金木犀より
2006年10月08日(日) 吹きすさぶ風に持ってかれた金木犀の香りが 誰かを虐めぬく 過ぎる考えは 美しいのか 汚いのか 判別もできなくて 誰かは小道を逃げ惑う 走り去る道の先には また金木犀が降っていて ここは爆心地 なのだ 誰かはそう気付く 胡散臭い季節を越えて それでもまだ縛られる この体が金木犀のように芳しく匂いたち この心が潔く枯れればいい 誰かは願った 君なし 2006年10月04日(水) 泥まみれの指先で 頬に触れ合った 一瞬だけ笑顔が遠くて すこし 泣きそうになった またあした と 笑うのは どうにも不適切 ほんとうは 泣きたい 砂場に影を落とした桜の木は 寂しそうに枯れていっている いつのまにか こんなに痩せ細った 泥を洗い流した指先を見た きれいだけど 汚い 会いに行くよ と 言えたら どんなにかよかっただろう もう振り返ることもできず この場でこうして立ちつくしている |