消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1907年06月30日(日)

灰色の梟フクロウの子の写真が可愛くて
本をほしくなった
むくむくとまるで仔犬のよう
ならんでじっとこちらを眺めている
そこは木漏れ日がさして
風の通る安心な枝なんだね


1907年06月29日(土)

紹介は
friend ではなく neighbor だった
friend ではなく neighbor になった


1907年06月28日(金)

なよやかで
なまめかしく
なまなましく
なまぐさく
なまっちろく

目の前をゆく
生足でないのに生活感のない足

苦手だ
怖い

嫌いなひとのイメージと重なる
派手に紅い毒気と重なる

溌剌と隠し事の無いのが伝わってくる
日焼けしてすらりと伸びた脚がいい
いつもしっかり踏ん張ってきた脚がすき


1907年06月27日(木)

画家も写真家も小説家も
新しいものを求めて部屋を出る
街へ山へ異国へと

心のリフレッシュといって 
命の洗濯といって
旅に出るひとたちもいる

でも ひとつところにじっといても
こころの泉は湧き続ける

部屋から出なくとも
旅に出なくとも
心の豊かさはかわらないと思う

あおい天窓は清しい


1907年06月26日(水)

不満をもたず暮らせることが幸福で
幸福に暮らすことが勝者で
不平は敗者だと思っているから
だからアナタは不平を言わない
負けず嫌いだから


1907年06月25日(火)

鏡よ鏡 と
貴女は言い続けているのではないですか

貴女の駆け回る先を見ていると
そう思えてしかたない

登りつめてゆくこと
それが貴女の生き甲斐なのでしょう

着飾ったコトバたちの中に
ちらりとのぞく自意識
いつも紅く燃え続けている


1907年06月24日(月)

のはらは光にみちており

陽中も月夜も星ふる夜も
蛍も雪も露も霜も
雨さえ光る雫となって

のはらのひかり
のはらひかる
もりののはら
つきのもり


1907年06月23日(日)

入道雲をみた 蝉の声を聞いた

なにかほっとして
なにかそわそわする

元気という言葉を 思い出す
みんな元気?
わたしは元気よ!
そう交わしたいコトバ


1907年06月22日(土)

それは一本の水晶の結晶
無色透明 先の尖った柱状

切り立った 
研ぎ澄まされた 
無駄の無い
ゆるみのない
張りつめた
そんな精神

ぴんと張りつめた精神を
美しいとするひと
あなたは黒水晶を好みかもしれない

風にうたうゆるやかな羽衣を
美しいと想うひと
私は薔薇水晶なら好き


1907年06月21日(金)

気の遠くなるような
膨大な作業を目の前にして
明日アサイチからやらねば と思うと
気重で先送りになる

それより午後のお茶のあと
何とか始めてみるのがいい
少し調子が出て
次の朝 軽やかになる
そそくさと続きをしたくなる


1907年06月20日(木)

紅い毒が
またまかれるなら
謎は解ける
それがあなたの薬なら


1907年06月19日(水)

やっぱり
どこか食い違っているんです
本当は 共通項などないんです
あなたに求めたのではなかった
あなたの周りに求めただけだった
あなたが提供していると思ったのは間違いだと
気づいていたのに

今でもそのまま
はっきりせずに 何かを求めている
その名で呼ぶことはできないのに


1907年06月18日(火)

窓に貼るUVシートを切っていて思った

ものさしは歪まずに当てる
計測は正確に 
目盛りはきちんと印す
線は真っ直ぐに引く
ずっとそんな生き方をしていた気がする

でも自分の中の1/f を たいせつに思う今
少し測り間違っても 目盛りがずれてもいい
線が歪んでも 切口が滑らかでなくてもいい
光の差し込む隙間が残ってもいい
そう思った
今ならミスっても自分を許せる

ひとの人生は ひとの心そのもの
ひとの心はゆらぐもの
ひとはミスをするもの

その前提があれば 
自分を許せる気持ちになる
ひとを許せる気持ちになる


1907年06月17日(月)

お金で手に入れられないものは たくさんある と同じく
力で押さえ込んでも手からこぼれるものも たくさんある

尊敬のまなざしも 全幅の信頼も

色褪せてゆくのを
子のせいにしたその父親は 
大切なものを失った

本来は自分を省みるはずだった
鏡となる子の眼を 覗き込んで


1907年06月16日(日)

電話してくる声は
あっけらかんと元気で
明るく張り切っているのに

どうしていつも
不機嫌そうな顔するの?

原因は私?


1907年06月15日(土)

ささやかなことしかできない
大きなことなど思いつかない
だから細々と過去を捨て続ける
振りむくことを忘れたまま

よい眠りと健やかな目覚め
澄んだ朝の風は何かを連れてくる
忘れていた何かを少し


1907年06月14日(金)

汗をたっぷりしぼる仕事にまわろうか
涼しく室内でこなす仕事にしようか
迷っている
昼から暑そうだ
でも暑さが気持ちよさそうだ
どちらもこなせればいいけれど


1907年06月13日(木)

ホホエミのハンリュウ男優の
そのホホエミがキライで
いっさい見なかった
街に溢れたCMやポスターや
目に入るのも嫌だった
トラウマでほかの人のドラマも映画も見なかった

でも今は 長今だけ見てる
たまたま料理そのものに興味をひかれて見て
初めは人物(俳優)に興味なかったのが
いつのまにか長今その人を応援していた

でも今また不安になる
この国の人たちはみな
意志が強く諦めず粘り強くへこたれず
ずっと頑張り続けるのだろうか

仇にあたる人たちでさえ
私利私欲のため
あるいは自分を犠牲にしても
一族の繁栄名誉を守らんが為とても
その熱意はすごいと思う

その熱い粘りで私たち(の国)は
恨み続けられているのだとしたら
どんな場面においても
これからもそうだとしたら
いつ和解などあるのだろう

この国の人たちの望むのはどんな展開なのか
長今を見続けようと思ってる
単純な勧善懲悪カタキウチ
努力のサクセスストーリー
それとも苦難のラブストーリー
ただそれだけなのかもしれないし
この再放送しかしらないし
先はしらないし
わたしはオシンもしらないし


1907年06月12日(水)

いったいぜんたい
なんでそんなに のんびりかまえているんでしょ
いそがしいのか ひまなのか
なにをかんがえているんでしょ
かんがえないから そうしていられるんでしょ
でも すこしは かんがえてよ
こころもあたまも はりつめてよ
ときのながれは いちどきり
だいじに だいじに ながれるのがいいよ 


1907年06月11日(火)

エチケットだのマナーだのと
顔も知らない他人の集まりだから 
ルールが要るというだけのことでしょ

喧嘩はいけませんよ とくるから
営業スマイルを出し続け
そこで友達を求めて
それであなたは疲れたのでしょ

目をつぶって誉めあいだけで
本当に友達になれるかは
私は疑問デス

言いたいことを きちんと伝えあって
その後 本当に深まると思ってる

デモ アナタニハ イエナイ
アナタハ ウケツケナイカラ


1907年06月10日(月)

久しく星を眺めていない
ふと気づけば空にはっきりとある星
ひとつでもいい 流れなくともいい
その星が 太陽とも月とも同じ
宙に一個の星であると伝わる星を見たい

夕暮はずっと明るく
夜更けでなければ 夜空とならない
静かにきらめく天の川など なかなか見えない

気だるさはきらい 蒸し暑さも嫌だ
流れる星を待つ夜は
冷ややかな風が 額あたりに訪れる


1907年06月09日(日)

淡い月明かりの森をたどり
ふいに奥深く青い闇の中で
新月の森を想う
深い苔を踏んで素足で歩いた夜の
露のつめたさを想う
もう跡をたどりはしない
星のまたたきを仰ぐ


1907年06月08日(土)

桜吹雪をたくさん見たのに
桜の花の記憶がない
春どうしていたんだろう
ひどく花粉症になっていたけれど
窓から外を見ていただけかもしれない


1907年06月07日(金)

合歓の花の匂いを知らなかった
今まで出会わなかった
庭の木はまだ若くて
去年はそんなに花をもたなかった
今年はぐんぐん育って
花も次々にたくさんつけている

どんなに美しくても
写真は香りを伝えられない
言葉でも知りようがない
想像しかない
出会って初めてわかる
いい香りも苦手な匂いも


1907年06月06日(木)

人に与えられた課題でなく
自分から挑戦してみつけた課題でなくちゃいけないんだ
できない時に挫折感はいいけれど
バツがあるのはおかしいんだ

次々に山のような課題を与えるのでなく
自分で課題をみつけるように指導しなくちゃいけないんだ
挫折しても再挑戦できることを教えなくちゃいけないんだ

人から与えられた課題を終えても 安堵だけ
自分で見つけた課題を達成した時は
跳び上がってバンザイしたいくらいなのに
大きなガッツポーズが出るのに

ノルマを終える作業と
自ら挑戦していることとでは
たのしさが違うのに
それが次への挑戦の意欲になるのに


1907年06月05日(水)

貴方がいないあいだに
三つの仕事を済ませようと思っている
びっくりさせたいから


1907年06月04日(火)

体ごと疲れきってしまって
力も出ず頭も重いとき

シンプルなアイスクリームが
いちばんいい

やさしい甘さとやさしい冷たさが
体中にゆっくりしみわたって
おなかの底からじんわりと
力が戻ってくる気がする
こころがあたたまる気がする
滋味 というやさしさ
やさしいやさしいエネルギーだと思う


1907年06月03日(月)

幼稚園の前を通ると
中は見えないけれど 声やメロディーが聞こえる

でもあきらかに しずかだ
しずかに雨のふる日 子どもだって 
気持ちがしっとり落ち着いているのかもしれない

ちいさなひとたちは元気が爆発しているもので 
雨の日なんて 発散できなくて大変だろう
そう思ってしまうけれど

本当は子どもだって疲れていて
ほっとしているのかもしれない
暑い日にカリキュラムをこなしてゆくのは
大変なことだと思う
いろいろとたくさんさせられるのでなく
雨の日のオトナの諦め感は 
子どもにゆっくりした時間をくれるのかもしれない
ゆったり付き合ってくれるのかもしれない

雨や風や雪や暑さや 
自然と向き合って 自然にそって
ちいさなひとたちとゆっくりいっしょにくらしてゆく
幼稚園がそういう場所だとよいのにね


1907年06月02日(日)

いろんな花が消えてしまった
さっぱりと刈られていた
青い花の群れも 
白い花の群れも
今日走ったどの場所からも
消えていた

雨の中のきれいな花の群れを
見ることは叶わなかった

植えられたのではない花たちの命は 
哀しい


1907年06月01日(土)

夕方 庭の隅に甘い匂いが集まっていた
南国の花のような重くねっとりとした甘さ
どこからきたのか 何の香りなのかわからなかった
そんな花が今庭に咲いているのか不思議だった
探しながら近づいてみると
少し離れたところに咲く合歓の花だった
優しい香りというより 耽美という言葉を思う

今まで知らなかった
山ではそうやって夜じゅう 
山あいの風にのるのだろうね

もし戦から逃れて潜む密林なら
何を思わせるのだろう




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

* * * * * * * * * * * *        
* * * * * * * * * * * *        

− ささやかに −          

*  **  ***  ****        

日付は通し番号として記しています         


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