容器は直径約6.2メートル、高さ22メートルの円筒形。中には核燃料を支える器具や緊急炉心冷却装置、原発のブレーキである制御棒など重要機器が集中し、放射線を防ぐため水が満たされている。
 この日は午前9時から、炉の真上に渡した燃料交換機に作業員が乗り、双眼鏡で水中の炉内を観察。さらに、炉の底から10メートルの高さにあり燃料を支える役目をする「上部格子板」まで、ロープで水中カメラを下ろした。緊急炉心冷却装置の配管の一部などを見た結果、昼までには異常は確認されなかった。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月21日 19時41分 (最終更新時間 8月21日 19時59分)



7、国内8原発、海底断層調査を追加実施へ
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所を含む国内8原発が、大地震を起こす恐れのある海底断層の見落としがないか追加で探査を実施することが、電力各社が経済産業省原子力安全・保安院に20日提出した報告書で分かった。
 柏崎刈羽を除く全16原発が、今回の地震動に耐えられるか緊急評価を行うことも判明した。
 電力各社は、原子力安全委員会が昨年9月に原発の耐震設計指針を改定したのを受け、原発の耐震性の再評価を進めている。そのさなかに中越沖地震が発生したため、経産省が各社に対し、評価計画の見直しと早期実施を求めていた。
 報告書によると、東電の柏崎刈羽、福島第1、福島第2、日本原電の東海第2、中国電力の島根など7原発と、六ヶ所再処理工場を抱える日本原燃が、海底探査を追加実施する。東北電力女川原発も、補足的な海底探査を計画している。指針改定後に総合的な海底探査を行ったばかりの原発や現在実施中の原発は追加を見送った。
 一方、16原発が柏崎刈羽原発の地震動データを利用し、同規模の地震が直撃したと想定して耐震性を検証。1か月以内に経産省に報告する。柏崎刈羽も同様に再検証する予定。
 さらに、各原発が地質調査と最大地震動の想定作業を実施。その後、原子炉や非常用発電装置など最重要設備について、耐震性の再評価を行う。柏崎刈羽原発を除くと、遅くとも2009年中には評価作業を終了する見込み。
 原発以外では、日本原燃が今年10月に、日本原子力機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」が同12月に、評価を終える予定。
(2007年8月20日23時22分 読売新聞)



8、柏崎刈羽原発、原子炉圧力容器内で地震の影響調査始まる  読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所で21日、地震による原子炉圧力容器内の影響を調べるための点検が1号機で始まった。
 1号機は震災時、定期点検中で圧力容器のふたは開いていた。午前9時から東電と下請けの協力企業の作業員計約20人が作業を始め、目視と水中カメラを使って炉内の変形やボルトのゆるみがないかなどを確認する。点検は年内いっぱいかかる見通しで、ほかの6基の点検も今後、行われる。
(2007年8月21日10時54分 読売新聞)



9、柏崎刈羽原発の閉鎖を 新潟日報
 新潟県中越沖地震で被害が出た東京電力柏崎刈羽原発について、技術者や地震の研究者らが「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」を21日結成。都内で会見し「周辺で再び大地震が発生するかもしれず、運転再開は許されない」などとする声明を発表した。
 呼び掛け人は石橋克彦神戸大教授、山口幸夫原子力資料情報室共同代表ら4人。
 同原発周辺は「活断層が多く、大地震の活動期が続く可能性も高い。大地震発生が終わったとは言えない」と指摘。
 設計時の想定を大きく上回る強さの揺れに襲われた結果、「多くの施設、機器に変形が残り、亀裂が生じた可能性もある。ひずみがあるかを検証することは不可能で、顕在化していない亀裂やひずみが運転に支障を起こす恐れがある」とした。
 声明は、震源域が少しでも違っていれば放射能の大量放出が起きていたかもしれないとし「運転再開は深刻な危険を地元と日本、世界に押し付けることになる」と強調した。
共同ニュース2007年8月21日


2007年08月20日(月) 中越沖地震の記録 (40)

1、東電供給電力ギリギリ 余力は原発1基未満 朝日新聞
2、災害弱者の名簿、厚労省「地域と共有を」 中越沖で教訓
3、刈羽村の避難所、20日閉鎖
4、柏崎で避難指示区域の地盤調査


1、東電供給電力ギリギリ 余力は原発1基未満 朝日新聞
2007年08月20日07時51分
 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が全面停止した東京電力は、お盆休みが明けて企業がフル操業に戻る今週と来週、電力供給の正念場を迎える。3月末に予測していた最大電力(=需要)に対する供給余力は、今週が97万キロワット、来週が81万キロワットで、東電の主力原子力発電プラント1基分に満たない水準に落ち込む。酷暑が再び関東地方を襲って冷房需要が高まれば、電力不足で停電などが起きる可能性もある。
電力の需要が最も多いのは、お盆の前の2週間と後の2週間だ。東電は当初、今夏のこの期間の最大電力を、通常の暑さ(最高気温35.3度)の場合で前年実績より5%強多い6110万キロワット、4、5年に1回の厳しい暑さ(同36.7度)になった場合は6400万キロワットで、01年7月に記録した過去最高(6430万キロワット)並みと予想。これを賄うため、6527万キロワットまで供給できる態勢をとっていた。通常の暑さであれば417万キロワット、率にして6.8%と、ほぼ例年並みの余力があるはずだった。
 ところが、計711.2万キロワットを担う予定だった柏崎刈羽原発が地震で全面停止。東電は、その他の発電所の出力を5%増やしたり、他の電力会社から融通を受けたりして補おうとしたが、追加で確保できたのは8月の平均で444万キロワットにとどまった。
 さらに、7月31日からの予定の検査を、国に先送りしてもらっていた福島第一原発3号機(78.4万キロワット)も、20日からは定期点検で止めざるをえない。このため、今週と来週の東電の供給力は6200万キロワット程度。お盆前の2週間は180万キロワット強だった供給余力が100万キロワットを切ってしまう。
 夏場の電力不足の大敵はなんと言っても冷房需要だ。東電の場合は経験的に、気温が30度を超えると1度あたり170万キロワットも電力需要が増える。さらに、気温の高い日が3日続くと3日目の電力需要は急伸し、1度あたり170万キロワットを上回って跳ね上がるという。企業がフル操業に戻る今週や来週の平日に酷暑が続けば、供給力を超える6400万キロワット近くまで上がると想定される。
 対策は二つ。一つは、料金を割り引く代わりに電力不足が起きそうな時は電気を止めてもらう「随時調整契約」を結んでいる相手に、実際に止めてもらうことだ。自家発電の設備を持つ企業など約1000件の顧客と東電はこの契約を結んでおり、120万キロワットの電力をカットできると推定される。発動すれば、バブル経済による電力需要増に発電設備の増強が間に合わなかった90年以来だ。
 もう一つは栃木県の塩原発電所(揚水式水力、90万キロワット)の稼働。川の水の不正利用に関するデータ改ざんで今春、国土交通省に水利権を取り消されたが、「緊急時かつ9月7日までに限る」という条件付きの水利権を取得させてもらった。揚水式水力発電は、ボタンを押せば数分後に最大出力を出せる。
 東電の勝俣恒久社長は「総力戦で安定供給を確保する」と述べる。しかし二つの対策をとっても足りない場合の方策についての言及はない。
 他電力では東北と西日本の中部、関西、中国、四国、九州から計166万キロワットの融通の約束を取りつけたが、西日本勢からのこれ以上の支援は難しい。周波数が違うため、周波数変換所の能力上、100万キロワットが限度だからだ。



2、災害弱者の名簿、厚労省「地域と共有を」 中越沖で教訓 朝日新聞
2007年08月20日06時05分
 新潟県中越沖地震で、お年寄りや障害者などの安否確認が迅速に行われなかったとして、厚生労働省が、災害時などに避難支援が必要な「要援護者」の名簿を民生委員などと共有できるような体制作りを全国の自治体に求める通知を出していたことが分かった。要援護者名簿をめぐっては、「個人情報保護」を理由に、各地で地域への提供を拒むケースが増えている。災害発生時の対応遅れなどに懸念が広まっていたことから、同省は条例の見直しなど積極的な取り組みを求めている。
 通知は今月10日付で都道府県や指定市などに送付。災害時に要援護者の情報を地域と共有することが重要だとして、民生委員に必要な情報を提供することなどを求めた。個人情報への配慮から情報提供をためらう自治体が広がっていることから、第三者提供できるよう条例の規定を改正する必要性にも踏み込んだ。
 要援護者の名簿の整備や、災害の際の安否確認、避難をスムーズに行うための「避難支援計画」づくりは、04年の豪雨災害を機に内閣府が翌年の指針で自治体側に求めていた。しかし、総務省の昨年3月の調査では、要援護者の避難支援計画を作成している市区町村は、「年度内に作成予定」を含めて8.8%にすぎなかった。
 今回、10人のお年寄りが亡くなった新潟県柏崎市も、約6000人分の名簿を3月にまとめていたが、支援計画は未完成で、町内会や民生委員との情報共有はしていなかった。個人情報保護の観点から問題がある、との意見が同市役所内で出たためで、市内に住む一人暮らしの高齢者2672人のうち、7月16日の地震発生から3日間で連絡が取れたのは2割強。全員の安否が確認できたのは21日午後だった。
 同市民生委員児童委員協議会の近藤俊郎会長は「互いに顔見知りの地域は問題がなかったが、都市化が進んだ地域の状況はつかみきれなかった」という。




3、刈羽村の避難所、20日閉鎖  新潟日報
 中越沖地震で開設された刈羽村の避難所は20日、介助が必要な高齢者らが入る福祉避難所を除いて閉鎖される。閉鎖を翌日に控えた19日は、仮設住宅に荷物を運び出す被災者の姿が見られた。生活再建に向けて一つの区切りを迎えたが、被災者は口々に「苦労はまだまだ続きそう」と厳しい表情を見せた。

 最も多い時期で6避難所に791人を数えた避難者は、同日現在で4避難所の32人にまで減った。
 同日午後4時ごろの刈羽村第2体育館。運び出した布団や衣類を軽トラックに積み込む被災者の姿があった。
 親類の手を借りて夫の政広さん(85)とともに“引っ越し”作業をした同村刈羽、無職佐藤キセさん(79)は、避難所暮らしを「食事や風呂を用意してもらってありがたかったが、暑いのが大変だった」と振り返った。
 新たな生活が始まることになるが、「仮設暮らしはいつまで続くのか…」と不安そうな表情を浮かべた。
 生涯学習センター「ラピカ」で荷造りをしていた70代女性は、仮設入居が決まり「ここから出られることは一つの区切り」とほっとした表情を浮かべる一方、独り暮らしであることから「(仮設入居期限の)2年後の先行きが見えない」と嘆く。
 高町地区集会場に避難していた同村正明寺、無職小黒武美さん(63)は「(避難生活では)多くの人々に助けてもらった」と涙を浮かべた。しかし、今後の話題になると一転厳しい表情に。「全壊した家屋の解体も手つかずのまま。自宅周辺の地盤も傷みがあるようだ」などと唇をかんだ。
 ラピカから修復した自宅に戻る同村十日市の60代女性は、仮設に入居する人たちに「これからの冬が大変」と気遣った。
 同村に隣接する柏崎市では19日現在、27カ所に371人が避難している。
【写真】20日の閉鎖を知らせる張り紙がされた避難所。数人のボランティアが最後の夕食を提供する準備をしていた=19日午後5時半すぎ、刈羽村第2体育館
2007年08月20日


4、柏崎で避難指示区域の地盤調査  新潟日報
 柏崎市は20日までに、中越沖地震による地盤被害のため避難勧告、指示を出した地域とその周辺宅地で地盤調査を始めた。砂地盤の液状化や盛り土造成地の地滑りのため、広範囲で被災した地域が対象。民有地を行政が調査するのは異例だが、「個人の力では対象が広すぎる」として実施する。
 調査は同市の山本、番神、西本町から西港町、西山町中央台の4地域とその周辺で行う。県データも活用し、市が地質や地下水の状況をボーリング調査。分析結果がまとまり次第住民説明会を開き、地下水の水抜き工法や地盤に支柱を打って地滑りを押さえるアンカー工法などの対策方法を提示する。
 ただし現行制度では民有地での復旧工事への公的支援はできず、同市と刈羽村、出雲崎町の3首長は国、県に支援を要望している。
 一方、同市と同様に液状化被害が多発した刈羽村は、「地盤調査の予定はない」としている。
新潟日報2007年8月20日


2007年08月19日(日) 中越沖地震の記録 (39)


1、放射能漏れ公表遅れを批判、柏崎刈羽原発でIAEA  朝日新聞
2、住宅被災度の再調査始まる 中越沖地震  朝日新聞
3、炉内点検、1基だけで年内いっぱい 柏崎刈羽原発  朝日新聞
4、柏崎刈羽原発:IAEA「情報は迅速に公表されるべき」  毎日新聞
5、柏崎刈羽原発:地震被害1948件に  毎日新聞
6、中越沖地震で浮いた古木が網に、最盛期のマダイ漁ピンチ  読売新聞
7、罹災証明に不満相次ぐ、300人以上再調査を申請  読売新聞
8、柏崎刈羽と福島第1・第2、東電が活断層を再調査へ
9、刈羽 住宅半壊以上44.3% 柏崎の4倍弱  新潟日報
10、地震から1カ月 柏崎1000人仮設へ   新潟日報


1、放射能漏れ公表遅れを批判、柏崎刈羽原発でIAEA  朝日新聞
2007年08月18日12時00分
 国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査結果をまとめた報告書を日本政府に提出、公表した。報告書は、今回の地震によって得られた教訓を生かし、原発の安全性を再評価する必要性を強調。特に周囲の活断層が原発に与える影響について慎重に検討するよう求めた。調査団長のフィリップ・ジャメ原子力施設安全部長は記者会見で、今後必要なデータが集まれば、最終評価のために、改めて現地を訪れる意向を示した。
 「予備的な調査結果および教訓」と題した報告書は「原子炉は安全に停止し、目に見える深刻な損傷はなかった」とし、緊急時の安全機能が正常に働き、被害は予想を下回るものだったとしている。だが一方で、時間的制約から施設を歩いて見て回る程度の限られた現地調査だったと指摘。最終的な結論は、なお今後の詳細な調査結果を待つ必要があるという。
 特に報告書は、今回の地震の教訓や新たな基準や方法をもとに、原発の安全性の再評価が必要になると指摘。現時点で顕在化していない亀裂やゆがみなどが長期的に運転に支障を与える可能性について警告した。また周辺の活断層について、原発直下に及んでいないか、特に注意して調査する必要があるとした。会見に出席した調査団メンバーは「原子炉の安全運転に影響を与えるような活断層があるかどうかを慎重に見きわめるべきだ」と述べた。
 また原子炉圧力容器や炉心、核燃料など、原発の安全にかかわる核心部分についての、東京電力や国の詳細な調査はまだ最終結論が出ていないことを指摘。事故の際に、安全機能が正常に作動するか、施設の老朽化が予想以上に進んでいないかなどについても、運転再開前に検査・分析する必要があるとした。
 微量の放射能を含んだ水が海に排出された事実の報告が遅れたことについては、「たとえ重大な放射能漏れでなくとも、情報伝達はより迅速に行われるべきだった」と批判した。消火設備の不備も指摘された。
 ジャメ調査団長は、原発の再開時期について、詳細な調査・分析に必要な時間や現場の状況から、「1年以上かかる」との見通しを示した。



2、住宅被災度の再調査始まる 中越沖地震  朝日新聞
2007年08月18日10時22分
 新潟県中越沖地震で大きな被害が出た柏崎市で18日朝、住宅の被災度に関する再調査が始まった。市は今月10日までに市内の建物約6万棟の調査を終了。17日から被災度を公的に証明する「罹災(りさい)証明書」の発行を始める一方、判定を不服とする人を対象に再調査の申請も受け付け始めたところ、初日だけで403人から申し込みがあった。


家屋の被害状況を調べる調査員ら=18日午前、新潟県柏崎市西港町で
 罹災証明書は、被災度を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」または「被害なし」に区分する。市は仮設住宅の入居対象者を「半壊」以上に限ったため、「一部損壊」以下とみなされて仮設に入居できなかった被災者から再調査を求める声が相次いだ。

 同市西港町の主婦金子道子さん(79)も自宅の被災が激しく、いまだに避難所暮らしを余儀なくされているが、仮設には入居できなかった。「市はしっかり調べてほしい」と18日の再調査を見守った



3、炉内点検、1基だけで年内いっぱい 柏崎刈羽原発  朝日新聞
2007年08月18日02時37分
 東京電力は17日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の原子炉の点検について、最初の1基で年内いっぱいかかる見通しを明らかにした。ほかの6基の点検終了時期は未定という。故障があれば修理に時間がかかる。数年かかるとされてきた運転再開は、さらに遅れそうだ。
 地震時に検査中で、原子炉圧力容器のふたが開き核燃料も取り出されていた1号機を優先する。
 21日からまず、原子炉内に水中カメラを入れ、上半分について、燃料集合体を支える上部格子板がずれていないか、中性子を測る局所出力領域モニターが外れたりしていないかなどを5日間にわたって点検する。その後、炉内機器を取り外すための天井クレーンの安全性を確認したうえで、9月中旬から再度全体的な点検に入る。
 並行して7号機の点検にも着手するが、原子炉圧力容器のふたを開けたり燃料を取り外したりする機器の点検に10月下旬までかかり、炉内点検はその後になる見通し。
 東電はまた、今回の地震を踏まえて、海域(原発の沖合50キロ、海岸線と並行して150キロ)、原発から半径30キロの陸域と長岡平野西縁断層帯のある一帯の地質調査をすることを明らかにした。
 東電は「今回地震を引き起こした断層に加え、ほかにも断層がないか調べて原発の安全性への影響を調べる」としている。



4、柏崎刈羽原発:IAEA「情報は迅速に公表されるべき」  毎日新聞
 【ウィーン会川晴之】国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の調査報告書を発表した。耐震設計上の想定を上回る地震発生にもかかわらず、運転中の原子炉が安全に緊急停止したほか、「見た目では損傷がない」(ジャメ調査団長)など、予想より損傷が少なかったとの結論を出した。一方で、放射能を含む水が漏れていたことを国などに報告するのが遅れたことについて「情報はより迅速に公表されるべきだった」と指摘した。
 報告書では、地震の発生が午前10時13分だったが、原発6号機から放射能を含む水が漏れていたことを政府などに報告したのが午後6時52分だったと指摘。「重大な漏れでなかった場合であっても、緊急機関に指針を与えるために、国などへのできるだけ速やかな報告が重要」とした。
 会見した調査団長のジャメ原子力施設安全部長は、経済産業省原子力安全・保安院が進める調査を引き続き見守る姿勢を示すとともに、運転再開には「数カ月以上かかる」との見通しを示した。ただ、地震によるクレーンの損傷で、原子炉圧力容器のふたを開けられず内部調査が進まない原子炉もあるほか、今後の調査の結果次第では、機器の交換が必要となる可能性もある。このため、IAEA内では「7基すべてが運転を再開するには1年半〜2年程度かかる可能性もある」と分析する声もある。
毎日新聞 2007年8月18日 11時48分 (最終更新時間 8月18日 11時57分)



5、柏崎刈羽原発:地震被害1948件に  毎日新聞
 東京電力は17日、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の被害が、8日までの確認分で1948件に達したと発表した。
 7月末までに確認された被害は1478件で、8月になって470件増えた。内訳は、機械の破損・変形163件、建物のひびなど162件、水漏れ71件など。新たな放射能漏れや、法令で報告が義務づけられた故障は確認されていないという。ただ、重要機器が集中する原子炉本体(圧力容器)の内部は未点検で、この数字に含まれていない。
 また、同社は同原発1号機の圧力容器の内部点検を、21日から始めることを明らかにした。1号機は地震発生時に核燃料が入っておらず容器のふたが開いていた。25日までに、水で満たされた容器のほぼ上半分を水中カメラなどで調べる。終わるのは12月の見通し。
 1号機以外は、ふたが閉まっており、開けるのに必要なクレーンの点検などに時間がかかる。7号機のふたを10月に開ける予定だが、同原発の原子炉全7基の点検が終わるめどはないという。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月17日 21時14分



6、中越沖地震で浮いた古木が網に、最盛期のマダイ漁ピンチ  読売新聞
 新潟県中越沖地震で、県内有数の漁港・出雲崎港(出雲崎町)沖の海底から大量の古木が浮かび上がり、最盛期のマダイ漁に大きな影響が出ている。
 地元漁協は県の委託を受け、これまでに約100トンの古木を回収したが、「取っても取っても、きりがない」と困惑している。
 出雲崎漁協組合長の坂下甚十郎さん(69)が異変に気づいたのは、地震発生から3日後の7月19日未明。「またやるぞ」と気持ちを切り替え、船に乗り込んだが、数時間後、簡単に揚がるはずの網が異様に重い。弟と二男と力を合わせて引き揚げたところ、大量の古木がかかっていた。55年間の漁師歴で初めてだった。
 新潟大の立石雅昭教授(地質学専攻)らの調査によると、古木は3000〜6000年前のヒノキやブナ、ミズナラなど。直径30〜40センチ、長さ1メートル前後の丸太が多い。地上の液状化現象と同様に、海底でも砂が噴き出すなどし、泥の中から古木が浮かんできたとみられるという。
 出雲崎港の沖合6〜7キロはマダイの好漁場。しかし、地震後は古木がかかって漁網が傷ついたり、一緒にかかった魚が傷ついたりする被害が続出。県水産海洋研究所によると、出雲崎港沖では例年、最盛期の7〜8月に15〜20トンの水揚げがあるが、今シーズンは「4割近く」(坂下さん)に減っているという。出雲崎、柏崎両漁協では8月に入って週2日を禁漁にして古木の回収にあたっている。
 さらに、近くにある柏崎刈羽原発のトラブルによる風評被害も重なり、地震後に魚の値段は約1割下がった。出雲崎町で鮮魚店を営む男性(64)は「高校を卒業してからこの仕事をしているが、こんなに売れないのは初めて」と唇をかむ。
(2007年8月18日14時33分 読売新聞)



7、罹災証明に不満相次ぐ、300人以上再調査を申請  読売新聞
 新潟県中越沖地震の被災地、柏崎市で17日に始まった「罹災(りさい)証明」の交付には、初日の締め切りの午後5時15分までに約1150人が訪れ、このうち300人以上が認定を不服として、再調査を申請した。
 このため、交付作業は午後10時半ごろまで続いた。
 罹災証明は住宅の被害を「全壊」から「一部損壊」までの4段階に区分。被災者生活再建支援法に基づく支援金の額に影響するほか、「半壊」以上が仮設住宅の入居条件になっており、入居を認められなかった人から不満を訴える声が相次いだ。
(2007年8月17日23時3分 読売新聞)



8、柏崎刈羽と福島第1・第2、東電が活断層を再調査へ
 東京電力は17日、柏崎刈羽(新潟県)と福島第1、同第2(福島県)の3原子力発電所周辺の陸域と海域について、活断層の調査をやり直すと発表した。
 東電はすでに、柏崎刈羽原発周辺の海域の再調査を決めていたが、それだけでは不十分だと判断した。新たな活断層が見つかった場合は、原発の耐震性を再評価することになる。
 3原発とも設計前の段階で周辺の活断層を調べ、起きうる地震を考慮して建設されたはずだった。また、昨年秋に原発の耐震指針が改定されたのを受け、原発を中心に半径5キロの範囲を再調査していた。
 しかし、新潟県中越沖地震は未知の海底活断層で発生。震源から直線距離で16キロの地点にある柏崎刈羽原発は想定外の大きな揺れに見舞われ、火災が発生したり、機器や建物の損傷が相次ぐなどした。このため東電は、周辺の地質調査を抜本的にやり直すことにした。
 調査範囲は、柏崎刈羽が<1>原発を中心に半径30キロの陸域<2>「長岡平野西縁(せいえん)断層帯」の地域<3>海岸線方向に約140キロ、沖合方向に約50キロの海域。福島は<1>第1、第2の両原発を中心に半径30キロの陸域<2>「双葉断層」の地域<3>海岸線方向に約80キロ、沖合方向に約30キロの海域。
 陸域は人工的に振動を起こし、海域は船から音波を出すなどして、それぞれ地下の構造を調べる。設計段階では深さ0・5〜1キロ程度しか調べていなかったが、今回深さ3キロの範囲で断層の有無を確認する。
 柏崎刈羽原発周辺の海域は今月末から、陸域は来月上旬から、福島原発周辺は12月上旬から調査を始める。
(2007年8月17日20時40分 読売新聞)



9、刈羽 住宅半壊以上44.3% 柏崎の4倍弱  新潟日報
中越沖地震で半壊以上の被害を受けた住宅の割合が刈羽村で44・3%に上り、柏崎市(10・8%)の4倍以上に達していたことが16日、同市などが行った住宅被害調査で分かった。同市の行政区ごとの被害状況と比べても刈羽村が突出しており、中越地震に続いて大きな被害を受けた同村の住民からは「地盤が悪いから仕方ない」とあきらめの声も漏れている。

 同村は中越沖地震後、村内の全住宅1324棟の被害を外観と屋内から調査。全体の12・2%に当たる162棟を「全壊」、131棟(9・9%)を「大規模半壊」、294棟(22・2%)を「半壊」と判定した。赤田町方、大塚、枯木の3集落では住宅半壊以上が7割に達し、村全体の住宅被害額は120億円を超えた。

 同村は2004年の中越地震で約59億円の住宅被害が発生したほか、今年3月の能登半島地震では震度5弱を観測、震源に近い糸魚川市や上越市の震度4を上回った。同村総務課は度重なる地震被害の背景を「植物が腐ってたい積した層が広がり、地盤が軟弱なことも一因」と説明する。

 同村刈羽の無職、山本健二さん(71)は「村はどこも昔は湿地帯。地盤がいい所なんてないよ」とやりきれない表情。自宅が傾いた同村十日市の会社員、高桑儀実さん(57)も「自分の家の地盤は、まだましだと思っていたが…」と途方に暮れる。

 一方、柏崎市は既に市内ほぼ全域の住宅2万8589棟の外観調査を終え、全壊は789棟(2・8%)、大規模半壊は318棟(1・1%)、半壊は1976棟(6・9%)だった。

 地区別にみると、刈羽村に近い同市北東部の中通、西山町、北鯖石の3地区で半壊以上が20%台だったが、同市南西部の上条・黒姫地区では1%未満だった。

 柏崎市と刈羽村は17日から、住宅被害調査に基づき保育料の減免などに必要な「り災証明書」を発行。同市は結果に納得できない人を対象に18日から家屋内の2次調査を行う。

中越沖地震で大きく崩れ、ブルーシートが張られた家や土蔵が並ぶ集落、刈羽村全体では半壊以上の住宅被害が4割を超えた=16日午後4時半すぎ、同村刈羽

2007年08月17日



10、地震から1カ月 柏崎1000人仮設へ   新潟日報
 中越沖地震発生から16日で1カ月。被害が大きい柏崎市や出雲崎町、刈羽村でも仮設住宅への入居が始まった。一方で仮設に入れず借家住まいを選んだ人や、地盤が崩れて我が家の再建に手を付けられない人もいる。家族の団らんが1日も早く戻ることが被災者共通の願いであり、今後の大きな課題になっている。
 柏崎市西山町別山の避難所で生活する介護職員小玉美代子さん(37)は「夜仕事から帰ると、消灯までに急いでご飯を食べてお風呂に入る。子どもとゆっくり向き合う時間はない」と漏らす。
 自宅は一部損壊。長岡市で仮住まいを続ける夫と離れ、「この土地を離れたくない」という子ども2人と柏崎市に残った。仮設住宅には入れず、自宅近くに家を借り、今月中に引っ越す予定だ。美代子さんは「家族がそろったらみんなでご飯を食べようね」と長女に話し掛けた。
 同市西山町中央台で夫と暮らす山田久恵さん(65)は、傾いた家の下に何本も走る亀裂を指さした。22年前、当時の西山町が造成した団地の土地を買い自宅を構えた。亀裂は広がり、家屋の傾きは増している。倒壊の恐れがある家屋は団地の45棟のうち11棟に上る。
 夫の義行さん(72)は行政に団地全体の斜面にあるコンクリートの壁を早急に直してほしいと訴えているが、「時間がたつほど、団地での生活をあきらめる人が増えそうだ」と語る。
 自宅が地震で倒壊し、両足が不自由な夫(88)と柏崎小学校の福祉避難所に身を寄せる同市の女性(82)は「夫は物忘れがひどくなり、私も避難所生活で足腰が弱くなった」と肩を落とす。手すりなしでは歩けない夫のトイレや風呂の介助を1人でこなしており、今後の介護生活に強い不安を抱いていた。
2007年08月17日

2007年08月18日(土) 中越沖地震の記録 (38)

1、中越沖地震の被災地、復興へ歩む 罹災証明発行開始へ  朝日新聞 
2、中越沖地震の支援金申請、写真で可能に…罹災証明発行前に  読売新聞
3、新潟女将の会などが特産品安全性PR 首相も舌鼓  朝日新聞
4、中越沖地震:刈羽村の被害総額、208億5800万円に  毎日新聞
5、中越沖地震:市や村の職員、過労相次ぐ 医師派遣しケア 毎日新聞
6、「仕事ない」募る不安、原発停止が影響…中越沖地震1か月   読売新聞
7、被災地給水支援の護衛艦公開  新潟日報
8、柏崎市でり災証明発行始まる  新潟日報
9、避難所に取り残されて 新潟日報




1、中越沖地震の被災地、復興へ歩む 罹災証明発行開始へ  朝日新聞  
2007年08月17日00時32分

 発生から1カ月が過ぎた新潟県中越沖地震の被災地では、現在でも600人が避難所生活を強いられている。地震の傷は今も深いが、仮設住宅の入居が本格化し、被災地は復興へ向けて少しずつ歩み始めている。


「和也がいてくれるから、ばあちゃんもう少し長生きしていいかい」と千代さんは話しかけた=新潟県柏崎市上田尻で
避難所で輪になって体操をするお年寄り=柏崎市立第三中で
 今年6月、柏崎にUターン就職した前沢和也さん(28)は、7月の地震で自宅が全壊した。祖母の千代さん(75)が倉庫の下敷きになり、やっとの思いで助け出した。それから1カ月。千代さんは避難所で、和也さんと両親は、片づけをするため、倒壊を免れた自宅の蔵に寝泊まりした。

 お盆の墓参りで、がれきの残る自宅を訪れた千代さんは、和也さんの手をとり「もう少し長生きしていいかい」と話しかけた。16日には家族全員が仮設住宅に移った。自宅再建のめどはまだ立っていない。

 いまだ、約30人が避難生活をする柏崎市立第三中学。お年寄りの日課は、朝夕2回の体操だ。2畳分のマットに車座になり、保健師の指導で足の先から首まで30分ほどかけて体をほぐす。避難生活の長期化と、連日の猛暑で、外に出る機会も減った。

 「体操とご近所さんとのお話が励みになります」と小林トキさん(87)は話す。

 柏崎市では17日から、さまざまな被災者支援制度を使うために欠かせない「罹災(りさい)証明」の発行が始まり、生活再建へ向けた動きが本格化する。地震による休校で授業が遅れている小中学校では、早いところで22日から授業を再開する。



2、中越沖地震の支援金申請、写真で可能に…罹災証明発行前に  読売新聞
 内閣府は、罹災(りさい)証明の発行前でも、写真で住宅の被害状況がわかる場合は、被災者生活再建支援法に基づく支援金の概算支給申請を受け付けることを決めた。
 被災者生活再建支援制度の弾力的運用の一つ。新潟県中越沖地震の被災者支援に適用できるよう、すでに各都道府県に通知した。
 通知では、罹災証明書を受けるまでに日数がかかることを考慮。被災者の早期の生活再建を後押しするため、一見して住宅の倒壊がわかる写真があれば申請を受け付けるよう求めている。従来は、所得証明、本人確認のための住民票などと、罹災証明書を添付しなければ申請できなかった。
 同制度は、住宅が全壊または大規模半壊した世帯に、300万円を上限に生活必需品の購入費や被災住宅の解体・撤去などの支援金が支払われる。阪神大震災を教訓に制度化され、2004年に支援金が上乗せされるなど拡充された。
(2007年8月16日3時17分 読売新聞)



3、新潟女将の会などが特産品安全性PR 首相も舌鼓  朝日新聞
2007年08月16日19時13分
 新潟県中越沖地震の影響による風評被害を食い止めようと、同県観光協会の高橋正会長や新潟女将(おかみ)の会の飯田美紀子会長らが16日、首相官邸で安倍首相に地元特産品を手渡して安全性をPRした。首相はナスに舌鼓を打って「国民の皆さんに正しい情報を出したい」と応じた。
 同県内では、柏崎刈羽原発のトラブルによる風評被害で観光シーズンの9、10月の宿泊予約も例年の3割にとどまっているという。高橋会長が「さらにご尽力を」と要請し、飯田さんが地元特産のコシヒカリや十全ナス、日本酒を渡した。



4、中越沖地震:刈羽村の被害総額、208億5800万円に  毎日新聞
 新潟県中越沖地震で被災した刈羽村は16日、15日現在の被害総額が約208億5800万円に上り、04年10月の中越地震の被害額(112億8100万円)を大幅に上回った、と発表した。
 同村災害対策本部によると、被害額の最大は住宅関係の約123億円で、中越地震(約59億円)の2倍以上に達した。続いて、下水道27億3000万円▽河川12億6300万円▽村道3億4500万円−−などだった。【戸上文恵】
毎日新聞 2007年8月16日 19時08分



5、中越沖地震:市や村の職員、過労相次ぐ 医師派遣しケア 毎日新聞
 新潟県中越沖地震の対応に当たってきた刈羽村で、全職員87人のうち半数以上が「夜、眠りが浅い」などと体調不良を訴えていることが分かった。同様に被害が集中した柏崎市でも8人が体調不良を訴えており、今月下旬をめどに内科医の検診を始める予定だ。職員の中には自ら被災した人も多く、両市村は地震発生から1カ月が経過する中で職員の疲労が蓄積していることを重視。今後、長期の復興施策に当たるために職員のケアに乗り出す。【五十嵐和大】

 今回の地震で、同市で8人、同村で1人が体調不良を職場で自己申告した。このため、同村は今月6日〜9日、全職員を対象に保健師による健康相談を実施。半数以上が「イライラする」などと心理面での不調を訴えた。このうち、10人以上が「医師の診察が必要」という判断だった。

 一方、同市も自己申告した以外に体調を崩している職員がいる可能性があることから、県市町村職員共済組合を通じて内科医の派遣を要請することにした。

 同市によると地震発生時、職員1079人のうち、負傷者や休暇で旅行中だった人などを除き、約8割が1時間以内に登庁。県などの応援職員が到着する翌日まで、避難所での夜勤などを市職員だけで対応した。その後も、災害対策本部に詰めた職員の中には7月中、2日に1回のペースで泊り込む者もいた。また、水道、ガスの復旧工事に当たったガス水道局職員はほぼ全員が、今も休みが取れない状況が続いているという。

 一方、職員自身の被災では、先月16日の地震当日に同市19人、同村6人が何らかの負傷をした。この中には業務中のけがも含まれているという。大半は軽い打撲や転倒で業務に支障はなかったが、同市では倒壊した自宅の下敷きになるなどした3人が今も県内の長岡市などの病院に入院している。

 04年の中越地震では、発生約2カ月後に交通事故で亡くなった旧山古志村の男性職員(当時32歳)を、新潟県が復興業務による過労が原因の関連死と認定している。

 職員の健康相談を担当する同市の担当者は「復興までは息の長い取り組みが必要になる。中越地震では初動時に復旧対策に当たった職員が数カ月後に疲弊して長期休暇に追い込まれたケースもあった。今後も必要に応じて、他の自治体から職員の応援を仰ぎたい」と話している。

毎日新聞 2007年8月16日 15時00分



6、「仕事ない」募る不安、原発停止が影響…中越沖地震1か月   読売新聞
 新潟県中越沖地震から16日で1か月が過ぎた。柏崎市や刈羽村では復興が進む一方、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の運転再開のめどが立たないなど雇用不安が広がっている。
 県やハローワーク柏崎は、今月中にも緊急協議会を開き、対応を急ぐ考えだ。
 原発関連の従業員は、東電約1000人、協力企業は約4000人。このうち6割は柏崎市と刈羽村の住民だ。
 原発構内では震災後も協力企業の従業員約2200人が働くが、約150人の自宅待機者も出ている。東電側は「雇用不安は一時的」というが、ハローワークには「解雇されそうだ」などの相談が8件寄せられている。
 地震後、契約を打ち切られた協力企業の男性契約社員(41)は自宅が全壊し、母親と仮設住宅で暮らす。会社は、孫請けよりさらに下の“ひ孫請け”に当たる零細で、社長自身も仕事がなく、「バイトを探さなくてはならない」と嘆く。
 同村最大のショッピングセンター「PLANT―5刈羽店」(本社・福井県)は施設の一部が壊れたまま、営業を続ける。ただ、修理には新築するほどの費用がかかるといい、9月20日の閉店を決めた。166人いるパートは全員解雇される。自宅改築のローンを抱える女性(63)は「年齢の問題もあり、ほかに働く先はない」と頭を抱える。
 ハローワーク柏崎の特別相談窓口には15日現在、事業所から従業員の解雇などに関する相談が49件あり、労働者からも76件の相談が寄せられている。
(2007年8月17日3時3分 読売新聞)



7、被災地給水支援の護衛艦公開
 中越沖地震発生以降、柏崎市で入浴支援などを行ってきた海上自衛隊の護衛艦「みねゆき」が17日、停泊する柏崎港で同日夕の帰港を前に一般公開された。訪れた市民は「支援してくれてありがとう」と乗組員に感謝の言葉を掛けていた。

 同艦は震災当日から同港で支援活動を開始。給水をはじめ、港には仮設風呂も設置した。同艦など海上自衛隊は17日までに約5000トンの給水を行い、約9000人が仮設風呂を利用した。

 この日の公開は、同艦が所属する舞鶴港(京都府)へ帰港するのに合わせて行われた。市民1000人以上が甲板で護衛艦の装備を見学し、乗組員と記念撮影をするなどした。

 柏崎市城東のパート従業員、横田照子さん(62)は「仮設風呂を何度か利用させてもらった。お湯がいっぱいで皆さんにも親切にしてもらいありがたかったです。言葉を掛けるのは苦手なので、お辞儀をしてお礼をしました」と照れくさそうに話していた。
新潟日報2007年8月17日



8、柏崎市でり災証明発行始まる
 中越沖地震で住宅の約1割が半壊以上の被害を受けた柏崎市で17日、り災証明書の発行が始まった。同市学校町のソフィアセンターには、証明書を求める市民が大勢詰め掛け、結果を不服として再調査(内部調査)を求める人が相次いだ。

 証明書発行では、混雑を避けるために整理券を配布。1時間ごとに時間を区切って行われた。午前8時半の開場前には約100人が並び、午前10時すぎには午後2時からの受け付けとなる500番台の整理券が配られた。

 一方、再調査の相談窓口には、午前10時までに市民60人以上が訪れ、18日から始まる再調査を予約していた。午前5時半から並んだという同市曾地の主婦(60)は、避難所生活で体調を崩し、額に冷却剤をはった姿。「一部損壊といわれ、目の前が真っ暗になった。半壊以上になってほしい」と再調査に期待する。

 一部損壊の判定で仮設住宅入居を断られたという同市谷根の自営業男性(49)は「家の内部は壁が崩れて空が見える」。納得がいくまで市と話し合うとしていた。

 刈羽村でも同日、り災証明書の発行が始まったほか、長岡市、上越市、出雲崎町などでは随時発行している。
新潟日報2007年8月17日



9、避難所に取り残されて 新潟日報
 中越沖地震から1カ月がすぎ、柏崎市では仮設住宅への入居が急ピッチで進んでいる。17日は避難者が減ったことで10の避難所が閉鎖された。一方、自宅が被災したものの仮設住宅に入れない被災者は、「いつまで避難所にいればいいのか…」と不安を募らせている。

 約30人が避難所生活を送る同市新赤坂1の市立第三中学校。大半は8月末までに、番神地区の仮設住宅に入居する。

 しかし、村山百々さん(84)は入居基準となる罹(り)災証明が「半壊」以上でなかったため、今のところ入れない。「仮設ならば、2年の猶予があり、将来を考える時間が生まれる」との思惑が外れた。

 今後、仮設住宅への引っ越しが進むにつれ、避難所から人は減っていく。「一人になるかもしれない」「学校が再開したら、どうなるのか」。心配は尽きない。長男(54)は同日、市に被害状況の再調査を申し立てた。「ぜひ、仮設に入りたい」。心から願っている。

 比角コミュニティセンター(同市比角2)に身を寄せる吉野一郎さん(57)も事情は同じ。母(86)と一緒に仮設入居を心待ちにしていたが、「入れないと分かり、疲れが倍になった」とこぼす。

 大洲コミュニティセンター(同市赤坂)に避難する桐山ミチさん(72)は「あまり自宅の被害もなく、そろそろ避難所を出ようと思っていた」という。

 ところが16日、大規模な補修工事をしなければ住めないと損害保険業者に指摘された。「このままでも住めると思っていたので、仮設には申し込んでいなかった」。桐山さんは肩を落とした。

 市は避難所に残った人の要望や現状を把握するため、17日から聞き取り調査を始めた。山田信行・市民生活部長は「本当に困っている人については、一部損壊でも仮設に入れるよう配慮したい」と、弾力的に入居基準を運用する考えを示した。
新潟日報2007年8月17日

2007年08月17日(金) 中越沖地震の記録 (37)

1、超音波探傷試験盛り込む方針 新潟日報
2、避難生活、住宅の再建が課題  新潟日報
3、中越沖地震から1カ月 けが回復し、孫と再び童謡歌えた  朝日新聞
4、潟県中越沖地震から1カ月 復興への道半ば  朝日新聞
5、中越沖地震の支援金申請、写真で可能に…罹災証明発行前に  毎日新聞
6、仮設住宅暮らし、4割が孤立へ不安…入居予定者へ読売調査


1、超音波探傷試験盛り込む方針 新潟日報
東京電力柏崎刈羽原発の高橋明男所長は15日、中越沖地震から1カ月となるのを前に同原発で記者会見し、同原発の詳細点検計画には、配管の超音波探傷試験や分解点検を盛り込む方針を示した。運転再開時期について「これから詳細点検していく段階。まだお答えできる時期にない」と語った。

 高橋所長は地震発生以降の反省点について「一番は何と言っても(3号機変圧器の)火災。原子炉の安全と直接かかわらなくてもみなさん心配されるわけで、広報活動を含めてしっかりケアしていけばよかった」と述べた。

 また、自宅待機となっている協力企業の作業員数が今月上旬の段階で約150人いるとした上で、16日以降に点検作業などが入るため8月末をめどに待機が解消されるとの見通しを示した。

 一方、東電は15日、6号機原子炉建屋のオペレーション(作業)フロアなど同原発の施設内を報道陣に公開した。

 6号機の作業フロアでは、担当者が破損した天井クレーンの点検状況などを説明。3号機の火災現場は変圧器が黒く焦げたままになっていたほか、地盤沈下によって変圧器土台を囲むコンクリートには亀裂が走っていた。

新潟日報2007年8月15日



2、避難生活、住宅の再建が課題  新潟日報
 中越沖地震から16日で1カ月。死者11人、負傷者は約2000人、家屋損壊は約3万8500棟に上った。柏崎市など被災地では仮設住宅への入居も始まり、応急対応から復旧・復興に重点が移りつつあるが、600人以上が依然として避難生活を継続。多くの被災者にとっては住宅再建が最大の課題となっている。

 県は柏崎市と刈羽村、出雲崎町で計1182戸の仮設住宅を建設しており、今月末にはすべて入居可能となる見通し。13日に柏崎市と出雲崎町で、15日には刈羽村で入居が始まった。16日には同市で第2陣となる17カ所計509戸で引っ越しが行われる。

 仮設に入居した被災者からは「家族水入らずで過ごせる」などの声が出ている一方、住宅再建については「資金のめどが全く付いていない」「高齢なのでお金を貸してもらえるのか心配」といった切実な訴えが相次いでいる。

 ライフラインは都市ガスが一部地域で未復旧。被災した東京電力柏崎刈羽原発の運転再開の見通しは全く立たない状況が続いている。

 中越沖地震では最大で約1万2500人が避難所生活を強いられた。泉田裕彦知事は地震発生から1カ月に当たり「被災者の生活再建に向けた差が生じる時期。『取り残され感』をなくすことは重要な課題だ。原子力発電との向き合い方も課題。力を合わせ『ふるさと再建』へ歩んでいきたい」とのコメントを発表した。
新潟日報2007年8月15日


3、中越沖地震から1カ月 けが回復し、孫と再び童謡歌えた  朝日新聞
2007年08月16日06時36分
 「ぽっぽっぽっ、ハトぽっぽ」。新潟県中越沖地震で、孫と遊んでいた時に落ちてきた瓦に頭を直撃された柏崎市西山町大津の上村重治さん(57)。数日間、死のふちをさまよった後、口ずさんだのは、最愛の孫といつもうたっていた童謡だった。家族の看護のかいもあって、1人で歩けるほどに回復。地震から約1カ月たった15日、入院先の病院でリハビリに励んだ。
 7月16日朝、重治さんと孫の芽瑠(める)ちゃん(2)は、自宅の庭にいた。砂場で遊ぶ芽瑠ちゃんを、重治さんは少し離れたところで眺めていた。
 突然、ドーンと地響きがした。築30年の2階建ての家がきしみを上げ、屋根の瓦が次々と落ちてきた。
 重治さんの妻の君子さん(58)が玄関から飛び出すと、立ったまま泣き叫ぶ芽瑠ちゃんのすぐ横で、重治さんが頭から血を流して倒れていた。
 上村家は4世代7人暮らし。山あいにある50戸の集落で、同居する長女の祥子さん(25)と宏明さん(26)夫妻は唯一の20代夫婦。過疎化が進む山村で、芽瑠ちゃんと萌愛(もあ)ちゃん(4カ月)の姉妹は宝のように大事にされている。瓦が落ちてくる中、芽瑠ちゃんを抱きかかえようとした重治さんに不運が襲ったと見られる。
 携帯電話からも家の電話からも、119番はつながらない。助けを求める家族の大声で駆けつけた近所の人の手を借り、血まみれの重治さんは後部シートを倒したワゴン車にそっと運ばれた。
 宏明さんの運転で、20キロ離れた長岡市の長岡赤十字病院に向かった。峠を越えるカーブで、体を支える君子さんに「痛い」とうめいたのを最後に重治さんの反応がなくなった。路面は地震で波打つ状態。宏明さんは玉のような汗をかきながらハンドルを握りしめた。
 病院には40分ほどで着いた。救急外来の医師は、頭から血を流す患者がワゴン車で運ばれてきたことにまず驚いた。頭蓋骨(ずがいこつ)に直径2センチほどのくぼみと、亀裂があった。血液が脳を圧迫し、医者は「助かるとも助からないとも言えない」と妻に告げた。
 3時間に及んだ手術は成功だった。手術後、重治さんはずっと眠り続けていたが、3日ほどたつと、問いかけに言葉を返すようになった。「ここは病院。いま何歳?」と君子さんが聞くと、答えは35歳だったり、45歳だったり。夜に大きな声で歌い出すことも。
 〈淡い初恋 消えた日は 雨がしとしと 降っていた〉
 森昌子さんの「せんせい」だ。重治さんは自宅にカラオケセットを持つほど歌好きで、この曲は15年以上前によく歌っていた曲だった。
 「汽車汽車シュッポ、シュッポ」「ハトぽっぽ」と口ずさむこともあった。地震の前、いろんな童謡を集めたCDをかけながら芽瑠ちゃんと歌っていた。四つんばいになった重治さんが汽車になり、芽瑠ちゃんが背中に乗る。手をつないで踊ることもよくあった。そんな夢でも見ていたのだろうか。
 地震から2週間後、重治さんの意識が戻り始めた。大部屋の病室に移ったその日、芽瑠ちゃんが訪ねてきた。「芽瑠ちゃん、おいで」と重治さんが手を伸ばすと、芽瑠ちゃんが左手をそっと差し出した。
 枕の上に、「じいちゃん ありがとう」のメッセージが飾られた。守ってくれようとした祖父のために、芽瑠ちゃんが母親の手助けを受けながらサインペンで書いた。重治さんの趣味のゲートボールの絵も描いた。
 そんな思いが通じてか、重治さんは3週間で自力で歩けるようになった。歩くと少しふらつくが、「周りが心配するほどじゃない」と強がるほど元気になった。
 ただ、重治さんには地震直前から2週間ほど後までの記憶がない。芽瑠ちゃんも、「地震」と聞いて首をかしげるほどの年ごろだ。
 「2人の命があることは奇跡だと思う」と話す君子さんは「この1カ月で命の大事さを家族でかみしめた。そのことを2人にもちゃんと伝えたい」。



4、潟県中越沖地震から1カ月 復興への道半ば  朝日新聞
2007年08月16日00時59分

 新潟県中越沖地震は16日、発生から1カ月を迎える。被災地では仮設住宅への入居が始まり、生活は落ち着きを取り戻しつつあるが、避難所48カ所で635人が暮らす。今回の地震による死者は11人。柏崎市は地震発生時刻の午前10時13分、防災行政無線を通じて犠牲者への追悼の祈りを呼びかける。



5、中越沖地震の支援金申請、写真で可能に…罹災証明発行前に  毎日新聞
 内閣府は、罹災(りさい)証明の発行前でも、写真で住宅の被害状況がわかる場合は、被災者生活再建支援法に基づく支援金の概算支給申請を受け付けることを決めた。
 被災者生活再建支援制度の弾力的運用の一つ。新潟県中越沖地震の被災者支援に適用できるよう、すでに各都道府県に通知した。
 通知では、罹災証明書を受けるまでに日数がかかることを考慮。被災者の早期の生活再建を後押しするため、一見して住宅の倒壊がわかる写真があれば申請を受け付けるよう求めている。従来は、所得証明、本人確認のための住民票などと、罹災証明書を添付しなければ申請できなかった。
 同制度は、住宅が全壊または大規模半壊した世帯に、300万円を上限に生活必需品の購入費や被災住宅の解体・撤去などの支援金が支払われる。阪神大震災を教訓に制度化され、2004年に支援金が上乗せされるなど拡充された。
(2007年8月16日3時17分 読売新聞)



6、仮設住宅暮らし、4割が孤立へ不安…入居予定者へ読売調査
新潟県中越沖地震は16日、発生から1か月を迎える。13日から入居が始まった仮設住宅は、今月末までに柏崎市、出雲崎町、刈羽村に計1182戸が建設される。読売新聞は柏崎市と刈羽村の仮設住宅に入居予定の100人に入居にあたっての不安や要望についてアンケートを行った。

 仮設住宅では、入居者の孤立感をどう防ぐかが課題だが、「地域とのつながりを維持できるか」との質問に、35人が「できる」、23人が「多少はできる」と回答。一方で、17人が「余りできない」、5人が「全くできない」、20人は「わからない」とし、不安を感じている人が4割強にのぼっていることがわかった。アンケートは10〜12日、面接実施した。
 アンケートで、地域とのつながりを「維持できる」とした人は、理由として「仮設住宅が自宅に近い」「避難所で一緒で、苦労を理解しあえる」などを挙げた。「できない」とした人は、「隣人が不明」「茶飲みつきあいができるか心配」などとし、仮設住宅での生活不安について、14人が「隣人関係」を挙げた。「隣同士の会話がなくなってしまうのではないか」(74歳男性)と話す人もいた。
 仮設住宅を巡っては、高齢者の「孤独死」が相次いだ1995年1月の阪神大震災を教訓に、2004年10月の中越地震、今年3月の能登半島地震ではもとの居住地区単位での入居を推進。今回も町内会を通じた聞き取りなどで地区ごとの入居に配慮した。しかし、中越、能登半島地震に比べて集中倒壊が少なかったことや、入居希望が便のよい市中心部に集中したため、必ずしも地域単位での仮設入居とはなっていない。
 柏崎市は入居者間の交流のため、20戸以上の仮設住宅に集会所や談話室を設置。20戸未満については、入居者を隣接する町内会へ加入させるよう、町内会への要請を始めた。
(2007年8月16日3時3分 読売新聞)

2007年08月16日(木) 中越沖地震の記録 (36)

1、原発被災「非常に重大」9割 中越沖被災地アンケート   朝日新聞
2、「被害は予想下回る」IAEA、柏崎原発の調査結果発表   朝日新聞
3、仮設住宅が完成、148世帯入居 被災した新潟・刈羽村  朝日新聞
4、中越沖地震:柏崎市の高校生ら、避難所でミニコンサート  毎日新聞
5、原子炉内部の被害は依然不明   毎日新聞
6、柏崎原発の内部を報道陣に公開、天井クレーンいまだ動かず 読売新聞
7、9割が「原発の安全性に疑問」 中越沖地震アンケート  産経新聞
8、刈羽ガス復旧遅れ 本管破損や浸水で難航  産経新聞
9、中越沖地震の被災地に保健師派遣 島根県  産経新聞
10、特報 原発増設凍結解除 交錯するそれぞれの思惑  産経新聞



1、原発被災「非常に重大」9割 中越沖被災地アンケート  朝日新聞
2007年08月15日09時54分
 新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が受けた被害について、被災住民の8割が「非常に重大なこと」と受け止めていることが、民間調査会社による現地調査でわかった。以前は原発に賛成だったのに反対に変わった人も3割おり、安全が確認されるまで再開すべきでないとした人が6割を占めた。トラブルが相次いだ原発への不信の大きさを裏付けた形だ。
 サーベイリサーチセンター(東京都荒川区)などが7月28日から8月3日にかけ、被害が大きかった柏崎市中心部で500人を訪ね、アンケートした。原発を襲った想定外の揺れについて82%、地震後に起きた放射能漏れについて81%、変圧器の火災について76%が「非常に重要なこと」と受け止めていた。
 原発の問題点を複数回答で尋ねたところ、「下に活断層があること」「トラブルが多すぎること」をそれぞれ63%、「東京電力の報告・情報伝達が遅すぎること」を62%が挙げた。
 安全性について「事故後も信頼は変わらない」と答えたのは9%に過ぎなかった。原発への賛否では「賛成だったが、反対する気持ちに変わった」が34%、「賛成に変わりない」は21%。以前から反対の人は39%で、地震を境に賛否が逆転した形になっている。
 複数回答で原発の被災へのとらえ方を聞くと、安全性に疑問を持ち「廃止すべきだ」としたのが27%、「確認されるまで稼働すべきではない」が60%だった。



2.「被害は予想下回る」IAEA、柏崎原発の調査結果発表  朝日新聞
2007年08月15日10時52分
 国際原子力機関(IAEA)は14日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査結果についてプレスリリースを発表、被害は予想を下回るものだったが、地震が原子炉や施設全体に与えた影響については、今後の詳細な調査が必要だとしている。報告書は数日中に公表される。
 IAEAのエルバラダイ事務局長は「調査結果と日本側の分析は、世界中の原発に対し、肯定的な面も、否定的な面も含め、重要な教訓を含む内容だ」と述べた。
 IAEAは現地調査を4日間行い、地震時の記録などを分析。今回の被害は原子炉本体や原子炉の安全に関するシステムに影響を与えない部分に限られていたようだとし、緊急時の安全機能も正常に働いたとの結論に達した。放射能漏れについては、東京電力の記録や分析を調べた結果、健康や環境に影響が出る量をはるかに下回る量だったとする日本側の結論が裏付けられたという。
 この結果、IAEAは「被害は予想を下回るものだった」としている。ただ一方で、IAEA調査団は原子炉内部の状態などを確認しておらず、東京電力、さらに経済産業省原子力安全・保安院が進めている調査や詳細な分析が重要だと指摘。原子炉格納容器、炉心、燃料棒等の精密検査はまだ進行中であるとして、判断を保留した。
 また地震が施設に与えた影響については、施設の一部に、長期的な安全操業に影響がでる可能性もあるとしている。問題となりうる部分については、施設の交換を早めに行う必要があるかどうかを決めるため、今後、追加的な工学的分析を行うことを考慮すべきだとしている。



3、仮設住宅が完成、148世帯入居 被災した新潟・刈羽村  朝日新聞
2007年08月15日20時01分
 新潟県中越沖地震で被災した刈羽村で15日、住まいを失った人たちの仮設住宅200戸が完成し、148世帯515人が入居した。被災者は新たな生活を始める一方、仮設暮らしがいつまで続くのかという不安がつきまとう。仮設住宅の使用は最長2年間。しかし、阪神淡路大震災や中越地震では2年を超えても住み続ける人が相次いだ。長期化する仮設生活から抜け出すには、新たな住まいの再建がいかに早く進むかにかかっている。
 「2年後が心配だ」。柏崎市内の仮設住宅に母(69)と入居した同市西本町3丁目の配管業、田村浩二さん(45)の表情は暗い。借家だった自宅は全壊し、家財道具も失った。公営住宅の入居を申し込んだが空きはない。「仮設にこれだけの人がいるのに、今後空くのだろうか」と話す。
 6人家族で入居予定の刈羽村の女性(45)は、全壊した自宅に通じる道路の一部も川の護岸とともに崩れた。河川や道路の工事が終わらなければ、自宅に手をつけられない。「2年で出られるのかしら。中学生の子の受験勉強もあるのに」
 仮設住宅の使用期間は建築基準法に基づく2年。特別措置法が適用され、使用期限が延長された95年の阪神淡路大震災では、最大4万6617世帯だった入居者がすべて退去したのは5年後の00年1月。2972世帯が入居した04年の中越地震では、3年近くたった今も183世帯が残る。
 仮設生活が長引く最大の理由は、住宅再建が進まないことだ。国の被災者生活再建支援法による最大300万円の援助は、住宅本体の建て替えや補修には使えない。被災者向け公営住宅の完成が遅れたり、大工への注文が集中して工期が遅れたりするケースも多い。
 新潟県は今回の地震で、中越地震と同様、独自の支援制度を創設した。「半壊」以上の世帯に、住宅の新築・補修にも使える最大100万円の補助金を出す。泉田裕彦知事は「地元に偏りがちな大工を、地元以外の業者も利用してもらえるような紹介の仕組みも考えたい」と住宅再建の円滑化を進める考えだ。
 民主党などは、国が見直しを検討している被災者生活再建支援法について、住宅本体への適用や支給額の引き上げなどの改正を求めている。



4、中越沖地震:柏崎市の高校生ら、避難所でミニコンサート  毎日新聞

 新潟県中越沖地震で最も大きな被害を受けた柏崎市で15日、県立柏崎総合高校の生徒らが避難所として使用されている半田コミュニティセンターの被災者らを元気づけようと、ミニコンサートを開いた。
 生徒たちは背中に「負けるものか」とローマ字で書かれた白いTシャツを着て、美空ひばりさんのメロディーや映画音楽などをブラスバンドで披露した。最後は楽器を置いて、全員が起立して童謡の「ふるさと」を合唱した。聞いていた30人ほどの被災者らも一緒に口ずさみ、復興を祈った。
毎日新聞 2007年8月15日 21時19分 (最終更新時間 8月15日 21時33分)



5、原子炉内部の被害は依然不明  毎日新聞
 東京電力は15日、被災した柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)を報道陣に公開した。地震で破損した排気ダクト周辺では足場が組まれるなど修理が進められているが、安全上もっとも重要な原子炉内部の被害状況は依然として判明しておらず、高橋明男所長は「運転再開については議論できる状況ではない」と述べた。
 放射性物質を含んだ水が外部に漏れた6号機では、地震の揺れで使用済み核燃料プールの水があふれた4階の放射線管理区域が初公開された。
 床にあふれた水はふき取られたが、原子炉圧力容器のふたの開閉や燃料の出し入れに使う天井クレーンは壊れたままで、破損部は白いシートに覆われていた。
 東電の担当者は「まずクレーンを修理しないと原子炉の中は見られない。時期のめどは立たない」と話した。地震の前に原子炉圧力容器のふたを開けていた1号機は、22日ごろから炉内の状況の点検を始めるという。
 火災が起きた3号機の変圧器では、基礎部分にあるコンクリート製防油堤に、幅10〜20センチの亀裂が変圧器を取り囲むように発生していた。
 高橋所長は「一番の反省点は(3号機の)火災。原子炉の安全停止を一生懸命にやったが、もう少し火災をケアすればよかった。(住民に)ご心配をおかけしてしまった」と、1カ月を振り返った。【西川拓】
毎日新聞 2007年8月15日 20時46分 (最終更新時間 8月15日 21時29分)



6、柏崎原発の内部を報道陣に公開、天井クレーンいまだ動かず  読売新聞
 東京電力は15日、柏崎刈羽原子力発電所6号機の原子炉建屋内部を報道陣に公開した。
 使用済み燃料プールの水があふれた作業フロアは、床面の放射性物質をぬぐう作業が一部で終わり、あふれた水を詰めた袋は片付いていた。しかし、3か所で破損が確認された天井クレーンは動かない状態が続いている。
 1〜5号機で見つかった主排気筒とダクト接続部のずれの点検は9月上旬から始まるが、そのための足場が組まれつつあった。
 詳細な点検計画について、高橋明男所長は「原子炉の安全な停止、被災状況の把握に全力を挙げており話せる状況にない」とした。
 国際原子力機関(IAEA)が14日発表した「損傷は予想を下回った」などとする見解に、高橋所長は「実態をよく見てもらうという姿勢が評価していただけた」と話した。新潟県の泉田裕彦知事も15日、「事実上の安全宣言だ」とし、「風評被害が軽減されることを期待している」と述べた。
(2007年8月15日21時42分 読売新聞)



7、9割が「原発の安全性に疑問」 中越沖地震アンケート   産経新聞
 新潟県中越沖地震の被災者を対象に民間調査会社が実施したアンケートで、「今回のような大地震が起きるとは思わなかった」と83%の人が回答したことが15日、分かった。原子力発電の安全性に疑問を抱いている人は89%にのぼった。
 「サーベイリサーチセンター」(東京都)が7月28日〜8月3日、新潟県柏崎市の住民500人から聞き取り調査した。
 地震への意識についての質問に、「自分の居住地域は安全と思っていた」人は地震前は61%だったが、地震後は19%となった。
 3年前の新潟県中越地震の経験から「そのときは大丈夫だったので今回も大丈夫と思った」と回答した人は76%。中越地震後、「防災対策を進めた」と回答した人は20%にとどまっていた。
 東京電力柏崎刈羽原発に対しては「発電所の下に活断層があることが問題」が63%、「東電の報告や情報伝達が遅い」が62%だった。
 今回の原発事故を受け、60%が「安全性に疑問があり、安全と確認されるまで稼働すべきではない」と回答した。



8、刈羽ガス復旧遅れ 本管破損や浸水で難航 中越沖地震   産経新聞
 新潟県中越沖地震で、柏崎市の都市ガス復旧にメドがついた一方、刈羽村の復旧は遅々として進んでいない。ガスの本管が破損し、水の浸入が著しいためだ。2市村を管轄する同市ガス水道局は18日に復旧の方針を示すが、「来月以降にずれ込む可能性が高い」とみており、村民は不安を募らせている。
 都市ガスは柏崎市と刈羽村の約3000戸の復旧が困難とみられていた。旧柏崎市は14日までで約95%まで進み、今月末までに復旧する見込み。一方、刈羽村は復旧対象戸数約1700戸のうち、約1100戸しか復旧しておらず、復旧率は14日までで約65%にとどまり、同市ガス水道局は「今月中の復旧は難しいだろう」と話す。
 工事を指揮する日本ガス協会によると、村内の県道黒部柏崎線沿いに埋設された本管の破損が激しいという。それに加え、地下水の水位が高く水が管に入りやすい▽道路のアスファルトが厚く、切断しにくい−など複数の要因が重なり、工事が難航している。
 地震発生以来、卓上ガスコンロを使って自宅で調理を続けている同村刈羽の佐藤千恵子さん(72)は「夫婦2人でガスボンベを20本以上使った。暑いうちはお風呂も行水でもいいが、涼しくなってくると困る」と不安を漏らす。
 平成16年の中越地震で自宅が半壊、補修したにもかかわらず今回の地震で全壊した同村刈羽の会社員、遠藤春治さん(53)は「村内にある会社の寮を借りて寝泊まりしているが、ここもガスが使えず食事は弁当かインスタント食品ばかり。早く使えるようになってほしい」と祈るように話した。
 同協会は、家屋が倒壊し掘削用重機が進入できない場合は別ルートからガス管を配管する▽水が抜けない場合は新たにガス管を埋設する−などの打開策を検討し、18日に方針を示す。同協会は「災害復旧でこのような対応は珍しいケース。1日も早い復旧を目指す」と話している。
(2007/08/15 02:21)



9、中越沖地震の被災地に保健師派遣 島根県
 新潟県中越沖地震の被災地に保健師を派遣 島根県は、新潟県中越沖地震の被災者支援にあたる保健師2人と事務職員1人を現地に派遣、13日から活動を始めた。来月2日まで滞在し、柏崎市内で被災・避難者の健康相談や健康チェックなどを行う。県は今後、1班当り保健師2人の4班8人を被災地に派遣する方針。
(2007/08/14 02:40)


10、特報 原発増設凍結解除 交錯するそれぞれの思惑  産経新聞
 東京電力による原発のトラブル隠しが発覚した平成14年以降、福島県双葉町にある福島第1原発7、8号機の増設を凍結していた双葉町議会が今年6月、凍結を解除した。ところが7月、新潟県中越沖地震により柏崎刈羽原発で放射能漏れが発生。「凍結解除は拙速だったのか」との声も聞こえる。財政難を原発増設で乗り切りたい双葉町に対し、反対姿勢を示す福島県。複雑な思いを抱える町民、さらには増設を望む国と東京電力…。凍結解除をめぐってそれぞれの思惑が入り乱れている。(小野田雄一)
 「安全・安心の観点からみて、増設は議論すべき段階ではない。県としては協力できない」−。
 6月19日。福島県庁副知事室。双葉町議会の「凍結解除決議」を受けて、電源立地等初期対策交付金の申請への協力を求めに訪れた双葉町の井戸川克隆町長は、内堀雅雄副知事にそう拒絶され、苦い表情を浮かべた。
 「町の財政事情は厳しい。ご配慮頂きたい」。再度の理解を求めたが、副知事は「県の見解は先ほど示した通り」。議論は平行線だ。「県の協力が得られない場合、町単独で申請する選択肢もある」。井戸川町長は声を絞り出した。
 井戸川町長は平成17年の町長選で「町政の変革」を掲げ、過度の原発依存体質を作り上げた前町長を批判。前町長の後継者を破って当選した。
 だが前町長が原発増設を見越し、大規模な事業を繰り返して悪化した財政は深刻だった。平成17年度の同町の実質公債費比率(収入額に対する借金返済額の割合)は27.3。全国の自治体でワースト13だった。
 同町の税収の約50%は原発関連の固定資産税が占めている。さらに同町の就労者の3人に1人は原発関連といわれるほど、原発依存は根深い。
 交付金申請が通れば、今後4年間で39億2000万円が町に入る。「県との対立もやむなし」という町の姿勢には、町の財政健全化への不退転の決意が込められている。
 町民は、町が増設の方向に向かうことについて、複雑な思いを抱いているようだ。
 「どんなに安全といわれても不安は残る。増設しなくて済むならそれが一番いい」(75歳主婦)、「増設を見越した町運営に見える。税金の無駄遣いをなくすのが第一」(53歳女性飲食店経営者)、「原発で町に入るお金も大事だが、健康や命には代えられない」(52歳男性会社員)。
 取材では反対意見が多く聞かれた。
 また増設を受け入れる人々も「この町には原発しかない。原発がなくなれば若い人はいなくなる。増設はやむを得ない」(60歳無職男性)、「どんな仕事にも危険はある。生活がかかっている以上、危険をどう減らすかを考えるしかない」(51歳自営業女性)などと、積極的な賛成ではなかった。
 町民の意識の背景にあるのは、中越沖地震による放射能漏れだ。話を聞いた多くの町民が放射能漏れに触れ、「人体に影響ないレベルだから良いというわけではない。そもそも漏れるのがおかしい」(32歳男性会社員)、「町はもう一度、凍結について考えてほしい」(63歳無職男性)などの意見も聞かれた。
 「双葉町の凍結解除決議は大きな一歩で、大変ありがたい」。東京電力福島事務所の松井敏彦所長は8月7日、福島市内のホテルでそう話した。
 同原発の1号機は運転開始から35年。老朽化が危惧(きぐ)されており、東京電力にとって7、8号機の増設は悲願となっている。
 また資源エネルギー庁も「県と町との協調態勢が築かれることが望ましいが、町単独での申請がなされた場合でも、交付金を出すことになるだろう」とし、凍結解除を肯定的に受け止めている。
 双葉町とともに増設などを凍結していた立地3町と同町で構成する「県原発所在町協議会」は、今年5月の総会で凍結解除の方向を目指すことで合意している。立地当事者の双葉町が最初に凍結を解除したことで、今後、各町でも凍結解除が進む公算が大きい。
 本格的な増設に向けた動きが加速するとみられるが、その後は町民に対する公開ヒアリングなどの手続きが待っている。着地点はまだ当分、霧の中だ。
 ■電源立地等初期対策交付金 発電所や放射性物質最終処分場などの建設を検討している自治体が、立地可能性調査などを経た後で受けられる国の交付金金。道路などインフラ整備をはじめとして、公共施設の建造などに広く充てることができる。
 双葉町は同調査をすでに終えていたが、その後に増設を凍結したため、交付金申請をしていなかった。同町の場合、平成19年度内に申請が通れば、1年につき9億8000万円、22年までの4年間で計39億2000万円が交付される。
 交付には、(1)都道府県のみへの交付(2)都道府県と地元自治体への交付(3)地元自治体のみへの交付−の3つのルートがある。(2)の場合は都道府県側の同意が必要なため、現段階で双葉町は(3)を選んだ。
(2007/08/15 02:15)




2007年08月15日(水) 中越沖地震の記録 (35)



1、被災住民ら、お盆の墓参り 新潟・柏崎 朝日新聞
2、地震に耐えた「越の誉」出荷へ 新潟・柏崎の原酒造 朝日新聞
3、中越沖地震:「住宅再建支援」が最多 被災者調査 毎日新聞 
4、中越沖地震:サポート情報 ライフライン 毎日新聞 
6、刈羽の避難所は20日で閉鎖 新潟日報
7、中越沖地震被災地の雇用状況
8、復興基金創設など知事に要請


1、被災住民ら、お盆の墓参り 新潟・柏崎 朝日新聞
2007年08月14日02時14分
新潟県中越沖地震で被災した柏崎市西山町坂田の般若寺で13日、近所の住民たちがお盆の墓参りに訪れた。会社員、若林一彦さん(49)は家族6人で、倒壊したお墓に花を供え手を合わせた。自宅も半壊状態で避難所生活を続けており、今月末に仮設住宅に引っ越す予定という若林さんは、倒れた墓石に「ご先祖さまには申し訳ないが、生きている人間を優先させてください」と声をかけた。

倒壊したお墓に家族でお参りする若林さん一家=13日午後、新潟県柏崎市西山町坂田の般若寺で
 同寺の高野量誉住職(67)によると、敷地内にある約160基の墓石のほぼすべてが倒れたという。



2、地震に耐えた「越の誉」出荷へ 新潟・柏崎の原酒造 朝日新聞
2007年08月14日20時01分

 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市新橋の原酒造で14日午前、日本酒「越(こし)の誉(ほまれ)」の出荷作業が1カ月ぶりに再開した。

被災地の酒造会社では出荷作業が再開された=14日午前、新潟県柏崎市の原酒造で
 土蔵5棟など敷地内の約6割の建物が倒壊したが、タンクに入っていた日本酒や生産ラインは、一部を除いて無事だった。修復が終わっていない機械もあり、箱詰めなど一部の作業は手作業。工程の速度を落とし、一日に一升瓶で3000本ずつを瓶詰めする予定だ。実際の出荷は在庫をためた後の、来週末以降になる。

 瓶詰めラインを最初に出てきた一升瓶を手にした原吉隆社長(49)は、顔をほころばせながらも「まだまだこれから。社員の体調に気を配りつつ、頑張ってフル生産につなげたい」と話した。



3、中越沖地震:「住宅再建支援」が最多 被災者調査 毎日新聞 
 新潟県中越沖地震は、16日で発生から1カ月。毎日新聞は発生直後に生活実態を聞いた被災者35人に追跡調査を行った。30人から回答があり、行政への要望は「住宅再建支援」(19人)が最多で、「宅地の地盤改良への支援」(4人)、「生活資金の公的融資」(3人)が続いた。この1カ月で都市ガスなど一部を除いてライフラインが復旧し、仮設住宅への入居も始まる中、本格的な生活再建に直面している状況が明らかになった。
 柏崎市と刈羽村で今月8〜13日に調査。回答した30人の内訳は、柏崎市29人、刈羽村1人(男性14人、女性16人)。
 前回調査と同様、地震前を「100」として現在の生活の質を数字で示してもらったところ、平均は「59」で、前回「44」から15ポイント上昇。「水道やガスが復旧したため」「仮設住宅への入居が決まったため」などの理由が多かった。一方で数字が変わらなかった人も3人おり、このうち2人は「家が全壊で無収入」「たばこを買うにも兄から金を借りている」などの理由で「0」と答えた。
 住宅再建への支援については「国や県の制度だから高望みはできないが、制度を改正して1円でも多く支援してほしい」=柏崎市東の輪町の無職男性(76)=などの声があった。
 この1カ月で「最もうれしかったこと」については、13人が自衛隊やボランティアによる支援活動を挙げた。柏崎市長峰町の運送業の男性(59)は「自衛隊の炊き出しはおいしかったし、重たい水を運んでもらい、感謝している」と話した。このほか、「近所づきあいの大切さを実感できた」「水道が復旧したこと」などの回答があった。
 逆に「最もつらかったこと」は、「母の認知症がひどくなった」「睡眠薬がないと眠れない」「子供が怖がって離れなくなった」などだった。【まとめ・鈴木梢】
毎日新聞 2007年8月14日



4、中越沖地震:サポート情報 ライフライン 毎日新聞 
 ◇鉄道 JR信越線柿崎−柏崎間が不通。代行バス輸送を実施。越後線柏崎−吉田間は電車とバスによる臨時ダイヤ。

 ◇道路 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間で通行止め。

 ◇ガス 日本ガス協会によると14日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち2281世帯で供給停止。

毎日新聞 2007年8月14日 20時40分
5、危ない通学路、中越沖地震での塀倒壊は1校平均13か所 読売新聞
 新潟県中越沖地震に見舞われた柏崎市と刈羽村の小・中学校の通学路で、石塀やブロック塀の倒壊などが1校当たり平均約13か所起きていたことが、東北大の調査でわかった。
 調査にあたった源栄(もとさか)正人教授(地震工学)は、「地震が登下校時間帯に起きていたら、子供らが倒れた石塀の下敷きになった可能性があった」と指摘している。
 源栄教授は、7月19〜22日に、両市村で、小・中学校計9校の周辺半径0・5〜1キロの通学路を調べた。その結果、通学路に石塀やブロック塀のほか、住宅などが倒れていたのは115か所見つかった。最も多かったのは、柏崎の市街地にある市立柏崎小学校の通学路で、31か所に上った。倒壊した石塀は石を積み上げただけで、耐震性が劣っていたという。
 塀の倒壊などの危険個所は、すべての学校の通学路で見つかり、木造住宅が倒れて道をふさいでいたり、住宅の重たい屋根瓦が通学路に向かって8メートルほど飛んできた場所もあった。
 源栄教授は、1978年の宮城県沖地震で、犠牲になった28人のうち18人がブロック塀や記念碑などの倒壊で死亡、その多くが子供や高齢者だったことから、今回の調査を実施した。源栄教授は「学校側は、地震発生時に倒壊しそうな、通学路に面した塀などを普段から把握し、危険個所から子供らがすぐに退避できるよう指導しておくべきだ」と訴える。
(2007年8月15日3時4分 読売新聞)



6、刈羽の避難所は20日で閉鎖 新潟日報
 中越沖地震で、刈羽村災害対策本部は14日、仮設住宅への入居開始やライフラインの復旧を受け、一般の避難所4カ所すべてを20日で閉鎖し、配食も停止することを決めた。老人福祉センターに開設している福祉避難所は配食を含めて継続する。
 同村では地震発生後、多いときで7カ所に避難所が設けられ、最大で791人が避難した。14日午前6時半現在の避難者は4カ所計106人、福祉避難所は1カ所16人。同村では15日から、源土運動広場の200戸の仮設住宅で入居が始まる。
 一方、第1陣の仮設入居が13日から始まっている柏崎市の避難所と避難者は同日午後8時現在で41カ所計530人、福祉避難所は3カ所計25人。
 14日の同市災害対策本部会議では、仮設入居が一通り終わる8月末以降も220―230人が避難所に残るとの見通しが報告された。同本部は「個々に事情を聞いて対応したい」とした。避難所への配食も当面継続する。
2007年08月14日



7、中越沖地震被災地の雇用状況
 中越沖地震の被災地で再就職の見込みのないまま解雇された人が10日現在で53人に上ることが13日、柏崎公共職業安定所の調べで分かった。内訳は、9月に閉店する総合ディスカウントストアのプラント―5刈羽店(刈羽村)のパート40人が最も多く、残りは飲食店、旅館など7事業所の計13人。
 柏崎市、刈羽村、出雲崎町が管轄の同安定所は「8月に入って雇用状況も安定してきたが、今後廃業する事業所が出てくることも考えられる。関係機関と連携を密にしたい」とし、8月下旬にも柏崎市や刈羽村などの関係団体と雇用対策協議会を開催する予定。
 同店を除く7事業所計13人の解雇は、柏崎市を中心にいずれも小規模な事業所で「地震で建物が被害を受け、事業を縮小したため」との理由が多い。同店は、残りのパート約120人も閉店を機に解雇する方針。
 柏崎商工会議所の洲崎寿夫事務局長は「プラント―5を除けば、解雇者数は地震被害が大きかった割に多くない。製造業などが雇用を守りながら踏ん張っているのではないか」と話している。
2007年08月14日



8、復興基金創設など知事に要請
中越沖地震被災地の柏崎市と刈羽村、出雲崎町の3首長は13日、仮設住宅入居開始に合わせて同市を訪れた泉田裕彦知事に、復興基金の創設や風評被害対策、政府への働き掛けとして激甚災害法の適用拡大と原発の安全確保などを求めた。
 会談後、知事は基金規模について、能登半島地震の総額800億円と比較し、「(それ以上が)必要ではないかと思う」と述べた。
 また、3首長との会談で知事は、外観中心の家屋被害調査で、仮設住宅の入居資格を満たさないとされたケースが多数に上ったことに触れ、「被災者の居場所がなくなることがないよう、実態に即した対応を」と注文。会田洋柏崎市長は会談後、「仮設が必要な人は入居できるようにしたい」と述べ、再調査する方針をあらためて示した。
 仮設住宅への引っ越しが始まった柏崎市では同日、6カ所262戸が入居。被災者は仮住まいながら、久々に家族だんらんのひとときを過ごした。
 同市などは、都市ガスが復旧していない2432戸(13日午後8時現在)のうち、特に被害の大きい刈羽地区を除き8月末までの復旧を目指すとした。
2007年08月14日


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2007年08月14日(火) 中越沖地震の記録 (34)

1、仮設住宅へ入居始まる 被災再建へ第一歩  朝日新聞
2、中越沖地震:サポート情報 ライフライン 毎日新聞
3、震災の傷なお癒えぬ柏崎、「大災害ないよう」先祖に祈り   読売新聞
4、「やっと畳で眠れる」柏崎・出雲崎で仮設入居開始  新潟日報
5、自衛隊の被災地炊き出し終了 新潟日報
6、中越沖地震の県内の被害 8月13日新潟日報夕刊から
7、 柏崎市は復興ビジョン策定へ  新潟日報


1、仮設住宅へ入居始まる 被災再建へ第一歩  朝日新聞
2007年08月13日11時37分
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市と出雲崎町で13日午前、仮設住宅への入居が始まった。発生から29日目、避難所生活を続けていた住民たちが、生活再建への一歩を踏み出した。新潟県建築住宅課によると、今月末までに県全体で1182戸の建設を予定している。
柏崎市内ではこの日、JR柏崎駅前のふれあい広場など6カ所に建てられた仮設住宅に236世帯573人が、出雲崎町では1カ所に11世帯39人が、それぞれ入居。3年前の中越地震と同様、地域の人が同じ場所に入居できるよう配慮された。
 中越地震で建てられた仮設住宅では、結露に悩まされたり、床下に水がたまったりする問題があった。今回は、天井に換気扇を設置したり、床下に小さな石を敷いて水はけを良くしたりと、教訓を生かした対策が施されている。
 柏崎市中央町で被災した塩ノ谷政子さん(72)は、駅前ふれあい広場で仮設住宅の鍵を受け取ると「避難所では夜でも子供が騒いでいて眠れなかった。今夜からようやく眠れそう」とほっとした表情で話した。
 自宅は全壊。家にいた夫は外に逃げようとし、玄関先で崩れてきた屋根の下敷きになった。胸の骨が折れ、今も入院中だ。政子さんは「こんな年でこんな目に遭うとは思わなかった。でも家族が生きているだけでも感謝しないと」。
 同市西本町1丁目の文房具事務機器店経営、岩下鼎さん(82)は、自宅兼事務所が全壊。市内の親戚の家に身を寄せていた。「これから新しい生活をしていかなければならない。どうせやるなら楽しくやりたい」と前向きに話した。仕事も、被災の翌々日には取引先の企業に間借りして再開したという。
 新潟県災害対策本部によると、13日午前8時現在、柏崎市、出雲崎町、刈羽村の3市町村に計52カ所の避難所があり、780人が避難生活を送っている。柏崎市内では上水道は全面復旧したが、都市ガスの供給は全体の1割、約3000世帯でなお止まっている。
 柏崎市教委によると、地震による臨時休校で授業に遅れが出ているため、市内の小中学校は夏休み後の授業再開を早めることを計画。早い学校では22日から再開する。



2、中越沖地震:サポート情報 ライフライン 毎日新聞
 ◇鉄道
 JR信越線柿崎−柏崎駅間で不通。バスで代行輸送を実施。JR越後線柏崎−吉田駅間は電車とバスによる臨時ダイヤ。
 ◇道路
 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間で通行止め。
 ◇ガス
 日本ガス協会によると、13日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち、2432世帯で供給がストップ。
毎日新聞 2007年8月13日 19時38分 (最終更新時間 8月13日 20時



3、震災の傷なお癒えぬ柏崎、「大災害ないよう」先祖に祈り   読売新聞
 お盆を迎えた新潟県中越沖地震の被災地では13日、多くの家族連れが墓前に花を手向け、早く生活を立て直せるよう、災害に遭わないようにと先祖に祈った。
 本堂が全壊し、墓石の多くが倒れた柏崎市西本町の聞光寺では、傷は目立つものの墓石は土台に戻されていた。家族4人で訪れた同市宮場町の主婦中村京子さん(61)は「もう大災害が起こらないように」と手を合わせていた。
 一方、各地域にある共同墓地は修復が遅れがちで、倒れた墓石の前で祈る人たちの姿もあった。
(2007年8月13日22時28分 読売新聞)


4、「やっと畳で眠れる」柏崎・出雲崎で仮設入居開始  新潟日報
中越沖地震被災地の柏崎市と出雲崎町で13日、被災者の生活再建への第一歩となる仮設住宅への入居が始まった。県は両市町と刈羽村で計1182戸の仮設住宅を建設しており、今月末までにはすべて入居可能となる見通し。37カ所で計967戸の仮設住宅を建設する柏崎市では同日、第一陣となる6カ所262戸で、仮住まいへの引っ越しが始まった。
 JR柏崎駅前の駅前ふれあい広場で午前9時半から鍵渡し式が行われ、待ちわびた市民が次々と鍵を受け取りに訪れた。式には泉田裕彦知事や会田洋市長、約30人の市民らが出席。泉田知事が「仮設住宅の入居は生活再建の第一歩。着実に復興を成し遂げたい。最後の1人に笑顔が戻るまで支援したい」とあいさつし、市民の代表2人に鍵を手渡した。
 鍵を受け取ると、早速乗用車に満載した荷物を運び込む人の姿も見られた。仮設住宅の中を確かめていた同市西本町一、会社員入沢正美さん(48)は「やっと落ち着ける。自宅は倒壊し、家具も運び出せなかった。家具などをそろえるのも大変だが、周囲の支援ももらった。これからまた頑張ろう」と安どの表情。妻の真由美さん(45)も「やっと畳で眠れるのが感激」と話した。
 出雲崎町でも同日、川西団地に建てる15戸のうち11戸で鍵の引き渡しが始まった。刈羽村では15日、源土運動広場の200戸で入居が始まる。
 また刈羽村は同日、地震による被害額が160億円近くに上ったことを明らかにした。同村が10日までにまとめた被害額は、住宅で約133億8400万円、住宅以外の下水道など公共施設で約25億7400万円となった。



5、自衛隊の被災地炊き出し終了 新潟日報
中越沖地震で、陸上自衛隊による被災者への炊き出しが12日、終了した。地震発生翌日の7月17日から始まり、約1カ月間でおおよそ67万8000食を提供。市民からは「本当にありがたかった」と感謝の言葉が次々と上がった。
 炊き出しは1日3食を基本に、最大41カ所の避難所で行われた。給食支援部隊が担当し、延べ約1万5000人の自衛隊員が従事。日ごとにメニューを変え、偏りがちな被災者の栄養面にも気を配った。
 最後の献立は、むきエビとイカのほか、ジャガイモ、タマネギなど盛りだくさんのシーフードカレーと、野菜サラダ。被災者から人気の高かった一品だ。
 柏崎小学校(同市学校町)ではこの日、660食を用意。配食前から列ができた。同市西本町1の中学1年生、大森康平君(13)は「特にエビがうまい」とカレーをほお張った。
 同小で調理を担当した練馬第一後方支援連隊の岩佐昇一曹(43)は「暑い日が続いたので、衛生面に注意した。復興はこれから。今日で去るのは少し心残りがある」と、被災者を気遣っていた。
 元気館(同市栄町)では、柏崎市民謡保存会が支援のお礼として、自衛隊員を前に伝統芸能の柏崎甚句などを披露。踊りの輪に、自衛隊員も加わると会場が笑いに包まれた。
 同館で避難生活を送った同市新花町の五十嵐タケさん(65)は「炊き出しでいただいたみそ汁の味が忘れられない。本当にありがたかった」と感謝した。
 同市は今後も、パンや弁当の配食を続ける。
2007年08月13日



6、中越沖地震の県内の被害 8月13日新潟日報夕刊から
 死 者    11人
 負傷者   1954人
 避難者    780人
住宅全壊   1001棟



7、 柏崎市は復興ビジョン策定へ  新潟日報
 中越沖地震の発生から4週間となる13日、柏崎市では仮設住宅への入居が一部で始まる。また、同市の会田洋市長は11日、復興ビジョンを策定する方針を示した。
 被災地では11日現在、890人が体育館など52カ所で避難生活を続けている。県が同日までに建設を決めている仮設住宅は967戸。このうち柏崎市駅前公園など6カ所262戸で、229世帯536人の入居が13日に始まる予定。11日は県の担当者が各戸で完了検査を行い、ガスや水道、冷房の効き具合などをチェックした。
 同市の仮設住宅に入居できるのは、被災住宅が半壊以上となった世帯。入居申込者のうち、被害調査で一部損壊とされた451世帯について、市は18日から相談所を設置。住宅内部の診断によって半壊以上となるかどうか、優先して再調査することも決めた。
 地震後初めてとなる市議会全員協議会も11日開かれ、会田市長は5年後、10年後に向けた復興ビジョンを策定する考えを明らかにした。県の同ビジョン策定に合わせて取り組むとしている。
 また13日には、東京電力が提供した鏡町社宅(7世帯)でも被災者の入居が始まる。
2007年08月12日


2007年08月13日(月) 警戒を要する猛暑

11日・12日の全国の猛暑は、
兵庫県豊岡市の38.6度 (同市の8月の観測史上最高記録)。
群馬県館林市で38.3度、
東京都練馬区で37.6度
名古屋市で35度、
大阪市と福岡市で36度。
新潟県魚沼市で37.9度
京都府舞鶴市で37.0度、
秋田県仙北市で36.9度、
福岡県前原市で36.8度
と35度以上の猛暑日となっている。
今日13日の予測は昨日よりマイナス1〜2度となるが、全国的に35度を超え警戒が必要な猛暑である。すでに、群馬と山形で計2人が熱中症で死亡している。この猛暑もあと1週間と思われるので無理をしないことである。




2007年08月12日(日) 中越沖地震の記録 (33)

1、柏崎原発、広範囲で消火不能  新潟日報
2、被災地の都市ガス86%が復旧 新潟日報
3、中越沖地震:全壊家屋791棟 柏崎市の建物被害調査終了 毎日新聞
4、原発:耐震性に「不安」が9割 特に女性で 毎日世論調査  毎日新聞 
5、中越沖地震:柏崎刈羽原発の揺れ、推定よりはるかに強く
6、柏崎刈羽原発1号機の原子炉内点検、22日めどに開始  読売新聞


1、柏崎原発、広範囲で消火不能  新潟日報
 東京電力柏崎刈羽原発が中越沖地震で発生した3号機変圧器の火災を自力で消火できなかった問題で、地震による消火配管設備の損壊の影響は1―4号機までの広範囲に及んでいたことが9日、分かった。これらの消火配管は一体化しており、2ルートで水の供給を確保していたが、両方とも損傷。3号機以外でも複数の変圧器で油が漏れており、ほかでも火災が起きていた場合、さらに消火に手間取る事態になっていた。消火設備の抜本的な見直しが迫られそうだ。
 東電によると、1―4号機の屋外施設用の消火配管網は地中で一体化。1号機近くの水処理建屋のタンクから2つのルートで水を供給している。一方のルートで配管破損があっても、被害ルートの弁を閉め、もう一方だけに水を送ることで全体的に高水圧を確保できるとしていた。
 しかし、今回の地震によって両方のルートの計5カ所で配管が損傷し、大量の水が漏れたため、消火設備全体の水圧が低下。3号機変圧器の火災では、消火栓のホースの水が1メートルほど先までしか届かず、役に立たなかった。
 火災当時、同号機にいた関係者によると、消火栓の水圧が低いため消火設備の復旧を一度は試みたが、すぐに直せる状態ではなかったという。関係者は「自分ではどうしようもできず、歯がゆい思いをした」と振り返った。
 一方、1、2号機などに近接するほかの3つの変圧器でも地震によって油が漏えい。これらで火災が発生していれば、3号機変圧器と同様、自力消火できない事態に陥っていたとみられる。
2007年08月10日



2、被災地の都市ガス86%が復旧 新潟日報
 柏崎市などは10日、中越沖地震により最大3万戸以上の供給が止まった同市と刈羽村の都市ガスの復旧率が86・1%に達し、復旧困難な約3000戸を除きほぼ復旧したと発表した。
 同市は10日、り災証明書発行のための家屋被害調査をほぼ終えた。9日現在、被害を受けた住居は2万8589棟で、仮設住宅入居要件となる半壊以上は3083棟。全壊は789棟だった。
 り災証明は17日から発行。判定への異議は証明書の発行会場で受け付ける。
 また同市は、住宅復興と、被災した中小企業を支援する市独自の特別融資制度を創設することを決めた。従来より住宅は0・9%、中小企業では0・3―0・4%金利を優遇する。
 路面陥没で全面通行止めになっていた柏崎市大湊の国道352号は10日午後5時、復旧工事が終わり規制解除された。
2007年08月10日



3、中越沖地震:全壊家屋791棟 柏崎市の建物被害調査終了 毎日新聞
 新潟県中越沖地震で、柏崎市災害対策本部は11日、罹災(りさい)証明書を発行するための建物被害調査を終え、市内の全壊家屋は791棟だったと発表した。大規模半壊は319棟▽半壊は1980棟▽一部損壊は2万4143棟だった。罹災証明書は17日から発行する。
 町内会長を通じた地震直後の調査では、全壊は908棟だった。判定結果は被災者生活再建支援法などに基づく支援金額に影響する。結果に異論があれば、家屋内部も追加調査する。
 一方、同本部は市内の小中学校について、39校中38校に体育館の床が抜けるおそれが生じたり校庭に亀裂が入ったりする被害が出たと発表した。備品を除いた被害額は約4億2000万〜4億3000万円に上る。【長谷川豊】
毎日新聞 2007年8月11日 18時45分 (最終更新時間 8月11日 19時41分)



4、原発:耐震性に「不安」が9割 特に女性で 毎日世論調査  毎日新聞 
 原発の耐震性に不安を抱く人が約9割に達することが、毎日新聞が今月4〜5日に実施した世論調査で分かった。新潟県中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発の被害を受け、原発の安全性に厳しい見方が増えたためとみられ、原発増設に賛成の人も16%にとどまる。国は原発の安全目標として「大事故が起きて死者が出る危険性を年100万分の1以下に抑える」との案を検討中だが、75%はより厳しい基準を求め、60%だった04年の調査より大幅に増えた。
 原発の耐震性については、「非常に不安」が56%を占め、35%が「ある程度不安」と回答。「あまり不安がない」は6%だった。特に女性に不安感が強く、男性で46%だった「非常に不安」が、女性では64%に上る。一方、原発立地県とそれ以外で大きな差はなく、中越沖地震の被害は地域を問わずに大きな衝撃を与えたことを裏付けた。
 エネルギー確保や地球温暖化防止のため、国は原発を増やす政策を掲げているが、「現状程度でいい」が57%と最多で、削減を求める人は23%。増設に賛成した人でも、原発の耐震性に不安を持つ人が83%に上り、不安を感じながらも「増設やむなし」と考えていることをうかがわせる。
 国の安全目標案を認める人は19%で、04年調査の22%を下回った。「100万分の1より厳しい基準を」と答えた人が47%で、04年の36%から増加。「危険性がゼロでない限り運転停止を」との回答も28%で、04年の24%を上回った。【鯨岡秀紀】
毎日新聞 2007年8月11日 18時16分



5、中越沖地震:柏崎刈羽原発の揺れ、推定よりはるかに強く 毎日新聞
 新潟県中越沖地震(マグニチュード=M=6.8)で柏崎刈羽原発が受けた揺れは、推定より加速度にして500〜800ガル以上強かったことが、入倉孝次郎・愛知工業大客員教授の分析で分かった。海底の地盤が揺れで破壊され、同原発の方向だけに強い地震波を出したとみられるという。原子力安全委員会の耐震プロジェクトチームの会合で明らかにした。
 入倉教授は、中越沖地震による地表の揺れの記録約80件を使い、加速度の値と、観測点から断層までの距離との関係を分析した。その結果、加速度は全体では他のM6.8の地震と同程度で、断層から離れると加速度が少しずつ小さくなる関係式に従っていた。同原発は断層から約4キロで、式通りなら加速度は約700ガルのはずだった。だが実際には、同原発の地表で、1557ガルや、1259ガルという大きな加速度が記録された。
 入倉教授は、周辺に、地盤どうしが固着していて動きにくい「固着域」が3カ所あり、固着がはがれた際に原発の方向に「キラーパルス」と呼ばれる強い地震波を出したと推定。こう考えると、同原発で観測された地震波の形が説明できるとしている。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月10日 22時07分



6、柏崎刈羽原発1号機の原子炉内点検、22日めどに開始  読売新聞
 東京電力は10日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所の1〜7号機の原子炉圧力容器のうち、1号機の圧力容器の内部点検を今月22日をめどに始めると発表した。
 

2007年08月11日(土) 中越沖地震の記録 (32)

1、柏崎市長「影響ない首都圏に違和感」 地震の原発停止で 朝日新聞
2、柏崎原発「キラーパルス」襲う? 阪神大震災でも発生  朝日新聞
3、400人が放射線チェックせずに退避 柏崎刈羽原発  朝日新聞
4、原子炉停止後、冷却装置を手動で使用…読売新聞
5、JR越後線、25日ぶりに全線で運転再開 読売新聞
6、都市ガスの供給が9割復旧、3000戸は難航…柏崎・刈羽  読売新聞
7、商店街復興へ大学生らが調査  新潟日報



1、柏崎市長「影響ない首都圏に違和感」 地震の原発停止で 朝日新聞
2007年08月11日10時19分
 新潟県中越沖地震で被災して運転停止した東京電力柏崎刈羽原発がある柏崎市の会田洋市長は10日、「(原発の電力供給先の)首都圏の電力に影響が出るだろうと考えたが、何も影響を受けていない。上京した時、そのことに非常に違和感を持った」と述べた。
 首都圏への電力供給の最大基地である同市が震災に苦しむ中、首都圏がこれまでと変わらない生活を享受していることへの反発を吐露したものだ。会田市長は「節電に努めるなど、被災地の痛みを分かち合うところがあってもいいのではないか」と対応を求めた。



2、柏崎原発「キラーパルス」襲う? 阪神大震災でも発生  朝日新聞
2007年08月10日22時57分
 新潟県中越沖地震の際に東京電力柏崎刈羽原発が、「キラーパルス」という地震波に襲われたらしいことが、愛知工大の入倉孝次郎客員教授の分析で明らかになった。10日に開かれた国の原子力安全委員会の耐震性調査チームで報告した。阪神大震災でも起きたと考えられている現象で、同席した東電担当者も「観測データに、その特徴があるようだ」と認めた。
 キラーパルスは、地震の際に断層が割れていった先で、揺れが大きくなる現象。
 入倉さんらは同原発や周辺の390カ所で得られた地震計データを解析した。その結果、周辺の揺れを基に計算すると、原発の揺れは750ガル(ガルは加速度の単位)程度になるはずなのに、実際には1号機と5号機の地表部でそれぞれ最大加速度890ガル、1223ガルを記録し、大幅に上回っていた。
 このキラーパルスは、北西傾斜(北西落ち)の断層が海底で割れ始め、南東にある原発に向かって割れていったと考えると説明がつくという。割れは原発の地下約5キロにまで達したと見る。
 阪神大震災では断層が淡路島側から神戸側に向かって割れたため、神戸側での被害が大きくなったとされる。



3、400人が放射線チェックせずに退避 柏崎刈羽原発  朝日新聞
2007年08月10日20時56分
 東京電力は10日、新潟県中越沖地震の発生時に柏崎刈羽原発の原子炉建屋内で作業していた約400人が被曝(ひばく)していないか調べずに外に出たと発表した。避難の指示が出た際、放射線測定器が地震で故障していたため緊急措置をとった。想定を超える被曝をしていた恐れは少ないという。
 東電によると、地震発生時には全7基で817人が建屋内の放射線管理区域で作業していた。1、2号機では424人が避難しようと出口に殺到したが、7台の放射線測定器のうち6台が故障したため、約400人が測定をせずに外に出た。使用済み燃料プールの近くでの作業中に、放射性物質を含む水をかぶるなどした12人は携帯型の測定器で測り、異状のないことを確かめたという。
 東電では「緊急時は測定せずに出ることは社内の内規に定めた処置で、法令違反にはあたらない」としている。
 東電はまた、地震時の原子炉の水位や中性子の値を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。稼働・起動中の4基は正常に停止した。ただ、2号機では原子炉の水位を調節するポンプが故障し、マニュアルに従って緊急炉心冷却システムのポンプを手動で動かして水位を調節。水位低下で燃料が露出するような事態を避けた。保安院では「問題ないと考えるが念のため専門家にも意見を聴く」としている。



4、原子炉停止後、冷却装置を手動で使用…読売新聞
 新潟県中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が被災した問題で、東電は10日、地震で原子炉が自動停止した後、炉内の水位低下防止のため緊急炉心冷却装置(ECCS)を手動で使っていたことを明らかにした。
 ECCSを手動で使うのは、東電の原発では初めてという。
 ECCSは本来、緊急時に炉心の空だきを防ぐため自動的に作動し、炉心に水を注入して事故を防ぐ。経済産業省原子力安全・保安院は「ECCSを手動で使うこと自体は問題ないが、今回はそのせいで逆に水位が上がり過ぎた場面もあり、本当に使う必要があったのか検証したい」としている。
(2007年8月10日23時39分 読売新聞)



5、JR越後線、25日ぶりに全線で運転再開 読売新聞
新潟県中越沖地震で不通になっていたJR越後線の柏崎(柏崎市)―吉田(燕市)間(約50キロ)が10日復旧した。
 同線は25日ぶりに全線の運転を再開。午前4時58分、柏崎駅を新発田行きの始発電車が出発した。
 当面は徐行運転で、1日の運行本数も平常時の約半分だが、午前8時ごろ、柏崎駅に普通電車が着くと、通勤客らが次々降り、柏崎市西山町、主婦広川美知子さん(76)は「久しぶりに病院に行けます」と話していた。
 JR信越線の柏崎―柿崎(上越市)間は依然、不通。



6、都市ガスの供給が9割復旧、3000戸は難航…柏崎・刈羽  読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市と刈羽村で10日、倒壊家屋や被害が大きな地域などを除いて都市ガスの供給が約9割近くまで復旧した。
 しかし、約3000戸については難航が予想され、復旧のめどが立っていない。応急措置の段階が過ぎ、自衛隊の炊き出しや入浴サービスなどの支援策が徐々に終了に向かう中、未復旧世帯は取り残された格好で、飲食店などから悲鳴が上がっている。
 柏崎市ガス水道局などによると、両市村の地震後の復旧対象戸数は約3万1000戸。このうち、約2万7000戸が10日までに復旧した。未復旧なのは10日午後7時現在で4296戸だが、うち約1000戸は12日までに復旧する見通し。
 ただ、残る約3000戸については、ガス管に入り込んだ地下水の排出に手間取っているうえ、家屋が倒れる恐れがあったり、障害物のある道路に工事車両が入れなかったりして復旧の見通しがついていない。市は13日にも改めて復旧計画を立て、対策を練る。
 柏崎市南半田の女性会社員(49)方では、10日、25日ぶりにガスが復旧した。これまでは、毎日、卓上コンロとやかんで数時間かけて湯を沸かし、風呂に入っていた。少しでも早く沸くように、日中は自宅前にペットボトルやポリタンクに風呂用の水を入れて並べていたという。女性は「もう苦労をしなくていいと思うと、うれしい」とホッとした表情を見せた。
 一方、未復旧の柏崎市西本町の「いづみや食堂」は店を再開できないでいる。以前は9口のコンロを使って丼物やうどんを提供し、親しまれていた。常連客からは再開時期を尋ねる電話が掛かり、「まだやってないのか」と訪ねてくる客もいるという。
 地震の被害は、建物の内壁にひびがるなどした程度で比較的軽かったが、「ガスが止まれば商売にならない」と、店主の浅野隆さん(75)は嘆く。
 市災害対策本部は未復旧世帯に卓上コンロを配っているが、業務用に使えるほどの火力はない。浅野さんは「1週間くらいで元通りになると思っていたが……」と肩を落とした。
(2007年8月10日21時41分 読売新聞)


7、商店街復興へ大学生らが調査  新潟日報
 中越沖地震で被災した柏崎市東本町2の「えんま通り」商店街復興に向け、聞き取り調査をした県内大学の学生らが10日、現地で報告会を開いた。

 調査は6―9日の4日間、同市の新潟工科大など4大学の学生と研究者30人余りで実施。40軒の商店主らから地震被害と再建への思いなどを聞いた。同商店街には住居併用店舗が多く、迷いはあるものの商売を続ける意思を持った人が多いことが明らかになったという。

 報告会では、学生たちが商店街で聞いた個別の意見を課題別に整理。かつてのにぎわいを取り戻すために、えんま堂の歴史を生かすことや、集客力がある核店舗の導入、歩道の拡幅などのアイデアを披露した。

 報告会にはテナント入居者を含め商店主らが多数参加。「連帯感を高めるための復興Tシャツづくりや、(地震後に行った)炊き出しをやってみたらという意見はおもしろい」などの声が上がった。
新潟日報2007年8月11日

2007年08月10日(金) 中越沖地震の記録 (31)

1、新潟の最高峰、突然3mへこんだ 地震で亀裂拡大も  朝日新聞
2、保険・共済金額は364億円の見通し 中越沖地震  朝日新聞
3、中越沖地震の断層の傾き、決められず 政府地震調査委  朝日新聞
4、柏崎刈羽原発、IAEAの調査終わる
5、柏崎刈羽原発「時間かけ安全性検討」、IAEAの調査終了  読売新聞
6、サウジアラビア、被災地・被災者に2億3700万円寄付 読売新聞
7、海底断層面3か所大きく滑り発生…中越沖地震で京大チーム   読売新聞
8、中越沖地震の被災店舗に激励注文、ネット通販売り上げ倍増  読売新聞
9、柏崎原発、広範囲で消火不能  新潟日報
10、西山で都市ガス復旧直後出火  新潟日報
11、被災地でNPOがマッサージ


1、新潟の最高峰、突然3mへこんだ 地震で亀裂拡大も  朝日新聞
2007年08月10日08時00分
 北アルプス白馬連峰の小蓮華山(2769メートル)の山頂が3メートル余り陥没していることが、現地入りした国土地理院の調査でわかった。長野、新潟の県境にある小蓮華山は新潟県の最高峰。同院は来年にも測量し直す予定で、標高が数メートル下がる可能性が出てきた。
 山頂陥没は今年6月、長野県小谷村山案内人組合の人たちが発見。V字状に大きく崩れ、稜線(りょうせん)に沿って数十メートルの亀裂が走っている。その後、7月16日の中越沖地震で亀裂がさらに広がったと指摘する人もいる。今後、雪解けや大雨による崩落も心配されている。
 調査した同院北陸地方測量部(富山市)の益子栄・防災情報管理官らは、全地球測位システム(GPS)で山頂の三角点の柱石があった場所を特定し、約3メートル陥没していることを確認した。
 益子さんは「新潟県最高峰としての県民の期待や登山者の気持ちを考慮し、三角点を来年にも設置し測量し直したい」と話している。



2、保険・共済金額は364億円の見通し 中越沖地震  朝日新聞
2007年08月10日07時43分
 日本損害保険協会は9日、新潟県中越沖地震で損害保険会社が支払う地震保険金の総額が、7月末時点で約64億8000万円にのぼる見通しになったと発表した。全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)も同日、建物更生共済(建更)の共済金支払いが300億円を超えると明らかにし、中越沖地震の被害に支払われる保険金・共済金の合計は364億円超になる。
 被災地は農協の組合員が多く、共済の加入世帯が多いエリア。建更加入者の被害は2万838棟だった。地震による共済金の支払いでは阪神大震災(1188億円)、04年の新潟県中越地震(772億円)に次いで過去3番目の規模になりそうだという。
 一方、地震保険で支払われた保険金では過去5番目の規模。中越地震(148億円)に次ぐ規模で、05年の福岡県西方沖地震(61億円)などを上回った。被害件数は7月末現在で6724件だった。



3、中越沖地震の断層の傾き、決められず 政府地震調査委  朝日新聞
2007年08月08日21時04分
 政府の地震調査委員会は8日、新潟県中越沖地震を起こした断層の傾きについて「現時点では決定できなかった」とする見解をまとめた。地震発生直後の委員会で「南東傾斜」としたが、その後反対向きの可能性を示す研究結果も相次いだため修正した。阿部勝征委員長は「どちらも決め手に欠けた。今後、突き止められない可能性もある」と述べた。
 断層の傾斜は、東京電力柏崎刈羽原発との位置関係を議論する上で注目されている。当初の南東傾斜なら海底の断層に、北西傾斜ならば陸地の断層につながる可能性がある。



4、柏崎刈羽原発、IAEAの調査終わる
2007年08月09日18時33分  朝日新聞
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所で9日、国際原子力機関(IAEA)の調査団の4日間の調査が終わった。フィリップ・ジャメ調査団長は、原発の耐震性などについて「今回は情報と教訓を集めた。まだ結論を出す段階ではない」と明言を避けた。
 調査団は地震工学などの専門家計6人。初日は東電側から説明を受けた後、火災を起こした3号機の変圧器など外観を視察。2日目からは専門分野ごとに班に分かれ、原子炉格納容器内などを1日6〜8時間かけて調べた。破損した天井クレーンの復旧にめどがたたないため、圧力容器内は確認できなかった。
 同行した経済産業省原子力安全・保安院の担当者によると、調査団は(1)6号機使用済み核燃料貯蔵プールの水があふれ、放射性物質を含んだ水が海に流れ出た経緯(2)停電時を想定した原子炉を冷却するための非常用ディーゼル発電機の状態――に関心を示したという。
 調査団は10日、都内で、保安院と意見を交換。翌11日に帰国する予定。



5、柏崎刈羽原発「時間かけ安全性検討」、IAEAの調査終了  読売新聞
 国際原子力機関(IAEA)の調査チームは9日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所の調査を終了した。
 10日に経済産業省原子力安全・保安院を訪れ、意見交換を行う。
 調査団長のフィリップ・ジャメ原子力施設安全部長は「日本側は専門家が対応し、多くの情報を提供してくれた。原発の安全維持への努力も良い」と評価した。ただ、同原発の安全性については「結論を出すのは時期尚早。ウィーンの本部に持ち帰って、時間をかけて検討する」と述べた。
 保安院などによると、調査団は1〜7号機すべての外観や内部を調査。特に微量の放射性物質を含む水が外部へ漏出した6号機の水漏れの経路や、緊急時の要となる非常用ディーゼル発電機の機能維持に関して、詳細な説明を求めた。また、耐震設計専門家による詳細な聞き取りも行われた。
(2007年8月9日18時51分 読売新聞)



6、サウジアラビア、被災地・被災者に2億3700万円寄付 読売新聞
 在日サウジアラビア大使館は9日、新潟県中越沖地震の被災地・被災者を支援するため、同国政府が200万ドル(約2億3700万円)を寄付すると発表した。
 発表文によると、寄付は「サウジアラビア政府と日本政府の戦略的で重層的な友好関係」に基づくとしており、犠牲者、被災者に対して「お悔やみとお見舞い」を表明している。寄付の対象など詳細は不明。
(2007年8月9日19時54分 読売新聞)


7、海底断層面3か所大きく滑り発生…中越沖地震で京大チーム   読売新聞
 新潟県中越沖地震は、海底断層の3か所が大きくすべって起きたことが、京都大原子炉実験所による地震観測記録の解析で明らかになった。
 東京電力柏崎刈羽原子力発電所や柏崎市周辺の建物は、主にこの3か所による揺れで、大きな被害を受けたとみられる。8日に開かれた政府の地震調査委員会で報告された。
 地震は断層がずれることで起きるが、震源となる断層面は均一ではなく、急激にすべる個所があって、そこが大きな揺れをもたらす。
 同実験所の釜江克宏教授らは、柏崎市周辺や柏崎刈羽原発に設置した地震計で、東西方向の地震波に3回の大きな揺れが観測されていることに着目。地震波の波形記録を使いコンピューター解析した。
 解析結果では、最初の揺れは4キロ・メートル四方の岩盤がずれ、次にその南西でやや深いところにあるにある4キロ・メートル四方の部分、最後に一番南にある3キロ・メートル四方の岩盤がすべって、大きな揺れが起きたという。
 ただ、震源域付近は地下構造が複雑で堆積物も多いために解析が難しく、3番目にすべった位置は暫定的な解析結果だとしている。
 一方、地震を起こした海底断層の向きについて、北西深部から南東の地上方向か、その逆向きかで研究者の意見が分かれているが、釜江教授は「観測結果から見て、断層が北西から南東に上がる向きと考えるのが妥当」と話している。
(2007年8月9日13時40分 読売新聞)



8、中越沖地震の被災店舗に激励注文、ネット通販売り上げ倍増  読売新聞
 新潟県中越沖地震で店舗が被災した柏崎市内の商店主たちが、県内外からの注文に励まされ、インターネットによる通信販売に力を入れている。
 柏崎商工会議所もホームページに各店のリンクを設けるなど後押ししている。
 柏崎市青海川(おうみがわ)で酒販売店「新茶屋」を経営する片山静江さん(58)は、地震で自宅兼店舗が傾き、「被災直後は片付ける気力もなかった」が、地震3日後に届いた1通のメールに奮い立った。「つぶれた缶ビールでいいので買わせてほしい」。新潟市内の全く面識のない男性からだった。
 「通販なら全国の人々の助けで営業が続けられるのではないか」。向かいの車庫に仮店舗を設け、通販での営業再開をホームページなどでPRすると、地震前には売り上げの3割だった通販が、半分以上を占めるようになった。
 柏崎市西本町の「越後みそ西・西本町店」も、傾いた隣接店舗が撤去されるまでの約3週間、店舗での通常営業を再開できなかったが、インターネットを通じた売り上げは震災前の約2倍となり、「店舗での売り上げが見込めない中、通販が店を支えてくれている」という。
 片山さんらはこうした通信販売の効果を柏崎商工会議所に報告。同商議所では、通信販売で営業を再開した店の情報を集め、ホームページに各店のリンクを特設し、8日までに約60店舗を掲載した。各店には、「少しでも被災者の応援になれば」「柏崎へ行ったつもりの旅費分も商品代に添えます」などのメッセージとともに注文が相次いでいるという。
 商議所では今後、同じページから各店に注文できるサイトを開設する計画で、「店舗での売り上げが不安定な中で、全国からの注文を励みに、復興のきっかけにしたい」としている。商議所のホームページは「eこって柏崎」(http://www.e‐cotte.com)。
(2007年8月9日14時41分 読売新聞)



9、柏崎原発、広範囲で消火不能  新潟日報
 東京電力柏崎刈羽原発が中越沖地震で発生した3号機変圧器の火災を自力で消火できなかった問題で、地震による消火配管設備の損壊の影響は1―4号機までの広範囲に及んでいたことが9日、分かった。これらの消火配管は一体化しており、2ルートで水の供給を確保していたが、両方とも損傷。3号機以外でも複数の変圧器で油が漏れており、ほかでも火災が起きていた場合、さらに消火に手間取る事態になっていた。消火設備の抜本的な見直しが迫られそうだ。
 東電によると、1―4号機の屋外施設用の消火配管網は地中で一体化。1号機近くの水処理建屋のタンクから2つのルートで水を供給している。一方のルートで配管破損があっても、被害ルートの弁を閉め、もう一方だけに水を送ることで全体的に高水圧を確保できるとしていた。
 しかし、今回の地震によって両方のルートの計5カ所で配管が損傷し、大量の水が漏れたため、消火設備全体の水圧が低下。3号機変圧器の火災では、消火栓のホースの水が1メートルほど先までしか届かず、役に立たなかった。
 火災当時、同号機にいた関係者によると、消火栓の水圧が低いため消火設備の復旧を一度は試みたが、すぐに直せる状態ではなかったという。関係者は「自分ではどうしようもできず、歯がゆい思いをした」と振り返った。
 一方、1、2号機などに近接するほかの3つの変圧器でも地震によって油が漏えい。これらで火災が発生していれば、3号機変圧器と同様、自力消火できない事態に陥っていたとみられる。
2007年08月09日



10、西山で都市ガス復旧直後出火  新潟日報
 8日午後8時すぎ、柏崎市西山町西山の住宅でガスコンロと換気扇を焦がす火災が発生した。柏崎市消防本部によると、住宅は中越沖地震による都市ガスの復旧工事が終わったばかりで、住人立ち会いでガス栓を開く作業の直後に出火した。
 屋内配管からのガス漏れなどは確認されなかったが、柏崎市はガス復旧後の取り扱いについて注意を呼び掛けている。
2007年08月08日



11、被災地でNPOがマッサージ 新潟日報
中越沖地震で被災生活を続ける人たちの疲れを和らげようと8日、柏崎市椎谷の避難所、椎谷コミュニティセンターで鍼灸(しんきゅう)師らによる整体マッサージのサービスが行われた。長引く避難生活で体を動かす機会が少なくなった人が多く、鍼灸師らは丹念に全身をもみほぐした。

 NPO法人アミューズメント・バリアフリー協会(大阪)が企画。被災地に貢献しようと、鍼灸師と鍼灸師を目指す学生4人が現地入りし、10日まで活動する。

 避難所の和室に布団四枚を並べ、訪れた被災者の体を約30分かけて丁寧にマッサージ。全身の血流をよくしたり緊張を解いたりした。

 また、「散歩で足を動かし、血液循環を促すことが大切」「肩や腰を回して関節を動かすよう心掛けて」など、避難生活のアドバイスもした。体の具合や必要に応じて、針と灸による治療行為も行う予定だ。

 マッサージを受けた同所の山崎ツヤコさん(70)は「地震から3週間がたち、いろいろな疲れがたまっていた。体がふわふわと浮いていくような気分で、とても気持ちいい」と話していた。

2007年08月09日(木) 中越沖地震の記録 (30)

1、中越沖に浮上の古木は5千年前のもの 山形大教授ら分析 朝日新聞
2、中越沖地震:土砂災害の7カ所、復旧へ緊急工事 国交省  毎日新聞
3、「地盤強化が必要」柏崎刈羽視察の原子力安全委員長が指摘  読売新聞
4、「母乳出ない」「子供が甘える」地震被災で母子にストレス  読売新聞
5、中越沖地震と台風4号による災害、政府が激甚災害に指定  読売新聞
6、「激甚見送り」で上越に不満  新潟日報
7、柏崎原発は「廃炉すべき」  新潟日報
8、地震で被害の寺社が復活へ  新潟日報
9、風評被害対策、県に協力要請  新潟日報
10、柏崎原発調査 原子炉被害の解明を急げ(社説)  新潟日報




1、中越沖に浮上の古木は5千年前のもの 山形大教授ら分析 朝日新聞
2007年08月08日08時39分

 新潟県中越沖地震の発生後、日本海の震源地付近の海域で発見された大量の古木は、約5000年前のものだったことが、山形大学の桜井敬久教授(宇宙線物理学)らの測定調査でわかった。木の種類は不明だが、泥などに長年埋もれていた古木が、地震に伴う海底の液状化現象で浮き上がっているとみられる。

5000年前のものと分かった古木。地震後に海底から浮上した=7月23日、新潟県出雲崎町の出雲崎漁港で
 新潟県は水中カメラによる海底探査で、柏崎市北方沖の震源地付近から出雲崎町沖合にかけて、長さ約20キロ、幅約1キロにわたって大量の古木があることを確認。現在もたびたび浮上しており、これまでに回収したのは約40トン分になるという。

 新聞報道を受け、桜井教授は7月末に自ら現地を訪れて古木を採取。県水産海洋研究所や東京大学の協力も得て、3サンプルについて、時間の経過とともに減っていく炭素14の割合を調べる加速器質量分析法で年代を分析した。その結果、古木は4500〜5400年前のものだったという。

 桜井教授は「古木の年代や種類を知ることは、浮き上がってきた原因を調べる上で有効だ」と話している。

 古木をめぐっては、マダイ漁の網に引っかかるなど漁業に影響が出ていて、地元の漁協が週2回、回収作業を続けていく。水産庁も回収に補助金を出すことを決定。県水産課は「漁への被害を最小限に食い止めたい」としている。処分方法にめどは立っていない。
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2、中越沖地震:土砂災害の7カ所、復旧へ緊急工事 国交省  毎日新聞
 新潟県中越沖地震で、国土交通省は7日、地滑りなど大規模な土砂災害が起きた同県柏崎市と刈羽村の7カ所について、応急工事が必要として「災害関連緊急砂防等事業」として対応することを決めた。国と県が計約21億円を支出し、今年度中の復旧工事の完了を目指す。
 事業を行う場所は、JR信越線青海川駅付近の線路が約50メートルにわたって土砂で埋まった現場など同市内の6カ所と刈羽村の1カ所。土砂を取り除いたうえで、新たな崩壊を防ぐ。
毎日新聞 2007年8月7日 19時47分



3、「地盤強化が必要」柏崎刈羽視察の原子力安全委員長が指摘  読売新聞
 国の原子力安全委員会の鈴木篤之委員長は7日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所を視察した。
 鈴木委員長は「原子炉そのものは安全が保たれているが、耐震基準の緩い構造物は地盤を強化するなどの対策が必要」と述べ、全国の原発で現在進めている耐震性確認でも、原子炉建屋などの重要施設以外の施設について地盤強化を求めていく考えを示した。
 鈴木委員長は東電から主な被害状況や、原子炉、非常用発電機など重要機器の状態について説明を受け、施設の外観や建屋内の被害状況を視察した。鈴木委員長は「あれほどの地震に見舞われたにもかかわらず、原子炉は安全に停止し、炉内から直接、放射能が出ることはなかった」と、安全機能が正常に作動したことを強調した。
(2007年8月7日23時29分 読売新聞)



4、「母乳出ない」「子供が甘える」地震被災で母子にストレス  読売新聞
 新潟県中越沖地震の被災地・柏崎市で、妊婦や小さい子供を持つ母親から、「母乳が出ない」「子供が甘えるようになった」などの相談が相次いでいる。
 地震への恐怖や震災後の不自由な生活にストレスを感じているのが原因とみられ、日本助産師会新潟県支部では「母親も赤ちゃんも精神的な安定が大切。気軽に相談をしてほしい」と呼びかけている。
 柏崎市の避難所に常駐している看護師や、市健康管理センターの助産師のもとには連日、赤ちゃんを持つ母親らが相談に訪れている。
 相談件数は、市が集計を始めた7月21日から8月7日までに、電話も含めて約90件に上った。内容は、〈1〉母乳が出なくなった〈2〉赤ちゃんのあせもや湿疹(しっしん)〈3〉甘え――などが多いという。
 同センターを訪れた主婦(29)は1歳2か月の長男が、母親に抱きついたまま離れない“赤ちゃん返り”について相談した。自宅の倒壊は免れたが、室内は今も家財道具などが散乱。後かたづけのため母親がそばにいない時間が増えてしまったという。
 助産師らから、「甘えさせてあげることも大切」とのアドバイスを受けた主婦は、「早く元の生活に戻そうと焦っていた。安心した」と話した。
 7か月の二男を連れて相談に来た別の女性(32)は震災以降、母乳が出にくくなり、二男もあまり飲まなくなった。
 ボランティアとして活動する夫の帰宅は遅く、自宅の後かたづけは進まない。離乳食に切り替えようとしたが、ガスが復旧しない中、「カセットコンロ1台で、家族の食事と離乳食を作るのは難しい」と話し、母乳が出やすくなるマッサージを受けた。同支部によると、2004年の中越地震でもストレスで体の変調を訴える母親らが目立ったという。
 中越地震の時にボランティアで現地入りし、今回も相談に応じている助産師の高島葉子さん(55)は「育児の悩みに地震という心配事が増え、体に変化が起こるのはやむを得ない面がある。母親は子育てから少し離れる時間も必要」と呼びかけている。
(2007年8月8日3時2分 読売新聞)



5、中越沖地震と台風4号による災害、政府が激甚災害に指定  読売新聞
 政府は7日午前の閣議で、新潟県中越沖地震と台風4号などによる豪雨・暴風雨災害について、激甚災害法に基づく激甚災害に指定することを正式決定した。
 激甚災害制度は激甚災害法に基づき、災害復旧に要する費用が一定の基準を超える場合、政府の指定により、復旧事業への国庫補助率の引き上げなどが実施される。
 中越沖地震では新潟県長岡市、柏崎市、出雲崎町、刈羽村の4市町村が対象で、復旧事業費の見込み額は公共土木施設243億円、農地17億円、中小企業関係438億円。
 豪雨・暴風雨災害は6月11日から7月17日にかけて、梅雨前線や台風4号によって熊本、宮崎、鹿児島各県などを中心に大きな被害をもたらしたもので、復旧事業費見込み額は129億3000万円。
(2007年8月7日10時49分 読売新聞)



6、「激甚見送り」で上越に不満
 政府は七日、中越沖地震で被災した柏崎市、刈羽村など県内4市町村を激甚災害法に基づき局地激甚災害に指定することを決定したが、上越市は柿崎、吉川両区を中心に家屋や農地、公共施設の被害が拡大しているにもかかわらず、今回の指定は見送られた。被災地からは「置き去りなのか」と怒りの声が上がっている。

 同市では6日現在、住宅約25600棟、土蔵や車庫など約1500棟が損壊。同市全体の被害総額(同日現在の概算)は約50億円。このうち、集落排水施設など農林水産業関連で約21億3000万円、市道など公共土木関係で約12億1000万円の被害が発生した。指定見送りについて、内閣府(防災担当)は「現時点の被害見込額が、指定基準をクリアしなかった」と説明する。

 今回の見送りを受け、生活再建に追われる被災地からは不満の声が相次ぐ。柿崎区の被災者男性(53)は「柏崎ばかりが注目され、柿崎の被害が埋没してしまう」と危機感を口にする。被災した同区選出のある市議は「柏崎市や刈羽村と共同で(指定を)求めていく方法はなかったのか」と憤りをあらわにした。

 さらに、激甚災害指定を求める木浦正幸・同市長の要望のタイミングが結果として、他の被災地に後れを取ったことにも批判は集中している。

 木浦市長は6日に、県庁で復旧支援を要請。8日には、内閣府などを訪れ激甚災害の追加指定などを要望する予定だが、7日の指定決定には間に合わなかった。

 県関係者は「上越市の(指定に向けた)初期の動きは他の被災地に比べ、迅速だったとはとても言い難い」と指摘する。

 木浦市長は「これまでも、指定要望は水面下で行って来た」と反論。国に対し、早期の追加指定に加え、指定の対象ではない農業集落排水施設について、復旧工事の補助率拡大を求めていく考えだ。
新潟日報2007年8月8日



7、柏崎原発は「廃炉すべき」  新潟日報
 中越沖地震によって原子炉建屋のクレーン破損など機器の損傷が相次いだ東京電力柏崎刈羽原発について、地震が原子力施設に及ぼす危険性を指摘している研究者らが7日、県庁で会見し、運転再開に反対を表明した。「再起動の議論は論外で、廃炉しかない」など、それぞれの立場から反対の根拠を述べた。

 会見したのは、地震学や原子炉工学の研究者らでつくる「地震と原発」研究会と、柏崎刈羽原発反対地元3団体のメンバー。

 国の耐震指針の改定作業に加わった石橋克彦・神戸大教授(地震学)は「新指針に照らすと、柏崎刈羽原発の敷地基盤は(多くの構造物が損傷し)原発立地には不適格だ」と指摘。同原発周辺では地震活動が活発化しているとし「傷んだ原発を運転すれば、将来の大地震で大事故に至る可能性もある」と強調した。

 井野博満・東大名誉教授(金属材料学)は「(同原発は)設計上の想定を超えて揺れ、原子炉内の重要機器がひずみを受けた可能性が高い。金属材料の性質が変化し、当初の設計強度を保障できない恐れもある」と説明。

 原子炉圧力容器設計の経験がある科学ライターの田中三彦さんも「内部構造物のゆがみを確認するには取り外しや切断が必要になることもあるが、東電や国は計算で推定しようとしている」と批判した。

 一方、3団体は県、柏崎市、刈羽村に対し「国に設置許可の取り消し、東電に設置許可の返上を求めること」を要望する声明を発表した。
新潟日報2007年8月7日



8、地震で被害の寺社が復活へ  新潟日報
 中越沖地震で本堂全体が倒壊寸前まで大きく傾き、解体を余儀なくされそうだった柏崎市の寺社が、ボランティアらの協力で曳(ひ)き起こされ、よみがえることになった。取り壊しを覚悟していた住職一家や檀家はお盆を前に復元のめどが付き、感激している。

 同市比角1の市街地にある延命寺(宇佐美澄彦住職)。中越沖地震で本堂がひねるように傾き、柱が20度ほど斜めになった。宇佐美住職らは本尊や仏像を運び出したが、本堂の修復はあきらめていた。

 しかし、全国から訪れたボランティアらが修復を提案し、中越地震などで神社や仏閣を直した工事業者を紹介。ワイヤや丸太で倒壊しないよう固定した上で、近く曳き起こして原形復旧することになった。修復費は1千数百万円の見込み。

 住職の妻礼美子さん(53)は「解体、新築には何億円もかかり、もう駄目だと思った。費用も予想よりずっと低額で、元通りになるのが夢のよう」と涙ぐみながら語る。

 延命寺ではお盆に備え、約80基の墓のうち地震で倒れた20基を7日までに全部起こした。

 「お墓参りの皆さんに本堂修復を報告したい」と礼美子さん。近所に住む檀家の加藤貞子さん(66)は「本堂もお墓も毎月お参りする心のよりどころ。直ることになって本当によかった」と胸をなで下ろした。

 修復を勧めた神戸市のボランティア吉村誠司さん(42)は「中越地震などで直せる家や寺を急いで解体して後悔した人がいたので、今回はすぐに復旧をあきらめないよう呼び掛けている」と話している。
新潟日報2007年8月7日


9、風評被害対策、県に協力要請  新潟日報
 中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発の火災や放射能漏れなどの影響で、風評被害が深刻だとして、県旅館組合(野沢幸司理事長)は、東電に対し、同社や関連企業の従業員が休暇中に県内旅館を利用するよう働きかける方針を決め、7日、県に協力を要請した。

 同組合は、来週にも東電側へ今秋の誘客に向け、具体的な対策を取るよう求める。

 同組合には県内のホテルや旅館約750軒が加盟。組合によると、これまでに約5万人のキャンセルがあり、今秋の予約も例年より大幅に減っているという。野沢理事長は「(利用者激減は)東電の対応が悪すぎたことが大きい」と述べた。

 県庁に泉田裕彦知事を訪れた野沢理事長は「夏だけでなく秋にも被害が出るようでは大変困る。歯止めをかけるため県に協力してほしい」と要望。県に、東電への働きかけのほか、被災者を県内旅館に招待できるように助成を求めた。観光キャンペーン強化や、信頼できる機関による「安全宣言」の必要性なども訴えた。

 泉田知事は「(県外へ)正しい情報をきちんと発信していくことが大事。引き続きバックアップしていく」と述べた。

 東京電力によると、同社の従業員は約3万8000人。
新潟日報2007年8月7日



10、柏崎原発調査 原子炉被害の解明を急げ(社説)  新潟日報
 中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発の揺れは、国内の原発では最大で、世界でも前例のないものだったことが明らかになった。
 東電の発表によると、これまでに発生したトラブルは、法令などで報告が義務付けられている十件をはじめ、合わせて千二百六十三件に上る。
 放射性物質の大気中、海中への放出や大量の雨漏り、海水の流入が起きている。中でも気掛かりなのは、耐震構造の原子炉建屋内にまで影響が及んでいることだ。
 原子炉の真上に設置され、核燃料などをつり上げるためのクレーンの車軸が破損した。ふたのあいた原子炉からは水があふれた。原発の心臓部でのトラブルは想定外の事態である。
 原子炉本体が損傷していないかどうか、点検が急がれる。東電の目視点検や県の技術委員会の視察では、異常は見つからなかったという。その技術委座長は、原発被災を「歴史的実験」と述べて辞任した。どんな視点で視察したのか疑わざるを得ない。
 今回の地震では七基の原子炉すべてで設計時の想定を大幅に上回る揺れを記録した。揺れの強さを示す加速度は、3号機で想定の二・五倍の二〇五八ガルに達したのをはじめ、五基で一〇〇〇ガルを超えた。
 超音波やエックス線などを用いた非破壊検査で、隔壁の深部まで徹底的に調べる必要がある。調査を東電に任せるのではなく、国や県が主導して行うべきだ。
 想定外の負荷が掛かった場合、原子炉はどのような影響を受けるのか。未点検の原子炉内の機器や配管部分に、目に見えない変形やねじれなどが生じている恐れはないか。多角的な調査が欠かせない。
 地震による原発被害の問題点を分析し、対策を検討する経済産業省の調査対策委員会が先月三十一日に初会合を開いた。八日の現地調査を手始めに、消防体制や耐震性評価の妥当性、機器の安全評価などを検討する。
 地震発生から一カ月近くになろうとしている。腰を上げるのが遅すぎるのではないか。
 六日からは国際原子力機関(IAEA)の現地調査も始まる。国際的な評価に耐え得る客観的なデータを一刻も早く示すべきだ。原子炉の安全宣言がない限り、地元の不安は消えない。
 航空機や鉄道の事故には、対応した専門調査委員会が常設されている。巨大システムである原発に同様の調査委がないのは解せない。
 事故やトラブルが起きることを前提に、国の体制を整えるべきだ。緊急対応策ができていないという点では、国も東電と同じである。

[新潟日報8月4日(土)]

2007年08月08日(水) 中越沖地震の記録 (29)

1、両陛下、中越沖地震でお見舞いへ 8日、柏崎など訪問  朝日新聞
2、原発の被災状況、安全委員に正しく報告せず 東京電力  朝日新聞
3、中越沖地震:サポート情報 ライフライン        毎日新聞
4、その手のぬくもりを:被災地から 我慢せず泣けばいい  毎日新聞
5、ペットもPTSD? 嘔吐など、被災地で相談相次ぐ   毎日新聞 
6、中越沖地震、震源の深さは10キロ…気象庁が再算出    読売新聞
7、中越沖地震、直下のマグマが原因か 読売新聞
8、柏崎原発で作業員に放射能の水かかる、3週間たって公表 読売新聞
9、被災地3首長が首相に要請   新潟日報


1、両陛下、中越沖地震でお見舞いへ 8日、柏崎など訪問  朝日新聞
2007年08月07日11時12分
 天皇、皇后両陛下が新潟県中越沖地震の被災者を見舞うため、8日に日帰りで柏崎市や刈羽村を訪問することが、7日午前の閣議で報告された。両陛下は中越地震の発生間もない04年11月にも、長岡市の避難所などを訪れている。
 宮内庁によると、自衛隊ヘリで被災地を上空から視察し、被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所などを見て回る。その後、避難所を訪れて被災者を見舞う予定。
 また、高円宮妃久子さまの次女典子さま(19)が学習院大学の夏休みを利用し、18〜25日に韓国を旅行することも閣議報告された。



2、原発の被災状況、安全委員に正しく報告せず 東京電力  朝日新聞
2007年08月06日22時08分
 国の原子力安全委員会の委員2人が新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発を調査した際、事実関係について正しい説明を受けていなかったことが、6日の委員会で明らかになった。
 この日の委員会で東電は6、7号機の中央制御室の蛍光灯86本が落ちたことなどを報告。その際、早田邦久委員が「7月19日に現地調査に行き、中央制御室を視察して被害状況について聞いたが、そうした報告は受けなかった。極めて残念だ」と語った。
 東電は「当時は事態を重要視しておらず、説明者が蛍光灯落下を知らなかった。不手際で申し訳ない」と話している。



3、中越沖地震:サポート情報 ライフライン 毎日新聞
 ◇鉄道 JR信越線柿崎−柏崎間、同越後線柏崎−吉田間が不通。代行バスは両不通区間のほか、直江津−柏崎間、直江津−長岡間(柿崎経由)も運転。
 ◇道路 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間、同市大湊−刈羽村刈羽間で通行止め。
 ◇ガス 日本ガス協会によると、7日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち、1万3616世帯で供給がストップ。
毎日新聞 2007年8月7日 20時37分



4、その手のぬくもりを:被災地から 我慢せず泣けばいい  毎日新聞
 ◇「阪神」経験の看護師、高齢者を励まし
 後ろ髪を引かれる思いで被災者に別れを告げた。「ばあちゃん3日しかおれんでごめんね」。兵庫県からボランティアで駆け付けた看護師、阿部陽子さん(31)は、短い滞在を終え、避難所をあとにした。
 京都市の看護専門学校に通っていた95年、阪神大震災で友人3人を失った。被災地で、健康相談に乗るなどボランティアをした。今は関西労災病院(兵庫県尼崎市)のICU(集中治療室)が勤め先だ。都市型とは違う地震の被災地を経験すれば今後に生かせると考えボランティアに応募した。「うちらも阪神大震災の時に助けてもらってるんで」。有給休暇扱いだが、交通費は自腹だ。
 避難所に来たのは1日。柏崎市西山町の避難所に入り、泊まり込みで被災者の血圧測定や健康相談に乗った。3日間で、約50人の顔と名前を覚え、健康状態を把握した。
 柏崎市と合併した旧西山町地区は、人口約6600人のうち約3割が65歳以上。発生直後の混乱期が過ぎ、被災者は一見落ち着いた様子だが、高齢者を中心に高血圧や血糖値が上がるなど、健康面の不安が残る。
 倒壊した自宅の今後を尋ねると泣き出す人や、消灯後に外出し1人で酒を飲む男性もいた。「高齢者は我慢強い人が多く、『自分よりもっと大変な人がいる』と考えて無理をしている」と心配する。
 避難所内での活動の傍ら、位牌(いはい)を守るためや「避難所は落ち着かない」との理由で、自宅にこもる高齢の被災者らの様子を見て回った。「うちにはなんぼ当たってもいいよ」と語りかけ、悩みを聞いた。「泣くことが大事。泣けて良かったねと言ってあげる」
 「飲んでいる薬のこと全部引き継いでおいたからね」。避難所を去る際、高齢の女性の手を両手で握りしめた。相手も精いっぱい握りしめてくれた。【岡田悟】
毎日新聞 2007年8月7日 東京夕刊



5、ペットもPTSD? 嘔吐など、被災地で相談相次ぐ  毎日新聞 
 新潟県中越沖地震の被災地の動物病院に、ペットの犬や猫に食欲不振や嘔吐(おうと)などの症状が出たとの相談が相次いでいる。地震のショックでペットにPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状が出ることは過去の地震でも指摘されており、専門家は「できるだけスキンシップを取って」と呼びかけている。
 イトウ動物病院(柏崎市三和町)には、中越沖地震があった先月16日の夕方に4件、17日には30件の相談があった。以降も1日10〜15件は寄せられる。内容は▽おびえ▽食欲不振▽嘔吐、下痢−−など。犬は大半が小型犬で、神経質な犬は症状が重いという。
 同病院を訪れた同市松波の河南歌代子さん(55)が飼っているマルチーズの「アン」は、河南さんから離れないようになった。母犬のチイも食欲がなくなり、地震前の半分も食べないと心配する。
 01年の芸予地震でも、同様の状況が報告されている。山口県の獣医師、山本敏雄さん(故人)の調査では、調べた犬156頭のうち82頭が落ち着きがなくなるなどの異常を示し、15頭はPTSDのような状態だった。
 人と動物の関係学が専門の太田光明・麻布大教授は「犬は身近におき、人間の子どもと同じように接してほしい。猫はストレスを感じない環境が必要」と話している。【山崎理絵、関東晋慈】
毎日新聞 2007年8月7日 東京夕刊



6、中越沖地震、震源の深さは10キロ…気象庁が再算出 読売新聞
気象庁は7日、新潟県中越沖地震の震源の深さについて、地下の詳細な構造を考慮して計算し直すと、約10キロになると発表した。
 同庁は、「同じ深さならばどの場所でも地震波の速度は一律」と仮定して、複数の観測点のデータから震源の位置を決定しており、地震直後に、震源の深さは17キロと発表していた。
 ただ、今回の10キロという数字は、調査研究の一環で算出したもので、同庁は「震源の決定方法はすべての地震で統一しており、中越沖地震の震源の深さの公式記録は17キロで変わりない」としている。
(2007年8月7日21時23分 読売新聞)



7、中越沖地震、直下のマグマが原因か 読売新聞
 新潟県中越沖地震や2004年の中越地震は、地下約40キロまで上がっているマグマによって引き起こされた可能性が高いことが、東北大学の研究でわかった。
 地上に出れば火山噴火となるマグマが、地下にとどまったまま地震の断層運動に影響を与えたとみられる。予測の難しい内陸型地震の発生地域の特定に役立つ成果という。
 同大の研究チームは、北陸から近畿にかけての地下400キロより浅い部分の構造を、地震波が伝わる速度を使って調査した。その結果、多量の液体を含む部分を、地下40キロ以深の「マントル」と、地下25キロ付近の「地殻」の部分にそれぞれ発見した。
 深い方の真上には火山が集中しており、研究チームはこの液体を岩石が溶けたマグマと推定している。中越沖地震や中越地震の震源直下にも、この領域が広がっていた。
 浅い方は、冷えたマグマから分離した水とみられ、飛騨山脈から兵庫県にかけて分布していた。両側から力を受けている断層に加わった水が潤滑剤となり、そこだけが、大きな揺れを伴わないままゆっくり動く。水が来なかった部分には一層のひずみがたまり、それがたまると急激に滑って強い地震波を出したという。
 中越地方で水の領域は見つかっていないが、研究が先行している東北地方では、03年の宮城県北部地震の震源直下でマグマと水が確認されている。
 中島淳一助教(地震学)は「マグマが直下にある場所は地震が発生しやすいといえる」と話している。
(2007年8月7日3時1分 読売新聞)



8、柏崎原発で作業員に放射能の水かかる、3週間たって公表 読売新聞
 新潟県中越沖地震発生時に柏崎刈羽原子力発電所の使用済み核燃料プールの水があふれた問題で、東京電力は6日、当時、1号機のプールの近くにいた作業員2人が放射能を帯びたプールの水を浴びていたと発表した。
 水で足元をぬらした作業員も1号機と6号機に数人いたという。
 東電は「全員、健康への影響はない」としている。公表が3週間後と遅れたことについて、東電は「協力(下請け)企業を通してのヒアリングに時間がかかった」と釈明している。
 東電によると、1号機で水を浴びた2人は下請け企業の男性作業員。プール脇のフロアで作業中、水が上半身や下半身にかかった。2人とも防水服と頭部を覆うマスクを着用していたという。水は床を伝って、少し離れた場所にいた数人の靴や靴下をぬらし、肌に触れた人もいたという。
 6号機でも、水で靴をぬらした作業員が数人いた。
 水を浴びた2人を含め全員が管理区域退出時の検査で、放射能が安全基準値(1平方センチあたり4ベクレル)を下回ったという。その後、体調を崩したり、病院で診察を受けたりした作業員はいないという。
 東電は地震発生時の作業員の動向について、7月26日から聞き取りを実施。発生時に放射線管理区域内にいたのは817人で、大半が下請け企業の作業員だった。うち52人は原子炉建屋内にいた。
(2007年8月6日23時52分 読売新聞)



9、被災地3首長が首相に要請  新潟日報
 中越沖地震で被災した柏崎市の会田洋市長と刈羽村の品田宏夫村長、出雲崎町の小林則幸町長が6日、安倍晋三首相と首相官邸で面会し、激甚災害への早急な指定など復興に関する要望書を手渡した。首相は7日の閣議で激甚指定を決定する方針を表明した。地震発生から約3週間での指定は過去最短になる。
 閣議では中越沖地震を局地激甚災害に指定し、対象区域を柏崎、刈羽、出雲崎の3市町村のほか長岡市とする政令を決め、10日に交付する予定。公共土木施設や農地などの災害復旧事業の国庫補助率がかさ上げされ、中小企業に対する貸付期間の償還期間も延長される。
 要望書はほかに個人住宅の建て替えなどに向けた被災者生活再建支援制度の拡充、復興基金の創設や特別交付税による財政措置、東京電力柏崎刈羽原発の安全確保の計4項目。会田市長は「大きな被害が出ており、一自治体では限界がある」と国の支援を求めた。
 安倍首相は「激甚指定には強い要望がある」と7日の閣議決定方針を伝え、復興基金に関しては「検討していきたい」、被災者生活再建支援制度については「使いやすい、分かりやすいものにしなければならない」と述べ、それぞれ前向きな姿勢を示した。原発に関しては「地元住民に正確な情報を伝えることが大切」とした。原発を所管する甘利明経済産業相も同席した。
 面会後、会田市長は「過去にない素早い対応で喜んでいる」と激甚指定方針を評価。品田村長は「首相の積極的な姿勢がうかがえ、心強い」と語った。
 3首長は6日、文部科学、国土交通、総務の3大臣とも面会し、同様の要望を行った。
2007年08月06日

2007年08月07日(火) 中越沖地震の記録 (28)

1、中越沖地震>激甚災害指定へ  毎日新聞
2、中越沖地震と豪雨災害、7日に激甚災害指定へ…首相が表明   読売新聞
3、原発作業員、核燃料プールの水かぶる 中越沖地震時 朝日新聞
4、柏崎刈羽原発:原子力安全委に「蛍光灯落下」説明せず 毎日新聞
5、公立小中学校施設の9%、震度6強で倒壊の恐れ 読売新聞
6、原発の地震被災、東電が安全委に制御室被害を過小報告 読売新聞
7、海底表面には断層見つからず 新潟日報
8、被災地支援の隊員を市長激励 新潟日報



1、中越沖地震>激甚災害指定へ  毎日新聞
(毎日新聞 - 08月06日 18:51)
 政府は6日の事務次官会議で、7月に起きた新潟県中越沖地震を激甚災害に指定する方針を決めた。7日の閣議で正式決定する。指定により、柏崎市など被災した4市町村に対し、災害復旧事業の国庫補助のかさ上げなど特別の財政援助を実施する。

 激甚災害は、復旧事業費が一定の基準を超える場合に指定される。柏崎市、長岡市、出雲崎町、刈羽村で▽公共土木施設など約243億円▽農地など約17億円▽中小企業関係約438億円−−の被害が出た。

 また政府は、6月11日〜7月17日に梅雨前線と台風4号の影響で九州から東北地方に降った大雨についても激甚災害に指定する。九州を中心に▽農地約31億1000万円▽農業用施設約50億9000万円▽林道約47億3000万円−−の被害が見込まれる。

 これまで政府は、局地的な被害の場合は復旧事業費の確定を受け年度末に指定してきたが、3月の能登半島地震を機に指定基準を改正。被害が一定の基準を超えると見込まれた時点で指定するようになった。中越沖地震は発生23日目の最速指定となる。【鈴木梢】


2、中越沖地震と豪雨災害、7日に激甚災害指定へ…首相が表明   読売新聞
 政府は、新潟県中越沖地震について、激甚災害法に基づく激甚災害に指定する方針を決めた。
 安倍首相は6日、首相官邸で被害を受けた柏崎市の会田洋市長らと会い、この方針を伝えた。7日の閣議で決定する。
 7月16日の発生から22日間での激甚災害指定だ。これは、1995年の阪神大震災の7日間に次ぐ早いペースとなる。
 対象となるのは、新潟県長岡市と柏崎市、出雲崎町、刈羽村の4市町村で、復旧事業費の見込み額は公共土木施設243億円、農地17億円、中小企業関係438億円。
 また、政府は7日の閣議で、6月11日から7月17日にかけての梅雨前線や台風4号による豪雨・暴風雨災害についても激甚災害と指定する。熊本、宮崎、鹿児島各県などを中心に大きな被害が出ており、復旧事業費の見込み額は129・3億円に上る。
 激甚災害に指定されると、復旧費が一定の基準を超えた場合、国庫補助率が引き上げられる。
(2007年8月6日19時12分 読売新聞)

3、原発作業員、核燃料プールの水かぶる 中越沖地震時 朝日新聞
2007年08月06日20時51分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所は6日、発生時に1、6号機にいた複数の作業員が、揺れの影響で使用済み核燃料貯蔵プールからあふれ出た放射性物質を含んだ水を体に浴びていたと発表した。全身を覆う作業服などを着ていたため、人体に影響はないとしている。一方、4、6号機の原子炉圧力容器のふたを開ける装置でも油漏れが新たに見つかった。
 東電が、発生時に放射線管理区域にいた作業員817人を対象に聞き取り調査した。その結果、52人が使用済み核燃料貯蔵プールなどがある作業フロアにいた。1号機では、プールのそばで制御棒取り換え工事の準備作業をしていた男性作業員2人が、プールからあふれた水を上半身や下半身にかぶったという。
 1、6号機ではプールからあふれた水が作業フロアに広がり、それぞれ複数の作業員の靴の中に入り込み、靴下がぬれた。すぐに退去して足の皮膚の放射線量を測定したところ、いずれも法定値(1平方センチ当たり4ベクレル)を下回ったという。
 水をかぶった作業員はいずれも協力会社の社員で、病院などには行っていないという。
 一方、新たに油漏れが見つかったのは、「スタッドボルトテンショナー」と呼ばれる直径約8メートル、高さ約6メートル、重さ約40トンの円盤形の装置。原子炉の容器を開閉する際、天井クレーンで圧力容器の真上に運び、油圧で、容器のふたのボルトを締めたり、緩めたりするという。
 4号機の装置で約200リットル、6号機の装置で約24リットルの機械油がそれぞれ漏れていた。詳しい原因は分かっていないが、地震の揺れが影響したとみられている。
 東電は「装置を直さない限り、圧力容器のふたは開かない。今後の点検作業に影響が出るのは避けられない」としており、天井クレーンの破損に加え、さらに原子炉内の点検時期が遅れるのは確実な見通しだ。



4、柏崎刈羽原発:原子力安全委に「蛍光灯落下」説明せず 毎日新聞
 中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発6、7号機共用の中央制御室の天井から蛍光灯が落ちた問題で、地震3日後に視察した原子力安全委員会の早田邦久委員に同社側が「マニュアルなどが落ちただけだった」と、事実と異なる説明をしていたことが、6日分かった。早田委員が同日の委員会で明らかにし「ありのままの状況を聞きたかった。残念だ」と批判した。
 制御室では蛍光灯86本が照明器具ごと落ち、天井の化粧板も落ちた。しかし同社は当初、軽微な問題とみなし、地震直後の公表もしなかった。早田委員に説明したのは発電所ナンバー2の「ユニット所長」だが当時は落下を知らなかったという。同社は委員会で「不手際をおわびします」と謝罪した。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月6日 21時04分 



5、公立小中学校施設の9%、震度6強で倒壊の恐れ 読売新聞
 全国の公立小中学校の校舎や体育館のうち、震度6強の地震で倒壊する危険性の高い施設が計1万1659棟に上ることが6日、文部科学省の専門家会議による推計で分かった。

 これは全12万9559棟の9%にあたり、同省では「極めて深刻な状況」として、「公立学校施設耐震化推進計画」を今年度中に策定し、これら危険性の高い施設をなくすことを目指す。
 しかし、肝心の自治体からは「耐震化を進めるには費用も時間もかかる」などの声も上がっており、深刻さの早期解消は簡単ではない。
 今回、「震度6強で倒壊の危険性が高い」とされた学校施設の危険度は、耐震強度偽装事件で使用禁止となったマンションの耐震強度「50%未満」に相当する。
 同省は今年6月、建設年などを根拠に全体の3割強にあたる4万5000棟余りが「耐震性不十分」と判断。このうち、約1万9000棟について、鉄筋量などを調べる精密な耐震診断を行ったところ、4328棟が震度6強で倒壊の危険性が高いことが分かったと発表していた。
 今回は、簡単な診断しか行われていなかったり、診断が未実施だったりした施設計3万4500棟について、これまでのデータなどをもとに推計したところ、新たに7331棟についても、震度6強で倒壊する危険性が高いとの計算結果が出た。
 この推計結果を受け、同会議がこの日まとめた「耐震化推進計画案」は、2008年度からの5年間で、優先して対策を取ることや、時間や費用もかかる改築ではなく補強などで済ませることなどを求めている。
 ただ、精密な耐震診断には、1棟あたり200万〜300万円が必要。さらに、校舎1棟の補強には6000万〜1億円、改築となると、10億〜20億円かかるとされている。
 北海道陸別町では、これまでに町立小中学校の全10棟の耐震診断すら行ったことがない。その理由について、「財政難のため、先延ばしにしてきた」と町幹部は打ち明ける。
 人口約3000人の町の年間予算は35億〜40億円。来年度、ようやく精密な診断を行う予定だが、「補強費の2分の1、改築費の3分の1が国から補助されるが、診断して工事が必要になっても、(地元負担分の)費用を捻出(ねんしゅつ)できない」と頭を抱える。
 また、3年前に中越地震を経験し、今年7月に再び中越沖地震に見舞われた新潟県では、県教委の担当者が「財政事情が厳しい自治体の中には『もう地震は来ないだろう』と甘く考えて、予算を耐震化に振り向けなかったケースもある」と話す。今年4月現在、同県の耐震診断済みの学校施設は全施設の63・0%で、全国で最低だった。
 耐震補強に時間がかかることも自治体担当者の悩みの種となっている。
 震度6強で倒壊の危険性が高いと判定された施設が34棟に上った神奈川県藤沢市では、計画を前倒しして、2009年度中にこれらの耐震工事を終える予定だ。ただ、工事に取りかかるまでの間も、校舎や体育館は普段通りに使い続けるという。市教委担当者は「校舎、体育館を使っている間に大地震がこなければいいのだが……」と漏らす。
(2007年8月6日21時56分 読売新聞)




6、原発の地震被災、東電が安全委に制御室被害を過小報告 読売新聞
 新潟県中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が被災した問題で、国の原子力安全委員会が現地調査した際に、東電が中央制御室内の被害の様子を実態より少なく報告していたことが6日、わかった。
 東電は、この虚偽報告に関する事実関係の確認と原因の調査を始めた。
 同委員会は地震3日後の7月19日、東邦夫委員長代理(元京大教授)と早田邦久委員(元日本原子力研究所理事)を現地に派遣し、原発の被災状況を調査した。
 その際、両委員は同原発6、7号機を集中制御する中央制御室を訪問し、地震の被害について尋ねた。応対した職員は「棚からマニュアル類が落ちただけ」と説明。制御室内はきれいに片付いており、被害はないように見えたという。
 ところが実際には、蛍光灯86本がカバーごと落下したほか、天井の板の一部が脱落し、避難路を示す非常灯もずれる被害などが出ていた。けが人はおらず、原発の制御にも影響はなかったが、東電は今月3日になってこの事実を詳しく公表。両委員は報道された内容を見て、初めて制御室内に被害があったことを知った。
 6日に都内で開かれた同委員会の会議で、早田委員が東電の小森明生・原子力品質・安全部長に対して「あるがままの被害を見る目的で現地に行ったのに、何の説明もなかった。極めて残念だ」と抗議。小森部長は「当社の説明に不手際があった。おわびしたい」と頭を下げた。
 早田委員は会議終了後、「トラブル発生時の中央制御室の様子は、私たちにとって常に気がかりなこと。照明が落下したのなら、なぜ正直にそう話してくれないのか、理解に苦しむ」と話していた。
(2007年8月6日20時41分 読売新聞)



7、海底表面には断層見つからず 新潟日報
 海上保安庁は6日、中越沖地震の震源域の海底を音波で詳細に調査した結果、地震による地殻変動を示すような断層は海底の表面では見つからなかったと発表した。

 海保は「中越沖地震では、断層が深いところにあって海底面に現れていないか、調査域の外にある可能性がある」としている。

 調査結果によると、柏崎港の沖10―15キロ、水深約100メートルの海底で、表面がしわ状になる「ケスタ地形」を確認したが、断層などは発見できなかった。

 海保は7月20日からの5日間、測量船「天洋」(430トン)を使い、震源を含む柏崎市などの沖合約12キロ、幅約30キロを調査した。

 調査結果は8日に開かれる政府の地震調査委員会に提出し、今後さらに詳細な分析をする。
新潟日報2007年8月6日



8、被災地支援の隊員を市長激励 新潟日報
柏崎市の会田洋市長は5日、同市内で中越沖地震の被災者支援を続けている自衛隊を激励した。炊き出しや入浴支援の現場では「みなさんの活動が被災者の心のゆとりになっている」と感謝して回った。

 会田市長はこれまでも避難所などで自衛隊の活動を視察していたが、今回は初めて活動の指揮を執る現地本部も訪れた。

 現地本部では、担当者が被災地の大きな地図を見せながら活動状況を説明。同市栄町の避難所の炊き出し支援現場では、会田市長が「自衛隊の食事はおいしいと市民から評判なんです」とお礼を言いながら、食事を作る様子を見て回った。

 会田市長は「自衛隊のおかげで被災者支援ができた。本部は初めて見たが、しっかりしているとあらためて実感した」と話していた。


2007年08月06日(月) 中越沖地震の記録 (27)

1、IAEAの調査団、6日から柏崎刈羽原発の現地調査
2、避難生活なお1004人、ガス復旧も進まず…中越沖地震
3、「もう農業やめたい」…小屋や機具損壊、被災地の打撃深刻
4、刈羽の住宅、5割が半壊以上
5、被災道具をコンテナで預かる
6、新潟県中越沖地震復旧・復興会議 
7、東電要請で石油元売りが供給増…火力発電所出力増で



1、IAEAの調査団、6日から柏崎刈羽原発の現地調査
2007年08月05日19時43分
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所の調査のため、国際原子力機関(IAEA)の調査団が5日、来日した。6日から現地で被害状況の調査や関係者からの聞き取りをし、10日に経済産業省原子力安全・保安院などと意見交換をする。フィリップ・ジャメ団長は成田空港到着後、取材に応じ、「事実関係に関する情報を集めて教訓を明らかにし、国際社会に伝えていきたい」と述べた。
 調査団は欧米の地震工学の専門家ら計6人。ジャメ団長はIAEAの原子力施設安全部長。
 調査団の派遣については、IAEAのエルバラダイ事務局長が地震発生2日後の先月18日、「国際的な教訓を得るためにも全面的な調査が必要」と述べ、派遣の意向を示していた。しかし、日本政府は事態の収拾や調査は自力で可能と判断。「現場が混乱し、受け入れる余裕がない」として、いったんは断った。
 だが、同月22日に新潟県が調査団を受け入れるよう文書で政府に要請。保安院は同日、情報の国際的な共有は重要だとして、調査団の受け入れを決めた。



2、避難生活なお1004人、ガス復旧も進まず…中越沖地震
 中越沖地震(7月16日発生)の被災地では5日現在、柏崎市などの54か所の避難所で、1004人が避難生活を余儀なくされている。
 家屋被害は全壊1087戸、大規模半壊374戸、半壊2119戸。上水道は復旧したが、都市ガスは同市と刈羽村で、復旧対象戸数の58%にあたる約1万8000戸の供給がストップしている。
(2007年8月5日20時36分 読売新聞)



3、「もう農業やめたい」…小屋や機具損壊、被災地の打撃深刻
 新潟県中越沖地震で、大きな被害を受けた柏崎市や刈羽村では、農作業小屋が倒壊したり、農機具が壊れたりして、農家に深刻な打撃を与えている。再建費用が重くのしかかる農家からは、「もう農業をやめたい」との声も出始めている。

 両市村では毎年約200戸のペースで農家が減り続けており、県やJAでは借り入れた再建資金の利子補給など、被災農家への経済的支援を始めた。

 「つぶれた小屋を見ると、何もやる気が起きない。先祖代々の農家だったが、もう廃業するしかない」

 柏崎市藤井の入沢時男さん(66)は2日、庭先でぺちゃんこになった農作業小屋を見てうなだれた。がれきのすき間からは、壊れた精米機や乾燥機、コンバインが見える。

 入沢さんの水田は13アール。独立した息子2人は会社勤めで、後継ぎはいない。8月下旬から早場米の収穫が始まるが、稲刈りは知り合いの農家に頼んだ。「被害額は1000万円を超える。農業を続けるための資金繰りはつかない」と話す。

 新潟県によると、農業用施設の被害は、ため池や排水路などがほとんどで、「水田や畑そのものの被害は比較的少なかった」という。しかし、農機具の出し入れが簡単にできるよう間口が広く、柱の数が少ない農作業小屋は多数被害を受けた。

 JA柏崎によると、2日現在、柏崎市と刈羽村で確認された農業用建物の被害は376戸。そのうち119戸が全壊し、建物だけでも被害額は5億7000万円に上る。今秋は収穫できても、来春以降の作業を不安視する農家も多い。

 自宅敷地の農作業小屋が全壊した柏崎市中田の高野美智子さん(47)は、「田んぼが無事でも、コンバインがなければ稲刈りはできない。被災を機に、田んぼをほかの人に貸すことも考えている」と漏らす。

 2000年に両市村で5235戸あった農家は、05年には4290戸まで減少している。「これ以上、農家を減らしたくない」と、県は先月26日、被災農家が金融機関から融資を受けた場合、利子の一部を5年間負担する制度を設けた。融資については、JAが10億円の枠で1戸あたり2000万円までの支援を始めた。

(2007年8月3日3時6分 読売新聞)



4、刈羽の住宅、5割が半壊以上
 中越沖地震で刈羽村の住宅被害調査が4日までに全体の65%を終了し、半壊以上が5割に上ることが分かった。柏崎市は7割の住宅で調査を終え、約1割が半壊以上。木造の被害の割合が非木造よりも目立っている。

 同村の住宅調査は約1400棟が対象。3日までに918棟を調査した結果、9割に被害がみられ、全壊は15%の139棟、大規模半壊は12%の111棟、半壊は24%の218棟を数え、一部損壊は約4割にあたる364棟。

 同市では約3万1800棟が対象で、3日までに2万2507棟を調査。約95%に何らかの被害がみられ、全壊は683棟、大規模半壊は243棟、半壊は1502棟。一部損壊が1万8888棟で8割強を占める。また、半壊以上の被害は木造で10%に上る一方、非木造では5%程度にとどまっている。

 同市は4日、被災住宅を解体する業者の指定登録受け付けを開始。初日は約130社が申請した。解体工事を登録業者に依頼すれば、解体費は個人負担だが、収集運搬費は市が負担する。
新潟日報2007年8月4日



5、被災道具をコンテナで預かる
 中越沖地震で甚大な被害を受けた柏崎市西山町五日市集落に、家財道具を一時保管するコンテナハウス20基が設置され、住民が5日、家具や衣類などの搬入を始めた。同集落の渡辺丈夫総代(63)は「集落のまとまり維持につながってほしい」と期待している。

 コンテナは2カ月間、東京のNGOから借り受けた。同地区の集会場の隣に設置され、この日までに申し込んだ13世帯が今後、鍵を自分で管理する。

 同集落51世帯のうち、八割以上は応急危険度判定で「立ち入り危険」の赤紙が張られた。集落の維持が危ぶまれる中、渡辺総代は「それぞれ事情もあるが、近所で荷物を預かって家の片付けを後押しすることで、連帯感を維持したい」と願いを込める。

 同所の会社員早川実さん(52)は妻誠子さん(51)と、タンスや衣類などを軽トラックに乗せて運んできた。誠子さんは「近くていつでも出し入れできるから本当に助かる。広いので、捨てようと思っていた娘のひな人形も保管することにした」としきりに感謝していた。
新潟日報2007年8月5日




6、新潟県中越沖地震復旧・復興会議    
平成19年8月1日

1 趣 旨
  新潟県では、7月16日の「平成19年新潟県中越沖地震」発生直後から、
 被災者の救助・支援、被災したインフラの復旧などの緊急対応を進めてまいり
 ました。
  今後、被害を受けた地域社会の経済活動や被災者生活の速やかな復旧・復興
 に向けた県全体の課題へ対応するため、明日8月2日、「新潟県中越沖地震復
 旧・復興会議」を設置します。

2 名 称
  新潟県中越沖地震復旧・復興会議
  (議長:泉田知事 副議長:関根副知事、小熊副知事、神保副知事)

3 目 的 
  今後の復旧事業と復興施策等について総合調整を図り、中越沖地震により甚
 大な被害を受けた地域社会の経済活動及び被災者生活の速やかな復旧・復興を
 図る

4 構成員
  各部局長(知事部局、県警、病院等)、各地域振興局長
 国関係機関、新潟大学震災復興科学センター等 ※適宜、出席をお願いする
   事務局 県民生活・環境部震災復興支援課
   ※当面の間、国への要請項目の整理は、知事政策局で対応

5 主な機能 
 (1) 復興施策の総合調整と確実な実施
 (2) 復旧事業の推進  
 (3) 国等との連携確保


本件に関する問い合わせ先 
  震災復興支援課 丸山課長
  電話:025−280−5218(直通)
  内線:2374



7、東電要請で石油元売りが供給増…火力発電所出力増で
 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の運転が停止した東京電力は、電力不足を補うため、火力発電所の出力を増やすのに必要な重油や原油の供給増を石油元売り各社に要請し、協力を得ることになった。
 電力需要が急増する夏場への備えに一定のメドを付けた形だが、原発を石油火力に切り替えると日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量が2%程度増えると見込まれ、東電は新たな対策が課題になる。
 東電の今年度の重油や原油の使用量は、当初予定の540万キロ・リットルから1050万キロ・リットルにほぼ2倍に増える見通しだ。
 石油元売り各社は、東電の要請を受け、石油供給を増やす体制をとった。ジャパンエナジーは8〜9月、東電への重油の供給量を12万キロ・リットル増やす。このうち4万キロ・リットルはタイや韓国から輸入し、残り8万キロ・リットルは在庫で対応する。昭和シェル石油も、インドネシアやタイからの輸入などで、8月の重油供給量を4万キロ・リットル増やす。
 コスモ石油も8月に予定していた東電への重油供給量を1・8倍に増やし、出光興産も1・6倍に増やす方針だ。東電との取引量が最も多い新日本石油も子会社の製油所の稼働率を引き上げるなどの対応を進める。
 東電は、火力発電所の出力増や、電力6社からの電力融通などの緊急対策で、停止した柏崎刈羽原発で見込んでいた電力711万キロ・ワットの62%分を補える。
 ただ、燃料費などが増加するため、業績が悪化するだけでなく、CO2排出量が当初予想より28%(2800万トン)も増える計算だ。これは、05年度の日本全体の排出量12億9300万トンの約2%に相当する。(豊田千秋)
(2007年8月5日23時40分 読売新聞)



2007年08月05日(日) 中越沖地震の記録 (26)

2007年08月05日(日)
1、原発の揺れ、04年中越地震の10倍 「耐震性を過信」 朝日新聞
2、蒸し暑い避難所 対策に氷柱も 毎日新聞
3、サポート情報 ライフライン  毎日新聞
4、二重ローン350戸 15戸は三重の恐れ 毎日新聞
5、柏崎市の避難者が千人切る 毎日新聞
6、被災地のガス供給復旧進まず 新潟日報
7、柏崎刈羽原発:198立方メートルの油、土壌に漏出か  毎日新聞 
8、柏崎刈羽原発:6号機の天井クレーンで新たな部品の破断  毎日新聞
9、刈羽の住宅、5割が半壊以上  新潟日報



1、原発の揺れ、04年中越地震の10倍 「耐震性を過信」
2007年08月05日06時11分
 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発で観測された揺れは、04年の中越地震の最大約10倍に上ることがわかった。3年前は、揺れが設計時の想定値内に収まったが、今回は想定値の2倍近い揺れだった。東電幹部は「中越地震で大丈夫だったのだから、耐震性は問題ないと確信していたことは否めない」としている。
 04年中越地震は、震源は原発から約28キロ、深さ約13キロ、マグニチュード6.8。原発がある刈羽村では震度6弱を記録した。今年の中越沖地震は、震源は原発から約16キロ、深さ約17キロ、マグニチュード6.8。震度6強を観測している。
 東電によると、04年中越地震の観測データで現在残っているのは5、6号機分。
 地震で天井クレーンに3カ所の破損が見つかった6号機では、設計時の最大地震動の想定値(水平方向)は、地下3階で263ガル(ガルは加速度の単位。1ガルは1秒間に秒速1センチの加速)、1階338ガル、4階471ガル、天井部785ガルと地表から離れるほど大きくなっている。想定値は国の耐震指針に基づいて設定した。
 04年中越地震では、それぞれ59ガル、64ガル、85ガル、140ガルで、想定値内だった。しかし、今回の中越沖地震では336ガル、459ガル、731ガル、1459ガルで、想定値の1.3〜1.9倍。3年前と比べると約5〜10倍だった。5号機でも、3年前の揺れと比べると約6〜8倍の大きさだった。
 東電幹部は「中越地震でもあのような揺れで収まったという自負があった。今回の地震で大きな被害が出ている以上、過信と言われても仕方がない」と話す。
 新潟県の斎田英司・危機管理監は「想定外の地震に見舞われた原因を国の責任で解明してほしい。耐震基準も見直しが必要だ。現在の指針に沿って耐震設計を進めて大丈夫なのかを明確にしてほしい」と求めている。
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2、中越沖地震:蒸し暑い避難所 対策に氷柱も

避難所に持ち込まれた氷と扇風機=新潟県柏崎市の柏崎小学校で4日午後5時10分、西本勝撮影 新潟県中越沖地震の被災地・柏崎市で、避難所の猛暑対策が急務となっている。2日は台風5号接近に伴うフェーン現象で、最高気温は36.7度に上昇。県と市は各避難所に扇風機や氷柱を配布するなど、暑さ対策に取り組んでいるが、夏の震災の課題が浮き彫りになった。

 最多で1万1410人(17日)いた避難所の住民は3日夜、初めて1000人を切ったが、まだ約900人を数えている。

 市によると、避難所となった小中高校の体育館に元々、冷房設備はない。市は地震後、県内のリース業者に体育館用大型冷房機を依頼したが、参院選で県内の大型冷房機はすべてリースされていた。市幹部は「地震に選挙の影響が出るとは思わなかった」と振り返る。

 市は7月20日ごろから、県が用意した氷柱(幅・奥行き25センチ、高さ75センチ)を1日約150〜350本配布。その後、米国からのクーラー96台、東北電力などから援助の扇風機700台も配った。高齢者の熱中症予防にスポーツドリンク計5000本も配布し、「暑ければ我慢しすぎないように」と呼びかけた。市は参院選後、大型冷房機2台を避難所2カ所に設置。他の避難所では避難者の減少で、扇風機割り当てを世帯から個人単位に切り替えた。

 しかし今年初の猛暑日となった2日夜、大きな体育館では冷気が伝わりにくく、被災者は寝苦しさに悩まされた。柏崎小に避難している無職、下條輝子さん(66)は氷柱を「随分助かります」と言いながらも、「夜は蒸し暑くて眠れない」と漏らす。

 新潟地方気象台によると、新潟県では今週も連日最高気温は30度程度に上がる見込み。市は▽暑さ対策チームの設置▽電力に制約のある体育館に発電機を設置し大型冷房機を導入▽冷房のあるコミュニティーセンターへの避難者と冷房機の集約−−などを検討している。【酒井祥宏、畠山哲郎】

毎日新聞 2007年8月5日 3時00分



3、中越沖地震:サポート情報 ライフライン
 ◇鉄道 JR信越線・柿崎−柏崎間、越後線・柏崎−吉田間が不通。越後線は10日に臨時ダイヤで運転開始予定。信越線は少なくとも8月中は運行できない。柿崎−柏崎、柏崎−出雲崎、出雲崎−吉田間は代行バス運転。柏崎−直江津間も一部、代行バス運転を実施中。6日から直江津−長岡間で直行バスを運転する。
 ◇ガス 日本ガス協会によると、4日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち1万9845世帯で供給停止。10日までに約3000世帯を除いて復旧する見通し。
 ◇道路 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間、同市大湊地内の2カ所が通行止め。大湊は10日ごろ復旧の見込み。
毎日新聞 2007年8月4日 20時51分


4、二重ローン350戸 15戸は三重の恐れ
 新潟県中越沖地震の被災地で、04年10月の中越地震の被害から自宅を再建するためのローンを抱えたままだった家が約350戸あり、今回の被災で二重ローンに陥る可能性があることが県の調査で分かった。さらに別の約15戸は中越地震時にローンを抱えていたため、このローンと中越、中越沖両地震による2度の住宅再建で三重ローンになる恐れがあるという。県は既に被災住宅の再建支援のための基金創設準備を進めているが、これらの世帯に対して優先的に利子補給を拡充する方針だ。
 県が中越沖地震の被害が甚大だった地域で、中越地震の「県中越大震災復興基金」から住宅再建資金の利子補給を受けていた件数を調べたところ、柏崎市で146件、刈羽村で18件、長岡市で約200件あることが分かった。1世帯で複数のローンへの支援を受けているケースがあるものの、戸数に換算すると約350戸に上るという。
 また、当時、中越地震で二重ローンとなった世帯を支援する「住宅債務(二重ローン)償還特別支援」を受けているケースを調べると、柏崎市で1件、長岡市で14件あり、今回の地震で三重ローンになる恐れがあることが分かった。
 県は今回の地震でも新たな基金を創設する方針で準備中で、二つの地震で被災した世帯には利子補給拡充による先行支援を決定。中越地震で家を失っても払い続けているローンは利子補給の期間を5年から残り全期間に、新たに再建した自宅のローンには5年から最大15年に延長する。さらに、中越沖地震の新たなローンは新基金から利子補給する。【渡辺暢】
毎日新聞 2007年8月4日 15時00分


5、柏崎市の避難者が千人切る
 新潟県中越沖地震で最大の被害を受けた同県柏崎市の避難者が3日、1000人を切った。
 市によると、最も多かった時は市内76カ所の避難所に1万1410人が避難した。水道の復旧などに伴い、避難者が日々減り、3日午後8時現在で一般避難所48カ所と障害者用福祉避難所4カ所の計952人となった。一方、152世帯421人(2日現在)に避難勧告・指示が出されている。
 市は今後、避難所を統合し、冷房の効率化や子供の遊ぶスペースの確保などを進める。【酒井祥宏】
毎日新聞 2007年8月4日 1時33分


6、被災地のガス供給復旧進まず
 中越沖地震で被災した柏崎市と刈羽村では、都市ガスの復旧率が4日現在も3割にとどまり、約2万戸が不通のままだ。通常営業に戻れない飲食店や宿泊施設などは、ガス不通の長期化に焦りの色を濃くしている。

 「ほらこんなにがらんとしてるでしょ。ガスが出ないから宿泊予約を断ってるの」。「海の柏崎」を代表する同市鯨波海水浴場で民宿と浜茶屋を営む佐藤直子さん(56)は、人影のない浜茶屋を指してため息をつく。海水浴客はお盆までが書き入れ時。「早くガスを通してほしい」と訴える声は切実だ。

 同市駅前2の老舗中華料理店「盛来軒」は、都市ガスが使えずに休業中。店主の赤頭勉さん(65)は「店の周りで毎日修復作業をしているのに、うちの復旧はいつなのか。休ませたままの従業員のこともある。地区ごとの復旧見込みを広報してくれないものか」と嘆く。

 同市駅前1のホテルニューグリーン柏崎は、客室への給湯ができていない。「客は減ってるが、どうしようもない」とお手上げの様子だ。

 ガスに替わる“自衛手段”の工夫もある。同市北園町の「理容オーロラ」は通水した25日から洗髪を再開。電気で沸かした湯をじょうろに入れ、2人掛かりでシャンプーする。店主の杵渕賢司さん(56)は「髪を洗えないお客さんが多い。ガスのありがたみが分かった」としみじみ語る。

 被災地で目立つのは、水を入れたペットボトルが並ぶ光景。水を日光で温め、浴びるためのものだ。ホームセンターなどでは、カセットコンロ用の替えボンベが売れている。刈羽村下高町、自営業吉田元治さん(74)は「カセットコンロは、都市ガスのようには料理に火が通らないし、すぐなくなる」とあきらめ顔だった。

 日本ガス協会によると、同市と同村のガス復旧率は、めどとしてきた10日でも9割にとどまる。軟弱地盤で掘削作業ができなかったり、家屋倒壊でガス管損傷の恐れがあったりするのが原因。残りの1割、約3000戸については「復旧の見通しが立っていない」としている。
新潟日報2007年8月4日


7、柏崎刈羽原発:198立方メートルの油、土壌に漏出か
 新潟県中越沖地震のため柏崎刈羽原発の変圧器多数が損傷し、内部の絶縁油が漏れていた問題で東京電力は3日、計約198立方メートルの油が発電所内の土壌にしみ込んだ可能性があると発表した。東電は今後、土壌の回収などを検討する。
 ほとんどの変圧器は、油の流出に備えて地面にコンクリートが張られ、周囲には防油堤もある。しかし地震で地面や堤にひびが入り、油が漏れたらしい。発電所の放水口では先月末、微量の油が海に流出しているのが見つかっており、土にしみ込んだ油が地下水に混じったとみられていた。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月3日 21時34分


8、柏崎刈羽原発:6号機の天井クレーンで新たな部品の破断
 東京電力は3日、柏崎刈羽原発6号機原子炉建屋の天井クレーン(重さ約310トン)で、新たな部品の破断が見つかったと発表した。7月24日、新潟県中越沖地震による鋼鉄製部品2個の破断が見つかっていたが、部品のカバーを外すと、もう1個が破断していたという。
 クレーンはレールの上を車輪で動く仕組み。破断した部品はいずれも車輪にモーターの動力を伝える車軸の一部で「継ぎ手」と呼ばれる部分だった。継ぎ手は計4カ所あり、これまで異常なしとされた2カ所にはいずれもカバーがかかっている。2日夜、カバー全体を外して、新たな破断が分かった。
 東電はすでに6号機以外の原子炉建屋天井クレーンの外観を点検し、異常なしとしていた。しかし同様のカバーは1、2、3号機のクレーンにもあり、どれも外していなかった。このため来週以降、点検をやり直す。
 クレーンの下には原子炉本体があるが、東電によると、車軸が壊れてもクレーン本体はレールから外れない仕組みで、破断が3個でも落下のおそれはなかったという。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月3日 21時26分


9、刈羽の住宅、5割が半壊以上

 中越沖地震で刈羽村の住宅被害調査が4日までに全体の65%を終了し、半壊以上が5割に上ることが分かった。柏崎市は7割の住宅で調査を終え、約1割が半壊以上。木造の被害の割合が非木造よりも目立っている。

 同村の住宅調査は約1400棟が対象。3日までに918棟を調査した結果、9割に被害がみられ、全壊は15%の139棟、大規模半壊は12%の111棟、半壊は24%の218棟を数え、一部損壊は約4割にあたる364棟。

 同市では約3万1800棟が対象で、3日までに2万2507棟を調査。約95%に何らかの被害がみられ、全壊は683棟、大規模半壊は243棟、半壊は1502棟。一部損壊が1万8888棟で8割強を占める。また、半壊以上の被害は木造で10%に上る一方、非木造では5%程度にとどまっている。

 同市は4日、被災住宅を解体する業者の指定登録受け付けを開始。初日は約130社が申請した。解体工事を登録業者に依頼すれば、解体費は個人負担だが、収集運搬費は市が負担する。
新潟日報2007年8月4日




2007年08月04日(土) 中越沖地震の記録 (25)

1、耐震診断への問い合わせ増加  新潟日報
2、柏崎市などを激甚災害指定へ  新潟日報
3、長岡市で被災者へ再建説明会  新潟日報
4、IAEA、6日から原発調査  新潟日報
5、問題発言「地震は歴史的な実験」、原発技術委の座長が辞任  読売新聞
6、柏崎刈羽原発「防油堤」に亀裂、絶縁油が地下流出の可能性   読売新聞
7、航空機用の大型冷風車、柏崎の避難所でフル稼働  朝日新聞
8、柏崎刈羽原発6号機のクレーン、継ぎ手破損は3カ所  朝日新聞
9、原発で最大揺れ2058ガル 柏崎刈羽3号機  朝日新聞
10、中越沖地震の仮設住宅、入居希望が発注分上回る  朝日新聞

1、耐震診断への問い合わせ増加  新潟日報
住宅に大きな被害が出た中越沖地震直後から、新潟市役所への耐震診断に関する市民の問い合わせが急増、2日までの約3週間で69件に上っている。診断を申し込むペースも加速、すでに昨年度の実績を上回った。市は自宅の安全性に疑問を持つ人が多いとみて、広報紙などでさらに制度の説明や活用呼び掛けに力を入れていく。
 同市は1996年度、木造住宅の耐震診断に対する補助制度を設けた。延べ床面積に応じ診断費用の2分の1、3万5000―5万円の補助が受けられる。2006年度までの利用者は年平均23件だった。
 しかし、7月の中越沖地震後、耐震診断への関心が急速に高まった。4月から地震発生までの3カ月半で32件だった問い合わせは、地震後の3週間足らずで2倍以上を数え、1日10件近く寄せられた日もあった。市建築行政課は「どういう建物が該当するかや、制度の内容を尋ねるものが多い」と解説する。
 利用申し込みも増えている。窓口となる県建築住宅センターには17日から30日までの2週間で、市民から10件の申し込みがあった。07年度は地震前と合わせ計33件となり、すでに06年度実績の30件を超えている。
 耐震診断は3年前の中越地震後にも一時注目された。05年度の耐震診断申し込みは、補助制度を設けて以来、最も多い55件だったが、翌06年度は大きく落ち込んだ。
2、柏崎市などを激甚災害指定へ  新潟日報

 中越沖地震で被災した柏崎市を2日、自民党の地震対策本部視察団(団長・中川昭一政調会長)が訪れ、7日にも同市などを激甚災害に指定する見通しを明らかにした。一部で不通となっていたJR越後線は、10日に全線で運転を再開する。
 激甚災害に指定されると復旧事業の国庫補助率のかさ上げや中小企業への低利融資などの助成措置が受けられる。
 視察団は東京電力柏崎刈羽原発の火災現場も視察。中川団長は「東電の初期対応が不安を増長する面があった。原子力エネルギーは必要だが、安全、安心が大前提だ」と苦言を呈した。
 会田洋柏崎市長、品田宏夫刈羽村長、小林則幸出雲崎町長は6、7の両日、激甚災害指定や原発の安全性確保などを求め、国に緊急要望をする。
 JR東日本新潟支社は、地震の影響で運転を見合わせていた柏崎―吉田間を、地震から26日目となる10日に臨時ダイヤで再開する。同区間では速度規制をして運転するほか、バスによる代行輸送も続ける。越後線が運転を再開すると、不通区間は信越線の柿崎―柏崎間だけとなる。
2007年08月03日


3、長岡市で被災者へ再建説明会  新潟日報
中越沖地震で長岡市は21―25日、市内で特に被害の大きかった大積・宮本、和島、寺泊の3地域で支援策に関する住民説明会を開く。対象は住宅が半壊以上の世帯。住宅応急修理、被災者生活再建支援、被災住宅復興資金融資など各制度を説明する。
 会場は20、21日が寺泊センターおおこうづ、22、23日が和島保健センター、24、25日が大積コミュニティーセンター。時間はいずれも午後7時半―9時。
 寺泊、和島の両支所と大積コミュニティーセンターには13日に相談窓口を開設するほか、今月末には市内全世帯に生活再建支援制度の案内を配布する。
 3地域では7日から町内会長や区長を対象にした説明会も開催する。
2007年08月03日


4、IAEA、6日から原発調査  新潟日報
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発への国際原子力機関(IAEA)調査団の訪問日程がほぼ固まり、6日から5日間、現地で活動する予定であることが2日までに分かった。政府関係筋が明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院も2日午後、正式発表した。
 関係筋によると、調査団は、IAEAの原子力安全局の安全評価部門に所属する地震対策専門家ら2人に加え、米国や欧州の専門家ら3人の計5人となる予定。
 5日に来日し、6日から10日まで現地で活動。11日に帰途に就くという。その後、調査団は報告書をまとめる見通し。
 保安院によると、IAEAは先月19日に「日本が独自の調査を行う技術的能力を有していることは承知している」としながらも「国際的に情報を共有するため日本の調査に参加したい」と文書で申し入れた。
 保安院側は「一緒に調査を行うことを歓迎する」との文書を送るなど、先月22日までにIAEA調査団受け入れを決めていた。
 IAEAのエルバラダイ事務局長は先月24日、日本側の受け入れ決定を「歓迎」し、「国際的な原子力安全制度にとって役立つであろう今回の教訓を明確にする上で重要だ」とのコメントを発表した。
 また、IAEAの調査日程が固まったことについて、泉田裕彦知事は「とにかく早く来てほしいと思っていた」と歓迎。「第三者の目、世界の目で、利害関係なく何が起きたかを明らかにしてほしい。国際的にも誤った報道が相当された。放出された人工放射性物質も自然界に存在する(放射線の)レベルより低かったことなどを正しく評価してほしい」と述べた。
2007年08月03日

5、問題発言「地震は歴史的な実験」、原発技術委の座長が辞任  読売新聞
 新潟県は3日、「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」の宮健三座長(法政大大学院客員教授)が同日付で委員を辞任したと発表した。
 宮氏は1、2の両日、中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所の県の立ち入り調査に同行。2日の記者会見で、「大地震が起きたことは大変ショックだったが、現場を見たら安心した。(地震は)歴史的な実験だったかもしれない」と発言し、地元住民の間で問題視する声が出ていた。
 県によると、宮氏が3日、「一身上の都合」を理由に辞任の意向を伝え、県がこれを了承した。当面、鈴木賢治・新潟大教授が座長を代行する。
 同委員会は、2002年に発覚した東電の自主点検不正問題をきっかけに、県が同原発の運転、管理、安全確保に関して専門家の指導・助言を受けるために設置。以来、宮氏が座長を務めてきた。
 宮氏は、原子炉機器工学の専門家で、東大、慶大教授を歴任した。
(2007年8月3日22時32分 読売新聞)



6、柏崎刈羽原発「防油堤」に亀裂、絶縁油が地下流出の可能性   読売新聞
 新潟県中越沖地震で、東京電力は3日、柏崎刈羽原発2、3号機の変圧器の地下にある「防油堤」のコンクリート製底面に、数か所の亀裂が見つかったと発表した。
 亀裂から、変圧器内で使っていた絶縁油計約200立方メートル(約180トン)が地下に流出した可能性があるという。
 東電は周辺の土を調査した後、土を除去する予定。放射能漏れの恐れはなく、海への油流出も確認されていないとしている。
 防油堤は、絶縁油が地中に流出するのを防ぐための設備。2号機では変圧器と絶縁油の冷却器をつなぐ配管に、3号機では変圧器とタービン建屋をつなぐ配管に、それぞれ亀裂が入っていたことがすでに判明しており、絶縁油はこれらの亀裂から防油堤内に漏れたとみられる。
 また、東電は、2か所で破損が見つかっている6号機の原子炉建屋内の天井クレーンで、新たに破損が1か所見つかったと発表した。
(2007年8月3日21時38分 読売新聞)



7、航空機用の大型冷風車、柏崎の避難所でフル稼働  朝日新聞
2007年08月04日03時14分
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市の避難所で、千葉県の成田空港からやってきた航空機用冷暖房車が冷房にフル稼働している。
本来は、駐機中の飛行機の客室冷暖房をする車。日本航空の関連会社が7月末に派遣した。
 11トントラックから延ばした全長45メートルの太いホース2本を体育館の2階に差し込み、ここから二またに分けて冷風を送る。これで館内は26〜28度に保たれている。
 新潟では3日、台風5号から吹き込む南風でフェーン現象が起きて気温が上昇、柏崎市では午後1時に32.4度に達した。
 地震発生直後から心配されていた避難所の暑さ対策は本番を迎えた。冷房装置がある避難所は、3日現在で柏崎市内で53カ所ある避難所のうちの6割程度にとどまる。




8、柏崎刈羽原発6号機のクレーン、継ぎ手破損は3カ所  朝日新聞
2007年08月03日23時36分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発について、東電は3日、2カ所で破損が見つかっている6号機原子炉建屋の天井クレーンで、車輪とモーターの継ぎ手部分に新たに1カ所破損を見つけたと発表した。原子炉内を調べるにはクレーンでふたをつり上げる必要がある。炉内の点検作業は9月にずれ込むことになりそうだ。
東電によると、天井クレーンは重さ310トンで、床面から高さ8メートル。両端にモーターと車輪があり、レール上を移動する。車輪とモーターをつなぐ継ぎ手は車輪側に2カ所、モーター側に2カ所ある。先月24日、車輪側の2カ所で鉄製の円柱部品(直径5センチ)の破損が見つかったが、メーカーで分析のため分解作業をしたところ、モーター側の1カ所も折れているのが見つかった。東電は「レールに歯止めを設けるなど落下防止策があり、落下することはない」としている。
 1、2、3号機は同じメーカー製で、4、5、7号機のクレーンは継ぎ手がないタイプの別のメーカー製。これまで、他の天井クレーンで損傷は見つかっていないが、詳細に点検する必要が出てきた。



9、原発で最大揺れ2058ガル 柏崎刈羽3号機
2007年07月31日00時03分
 新潟県中越沖地震に見舞われた柏崎刈羽原発について、東京電力は30日、本震の揺れをきちんと記録できた33台の地震計のデータ解析結果を公表し、3号機で2058ガル(ガルは加速度の単位で、1ガルは1秒間に秒速1センチの加速)の揺れが観測されていたことを明らかにした。原発で確認された地震の揺れとしては国内最大で、世界でも最大ではないかという。1号機で建設時に想定した6.8倍の揺れが確認されるなど、地震想定の甘さがはっきりした。
 公表したのは97台ある地震計のデータのうち、回路異常で記録がない1台を除く96台の最大加速度値と、33台の波形データ。残り63台はデータ上書きで最大加速度値以外の本震波形データが失われており、うち9台は最大加速度値も上限1000ガルで振り切れていた。
 波形データから東西方向に最大2058ガルの揺れがあったとわかったのは、3号機のタービン建屋1階にあるタービンを載せる台上の地震計。設計時の想定834ガルの2.5倍だった。
 1号機タービン建屋1階では想定(274ガル)の6.8倍、1862ガルの揺れがあった。地震直後に公表された原子炉建屋最下階(地下5階)では680ガルが最大。タービン建屋は約40メートル上にあり、揺れがより大きかった。
 地震波の周期ごとの分析では、1〜7全号機でほとんどすべての周期帯で想定を超えた(グラフは3号機原子炉建屋基礎上でのデータ)。2〜5号機では、放射能漏れなどにつながる原子炉圧力容器や燃料集合体、主要配管など重要機器の損傷を招きかねない周期帯(周期0.1〜0.5秒程度)でも超えていた。
 破損した6号機の天井クレーンに最も近い地震計では上下方向に重力加速度980ガルを上回る1541ガルを記録。最大の揺れを受けて一瞬、浮いた可能性があるが、落下止めが効き大事には至らなかったという。
 東電原子力設備管理部の森下日出喜部長は「地震の想定が甘かったと言われても仕方ない」と話し、経済産業省原子力安全・保安院の森山善範・原子力発電安全審査課長は「今後、耐震補強工事が必要か、検討したい」と述べた。
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10、中越沖地震の仮設住宅、入居希望が発注分上回る  朝日新聞
2007年08月03日21時26分
 新潟県中越沖地震の被災者向け仮設住宅の入居申し込みが3日、締め切られ、柏崎市、刈羽村、出雲崎町の3市町村で1414世帯、計約1550戸の申し込みがあった。県がすでに発注している1056戸の約1.5倍だが、県は、対象者が希望通り入居出来るよう、今後、追加発注する。遅くとも8月末までには完成させ、長期化しつつある避難所暮らしの解消をはかる方針だ。
 柏崎市では、発注済みの841戸の約1.6倍にあたる1229世帯、約1330戸の申し込みがあった。着工が早かった仮設住宅は12日ごろに完成する予定で、高齢者や障害者のいる世帯などから優先的に入居させる。
 一方、刈羽村では171世帯、204戸、出雲崎町では14世帯、15戸の申し込みがあった。対象者全員が、15日前後の完成と同時に入居出来るという。
 04年10月の中越地震では、被災者が仮設住宅へ入居出来るまで1カ月以上かかった。県はこの時の教訓を生かし、今回は地震の2日後には候補地を選んで業者に発注した。入居期限は2年間。家賃は無料で、光熱費は自己負担となる。



2007年08月03日(金) 中越沖地震の記録 (24)

1、IAEA、柏崎刈羽原発を6日から調査     朝日新聞
2、柏崎原発停止でCO2排出2%増加 東電試算  朝日新聞
3、柏崎刈羽原発の不具合1263件 修繕はほとんど進まず 朝日新聞
4、原発中枢部「変形も」、保安院が徹底検査要求 柏崎刈羽 朝日新聞
5、中越沖地震:サポート情報 ライフライン   毎日新聞
6、原発放射能漏れ、公表方法検討を…新潟県など  新潟日報
7、柏崎原発 異常1263件 10件「最も深刻」 新潟日報
8、今はただ涙出るだけ 旧家再建、苦渋の断念  新潟日報



1、IAEA、柏崎刈羽原発を6日から調査 中越沖地震  朝日新聞
2007年08月02日16時24分
 国際原子力機関(IAEA)が6日から5日間の日程で、新潟県中越沖地震の被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発を調査する。経済産業省原子力安全・保安院が2日、明らかにした。
 IAEAは5日に来日し、6日から9日まで同原発に滞在して地震による原発の被害状況について調べる。10日は保安院の担当者と意見交換する。IAEA原子力施設安全部の地震対策の専門家や、米国や欧州の専門家ら6人が調査にあたるという。
 調査には保安院の担当者も同行する。調査団は報告書をまとめ、公表する見通しだ。
 柏崎刈羽原発の高橋明男所長は「データや現状をそのまま見ていただき、ご説明したい。海外の方の価値観も聞いてみたい」と話した。
 IAEAのエルバラダイ事務局長が先月18日に調査団を送る意向を示した。地元新潟県は保安院に対して調査団を受け入れるよう政府に要請し、政府も受け入れる意向を正式に伝えていた。



2、柏崎原発停止でCO2排出2%増加 東電試算  朝日新聞
2007年08月02日17時34分
 新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原子力発電所にある原子炉7基がすべて止まった事態は、代わりに火力発電所を運転するため、今年度の日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量を2%程度増やす要因になることが、東電の見積もりで明らかになった。世界最大の発電出力を持つ同原発の運転再開のめどがたたないことで、京都議定書で政府が国際的に約束した1990年比6%削減の達成は、ますます厳しくなりそうだ。
 東電によると、同原発では今年度、400億キロワット時の発電をする予定だった。運転停止に伴って夏場の電力需要を賄うため、重油や石炭を燃やす火力発電所を運転する。同じ電力量あたり、火発は原発の23〜44倍のCO2を出すとされる。
 このため東電は同原発が今年度いっぱい停止したとして、今年度のCO2排出量は当初予定より2800万トン(28%)多い1億2950万トンになると見通しを修正した。増加見込みの2800万トンは、日本全体のCO2排出量(05年度で12億9300万トン)の2%程度。国内のCO2はその28%を発電所が排出し、うち約3割が東電分だ。
 電気事業連合会は排出量取引などで、10年度の利用者使用電力量1キロワット時当たりのCO2排出量を90年度比2割削減する目標を掲げており、その達成にも影響しそうだ。環境省地球温暖化対策課は「影響がないとはいえないが、電力会社の努力で目標は達成できると考える」としている。
 NPO法人気候ネットワーク常任運営委員の畑直之さんは「電気事業者は外国と排出量取引をするというが、本来は国内対策で排出量を減らすべきだ。そもそもこれまでの原発稼働率見込みが高すぎた」といっている。
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3、柏崎刈羽原発の不具合1263件 修繕はほとんど進まず 朝日新聞
2007年08月01日23時01分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所は1日、地震発生から11日間で、天井クレーンの破損など1263件に及ぶ原発内の不具合を確認したと発表した。同原発はふだんから、不具合の件数を毎月公表しているが、今回の11日間だけで、過去最多だった03年4月(805件)の1.5倍に上った。東電によると、修繕はほとんど進んでいないという。
 地震発生の7月16日から26日までに確認された施設の損傷やトラブル、職員の不的確な行為などを集計・分類した。地震で多発したため、前倒しして発表した。
 内訳は「最も危険度が高く、法律や安全協定に反する不具合」が3号機の変圧器火災や6号機の天井クレーンの破損など10件▽「危険度が高く、社外に大きな影響を及ぼす不具合」が固体廃棄物貯蔵庫内で低レベル放射性廃棄物が入ったドラム缶数百本が倒れたことなど33件。
 「周辺自治体に限定的な影響のある不具合」がタービン建屋のパネルが外れるなど21件▽「軽微な不具合」が軽油タンクの地盤沈下や建屋内の亀裂など491件▽「日常の修繕で対応できる不具合」が706件▽分類対象外2件となっている。
 一方、同原発はこの日、6号機原子炉建屋地下1階付近の非管理区域のケーブル用通路に約3トン分の水たまりができていたと新たに発表した。放射性物質は確認されていないという。
 浸水の経路は不明だが、東電は通路のつなぎ目を覆うゴムが劣化したため、地下水が浸水してきたとみている。



4、原発中枢部「変形も」、保安院が徹底検査要求 柏崎刈羽 朝日新聞
2007年07月29日16時40分
 新潟県中越沖地震でトラブルが相次いで見つかっている東京電力柏崎刈羽原発で、経済産業省原子力安全・保安院は原子炉の主要機器も想定外の揺れで肉眼で確認できないわずかな変形やひずみが生じた恐れがあると判断、東電に対して点検の徹底と、再稼働が可能かどうか安全評価の実施を求め、その内容を精査する方針を固めた。31日から始まる同省の調査対策委員会で具体策の検討に入る。
 原発の建物や機器は耐震上の重要度に応じてABCの3クラスに分けて設計している。Aは想定する最大の地震動に耐えられることが条件。最重要機器の原子炉圧力容器や制御棒などは「As」とし、想定よりさらに大きい地震動にも耐えられる設計になっている。
 今回の地震では、全7基で地震動の強さを示す加速度値が想定を上回り、最大680ガル(設計値は273ガル)を1号機で記録した。6号機では原子炉建屋の天井クレーンが破損したほか、3号機横の変圧器では火災も起きた。
 天井クレーンは建築基準法で定める一般建築物の強さの1.5〜1.8倍のB、変圧器は一般建築物並みのCに区分されている。Aの点検はこれからだが、保安院は、炉内の機器や配管部分などで、目に見えない変形やねじれが生じている恐れがあるとみている。
 このため、保安院は東電に対し、まず詳細な点検を求める。その後の安全評価では、地震計データをもとに対象範囲を決めて、建屋や機器、配管にどの程度の力がかかり、その力にちゃんと耐えられていたかどうかを分析するよう求めることにした。保安院は対策委を通じ、安全評価の妥当性や、再稼働に向けた具体策を検討していく。
 東電は全7基でクレーンの点検を始めたが、原子炉の点検作業を始めるのは、秋以降にずれ込む見通しだ。05年8月の宮城県沖地震では、東北電力女川原発1号機が想定をわずかに超える地震動を観測、運転再開まで2年近く費やしている。




5、中越沖地震:サポート情報 ライフライン   毎日新聞
 ◇鉄道 JR信越線・柿崎−柏崎間、越後線・柏崎−吉田間が不通。越後線は10日から臨時ダイヤで運行開始予定。信越線は8月中は復旧できない見通し。柿崎−柏崎、柏崎−出雲崎、出雲崎−吉田間は代行バス運転。柏崎−直江津間も一部、代行バス運転を実施。
 JR東日本は今月10日までの予定だった夜行列車の全区間運休を31日まで延長。運休を延長する列車は以下の通り。
 特急トワイライトエクスプレス号上下(札幌−大阪、大阪−札幌間)▽特急日本海1号・3号(大阪−青森間)▽特急日本海2号・4号(青森−大阪間)▽特急北陸号上下(金沢−上野、上野−金沢間)▽急行能登号上下(金沢−上野、上野−金沢間)▽急行きたぐに号上下(新潟−大阪、大阪−新潟間)▽急行あおもり号上下(青森−大阪、大阪−青森間)
 ◇ガス 日本ガス協会によると、2日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち、2万2205世帯で供給停止。
 ◇道路 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間、同市大湊地内の2カ所が通行止め。大湊は10日復旧見込み。国道405号は長野県栄村和山−切明間で落石防止工事のため通行止め。村道の迂回(うかい)路あり。工事は10月上旬までの見通し。
 2007年8月2日 20時11分 (最終更新時間 8月2日 20時13分)



6、原発放射能漏れ、公表方法検討を…新潟県など新潟日報
 新潟県と柏崎市、刈羽村は2日、原子力安全協定に基づく東京電力柏崎刈羽原発への立ち入り調査(3回目)を行った。
 調査後、県原子力安全対策課は「放射能漏れの発表は、国の放出基準を基に判断し、(誤解を招かない)公表の仕方を検討する必要がある」とした。
 同行した県原発技術委員会の宮健三座長(法政大大学院客員教授)も「風評被害につながるので、県が公表する際には適切な技術的表現が必要。委員会としても検討する」と話している。
(2007年8月2日20時57分 読売新聞)



7、柏崎原発 異常1263件 10件「最も深刻」 新潟日報
 東京電力は1日、柏崎刈羽原発で中越沖地震により発生したトラブルや故障、作業ミスなどの異常(不適合事象の審議件数)が、ごく軽微なものを含めると、先月26日までで1263件に上ったと発表した。最高グレードの「As」は3号機変圧器の火災や6号機のクレーン破損など十件だった。
 不適合事象の管理システムは、2002年に同原発などで発覚したトラブル隠しを機に、同年10月に始まった。所員らから報告された事象を所内の不適合管理委員会で審議し、法令などで報告が義務づけられている「As」、社外への影響が重大な「A」、影響が限定的な「B」、軽微なトラブル「C」、日常のメンテナンス程度の「D」の5グレードに分類する。
 同原発全体では7月分(1―26日の暫定数値)の審議件数は1527件に上り、システム発足以降月間で最多。このうち約82%が中越沖地震によるもので、内訳はAが7号機の放射性物質漏れや主排気筒ダクトのずれなど33件、Bがポンプ故障など21件、Cがボルト破損など491件などだった。
 最も多かったのは、壁のひびやはく離などで367件。次いで機械の破損・変形の286件、水漏れの272件だった。
 一方、東電は1日、6号機原子炉建屋地下1階に隣接する電気ケーブル用の通路で、4カ所の水たまりを発見したと発表した。通路の接続部分のゴムパッキンが傷んで地下水が入り込んだとみられる。水量は計3トンで、放射性物質は検出されなかった。
 また、東電は同日、中越沖地震による所内のけが人が11人になったと発表した。協力企業から、作業員が地震で転倒し、腕と手首に打撲などを負ったとの報告があった。
2007年08月02日



8、今はただ涙出るだけ 旧家再建、苦渋の断念  新潟日報
2万棟以上の家屋に被害が出た中越沖地震から2週間以上すぎた。被災地の柏崎市などで仮設住宅建設は進むが、今後の生活の場の確保は被災者に重い負担となってのしかかる。被災した家の修理、再建をあきらめ、早々に借家に移り住んだ家族もある。
 「今はただ、涙が出るだけ。娘たちには『どうせ壊すんだから、きれいにしなくてもいい』って言われるけど…」。柏崎市四谷一の吉岡君江さん(79)は旧宅の倒れそうな柱や壁を怖がることもなく縁側の床を掃いた。
 栃木県生まれ。亡くなった夫とは東京で知り合い、60年前に嫁いできた。夫とともに老舗の菓子問屋を継ぎ、娘2人を育てた。菓子問屋は20年前にやめ、二女の順子さん(48)とその夫の自営業小林誠二さん(52)の3人で暮らしている。
 被災した家は築100年以上、建坪63坪(208平方メートル)の木造2階建て。玄関脇に店舗の名残をとどめる。地震によって店舗部分が大きく傾き、住居部分も激しく傷んだ。今は解体される日を待っている。
 同じ町内に借家を見つけ、先月28日から住む。借家生活については「お金をかけて直すのも大変。家賃を払う方がいいかなと思った」と打ち明け、「でも寂しいね」と繰り返した。
 誠二さんも片付けをしながら口を開く。「市は(応急危険度判定の)赤紙を張って『ここは危険だから出て行け』と言うだけ。でも仮設住宅ができるまで待っていられない」。生活再建に向け、行政からどんな支援を得られるのか分からないまま「個人で頑張るしかない」と感じている。
 君江さんは勝手口に並んだぬか漬けのプラスチック樽(たる)に手を入れた。「キュウリやナスや何でも漬けて近所の友達にも上げてきた」。そう振り返り、新しい家に運ぶ樽にふたをして、言葉を継いだ。「借家はすぐ近くだから友達も変わらない」。曇っていた顔が少しほころんだ。

2007年08月02日(木) 中越沖地震の記録 (23)

1、柏崎刈羽原発のトラブル1263件、新たに浸水3tも発見 読売新聞
2、社説 被災者意識調査 「原発不安」に意を尽くせ   新潟日報
3、リケン全面復旧、稼動再開  新潟日報
4、ライフラインの状況  朝日新聞
5、梅雨明けの柏崎で32・6度、避難所は熱中症を警戒  読売新聞


1、柏崎刈羽原発のトラブル1263件、新たに浸水3tも発見 読売新聞
 東京電力は1日、新潟県中越沖地震の影響で柏崎刈羽原子力発電所の建物のひび割れや機器の故障などトラブルが合計1263件見つかっていたことを明らかにした。
 東電は2002年のトラブル隠し発覚後、法令で報告義務のない軽微なトラブルも「不適合事例」として毎月公表している。今回の地震では7月26日までの情報をまとめて出した。これまで公表済みの68件に、軽微なものは含まれていなかった。
 1263件の内訳は、建物の壁のひび割れやはく離が最も多く367件。機器の破損や変形(286件)、水漏れ(272件)、設備の停止(101件)と続いた。
 重要度分類では、使用済み核燃料貯蔵プールの水があふれるなど国や自治体への報告対象になる「As」クラスが10件で、すべて公表済み。排気ダクトのずれや消火用配管の破断などの「A」が33件、ひびや少量の水漏れなど「B」が21件、より軽微な「C」が491件、「D」が706件。評価の結果、対象外とされた事例は2件だった。
 また、この日、柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋地下1階と、6、7号機共通の中央操作室のあるコントロール建屋地下2階をつなぐケーブル用の通路で約3トンの浸水が見つかったことも発表した。通路にあるつなぎ目から地下水がしみ込んだとみられる。放射性物質は検出されていない。
 たまった水は仮設ポンプで屋外に排出する。
(2007年8月1日20時54分 読売新聞)



2、社説 被災者意識調査 「原発不安」に意を尽くせ   新潟日報
 質問に対する回答欄に、ひときわびっしりと書き込まれた項目がある。思いの丈を記した文字が欄外にまで続く用紙もあり、肉声がほとばしるかのようだ。
 「怖い」「信用できない」「地元に落ちる金が大きいのは分かるが…」。質問は、中越沖地震による柏崎刈羽原発のトラブルについての項目だ。新潟日報社が被災者六百人を対象に行った聞き取りアンケート調査の一部である。
 三年前に行った、中越地震の避難者千人へのアンケートでは、食事や風呂など最低限の生活が確保できない嘆きが目立った。被災地が中山間地で、交通網寸断の影響が大きかったためだ。
 今回の調査で特徴的なのは、生活の不自由さに加えて、原発への不安や不信が根強いことだ。「これから不安なこと」を聞いた質問では、住宅再建や生活資金問題などを上回って「原発トラブル・放射能漏れ」が42%でトップとなった。
 被災者は、自分自身や家族の健康管理、生活再建に対応するだけで手いっぱいのはずだ。「原発」までが心にのしかかれば、そのストレスはどれほどになるのか。安全性に対する住民の不安が現在進行形であることを、東京電力や行政は重く受け止めるべきだ。
 被災者の多くは柏崎・刈羽を生活拠点とし、今後もこの地で暮らしを営む人々である。原発の運転再開などをめぐる質問の回答に、「原発城下町」の住民ならではの苦悩がにじむ。
 トラブルの報告が大幅に遅れた東電の対応に対しては、半数が「許せない」と怒りをあらわにした。だが運転再開については「閉鎖すべきだ」は二割にとどまり、半数が「安全性が確認されれば再開してもいい」と答えた。
 原発の設置は電源の多様化を目指した国策として進められてきた。原発を受け入れた地方の住民だけに、リスクを負わせていいはずがない。「電力は首都圏へ、リスクは地元で」では、立地点は浮かばれない。国民の生命と安全を守ることは政治の大前提である。
 今回の地震で原発がどんな被害を受けたのか、全容は明らかになっていない。断層についての情報も錯綜(さくそう)している。企業や政府にとって都合の悪い情報であっても速やかに公開し、対策を誠実に講じていく。それしか信頼回復の道はない。
 これから仮設住宅の入居や引っ越しなど暑い中での作業が続く。災害の後、日数がたつにつれ、被災者のニーズは刻々と変化する。
 どんな支援が必要なのか、遠慮なく声を上げてほしい。地震列島日本では誰がいつ、同じ目に遭うか分からない。被災者の要望を吸い上げ、蓄積することはみんなの財産になるはずだ。
[新潟日報7月29日(日)]




3、リケン全面復旧、稼動再開  新潟日報
 中越沖地震で柏崎市内の生産拠点が被災したリケン(東京)は1日、主力工場の柏崎事業所や、同市内の関係会社などの生産が先月30日に全面復旧したと発表した。鋳物部品用の設備の修繕、試運転を終え、工場の稼働率は被災前の水準に回復した。県は被災者を中長期的に支援するため、泉田裕彦知事を議長とする復旧・復興会議を設置することを決めた。2日に初会合を開く。

 同会議は県の各部局長、国など関係機関で構成し、新潟大震災復興科学センターなどが協力。復旧事業の推進、復興施策の立案、復興関連制度の検討などを進める。同会議の設置に伴い、これまで毎日開いていた災害対策本部会議は不定期とする。

 柏崎市は1日、中越沖地震の災害復旧費など約5億6000万円の補正予算を専決処分したことを明らかにした。また、行政や県弁護士会などが個別に開設していた相談窓口を同市役所の「被災者相談所」に一元化。同市の市街地循環バス「かざぐるま」が同日、運転を再開した。

 同市と刈羽村のガス復旧率は、同日午後6時現在で25・33%。2万3130戸で供給が止まったままだ。
新潟日報2007年8月2日



4、ライフラインの状況  朝日新聞
2007年08月01日
<避難所>
 柏崎市では31日午後8時現在、52カ所に1234人、福祉避難所6カ所に51人が避難。刈羽村は午後6時現在、5カ所に165人が避難している。

 <入浴>
 海上自衛隊の掃海母艦「うらが」を使った入浴サービスは午後3〜8時。整理券は不要。
 陸上自衛隊の野外風呂を使った入浴サービスは次の通り。
 【柏崎市】柏崎小、松浜中、北鯖石小、二田小、西山町いきいき館、中川コミュニティーセンター、南部コミュニティーセンター、北条北小、北条コミュニティーセンター、北条中、特別養護老人ホーム「しおかぜ荘」、比角小、中通コミュニティーセンター、大洲コミュニティーセンター、田尻小、ワークプラザ柏崎、保健福祉センター「元気館」(要介護者のみ)、半田コミュニティーセンター、宮川コミュニティーセンター、特別養護老人ホーム「なごみ荘」、ケアセンター久松(要介護者のみ)、柏崎病院(入院患者のみ)
 【刈羽村】生涯学習センター「ラピカ」、PLANT―5

 <ガス>
 31日午後8時現在の復旧率は旧柏崎市で23.8%、西山・刈羽地区で13.7%。7013戸で使えるようになった。

 <くらし>
 ◆中小企業者への支援
 県が「平成19年新潟県中越沖地震対策資金」を創設。融資限度額は7千万円(知事特認2億円)で、期間は10年以内。
 地震被害で最近3カ月間の売り上げが2割以上減少している中小企業は「新潟県セーフテイネット資金(経営支援枠)」の対象になる。融資限度額は4千万円で、期間は10年以内。
 問い合わせは商業振興課金融係(025・280・5240)へ。
 <ボランティア>

 ◆手話通訳の派遣延長
 柏崎市福祉課の窓口で、被災者の相談に応じている手話通訳者の派遣期間が、10日まで延長される。11日以降も状況に応じて延長を検討。問い合わせは、県障害福祉課地域生活支援係(025・280・5212)へ。
 
◆災害ボランティアバスの運行休止
 県が被災地にボランティアを送迎しているバスの運行を、2日から一時休止する。被災地の交通事情が改善されてきたため。今後は仮設住宅への入居時など、必要になった際に再開を検討する。問い合わせは県災害対策本部災害ボランティア調整班(025・280・5980)へ。

 <交通>
 
◆JR
 信越線は「柿崎―柏崎」が不通で、この区間はバスによる代行輸送をしている。一部のバスは「直江津―柏崎」の運転。「直江津―柿崎」「柏崎―長岡」は臨時列車で徐行運転中。
 越後線は「柏崎―吉田」で不通が続き、「柏崎―出雲崎」「出雲崎―吉田」で代行輸送を実施中。
 
◆高速道
 柏崎市内の渋滞緩和のため、一般車両は午前8時から午後8時まで、柏崎ICから出られない(緊急車両は除く)
 
◆一般道
 ▽通行止めの道路
 【柏崎市】国道352号(椎谷、大湊)小千谷大沢線(大沢)東柏崎停車場線(東本町)礼拝長岡線(西山町和田―同町内方)=31日午後6時現在、県警まとめ
 ◆路線バス
 
【越後交通】
 柏崎市街地循環線(かざぐるま)が1日から、う回運転で再開される。ただし「東本町2丁目」「諏訪町1丁目」「裁判所前」「市役所前」の各停留所は休止。
 
【越後柏崎観光バス】
 「柏崎駅―鯨波」「柏崎駅―川内」「柏崎駅―谷根」の3路線が、1日から特別ダイヤで運行を再開する。
 まだ運休中の区間は「柏崎駅―出雲崎」「柏崎駅―椎谷」「柏崎駅(山本経由)妙法寺」。



5、梅雨明けの柏崎で32・6度、避難所は熱中症を警戒  読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市内で1日、今季初の真夏日となる最高気温32・6度を記録した。
 同県はこの日、梅雨明けし、地元の小学校では閉鎖されていたプールが久しぶりに開放された。子供たちは歓声を上げたが、蒸し暑い避難所で暮らす市民からは、脱水症状などへの不安の声が出ている。
 プールが開放されたのは、同市山室の市立南鯖石(みなみさばいし)小。1日にようやく開放にこぎつけると、待ちわびた子供たちは、水しぶきを上げて大はしゃぎ。5年の石塚雄也君(10)は「早くプールに入りたかった。あしたからは毎日でも来たい」と声を弾ませていた。
 真夏の到来で、各避難所を回る保健師らは、熱中症に注意するように呼びかけている。約50人が避難している同市学校町の市立第一中学校体育館にはクーラーが4台あるものの、「冷房が苦手なお年寄りが多い」(市職員)として、スイッチは入れず、20台ある扇風機と自然の風で暑さをしのいでいる。
 3人の子供と避難している同市西本町の事務員荻原みち世さん(40)は「夜は涼しく、昼間との気温の差が激しい。これだけ暑いと脱水症状が怖い」と話していた。
(2007年8月1日23時14分 読売新聞)

2007年08月01日(水) 中越沖地震の記録 (22)

1、地盤沈下の対策強化、全原発に原子力安全委が要請  読売新聞
2、鎮圧後も出動指令、住民救助要請断る…原発火災で消防混乱  読売新聞
3、東電副社長が柏崎原発「駐在」に、トラブル続きで赴任  読売新聞
4、柏崎、災害続きで廃業商店も  新潟日報
5、避難所の被災者、疲労色濃く   新潟日報
6、被災支援の使途拡大両論併記  新潟日報
7、子どもに避難生活のストレス  新潟日報
8、被災地の水道、全面的に復旧 地震から15日ぶり
9、東電、原発停止で追加費用4千億円 経常利益を減額修正  朝日新聞
10、原発停止が東電痛撃、業績見通しを大幅下方修正   読売新聞



1、地盤沈下の対策強化、全原発に原子力安全委が要請  読売新聞
 新潟県中越沖地震によって、東京電力柏崎刈羽原子力発電所でトラブルが相次いだのを受け、政府の原子力安全委員会(鈴木篤之委員長)は30日、トラブルの原因になった地盤沈下の対策強化を全原発に求めるとともに、消火設備に関する審査指針も改定する方針であることを明らかにした。
 原発の耐震指針では、建物や機器の重要度に応じてクラス分けをし、そのクラスごとに強固な地盤に設置するなどの対策を求めている。しかし、今回の地震では、火災が発生した変圧器など重要度の低い建物や機器が設置された地盤が、大きく沈下し、大きなトラブルにつながった。同委員会では、重要度の高い施設だけでなく、低い施設の地盤の強さも改めて検証し、必要な補強を行うよう、全原発に要請した。
(2007年7月30日23時12分 読売新聞)



2、鎮圧後も出動指令、住民救助要請断る…原発火災で消防混乱  読売新聞
 新潟県中越沖地震で起きた東京電力柏崎刈羽原子力発電所の変圧器火災で、柏崎市消防本部が鎮圧後も相次いで消防車を出動させ、住民の救助要請に十分応えられなかったことが30日、わかった。
 原発火災と地震などとの複合災害を想定していなかったため、指揮が混乱。市消防本部は体制やマニュアルを見直す考えだ。総務省消防庁によると、原発を抱える他の自治体も複合災害を想定しておらず、原発事業者の自衛消防体制の不備に加え、新たな課題が浮上した。
 変圧器の火災は、16日午前10時13分の地震直後に起きた。直通電話が使えず、東電は14分後に119番通報。本部は原発消防活動計画(マニュアル)に従い、車両9台を市消防署と2分遣所から出動させようとした。しかし、市民からの救助要請などで車両や隊員が出払っており、発電所側に「自衛消防隊で対応してほしい」と要請。午前11時になって化学消防車1台(隊員5人)を出動させた。
 化学消防車は30分後に到着、10分後に火の拡大の恐れがない「鎮圧」状態となった。しかし、現場は無線が届きにくく、本部は状況を把握できないまま、続いて3台(隊員計12人)を出動させた。3台は午後0時10分の「鎮火」の前後に到着、いずれも消火活動をしなかった。
 一方、原発火災が鎮火するまでの約2時間に本部が受けただけで救助要請などが130件以上あった。しかし、本部は「隊員や車両が足りず断ったケースも多かった」とする。
 市消防本部のマニュアルでは、複合災害を想定しておらず、隊員や車両が足りない状況の訓練はしていなかった。今回、無線の不感地帯で連絡を中継する指揮車は別の現場へ出るなどしており、原発へ派遣できなかった。
 市消防本部は「『鎮圧』を把握していれば追加出動は取りやめたはずだが、混乱で無線のことまで考えてなかった。経過を分析し、体制やマニュアルなどを見直したい」としている。
(2007年7月31日3時1分 読売新聞)



3、東電副社長が柏崎原発「駐在」に、トラブル続きで赴任  読売新聞
 新潟県中越沖地震でトラブルが相次いだ東京電力柏崎刈羽原発に30日、同社の武黒一郎副社長が「駐在」として赴任した。
 同原発の高橋明男所長が現場の復旧作業に追われているため、被害や復旧状況を把握し、地元自治体や関係機関との折衝にあたり、広報体制の強化も図るという。常務以上の役員が、原発駐在として派遣されるのは異例。
 同日朝、着任した武黒副社長は、原発内の事務本館前で、職員を前に「地域の信頼が揺らぐ未曽有の試練に全力で立ち向かい、災害に強い発電所にするため、総力を結集して取り組みたい」とあいさつ。この後、刈羽村役場、柏崎市役所を訪れ、着任を報告した。
 柏崎市役所では、会田洋市長が「風評被害を含めて間違った認識を持たれている面もあるので、問題がないことを国内外できっちりPRしてほしい」と注文を付けた。武黒副社長は、8月下旬から2か月ほどかけて、原発周辺の海底で断層調査を進め、年内にもデータの解析を終えたいと説明した。
 武黒副社長は、6人いる副社長のうち、原子力・立地本部長を担当しており、2001年から3年間、同原発所長を務めた。
(2007年7月30日13時59分 読売新聞)



4、柏崎、災害続きで廃業商店も  新潟日報
 商店や住宅が混在し、中越沖地震で建物の倒壊などが起きたJR柏崎駅南側の柏崎市宮場町、城東地区。両地区は2005年6月の集中豪雨による水害で家屋浸水の被害が相次いだだけに、住民は「ようやく水害を忘れかけていたのに…」とうんざり顔で片付けに追われる。2度の自然災害に見舞われた商店主の中には、営業再開をあきらめる人も現れている。

 同市内は2年前の水害で約500棟が浸水。国道353号沿いの両地区は道路が冠水、孤立状態となった一部住民がボートで救出された。その記憶もさめないうちに、震度6強の揺れが襲った。

 「もう廃業、廃業」。同市関町で食料品店を営んできた加藤昭子さん(65)はさばさばした口調だった。2年前の水害では店内が浸水、商品も水浸しになった。畳を替えて再出発したが、地震では建物そのものが大きく傾いた。今は、つっかえ棒でかろうじて支えている状態だ。

 地震当日、商品などがひっくり返った店内を目にして、店を畳もうと決めた。住み慣れた店舗兼住宅を離れ、数百メートル先の親せき宅に身を寄せている。「水害の時も店をぶちゃろう(捨てよう)かと思ったけど。今回はもう駄目。やめる」。地震から2週間の30日、保健所に廃業届を出した。

 同市城東1の海津栄子さん(71)宅は、室内の柱に床上浸水した時の水の跡がくっきりと残っていた。夫とクリーニング店を営む海津さんが混乱した店内を片付け、営業を再開したのは先週末。店は今後も続けるつもりだが、周りではまだ避難している住民も多く、開店休業状態だ。

 海津さんは2年前を振り返り、「徐々に水が上がったから、商品を2階に運ぶ余裕があった。水害は水が引けば(復興は)早い」と語る。しかし、地震については「一瞬のことでどうしようもなかった。お客さんも被災して仕事にならない」と嘆いている。
新潟日報2007年7月31日



5、避難所の被災者、疲労色濃く   新潟日報
 中越沖地震から30日で2週間。柏崎市などの避難所には、1600人を超す住民が不自由な暮らしを強いられている。睡眠不足やストレスに悩まされ、被災者の疲労も色濃くなってきた。中には避難所を転々とさせられる人もおり、先の見えない生活に不安を募らせている。

 柏崎市田塚3の主婦若月清江さん(82)は震災以来、慢性的な睡眠不足に陥っている。夜中でも寝ている自分の脇を人が歩き、日が昇る前から起き出した人の話し声が聞こえる。同じフロアで生活していた男性は、脳こうそくで病院に運ばれた。むくみ始めた左足を見ながら、「自分もいつそうなることか…」と不安な表情を見せる。

 小さな子どもがいる母親もつらい思いを強いられている。同市の女性会社員(38)は、1歳4カ月の4女が毎晩のように夜泣きをするたび、屋外に出て、泣きやむのを待つ。周囲からは「うるさい」「しつけがなっていない」と小言を言われ、肩身を狭くする。

 多くの人が集まっている避難所はプライバシーが保たれにくい。同市西本町の主婦小菅千代子さん(57)は「下着を含め洗濯ものを干す場所がない」と嘆く。近くのコインランドリーに行く姿も多く見られるが、「衣類を出し入れする際、ジロジロ見られている気がする」(同市の25歳の主婦)という。

 着替え用の小さなテントを設置している避難所もあるが、同市の女性(29)は「外から透けて見えるので使いたくない」と不満を漏らす。

 ライフラインが復旧していくにつれ、避難所の閉鎖は進んでいる。福祉避難所に身を寄せる同市学校町4、無職武田昭子さん(79)は近く、避難所を移らなくてはならない。

 「引っ越し」はこれで4度目。壊れた自宅には戻れず、同居していた長男夫婦とも離ればなれ。足に関節炎を抱え、一般の避難所ではトイレに行くのですら不自由だ。「何度も避難所が変わり、もう疲れた。家族以外と暮らすのは落ち着かない」と一日も早い帰宅を訴えている。
新潟日報2007年7月30日



6、被災支援の使途拡大両論併記  新潟日報
 中越沖地震を受け、改正への動きがあらためて注目されている「被災者生活再建支援制度」の見直しを議論する内閣府の有識者検討会(座長・伊藤滋早稲田大特命教授)が30日、都内で開かれ、中間報告を取りまとめた。現在は対象外で、災害を経験した本県などが要望している住宅の修理、建設費に使途を拡大することなどについては、賛否両論の併記にとどめた。

 現行制度は、被災世帯に最高300万円が支給される。だが所得、年齢条件が厳しいことや使途が住宅解体撤去費などに限られ、事務手続きも煩雑であることから、改善の要望が上がっている。

 こうした指摘を受け、中間報告では分かりやすく、迅速な対応ができる制度に改善するよう提言。一方で公費負担が増大することへの懸念も盛り込んだ。

 住宅本体への支援など個別の問題点については「住宅再建は地域の復興に不可欠で、公共性がある」「住宅所有者と非所有者に不公平が生じる」といった各委員の意見を紹介する形とした。

 検討会後、伊藤座長は「現段階ではさまざまな見方を国民に示すことで広く議論してもらいたいと考えた」と説明。中間報告では中越沖地震に伴って加えられた内容はほとんどなかったが、「結果として中越沖地震被災者にも資する改正となるようにしたい」と述べた。

 検討会は今後、中間報告に対して意見を募るパブリックコメントを8月に実施。この結果を踏まえ、年内に最終案を作成する。
新潟日報2007年7月31日



7、子どもに避難生活のストレス  新潟日報
 中越沖地震の激しい揺れや長期化する避難生活がもたらすストレスなどが原因で、柏崎市など被災地の小中学生計1090人がカウンセリングを受ける必要があることが、30日までの県教育委員会の調査で分かった。「地震を思い出して不安になる」「よく眠れない」などと訴えているという。

 そうした児童生徒のうち116人には、既に県が派遣した臨床心理士がカウンセリングを実施した。

 市町村別のカウンセリング必要人数は、柏崎市が498人と最多。続いて長岡市403人、上越市78人、小千谷市70人、刈羽村が41人だった。それぞれの全児童生徒に占める割合は、刈羽村で9人に1人、柏崎市で14人に1人に上った。

 また、18日から柏崎市と刈羽村に開設された児童生徒向けの「心の相談室」は、28日までに71人が利用した。

 柏崎市の水道復旧率は30日午後9時現在で98・4%。断水となっている同市高浜地区で31日未明に通水試験を行い、漏水がなければ同日中に全域で復旧する見通し。刈羽村でも同日昼には飲料水として利用できるようになる。

 都市ガスの復旧率は30日午後9時現在、同市と同村で18・5%にとどまっている。
2007年7月31日



8、被災地の水道、全面的に復旧 地震から15日ぶり
2007年07月31日22時24分
 新潟県中越沖地震の被災地で最後まで水道の復旧が遅れていた柏崎市の一部で31日、給水が始まった。刈羽村はすでに復旧しており、発生から15日ぶりに、被災地でほぼ全面的に水道が使えるようになった。この日は朝から好天に恵まれ、久しぶりに自宅で洗濯機を回す住民も多かった。
 「これでやっと洗濯も洗い物もできる」。柏崎市宮川、主婦早川羊子さん(58)は、蛇口から流れ出る冷たい水にうれしそうに手を伸ばした。
 自宅の井戸は水量が少ないため、しばらくは車で長岡市まででかけ、コインランドリーで洗濯をしていたという。
 釣りえさ用水槽の水の確保に苦労していた近くの釣りえさ卸業者の男性(60)も「やっと一安心というところだね」と笑顔をみせた。
 最後まで断水していたのは浄水場から遠い高浜地区の約300戸。井戸を持つ家が、近隣の住民たちに水を分けるなど、近所同士の助け合いの輪も広がっていた。
 この日で高所の一部を除き、被災地では水道、電気ともに回復。ただ、柏崎市内の都市ガスの復旧率は約20%で、完全復旧は8月中旬までずれこむ見通しだ。
 高浜地区で民宿を経営する広田勝彦さん(62)は「水が出たのはうれしいけれど、ガスがないと民宿はできない。死活問題だ」。東京電力柏崎刈羽原発のトラブルもあり、旅館や民宿の経営者らは「ライフラインと風評被害で二重の打撃だ」と頭を抱えている。


9、東電、原発停止で追加費用4千億円 経常利益を減額修正  朝日新聞
2007年07月31日20時40分

 東京電力は31日、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が全面停止に追い込まれたことで、07年度だけで4000億円強の費用が新たに発生すると発表した。原発停止に伴い不足する電力を、燃料調達費がかさむ火力発電でまかなう必要が出てきたためだ。復旧工事費や耐震補強の費用は含まれておらず、費用がさらに膨らむ可能性がある。


記者会見で質問に答える東電の勝俣恒久社長=7月31日、東京都千代田区で
 東電は同日、08年3月期連結決算の業績見通しについて、経常利益を当初予想4000億円から1300億円へ大幅に下方修正した。合理化を図ったが、なお減益幅は2700億円になった。当期利益も3100億円から650億円に修正した。

 勝俣恒久社長は同日の記者会見で「電気料金を上げることは現時点では考えていない」と述べ、費用増加分をただちに消費者に転嫁しない方針を示した。ただ、原子炉の炉心部分の点検が始まり、国が地震対策の基準を見直せば費用がさらに増えるおそれがあり、結果的に電気料金に響く可能性も否定できない。

 東電によると、柏崎刈羽原発の1〜7号機がすべて年度内いっぱい止まることで400億キロワット時の電力量を火力発電に振り替えなければならなくなる。そのため、石油を510万キロリットル、液化天然ガスを130万トン追加購入する必要があり、3600億円かかるという。核燃料の購入費や使用済み核燃料の処理費用などは減るが、追加購入する火力発電用燃料は割高。他の電力会社から電力を買うための費用もかかるという。

10、原発停止が東電痛撃、業績見通しを大幅下方修正   読売新聞
 東京電力は31日、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の運転が停止した影響で、2008年3月期連結決算の業績見通しを大幅に下方修正すると発表した。
 経常利益は07年4月の当初予想に比べ2700億円少ない1300億円となり、連結決算の公表を始めた1995年3月期以降で最低となる見通しだ。税引き後利益も、当初予想より2450億円少ない650億円と、2番目に低くなる見込みだ。
 柏崎刈羽原発が止まり、火力発電所を動かすために必要な原油や液化天然ガス(LNG)の調達費用が膨らんで、経常利益を計5380億円押し下げるという。一方、電気料金の収入増などが利益を2680億円押し上げ、差し引きで2700億円の減益となる。
 だが、今回は柏崎刈羽原発の復旧費について「点検調査中のため、見通すことが困難」(勝俣恒久社長)として計上していない。復旧費を含めれば業績がさらに悪化する恐れがある。
 勝俣社長は31日の記者会見で、業績悪化を受けた電気料金の値上げについて「すぐにお願いすることはないが、今後の検討課題だ」と述べた。
(2007年7月31日21時31分 読売新聞)



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石田ふたみ