やんの読書日記
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2003年02月24日(月) シェークスピア物語

 ラム 偕成社文庫

シェークスピアの戯曲を子どもむけに
書き下ろしたものだが、大人が読んでも
わかりやすくておもしろい
シェークスピアといえばイギリスの劇作家
グローブ座にリチャード・バーベッジ
という組み合わせが思い出される。
小学3年生で、友達のお父さんが誕生日に
くれた本が「リア王ものがたり」だった
3人の娘、特に末娘のコーディリアに期待していたのに父より夫を選んだ娘に怒り
姉たちの策謀に巻き込まれてすべてを失い
狂気となって荒れ野をさまようリア王。
大人になって戯曲で読んでみたところ
とてもわかりにくくて驚いた。
黒澤監督作品の「乱」を見て
これはリア王だとすぐにわかった。
娘はライオン・キングがハムレットだというし、宝塚歌劇のパックは「夏の夜の夢」だし
赤毛のアンの中にはシェークスピアがたくさん出てくる。今年は「ロンドン」を機会に


2003年02月13日(木) ベーオウルフ

 ローズマリ・サトクリフ作 井辻朱美訳 原書房

2002年秋の新訳。以前同じ井辻さんの訳で読んだ沖積舎の
同名の書とは感じが違っていた
。登場人が古典的な言葉遣いでが話していて、
吟遊詩人が読んでいるような軽やかな文章だ。
父の恩に報いるためにフロースガール王のもとにはせ参じ、
王の領民を苦しめる怪物グリンデルを退治するという英雄物語。
剣では退治できない怪物を素手で持って腕をもぎ取るという荒業。
グリンデルの母親も退治して、故郷に凱旋する。
ベーオウルフの最大のよさはその心の清さと
勇敢さ、立派さだと思う。
老いた身で二度目の怪物を退治したあと、
その火竜が守っていた宝を、
領民のために残せてうれしいという彼は立派だ。
当の領民たちは、王であるベーオウルフが
火竜に殺されかけているのを見て逃げ出したと言うのに・・・・
古英語で書かれた英国の古典
でもデンマークが舞台
本当はもっとむずかしい言いまわしが書かれていたらしく
旧訳はわかり言いづらいところがあった。
今度の訳のほうがきっぱりしていてよかった


2003年02月12日(水) ロンドン上

 エドワード・ラザファード集英社 

ロンドンに住む4つの家族の浮き沈みを、
カエサルのブリタニア侵攻から近代までを追った壮大なドラマ
初めに登場するのは名もない漁師、ケルト人の彼が、
敵であるローマ人と向かい合ったり駆け引きしたり
結婚して子どもを産んだりしていくうちに、
時代がローマンブリテン、サクソン侵攻、
ノルマンコンクェストとどんどん変っていく
漁師の子孫で髪に白い房、
手の指に水かきのついたダケットの家のものが、
時には武具職人、あるときは売春婦
食料、雑貨商だったりするが、
みなその時代を地に足つけて堂々と生きているのがいい。
上巻末に出てくるにせもの錬金術師シルヴァースリーブスが、
ダケットの親方バーニクルをだまして金を巻き上げ
大商人ブルもだましてその娘と結婚しようと画策するところなど、
淡々とした語り口なのに面白くてたまらない。
歴史的な事実、ノルマンディー公ウィリアムの登場がメインになっていて、
十字軍の遠征、黒死病(ペスト)の蔓延
ワットタイラーの乱、チョーサーのカンタベリー物語と、
高校の世界史で習ったことが続々とでてきて
歴史好きなわたしにはわくわくする本だ。


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