「いつもにこにこ・みけんにしわなし」
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明日は保育園がお休み。 マルとふたりでお出かけ計画を立てる。
「名古屋行かない?」と母が、たきつける。紅茶を買いに行きたいのだ。
「ナゴヤ?」 ナゴヤねぇと考えるマル。 マルの知ってる名古屋はちょっと不思議なところだ。
あんこののったスパゲティが出てくるし バイクのおじちゃんは怪獣にチョップ入れようとするし
「・・?かいじゅう?おったっけ?」
「エレベーターに乗ってたら、バイクのおじちゃんの隣に怪獣がおって、 おじちゃんが叩こうとしたら消えてったんやで。」
??へ? 全く記憶にない。
なのにマルに聞くと あんこスパゲティとバイクのおじちゃん怪獣チョップがナゴヤである。
ぞぞー。 なにさー二人だけになにか見えてたのか〜〜〜? と、ビビりながらよぉくきいてみると、
あとから合流したバイクのおじちゃんがエレベーターで怪獣さんと乗り合わせた。 バイクのおじちゃんは視野の狭い怪獣を死角からどついてみようとしたが逃げられた。 という話をおじちゃんから聞いたらしい。
マルにとってこれがナゴヤ一番の衝撃だったらしい。
おじちゃんすごい!! 怪獣をどつこうとするなんて!!
で、ナゴヤ→バイクのおじちゃん怪獣チョップ。
えぇい、余計な刷り込みを。
「だからー、おかあちゃん、今日はアピタにしよ!」
しくしく。そうね。
モックンの自転車がダメになってしまった。
パンクしていたのを無理して乗っていたらしくて、 ヨレヨレのゴムタイヤの内側の車輪がごわごわになっている。 それも前輪も後輪も。
あちゃー。
この20インチのマウンテンバイクはミーがお下がりを楽しみに待ってたのに、 これじゃあとてもお下がりなんてダメだなぁ。 お下がりどころか今モックンが乗れる自転車がないじゃないか。
・・安いの探しに行きますか。
朝からホームセンターと自転車屋をぐるぐる回る。 最後の1軒ですてきな女の子用自転車とそこそこなマウンテンバイクをみつける。 とりあえずモックンの1台を、と思ってたのに、 ミーの大好きな水色のしゃれた子ども自転車を見たとたん腹が決まる。 2台買おう。
しかもこれがまた安い。 9800円である。 マウンテンバイクにいたっては8300円のサプライズ価格だ。
「すみませーん!コレの24インチとコレの22インチください。」
開店直後にいきなり2台まとめ買いである。
車はショートボディのRAV4である。 乗るのか2台。わははは。乗るのかではない、乗せるのだ!
後部座席をたたんで、助手席を寝かせて荷室を広げ、 助手席に自転車の後輪をつっこんで2台積み込んだ。 やればできるなぁ。よかったぁ1台ずつ乗って帰ることにならなくて。
帰ってきたときにすぐ見つけられるように 玄関の前に2台並べて停めておく。
先に帰ってきたのはミー。
「ただいまーおかーちゃーん!!自転車誰のー!」 「いいでしょー!ミーの♪」 「乗る!」
またがせてサドルを一番低い位置で固定してやる。 ミーちゃん、補助輪時代からずうっと乗ってた16インチから 一気に22インチにレベルアップ。
「こ、こわ、こわ!」とびびりながら漕ぎ出す。 「おお〜♪」とぐるっと一周。 「おか〜ちゃ〜ん!たのしー!」とうひうひ笑いながら2周、3周。
なんだか私が750のバイクに乗ってるよーなスケールなのだが、 初めてのおねいさん自転車に大満足のミーである。 しかもはじめての「カギつき」自転車である。 カチャーン、カチャーンと何度もロックを繰りかえして鼻息も荒い。
「色が素敵やろ。」 「うん!!この葉っぱの模様もいいし!カゴもおっきい!」
興奮気味に乗り回していたらモックンが帰ってきた。
「僕の買ってくれたんや〜!」 と、一回り大きい24インチにまたがってみる。 スーイスイと乗ってみて、 「お〜。一回こいだだけでうんと前に進む〜。」 でしょう、でしょう。 「乗りやすー♪」 でしょう、でしょう♪
すちゃ、と降りると「おかあちゃん、これ、なかなかいいよ。」 うんうん。よかったよかった。
兄、姉がそろって新品の自転車に昇格したので、 マルに16インチの無印良品号が降りることになった。
今マルは16インチのご近所お下がり号に乗っているので、 スケールアップはない。 無印良品号はモックンが3歳のときに買ったファースト自転車なので7年目の代物だ。 兄姉のと見比べてすねたらどうしよう。ドキドキ。
ミーが「マル!ミーの自転車あげる!」と気前よく叫んだら、
「やったー!!!」と両手でガッツポーズだった。
そのままやや高めのサドルの16インチにまたがり、 ゴキゲンでモックンとミーについてご町内をぐるぐる回り始めた。
ヨシ。 いい子だ。
晩ご飯を食べる前に、急にモックンが、
「あ、おかあちゃん。自転車買ってくれてありがとー。」
いえいえ、どういたしまして。よかったねー。 どこへでも遊びに行っておいでー。
モックンがサッカーの練習しているグランドに 冷たい飲み物を届けに行った。
あれ。
4年生の中にモックンがいない。
3年生のグループの中に混じって練習しているモックンを見つける。
ああ。 3年生と4年生の合同練習でA・B、2チームに分けたのか。
13人の4年生のうち9人がAチーム。 4人が3年生とBチーム。
去年モックンは練習は同級生として 試合は上級生のベンチメンバー。
今年は試合は同級生と一緒で 練習は下級生と合同。
モックンが、3年生に混じって基本練習を黙々としている。
日陰でモックンの同級生の4年生がじゃれて遊んでいる。
「今日の練習、暑かった〜。」 と、いつもどおりにあなたは帰ってきたけれど、 おかあちゃん、実は学校から帰る途中泣いちゃったよ。
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