『日々の映像』

2002年03月31日(日) 余     録  

 3月6日に記述した失業率について、多少加筆しておきたい。この日々の映像で何回もこの統計の疑問を記述した。その第1は、失業者の掌握の方法である。総務庁の統計は、全国の4600万世帯の中から、わずか5万世帯(0.1%)を訪問調査して、統計の手法によってはじき出した失業者なのである。政府はありのままのデーターを国民に示す義務があると思う。この総務庁の労働力調査を否定するものではないが、労働省がハローワークを通じて掌握している失業者はいかほどの人数になるのだろう。
 3月6日の採用予定企業の割合についても補足したい。このデーターは厚生労働省が一月に発表した労働経済動向調査によるものである。「従業員30人以上の3297社のうち、新卒者の採用を予定する企業の割合はすべての学歴で低下した」(3月2日 日経から)という内容である。若い人の働く環境が益々厳しさを増している。
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不景気の世の中だ。宝くじでも当たらないかと思っている人も多いと思う。前は宝さがしのようなテレビ番組があった。最近はニュースと特定の番組しか見ないので良く分からない。富山県の工事現場から小判がザクザク出てきた。小判が出て来た土地は、「2年前に国土交通省が取得。竹やぶを切り開いて施設を建設中で、約40年前は民家があった。」(3月8日 日経から)という。小判は江戸時代末期のもので、小判12枚と2分金、2朱金、1分銀など1182枚であった。私の記憶の範囲で記述すれば、小判1枚は現代の貨幣価値で8万円だ。よって、この小判、2分金などは約100万円に相当する。40年、この家を離れた家族にこの小判が渡るのだろうか。国土交通省はこの小判を保管、所有者が見つかったら、そのまま渡す方針とのこと。
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 中国の経済発展が凄い勢いで進んでいる。その1つの例が携帯電話だ。「携帯電話の利用者は、サービスが始まった96年には700万人だった。その後、毎年ほぼ倍増のペースで伸び続け、今年2月で1億5000万人を超えた」(3月12日 毎日から)まさに爆発的な普及である。この台数はアメリカを抜き世界一だ。もはや昔のイメージで中国を語ることは出来ない。
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 3月3日に書いたフランスのn分n乗方式の課税システムは面白いと思った。年収600万円の人でも、扶養家族が4人(妻と子供3人)もいる人は、税金がゼロになるようなシステムになれば、かなり、その影響力は大きいと思う。日本の少子化を止める手段は、少々のことではダメだと思う。年収600万円で扶養家族が1人(妻のみ)の場合は、100万円余りの税金とし、4人の場合はゼロにする。このくらいの税制面での支援体制があっても良いと思う。少子化を止めるために3人以上の子供を育てる家庭からは税金を取らないという考え方である。蛇足になるが、年収が600万円もあっても、扶養家族4人と本人の5人で割ると1人当たりの所得は、120万円になる。1人当たりの課税最低限が120万円であれば税金はなしと言う税制だ。
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 3月26日イスラエルとパレスチナの殺し合いについて記述した。ところが、その翌日にもエルサレムで自爆テロが起こった。70人の死傷者(内死者は3人)が出た。このため、停戦に関する協議がまた中止された。今回の自爆テロに対して、イスラエルは報復攻撃をしないという。イスラエルとパレスチナの有識者の会合で聴衆から「双方に真のリーダーがいない限りどうにもならない。」との声が相次いだという。イスラエルとパレスチナに新たな指導者が登場するまで血は流れ続けるのだろう。
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 一昨年民主党の山本議員が、政策秘書の給与を国より騙し取ったとして国会議員を辞職した。いつもテレビに出演して、機関銃のように与党を攻撃していた若い女性国会議員がいた。この人が政策秘書の給与を流用していたとして、連日テレビや新聞に報道される。この国会議員は、社民党の辻元清美政審会長だ。この事態になって、さすがの土井たか子党首も「辻元氏を支援するかは調査結果によって変わって来る」(3月25日 日経)といわざるを得ない。党幹部は「除名も検討したい」と言っている。
  辻元議員は、テレビで理屈を言っているようだが、表(同)の元政策秘書を「働かせるかのように装い届け出た」だけで詐欺罪の第1の条件が整う。一般的に言えば、勤務実態がなければならないのである。最終的に辻元議員は3月26日辞表を提出して議員を辞職することになった。社民党のスター議員のあっけない幕切れといえる。
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 日本の固定資産税は高い。その内容が日経の活力を生む税制で詳しく説明していた。ここではその詳細は省略して、マクロで日本の地方税の代表である固定資産税について記述しよう。日本の消費税の合計は、12兆円余りだ。この5%の内1%に当たる2兆4500億円は、地方消費税(地方税35兆円の7%)となっている。比較で言えば、消費税の五%の税収合計が12兆円で、固定資産税が11兆2000億円地方税35兆円x32%)でほぼ同じなのである。
 この保有している土地が値上がりするのであれば、保有している意味があるが、これが下落するとなると保有自体マイナスを生むことになる。今年の公示価格が発表された。「住宅地は5.2%。商業地は8.3%下がり、いずれも下落巾が拡大した」(3月25日毎日から)との報道のとおり、11年連続して下落している。個人も企業も値下がりする不動産を持っていては大変だ。ただ、この値下がりが止まる気配は全くない。
 金融機関、企業を含めて、ほぼ総べての保有者が、売却に動けば限りなく値下がりが続くのは当然の流れだ。
 この土地の値下がりで、失われた資産の額は「約1000兆円」(同)といわれる。しかし、まだ00年末で日本の土地資産は「1534兆円」(同)といわれている。昨年も書いたが、この土地資産の合計は、先進国を基準とすると500兆円が妥当な数字との説がある。よって、更に3分の1の価格まで下落する可能性があるのだ。

2002年03月30日(土) キャノン社長の「わが経営哲学」

 3月6日に記述した主要企業のリストラは14万人を越える。松下電器は、1660億円もの割増退職金を支払って、全体社員の約10%を削減する。このようなリストラ旋風の中で、キャノンの御手洗社長の経営哲学は、日本の企業社会の中で大きな光彩を放っているように思う。3月19日、毎日の特集ワイドで御手洗社長の「わが経営哲学」が出ていたので、その中の1部を引用したい。
 現在のリストラ旋風の中で・・・仮にこの先、業績が悪化して、人件費を大幅に削らなければならない事態になっても終身雇用は守りますか・・・。との質問に対して「みんなで我慢すればいいじゃないですか。首を切らずに給与をカットするなり、ワークシアリングするなりして、苦難の時間をみんなが手を携えて我慢すればいい。景気は循環するんだから必ず良くなる。・・・私も入社以後2度給料カットを経験していますが、その時だって誰も辞めませんでした。首を切るなら賃金カット。私ははっきりと言っている。『業績が悪くならないように労使一体となって頑張ろう。もし、そうなったら、社長から新入社員まで皆で我慢しよう』と言っている。」松下電器も1万4000人の希望退職でなく、10%の賃金カットで耐えることも選択の1つとしてはあったように思う。松下電器の場合、最も働き盛りの50代が1万4000人中70%も占めたのだ。次の質問と説明に移ろう。
「実力主義に対して社員から不満は出ませんか」との質問に対して「うちが貫いているのは平等じゃなくて、公平です。平等に賃金を配るのではなく、個々の能力を公平に認める競争を保証して社員を伸ばしていく。平等というのは非競争原理。・・・公平は競争の原理です。機会均等を踏まえた公正、公平な実力主義が徹底するようにしていますから不満は聞こえてこない」という。
キャノン社長は79年から10年余り、キャノンUSAの社長をしていた。意外なことにアメリカ流の社外取締役についてキッパリと否定していた。「社内のことを知らなくて、いちいち説明しなくてはいけない社外取締役は、おじゃま虫意外何物でもない。むしろ、終身雇用でずっと来た役員の方が、愛社精神もあるし、それに基づく強い倫理観や使命感を持っている。経営者が持つべき倫理観、使命感を終身雇用制で育てることが大事」と言っていた。長引く不況の中で、多くの企業が業績低迷に苦しんでいる中で、キャノンは終身雇用制の堅持を明確にしながら、2期連続の最高益を更新した。リストラの嵐の中で、この御手洗社長の話は1つの光彩を放っている。

2002年03月29日(金) 温泉地の旅館・ホテルの不況

 時代の風・時代のうねりをつかむことは難しい。膨大な数の企業の破たん、そして、銀行の不良貸付の山は、時代のうねりを見誤ったことがすべての原因のように思う。気が付いた時は、すでにどうにもならない事態になっていく。
 温泉地の旅館、ホテルの経営難が時折新聞に報道される。「2000年の旅館業の総売上高は2兆2000億円と、ピークの91年に比べて4割近く減っている」これは全体のことで、温泉地によっては半分以下になっているところもある。団体客を見込んで宴会用の巨大な大広間を建設したホテルが軒並み苦戦している。反面、個人客の取り込みに成功して、不況知らずの温泉地もある。これらの温泉は、時代のうねりを的確につかんだ成功例だ。   

2002年03月28日(木) 狂牛病調査検討委員会報告の原案

 狂牛病の発生源である肉骨粉の扱いが、いかに重大なテーマであったかはここに記述するまでもない。厚生労働省と農相の諮問機関「BSE調査検討委員会」の報告書の原案が3月23日に発表されていた。新聞は「肉骨紛扱い重大な失政」「縦割りが招いた最悪」「厚生の要請・・・農水は無視」などの目次で委員会の報告原案を報道していた。
 今までも何度となく報道されて来たが、最大の失政は「96年に世界保健機関(WHO)が牛への肉骨紛の供与を禁止すべきだと各国に勧告」(3月23日 毎日)したことに対して、農水省(畜産局長以下のスタッフ)が何も対応しなかったことである。
 この96年、WHOの勧告直後、厚生省の局長が、畜産局長宛に「密接な連携の下に適切な対応を図って行きたい」という趣旨の文書を提出していたことが明らかになった。厚生省は、人への感染を重視した要請であったが。「農水省は行政指導による肉骨粉禁止と言う方針を変えなかった」という。なぜ、変えなかったのだろう。九六年に「(日本の)専門家が主張した肉骨紛の法律による禁止」の主張も先送りされている。ここにどのような圧力があったのか明らかにして欲しいものだ。


2002年03月27日(水) 米レーガン税制改革   

 日経で1カ月以上に渡って活力を生む税制のシリーズが続いている。税制を革命的に改革したのが1981年のレーガン税制改革だ。なにしろ、所得税の14%〜70%の15段階を5年後の86年には15%と28%の2段階にしてしまったのだ。「レーガン税制改革の核心は、苦労して稼いだお金を税金に持っていかれるだけ」(同)という制度を根本から改め、個人の労働意欲や企業の投資意欲を高めることにあった。
 この改革がいかに活力を生み出す源泉になったか計り知れない。そして、90年には、10年前と比較して、70%増の税収を記録したのである。経団連は「努力すれば報われる体系を作ったことが、90年代以後の米経済の繁栄につながった」と評価している。

2002年03月26日(火) イスラエルとパレスチナの殺し合い

 アメリカの副大統領が現地へ行き、イスラエルとパレスチナの停戦を模索する動きがある。しかし、これに反対するかのように、イスラム原理主義組織「イスラエル聖戦」による自爆テロが続いている。理由はどうあれ、自爆テロとイスラエルの報復の攻撃と殺し合いはいつまでつづくのだろう。衝突収拾の解決策がないままこの殺し合いは延々と続くのか。
 一昨年9月以来自爆テロで「犠牲になったイスラエル人は327人」(3月21日 毎日)であるというから大変なものだ。新聞を見ていると死者327人に対して、怪我をした人はおそらく3000人を越えているだろう。一方、パレスチナ人の犠牲者も「1000人を超え、おおむねパレスチナ人3人にイスラエル人1人の割合で死者が続出している。」(同)とニューヨーク・タイムズは伝えている。
 イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」によって、教育(洗脳)され、爆弾を身につけて自爆死したパレスチナの若者は、一体何人になるのだろう。1回の自爆テロでの死者が3から6人余りだから、この自爆死していった若者は50〜100人になるのだろう。このイスラム聖戦は、「元来、和平の動きに反対している」(同)というから困ったものだ。シャロン首相はどう解決の糸口を見い出すのか。いたずらに血の代償を払い続けるのか。

2002年03月25日(月) 地方自治体の借金195兆円

 地方自治体の借金の増加スピード、残高に目を通して置くのも意味があると思う。なにしろ「92年度末の79兆円から02年度末には195兆円に膨れ上がる見込みだ」というから大変なものである。この10年で116兆円も借金がふえているのである。自治体の1ヵ年の税収は「35兆円」(引用同)と言うから、税収の五・五倍借金を抱えている形だ。分かりやすく言えば年収350万円のサラリーマンが1950万円の借金をしている。
 195兆円の借金を抱えて、税収が35兆円しかないのであるから、この借金を減少させることは難しい。この10年間で、毎年11兆円余り借入金が増加しているのだ。地方交付税「約20兆円」(3月21日 日経から)が今後同じだとしても借入金の増加を防ぐには、予算を11兆円余りも削減する必要がある。すでに地方自治体の給料カット及び公共事業の大幅なカットが伝えられている。地方の経済は、自治体の抱える借金に大きな影響を受けることになる。

2002年03月24日(日) 昨年10〜12月までのGDP

 昨年の10月〜12月のGDPは、年率で4.5%減となった。これは、日本企業の設備投資の急減が主因であり、ここまでは理解が届く。分からないのは、個人消費が年率で8%も増加していると統計上に示されていることだ。3月2日に記述したように、スーパー・家電・外食産業の売上は前年比で5%前後も減少している。それなのに、何故、個人消費が8%も増加したと出るのだろう。この統計のマジックのカギを握っているのは、単身世帯の増加にあるようだ。「単身世帯は9.2%(102万所帯)増の1200万世帯になった。消費の基礎統計である家計調査は世帯単位の所帯・支出を計る。世帯増がGDPベースの個人消費を押し上げた」(3月18日 日経から)単身世帯が102万世帯増えたからGDPを押し上げたと説明されてもどうも納得がいかない面がある。
 家計の支出は、サービスとモノに分けられる。この割合は6対4でサービス支出が多い」という。スーパー・コンビニなどの物への支出は減少したが、サービスの支出は増えたと言うのだ。サービスの代表は「千と千尋の神隠し」などによる映画館の売上が23.6%、遊園地も63.9%増加したと言う。ただこれだけで、国民の消費支出が年率で8%も増えたという説明は納得がいかない。

2002年03月23日(土) 今度は歌って踊るロボット

 日本のハイテクのトップ企業における技術開発は凄いと思う。3月19日、米経済「ビジネスウィーク」が発表した「世界の経営者25人」に選ばれたキャノンの御手洗(みたらい)社長の我が経営哲学が大きく報道されていた。この内容は後日引用したいと思っている。ここでは、キャノンの技術開発のボリュームのみを引用したい。「過去10年におけるアメリカでのパテントの取得数はIBMについで2位」であるというから凄いものだ。
 ソニーは、新しい技術開発では世界で知名度ナンバーワンの企業だ。今度は歌って踊る小型2足ロボットを開発した。3月20日の日経に紹介された内容を少々読むだけで、ホンダが発表した「ASIMO」より桁外れの水準のロボットであることが分かる。「目に相当する2つの小型カメラや耳に当たる7つのマイクを使って障害物にぶつからないように歩行したり斜面や階段を自在に上り下りしたりする。・・・最先端の人工知能(AI)技術を駆使し、呼びかけた人間に対して振り向いて愛嬌のある声で受け答えする。認識出来る単語の数は5万〜6万種類・・・」要は、制御プログラムを差し込めば、後はロボットが自ら判断する自立型なのである。驚くべきソニーの技術だ。

2002年03月22日(金) 加藤紘一氏が自民党を離党

 加藤氏は、自民党の幹事長もやり、派閥の会長でもある。不発に終わった「加藤の乱」で見られるとおり。かなり前から「次か、次の次の総理」(3月19日 毎日)と言われて来た人である。その加藤氏の秘書が、まるで公共事業のピンハネ屋のような形で、コンサルタント料を集めていた。加藤氏は「(佐藤容疑者)個人の犯罪だが、道義的、政治的責任はある」と抗弁している。佐藤容疑者は、事務所代表と言う政治的影響力がなければ、成立しない犯罪なのである。
 コンサルタント料を集めた主な舞台は、加藤氏の選挙区の山形4区だ。この金集めの概要は3月15日に書いたが、表の顔は政界のプリンス。裏では佐藤容疑者が中心となって、恐喝まがいの資金集めをしていたのだ。本当かどうか分からないが、山形では加藤消費税という言葉があったと言う。そのほか新聞に報道されているように「口利き料」「受注期待料」「赤坂詣での持参金」などの言葉が溢れているのだから考えさせられる。
 加藤氏は「旧来の自民党政治からの脱皮」(3月19日 毎日から)を盛んに説いていたという。しかし、加藤事務所の行なって来たことは、旧来の自民党で横行していた金権政治そのものといわねばならない。選挙区の建設業者を踏み台にして栄えて来ただけではないか。


2002年03月21日(木) 一つの神話、ウォルマートの成長

 ウォルマートの成長は、神話に近いと思う。96年の売上が約13兆円で、それから5年後の売上が約28兆円になっている。この規模は「世界で22番目とされるオーストリアの国内総生産に匹敵する規模だ」(同)ともかく成長の桁が違う。
 3月18日の日経は、これだけ成長したウォルマートの分析を行なっていた。
 この基本は「他社より1ドルでも安く売る企業戦略」(同)なのだ。たとえば、コカ・コーラ355ミリリットル缶12本で2ドル前半(約300円)であるという。日本の進出に当たって、「何が出来るか時間をかけて調査する」と慎重な姿勢であるが、日本の流通に大きな影響を与えることは間違いない。

2002年03月20日(水) 流通の黒船(ウォルマート)来日

 この日々の映像で、ウォルマート(米)とカルフール(仏)のことを書いたことがある。なにしろウォルマートは、売上高・店舗数・従業員(130万人)と桁が違う。ここが西友を傘下に収めることになった。6年間で最大2500億円を出資して、西友の株式を六六%まで取得するという。実質的な西友の買収である。
 このニュースが流れた3月15日の新聞は、「黒船に戦々恐々・・国内スーパー一気に再編」(毎日)「流通再編巨大外資動く・・・3分の2の出資権を取得」(日経)などの見出しで大きく報じていた。
 日本のスーパーは、ヨーカ堂・イオン・ウォルマート西友の3強が軸になって再編されていくのだろう。「ウォルマートは、日本市場でトップシェアを狙っている。」(3月15日 日経から)この手法は、今回の西友の買収のように、アメリカ流の企業の合併・買収が中心となって展開されるようだ。それにしても、ウォルマートは1962年発足でこの40年間で世界最大の企業規模となっている。

2002年03月19日(火) 春闘 ベアはほとんどがゼロに

 3月2日に記述した時は、上場企業の32.8%がベアゼロの解答をするとの見通しであった。ところが、日本の企業の中で最も利益を計上しているトヨタとホンダがベアゼロで妥結した。「トヨタ自動車とホンダのベースアップ(ベア)ゼロ。キャノンの定期昇給(定昇)制度廃止・・。日本を代表する優良企業が、率先して旧来型の春闘に別れを告げた」(3月14日 日経から)それでも自動車業界は、5500円から6900円の定期昇給(その年に退職した従業員の賃金を原資とする昇給)を実施する。
 デフレが進行している過程では、ベアゼロは当然で、来年以後は、キャノンが打ち出したように、定期昇給制度そのものが論議の対象となっていく。「デフレ下で、安い人件費で進撃する中国の影におびえ、割高な日本の賃金水準を国際標準まで下げたいと言うのが今春闘での経財界の強い意志」(3月14日 毎日)だという。この賃金の抑え込みが強すぎると、消費が減少してデフレスパイラルが益々激しくなると思う。

2002年03月18日(月) アルバイト時給下落鮮明 

 私が理解している範囲では、ここ10年間パートの時給は横這い又は下落していた。東京都内の学生アルバイトの時給も下落基調を鮮明にしている。「02年に入ってからの平均時給は、ほぼ13年ぶりの低水準となった」(3月11日 日経から)という。表(同)のアルバイトの時給が高い1位から10位のもので、コンビニ・カラオケ店になると時給が800円台になる。このアルバイトの時給も需給関係で決まっていくことになる。
 この時給のダウンは、ここ1カ年余りに顕著になって来たようだ。「01年は一般事務職(40円安)人力オペレーター(118円安)」(同)という具合だ。アルバイトと言っても、上記の入力オペレーターや電話オペレーターは誰でも出来るものではない。「コールセンターはコストを抑える為、オペレーターの大半をアルバイトが担っている」(同)というから少々考えさせられる。これらアルバイトをしている学生はいつ勉強するのだろう。
 

2002年03月17日(日) 鈴木宗男氏自民党を離党

 3月11日に記述したように鈴木宗男氏が追い込まれている。この動機となったのが、外務省の「秘 無期限」となっていた外務省の内部文書なのである。外務省から共産党の佐々木議員のもとに「当時の鈴木宗男官房副長官が外務省に対し、『ムネオハウス』を無競争入札にするよう働きかけたことを示す文書を送付します」(3月10日 毎日)と内部文書のコピーが速達親展で送り付けられたのだ。外務省が保有している内部文書をわざわざ共産党の議員に送って(民主・社民にも送る)追求させるやり方は陰険である。
 新聞はこのことを「内部告発・野党が国会で活用」と報道していたが、告発というより密告に近い。密告とは一定の情報をこっそりと伝えるという意味だ。鈴木宗男議員のような政治的圧力は氷山の一角なのである。この外務省の密告に歩調を合わせるように、札幌防衛施設局からも内部文書(密告書)が、佐々木氏(共産) 石井氏(民主) 辻氏(社民)に送付された。この内部文書に添えられた手紙には「鈴木議員の言いなりになっているのは外務省だけではない」(同)と書いてあり、この内容を共産党の佐々木氏が国会で暴露した。この密告は、自民議員に強い衝撃を与えていると思う。官僚から「理不尽な政治の介入は密告するぞ」と言われているようなものだ。
 3月10日以後も容赦のない内部文書の公開が続いた。「既に9件の文書の秘密指定を解除、公表している」(3月15日毎日)その主なものは外務省職員に対する暴力事件と「鈴木氏がかつて北方領土返還は無益と発言した」(3月15日 毎日)などというメモの公表だ。外務官僚たちは「異常な関係を暖め合って来た同士」から宗男切捨てに動いたのだ。
 宗男氏の自民離党時の弁明を一部引用しよう。「外務省と言う役所は、田中大臣更迭後、今度は6年前、7年前の私に関する一方的なメモを次々に使い、私の排除というか、潰しというか、何がしかの意図があって、今の事態に至っていると思う」(3月16日 毎日から)私はここで鈴木宗男を擁護しているのではなく、ただ、事実を拾って記述しているだけである。
 鈴木宗男氏の立場から見れば、内部文書が野党議員に送付され、これが動機となって追い詰められ、自民党の離党に至っている。鈴木氏は比例での当選であり次の選挙で国会議員になれる保証はない。短くいえば、外務省によって、政治生命が絶たれたに等しい。鈴木氏は無念さありありの涙を流す。これが小説であれば、鈴木宗男氏の外務省に対する復讐をどう展開するかにある。しかし、巨大な組織の壁の内部は、陰湿な鉄の結束があるようで、宗男氏は、何の復讐も出来ぬまま社会から忘れられていくのだろう。

2002年03月16日(土) 上場企業の最終利益七〇%減

 日本の景気は、昨年の10月から12月に底を打ったという見方がある。反面この1月から3月が底だという指摘もある。どちらにせよ景気は今がどん底であることはたしかのようだ。3月本決算の上場企業(1643社、金融・証券・保険を除く)の利益は01年の3月の6兆2847億円から、1兆7327億円と70%も減少する。ただし、03年3月は、12日に書いたアメリカ経済の回復などの明るい条件が加わって、3.4倍の7兆7000億円台の利益見通しとなっている。
 このような企業の見通しが背景なのか、空売り規制の強化のためか、あっという間に平均株価が1万1800円台(3月11日現在)に回復した。空売り(株券を借りて売る取引、株価が下落時点で買い戻して利益を出す)は、株価を下げることを目的に売り込むのだから、規制があっても当然のように思える。この効果で株価は上昇した。

2002年03月15日(金) 加藤代議士前事務所代表の逮捕 

 加藤紘一自民党元幹事長の元秘書が逮捕された。「山形県内の公共工事に介入した『口利き料』など約2億7000万円の個人所得を隠し、1億円余りを脱税した容疑で・・・佐藤三朗容疑者(61)を所得税法違反の容疑で逮捕」(3月9日 日経から)この佐藤容疑者の逮捕は加藤代議士の資金集めを一手に引き受ける「金庫番」であったことから、国会議員の逮捕なみ、いやそれ以上の影響を与えるのだろう。徳島県知事の逮捕まで発展した業際事件、そして佐藤容疑者による「恐喝まがいの悪質な資金集め」(同)は、社会を深く蝕んでいるように思う。
 3月9日の日経は、山形県庄内地方に本社を置く建設会社の「口利き料」「受注期待料」2000万円の支払いについて、同社役員は周囲に次のように漏らしたという。「公共工事から締め出しを食うという恐怖感から拒めなかった」(3月9日 日経から)と。ここまで来れば、前記したとおり恐喝まがいの資金集めになるだろう。
 山形県の建設業者の間で「赤坂詣で」(赤坂にある加藤事務所)があったという。「持参金は数10万円から1000万円単位」(同)であったというから驚く。江戸の商人が幕府の権力者に菓子箱の中に小判を詰めてご挨拶に参上するのと同じ光景が繰り広げられていたのだ。

2002年03月14日(木) 間もなくペイオフ凍結解除

 4月のペイオフ凍結解除まであと少々である。1000万円以上の預金を持っている個人・企業・共済組合・マンション管理・地方自治体が安心な金融機関との取引を目指してさまざまな動きがある。大量のお金を扱う地方自治体も公金保護に懸命のようだ。「新潟市は公金預け先に『自己資本6%以上、株価は額面の4倍以上』などの厳しい条件を課す」(2月8日 日経から)この条件を満たさない場合は預金の引き上 げもあるという。他の自治体も同じだろう。
 柳川金融担当相は「ペイオフ解禁となる4月以後はすべての銀行が健全になる」(同)と力説しているが、この言葉を信用する人は殆どいないだろう。投資対象をどうするか、贅沢な悩みをお持ちの個人が、2月16日に書いたように金地金を買い求めたりする。信用が劣る金融機関から、預金がどんどん流出していくことは止めようがないと思う。01年の信金・信組の破綻件数は53行で日常の出来事となっている。

2002年03月13日(水) 少子化を止める税制

 日経に掲載されている「活力を生む税制」のシリーズが続いている。3月8日は、アメリカの個人所得の税制が出ていた。「単身世帯・夫婦合算・夫婦個別申告」の3種類の税率表が用意されている。夫婦合算申告(2分2乗方式)とは、夫婦の所得を合算した上で合計額を2分し、税額を算出、この税額を2倍にするものだ。夫が600万円、妻が200万円の所得であると、400万円に基づいて税額を算出して、2倍にするものだ。(細部省略)
 最も目に止まったのは、フランスのn分n乗方式という課税方式だ。「世帯の人数に応じて世帯全体の所得を分割して課税するもので、子供など扶養家族が多いほど有利」(同)な制度となっている。夫の年収が600万円とする。扶養家族が4人(妻と子供3人)いると、1人当たりの所得は120万円となる。課税最低が120万円であれば税金はゼロになる。日本の少子高齢社会は、待ったなしのテーマだ。家族が多いほど税が安くなるというフランス方式は、少子化を止めるための1つのテーマだと思う。

2002年03月12日(火) アメリカ経済急速な回復

 昨年9月11日の米同時多発テロから半年が経った。不況突入が必死と見られていた米国の経済は、急速な回復を示している。日本は総消費に対する輸入品の割合は12%余りである。これに対して米国は35%余りだ。それだけに、米国の個人消費の伸びは、世界中の経済に大きな影響を与える。多発テロがあった昨年9月から少々の期間は表のとおり個人消費が1%の伸び率となったが、3ヶ月は前年比6%と回復している。この消費の増と平行するように企業在庫も急激している。
 これらの流れを受けて、グリーンスパンFRB議長は「米景気は既に拡大局面」(同)と発言している。テロ後のたて続けの利下げ4回→株価上昇→消費拡大につながっている。市場でのグリーンスパン議長の信頼は絶大であるので、この人の「既に拡大局面」との発言には重みがあると思う。
 このスパン氏の発言によるまでもなく、現実として表(同)のとおり、米国のダウ工業株の平均は、テロのあった昨年の9〜10月より27.8%も上昇している。この米国の株価の上昇と、日本の日経平均株価の上昇も密接に関係している。「米国株の上昇で投資余力が高まった海外勢は投資比率を極端に落としていた日本株への投資を増やす構えで、株高主導で円が押し上げられる構図だ」(3月9日 日経)
 ここ1週間余りで円相場が急伸した。政府の空売り規制強化をきっかけに株価が上昇したことが海外投資家の資金が日本に戻る動機となっている。以前も書いたが日本の株価は海外投資家の資金の流入次第なのである。韓国・台湾・シンガポールの株価も上昇しているので、この影響もプラス面で受けるだろう。

2002年03月09日(土) 優雅なリストラの海 

 大企業のリストラが大きく報じられる。上位の10社のリストラ(希望退職)の人員は10万人を超える。この人達が果たして再就職ができるのだろうか・・・との見方をすると大変な出来事のように捉えられる。しかし、これら大企業の希望退職者は、特別退職金が加算されるので、見方によっては、優雅なリストラの海とも言える。
 2月27日に書いたが、松下電器の特別退職加速金は、1660億円で1人平均1280万円が加算される。3月6日の毎日で松下を希望退職するAさん(55歳・部長代理)のことが出ていた。「定年の60歳まで5年あるが、通常の退職金に残り5年分の半分、つまり2年半分の年収がプラスされる。合計すると5000万円前後になる」というから優雅なものである。後進国の勤労者が聞いたら目を丸くすると思う。
 松下電器の場合は、1万3000人の応募の7割(9100人)が50代であるという。50代の希望退職は、松下社員に限って切迫感はないようだ。Aさんの勤める東京支社では社員の1割が早期退職制度に応募したという。驚いたのは退職する人たちの今後である。「のんびりと就職先を探す『ノンビリ組』が5割、『いい仕事があったら』が3割、『できるだけ早く仕事をしたい』2割という感じだ」(3月6日 毎日)というから優雅なものである。
 表の主要企業の人員削減計画による合計は14万人である。前記した松下の退職者のようにのんびりと就職先を探すという優雅な退職者もかなりいるように思う。


2002年03月08日(金) ダイエーの再建計画

 新聞では「再建計画発表・金融支援5200億円」などと報道されていたが、企業会計の基本を知っている人の目から見れば、再建にはほど遠い内容と映るだろう。その理由を少々記述しよう。まず、60店舗の赤字店を閉鎖することによって、02年2月時点で4500億円損失が発生する。今回の発表は、この欠損金をどう埋めるかと言う内容だけである。
 銀行の損益的な支援は、債権放棄・優先株減資の2900億円である。残りは、ダイエーの資本金1120億円の99%の減資と資本準備金684億円を取り崩して4699億円の赤字相殺減資を作る。これだけだとダイエーの資本金はほぼゼロである。そこで銀行の貸付金2300億円を株式化する。
これでも「連結で600億円の株主資本」だという。(2月29日 日経)
 この再建計画は最終損失4500億円のツジツマを合わせただけである。たしかに前記の債権放棄と債務の株式化でダイエーの借入金は「1兆6600億円」から「3000億円」減少して瞬間的に1兆3600億円になる。しかし、店舗の閉鎖資金、連結で5000人の退職で資金が必要になる。60店舗の簿価が仮に1500億円であるとすれば残る3000億円の赤字要素は、すべて現金が必要なのだ。今回の再建計画は、損益面の説明のみで1番重要な資金の収支説明が全くない。
 まず、この再建計画での資金の収入の面から見てみよう。債権を放棄してもらっても、債務を株式化してもらっても、ダイエーには資金の流入がないのである。こんな状態でどうして60もの店舗を閉鎖できるのだろう。どこから5000人もの従業員の退職金を用意するのだろう。肝心の資金面の説明がない再建計画では、市場及び納入先の反応は冷ややかにならざるを得ないだろう。主力3行(UFJ銀行・三井住友銀行・富士銀行)は、ダイエーを生かすためにまだズルズルと貸付金を増やすことになると思う。「主力3行の体力の範囲内での再建策に過ぎず、抜本的な収益改善計画からほど遠いといえる。逆に行政介入で再建計画に『官製』色が強まった分、計画を遂行するダイエーの当事者能力に疑問を抱かせる結果になりかねない」(2月28日 毎日)ダイエーは生き残ることができるのか。

2002年03月07日(木) 佐藤工業破綻(更正法申請)

 過去の再建放棄も政府筋の意向として行なわれたことは事実だ。今回の佐藤工業の破綻も「法的整理の方向は、日米首脳会談前後には固まっていた。あとは主力銀行が佐藤工業と協議して処理の方法を決めるだけだ」(3月2日毎日・1日の政府筋の話)主力行は政府のゴーサインで支援打ち切りを決めたようだ。この衝撃波は再建途上の他のゼネコンに及ぶ。上記の再建型を目指す企業の行方も分からない。破綻が加速する可能性もある。

2002年03月06日(水) 失業者は増えて失業率は落ちる

 総務省の発表によると、失業者は昨年12月より7万人も増えて344万人になったが、失業率は5.3%に落ちたと言う。その理由は求職活動をあきらめて、労働力人口から非労働力人口に移った人が増えた統計的なデーターである。「非労働力人口は前年同月比120万人に増(この内25〜34歳27万人の増)えたことが背景」(3月2日 日経)となっている。この統計はあまりにも断片的だと思う。この25歳〜35歳の若者が働く意思を示すと失業率が上昇することになる。「若い層が仕事探し自体を諦めた」ので失業率が下落したでは、いかにもおかしな統計と言わねばならない。(余録で補足)

2002年03月05日(火) 牛・鶏・豚みんな偽装でした。

 雪印食品と同じく、解散に追い込まれる候補の会社が現れた。その会社は、食肉卸業界3位のスターゼン(東京都港区)という会社だ。「国産の牛肉と豚肉の産地や品種を偽って表示していた問題で、同社は鶏肉でも虚偽表示を行なっていた」(3月2日 毎日から)と発表した。

 農水省の渡辺事務次官は「有力な情報を得て、2月22日から立ち入り検査を実施している」(3月1日 日経から)というから、以前の三菱自動車と同じく内部告発なのだろう。
 
 なにしろ、ブランド肉を装った偽装販売が2年間も続いたほか「豚肉の偽装分は出荷量の4割近くに上る」というから偽装が日常化していたのだ。このスターゼンという会社は、農林規格法に基づく告発の対象になるのだろう。産地の反応はどうか。佐賀県産のブランド鶏肉「みつせ鶏」に他の鶏肉を混ぜて出荷していたというから、産地からの告発と当然考えられる。

 豚肉の場合は価格の安い白豚を「黒豚」と偽って販売していたというから、考えさせられる。この黒豚は特定病原菌が不在の豚として、通常の白豚より高く売れることが、偽装の背景になっている。牛肉の偽装はこうだ「通常のホルスタインを『佐賀白石牛』」と偽造販売していた。

 卸業界3位といっても社会的な存立基盤はパックセンターだ。パックを偽装しなければ、経営が成り立たない構造的な背景もあったのだろう。

2002年03月04日(月) 電気大手6社・最終赤字約2兆円

 大手電気七社の02年3月の業績修正が出揃った。これによると、ソニーを除く6社の連結最終赤字が合計で2兆円に迫る。この大手電気の大幅赤字は「2001年の世界の半導体市場規模は前年に比べて32%減少した」(日経)ことが最大の原因とされている。
 2月27日に松下電器のリストラの内容を記述したが、ここでは日立製作所のリストラを少々引用しよう。「業績悪化を受けて、3月末までに予定していた従業員削減を5000人強増やし、6月末までに2万930人(国内1万5100人)とする」(3月1日 毎日から)ただ、従業員をリストラするだけで、企業としての反転があるのだろうか。経営者の責任も明確にすべきだと思う。

2002年03月03日(日) 終身雇用堅持の企業は約20%

 2月6日に大手電気3社(NEC・富士通・東芝)の空前の赤字とリストラのことを書いた。希望退職を募集することは、その企業の終身雇用が維持出来ませんという具体的な意志表示である。それでも日本は表2月26日 日経から)のとおり「人材の長期育成のために将来も堅持する」と答えた企業が19.5%(回答したのは上場企業の805社の191.5%)もある。このようなデーターは見る人によって見方が分かれよう。私の印象は日本型慣行を守ろうとしている企業が20%余りあることは意外に多いとの印象を受けた。昨日書いたベアゼロに関する補足をすると「一般社員まで含めた賃金カットを実施、または予定している企業が11.8%)に達している。経営者の中では、5%程度の賃金カットは、マイナスこそあってプラスがないとする意見も多い。

2002年03月02日(土) 消費の春は遥か彼方 

 春の足音が近づいて来た。今年の冬は、寒いと感じる日は僅かであったように思う。季節の寒さより、社会不況の寒さのほうが厳しい1〜2月であった。このデフレスパイラル的な不況がいつまで続くのだろう。税収の減少から賃金の引き下げ行なっている県も出てきている昨今である。庶民の正味収入が減少すれば、消費も落ち込むのは必然だ。
 3月26日の日経によると、上場企業の32.8%がベアゼロの回答で望もうとしている。ベースアップ(略してベア)とは、賃上げ額から定期昇給分を除いたものである。定期昇給分(略して定昇)とはその年に退職した従業員の賃金を原資にする昇給をいう。最近は、この定昇すら危ういのである。このような背景から表(日経から)のとおり消費は減少する。統計上の消費の春は遥か彼方である。いや、来ないが正解かもしれない。

2002年03月01日(金) 優れた会社ベスト三〇〇

 日経と日経リサーチが開発した多角的企業評価システムによると、表のとおり「社会貢献などで高く評価されたイオンが初の1位になった」(2月25日 日経から)イオン(旧ジャスコ)が優れた企業の1位になるとはイメージになかったので意外であった。イオンは前年度21から1位に躍進した。「イオンは各因子でトップでこそないが、柔軟性・社会性で7位、若さでさでも相対的に順位が高かった。若さでは、パートなど非正規従業員の待遇が評価された」(同)という。           
 この日経による多角的評価システムは今年で9度目になる。この9回連続で100位以内に入ったのは「ヨーカ堂・花王・キャノン・京セラ・セブンイレブン・ソニー・大正製薬・武田薬品・凸版印刷・トヨタ・ホンダ・松下電工・村田製作所・ローム」のわずか14社しかない。残り86社は企業としての順位を下げている。経営環境がそれだけ激しいのか、それとも経営のあり方によるのか、一般的な認識は後者になるのだろう。
 この多角的企業評価は、定量的な財政データーだけでなく、表のとおり「収益・成長力」「柔軟性・社会性」「開発研究」「若さ」から評価する。この中の収益・成長力は次の九指標より判別する「経常利益額・自己資本利益率・経常利益成長力・売上高平均増加額、営業キャッシュフロー・などの指標」(引用同)である。この収益・成長力の1位となったのが、「ユニクロ」を展開するファーストリテングだ。総合では、前ページのとおり10位となっている。イオンはこの4項目に上位の得点で総合1位に輝く。

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石田ふたみ