なべて世はこともなし
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2008年02月27日(水) 覆面調査員が行く(2)Melody編

私の同僚が出産・子育てのため退職することになった。妊娠するなり彼氏と別れてシングルマザーになる道を選んだなど、いろいろツッコミどころはあるのだが、本編とは無関係なので省略。


ともあれ、彼女のお別れ会を行うことになった。同僚の中国人が選んだ場所は、Capel StreetのMelodyというレストラン。例のJadeの数軒隣にあるらしい。なにやら出来てまだ日が浅いから認知度は低く、ちょっとした穴場らしい。そりゃ面白そうだ。


というわけで、Liffey川から日が暮れたCapel Streetを歩き始める。それにしてもこの通りにはおそらく5軒以上のsex shop(大人のためのお店)がある。ちょっと日が暮れた後には子供を連れて歩きたくない通りではある。


Mary Streetとの交差点にあるAIB銀行をすぐたところに会ったのが中華料理の食べ放題店。…え?ここかよ。


小食の私(当社比)、食べ放題というものを心底バカにしている。ちゅうか不平等だよ。底なしの胃をもった相撲取りも、一口食べただけで満足する小食の人間も一緒の値段ってのは人をバカにしているとしか言いようがない。それに食べ放題の店の品質は悪いと決まっている。


大学在籍時、友人からよく「ひこバンバン」なるどーゆーネーミングのセンスをしているのか思わず疑いたくなる食べ放題の焼き肉店に連行されていた。今はどうか知らんけど、私が連行されていた店では、凍ったままのカルビなどが平気な顔をして出されていた。別に私はグルメぶるつもりはないけど、でもさ、凍ったままの肉を出す店の料簡はいかに。


話がそれた。ともあれ、実はMelodyは食べ放題の店でなく、その隣の店と判明。中は…あれま、きれいだわ。私のお気に入りのJade、料理は間違いなくおいしいのだが、トイレとその周りの廊下が致命的に汚いのだ。他人に勧めるのに、この点がどうしても躊躇せざるを得ない点。が、しかし、このMelodyはきれい。


地上階は通常のレストラン、地下は推定5つくらいの個室が並んでいる。個室はそのままカラオケボックスにある造り。ただし、カラオケは、機械そのものはタッチパネル式の比較的新しい機械ながら、私にはまったくの知識のない中国の歌手と、一部の英語の歌手のみ。つまり、日本の曲はなし。もっとも、Jadeのように、間違いだらけの日本語の歌があるのとどっちがいいかはにわかには断じかねるけど。





で、この場所を選んだ同僚の中国人が仕切る仕切る。


同僚:「ダメよ。そっちの英語のメニューから選んだら。私がテキトーに頼むから。あのね、英語のメニューと中国語のメニューは値段が全然違うのよ」


そうなのだ。Jadeもそうなのだが、中国語で書かれたメニューと英語で書かれたメニューは値段が違うのだ。


同僚:「英語のメニューはアイルランド人向けにアレンジされているから値段が違うのよ」


…ならば、コーラが中国語のメニューには1.5欧州元、英語のには€2と書かれてあるのはどう説明するんだ?別のコーラが出てくるのか?


ともあれ、同僚に頼んで出てきた料理は以下の通り。慌てて写真を撮ったのでひどい写真が多いですがご勘弁を。














この魚はマジ絶品。


これ以外にもスープなどいろんなもんが出てきて食べきれないほどの量が出てきた。正直に言ってホントにおいしかった。他の同僚たちも大満足。


これで、一人あたま20ユーロは格安だと言ってもよかったと思う(ただし、飲み物別)。よし、また来よう。


…で終わっていれば、話は単純だった。が、しかし…翌朝…。



イメージ画像。



いや、これは適当は表現じゃない。おなかは壊さなかった。だけど、なんか胃の調子がおかしくなって気分が悪かったことは事実。ま、これは私にとってはよくある話で、辛いものを食べた翌日は必ずこうなるのだ。上の写真の中に、辛かった料理が一品混ざっていたのだ。じゃあ、食べなきゃいいのに…ってことになるのだが、決して辛いものは嫌いじゃないので食べている瞬間はそれはそれでいいのだ。要はあとで必ず後悔するだけ。


ところが、会社に行って驚いた。同僚の数人が同症状を訴えている。とはいえ、何が悪かったのかはわからない。平気だった同僚もいるし。が、「何か」がヒットしたことはどうも疑いの余地がなさそうだ。ともあれ、Jadeに強力なライバルができたことは間違いなさそう。


講評:料理は激うま。設備も良好。問題点として、その立地、および、食中毒の疑い(証拠不十分)。結論としては、オススメしたいのだけど、なんとなく心配。消化能力に自信のある方は是非どうぞ。




このレストランに行ったことがあり感想をお持ちのかた、その他のレストランでも一言居士な方、その他御用の方はこちらへ(掲示板へのリンクです)。


2008年02月23日(土) 眠れないから更新してみる【ジムに復活】

私のキトクな彼女Mausi(仮名)が言うのだ。


「ジムに行く!」


…。


その昔、私もジムのメンバーだったことがある。だけど、いつの間にかやめてしまっており、最近は文句なしの運動不足のオッサン体になり下がっていた。確かに、ふたりでジムに行けば、なんとなく一人で行くよりも行く気になるかもしれない。うん、そうするべか。


実は、うちのアパートから徒歩数分のところにジムがある。家から歩いていけるジムというのは間違いなく便利。しかも、自宅から会社が徒歩5分という私にとって、家から徒歩圏のジムというのは会社から徒歩圏のジムであるという三段論法が成り立つのだ。ただ、賢い消費者になるべく私たちは、まずは家から二番目に近い、でも歩いてはいけないジムに行ってみた。そう、価格比較をしようという魂胆。


そのジムの受付には爪をやすりで磨いているどことなく無気力感の漂う女性が一人。で、今イチ乗り気でないさまで会費の説明をしてくれる。


係:「今なら年会費は450ユーロ。入会金は29ユーロのキャンペーン中です。もし月ごとに払いたいなら毎月55ユーロ(=年間660ユーロ)」
私:「ええと、ここにペア割引年会費950ユーロって書いてるけど…」



誰がどう考えてもおかしい。ペアのほうが一人よりも安くないと。


係:「…今、キャンペーン中ですので」


…だったらペア割引の方もキャンペーン価格にしろよと思ったが、この国でそのような論理を持ち出すこと自体時間の無駄。ジムを見せてもらうことに。


35メートルのプールにジャグジー、それにかなり数の多いジムの器械、設備は悪くない…いや、むしろいいと言ってもいいだろう。これで年間450ユーロは実に安いと心が動きかけるが、やはり自宅から徒歩圏にあるジムが本命であることには変わりがない。とりあえず、そっちに向かってみますか。


というわけで、年間450ユーロというかなり魅力的な価格を提示された私たちは本命の家から徒歩5分のジムに。受付で「説明のものがすぐに来ます」というので待つ。そこにやってきたのは、どうやらそれ専用に雇われているらしい、もう地球上にこれ以上友好的な人はいないというくらい友好的な女性。…こういう調子のいい女性に限って裏で何を言っているかわからないものだ…と、私は話しやすい女性だとは思いつつも調子のいい女性と判断。ちゅうかさ、ジムの説明をする人にしてはお身体にちょっとばかし余計なお肉がついてませんか?


その女性についてジムを見せてもらう。こちらも決して悪くない。25メートルのプールにいろんな器具のあるジム等々。で、その女性に連れられて受付わきのテーブルへ。


女性:「本日は、どのくらいまでお決めになる予定で?」


…ってお前は日本の車のセールスパーソンか?


私:「もし魅力的な値段ならすぐ決めますよ」


…ってオレは車を買いに来た客か?


女性:「もし、今決めてくださるなら、とびっきりの特別価格をお出しします」


…こいつ、絶対前世は日本で車のセールスをしてたに違いない


女性:「通常でしたら、入会金各150ユーロ、年会費948ユーロのところ、ホントに特別に入会金おふたりで35ユーロ、年会費720ユーロで結構です。あ、今、すぐ、決めてくださるならですよー」


…ちゅうか、こんな商売熱心なアイルランド人に今まで出会ったことがないよ。もしかしたら歩合制なのかもしれないが、ある意味新鮮な体験だわ。


ともあれ、私をバカにしちゃいけません。某大手カメラ店などでの勤務でセールストークを鍛えた私、ここからが出番です。


私:「いや、実はね、別のジムで年会費450ユーロって聞いてきたんだよね。年会費720ユーロなんて論外だわ。だから、申し訳ないけど、別のジムに行くわ」
女性:「ちょ、ちょ、ちょっとお待ち下さい」
私:「え?」
女性:「申し訳ないですが、年間450ユーロは無理です。ですが、もし、今、決めてくださるなら、できるだけ近い値段をお出しします。今、マネージャーに電話して聞いてきます」



…ますます車のセールスだよ。


数分後、戻ってきた彼女…


彼女:「マネージャーとは連絡つきませんでした。だけどホントに特別ですよ。私の責任で月々49ユーロ、年間588ユーロで結構です。その代わり入会金はおひとり35ユーロづついただきます」


…おーい、一気に一人あたま132ユーロ下がったよ。言ってはみるもんだな。とか言っているうちにも、この女夏木ゆたかは話し続けます。


彼女:「もしかしたら私、こんな値段を出してクビになるかもしれないわ」


…お前、実はマネージャーになんか電話してなかったろう。天気予報でも聞いてたんじゃねえのか?


そうは言っても月々49ユーロはかなりお得。数年前に払っていた金額と同じ。何せ、年間5パーセントのインフレが起こっている国。数年前と同じ値段が出たというのは戦果だわ。確かに別のジムのほうが安いとはいえ、やはりジムまで歩いていけるというのはおいしい話。こーゆー話は、引き際も肝心。よろしい、まとめましょう。


女性:「ありがとう。じゃ、お名前を教えていただけますか。はい、MausiさんとSnigelさんね。Mausiさん、お誕生日は?ええ?さんじゅうンさい?えええ?お若く見えますね。23歳くらいかと思いましたよ。えええ?Snigelさんは32歳?いやー、ホントにお若いカップルだと思いましたよ」


…本性見たり。27-28歳と言われればちょっと気を良くした可能性はあるけど、23歳はないでしょう。23歳は!


その後、形から入る私はスポーツ用品店へ。投げ売りジャージとシャワーで使うサンダルついでに事務用のリュックサックを買う。


サンダルで投げ売り品を発見。半額の7.5ユーロ。よし、これにしようとレジに持って行く。


レジ:「このサンダルの部門コードがわからないわ。ちょっと待ってて」


で、別の係を読んでコードを訊ねるが見つからず。少々お待ち下さいと言って裏に消える。数分後…


係:「マネージャーが部門コードが見つからないからXXと同じコードでいいって」


と言って打ち込んだコードから出てきた値段は1.5ユーロ。レジ係は別段驚いた様子もなくその値段で売ってくれた。…得した気分。てか、いつものことながら、ビバ、いい加減王国。


その後、ジムに戻って運動をする。いやー、久しぶりに体を動かして、自分の身体がオッサン体になっていることに気がつかされました。こりゃがんばって運動しないと。





ただいまアイルランドは朝の5時。眠れないSnigel(しかもなぜか知らんが、ひでかすまでのそのそと起きてきた!)に愛のメッセージあるいはご感想はこちらへ(掲示板へのリンクです)。


2008年02月18日(月) 安全はすべてに優先する…わけはない。トホホなシャトルバス

バレンタインデーが終わりました。なんだかんだ言ってもこっちにもバレンタインデーは確実に存在するようで、街中で花束を抱えた人を見かけたりとかしました。ま、それでも日本のチョコレートを配って回るようなものとはあからさまに一線を画してましたが。


そんな中で、私は会社の同僚に「あなたのバレンタインはどんな感じ?」って軽い感じでみんなに聞いて回ることにしました。そう、いろんな国のバレンタインデーの実情を聞いて回ればいい日記のネタになると踏んだわけ。


まず最初に聞いたのは近所の席のドイツ人の女性。社内恋愛でフランス人の熊五郎みたいなフランス人と付き合っていることは公然の秘密。


私:「バレンタインデーの予定は?」
同僚:「え?別に何もないわよ」
私:「え?何も特別なことしないの?」
同僚:「別にバレンタインデーだからって何もしないわよ。だって、私たち毎日愛し合っているもの」



………。


はい、企画中止!こんな莫迦なのろけ話にいちいちつき合ってられるかっての。


私が勤める某ビジネスパークから市内へシャトルバスが出てます。平日日中は毎時1本、ピーク時は20分に一度程度。ただし、バス停のポールが立っているわけでもなければ、バスそのものに行き先表示が出ているわけでもない、ある意味お化けのようなバスです。


アパートから会社まで徒歩5分の私は、たまに町に出かけるとき以外にこのバスを使うことはないのですが、町で仕事をしているひでかすは100メートルおきにあるバス停にいちいち停まってやたらと時間のかかるダブリンバスよりもこちらを使ったほうが早いのでこのバスを使ってます。あ、ビジネスパークで働く人以外もこのシャトルバスを使えます。ゆえに、ひでかすを含めた近所の住人の一部ものこシャトルバスを使っているのです。


ところが。このお化けバス、定時運行など夢のまた夢、バスはおんぼろ、運転手の質は最悪(運転中にケータイで話し始めるなど日常茶飯事)、バスの配車がおかしいので、ほとんど空の二階建てバスを走らせたと思えば、突然2階建てバスの1/3の運行能力しかないミニバスで積み残しを出したりと、まあ、いいところがない。ちなみにダブリンバスのお下がりの二階建てバスは、故障続きでつい最近廃車になったらしい…。





廃車になったボロバスの在りし日の姿。どう見てもダブリンバスにしか見えないけど、実はシャトルバス。


この二階建てバスを筆頭にしてここのバスのボロさは筋金入り。この会社のバスの多くは、こともあろうにダブリンバスのお下がり。つまり、ダブリンバスのひどいメンテナンスが祟って使い物にならなくなったオンボロをいくらで買ったか知らないが無理やり使っているわけ。





資料画像。おととい撮ったばかりのダブリンバス故障の図。市中心部のCollege Greenで一車線をふさいで故障中。日本の路上でバスが故障しているのを何度見たことがあるだろうかと考えると、このダブリンバスの路上での故障の多さは異常。それにしても、後ろの広告の、故障したバスにGet there go anywhereというのが皮肉です。


で、シャトルバスの会社、どうも当局に目をつけられているらしい。数日前になんと一斉摘発を受けた。その一斉摘発の方法がまたすごい。運行中のバスを捕まえて、路上に停止を命じる。で、乗客が乗っている、バスに当局の人間が乗り込んできて検査開始。そして、3台のバスが「乗客を乗せての運行には不適格」とされて、その場で運行禁止命令が下されたそうな。…ってこのルート、ピーク時でも4台のバスで運行しているから4台中の3台が運行禁止になったって計算になるな。もっと言えば、あのデタラメなダブリンバスのメンテナンスが問題にならないこの国で、運行禁止になるこのシャトルバスのメンテナンスって一体…。


かわいそうなのが乗客。バスは運行禁止処分になり、その場に放り出されたらしい。かくして、うちの会社では遅刻者が続出。総務部長がかなり本気でキレていた。


そんなことがあったせいで、その日の午後はこのシャトルバスがお詫びの意味をこめて「無料運行」されることに。ちょうどいいや、町に買い物に行こうと思っていたから今日は車を置いてこのシャトルバスで行こう…と思った私がアホタレだった。


まず、退社後、町に行くのに、会社の前から出るシャトルバスが来ない。定刻から遅れること15分後、ようやくやってきたバスは、見たことのない観光バス。あ、そっか。今朝、いつものダブリンバスのお下がりのミニバスは運行禁止になったんだ。どっかから、このバスを借りてきたに違いない。ま、それ自体は「よくやった」と褒めていいかも。


しかし、詰めの甘さはさすが。バスの運転手は、たぶんこんな異常事態になったからであろう、バス停で待機していたシャトルバスの会社の社員とすでに15分遅れていたにも拘らず話し始める。


運転手:「オレ、どこにいけばいいの?」
社員:「XXXを通って町に行けばいい」
運転手:「YYYのとこを通ればいいんだよね」
社員:「いや、違う。ZZZを左折して、それから…」



…てか、道を知らない運転手ってありえるのか(この日記の古い読者さんなら「あり得る」と即答されると思うけど)。運行前のブリーフィングとか…してないだろうなあ。


で、このバスは道を知らないながらも無事に町に着いた。バスを降りて数分後に折り返しでビジネスパークに向かう同じバスを目撃。…なぜか空。どうやら、町でお客を拾うということがうまく伝わっていなかったらしく、寒空の下、町で待っていたかわいそうな人たちは無視されたらしい。


町からの帰りは帰りでバスは待てど暮らせどやってこない。他のキレた乗客がバス会社に電話し続けるが、すべて留守番電話に接続され無視される。ようやく来たバスの運転手、本日は無料のはずなのに、知らん顔して運賃を取り始める。私は…


私:「今日はタダでしょ?」
運転手:「なんだよそれ?知らねえよ。ちゃんと2ユーロ払えよ」



…やはりな。どうせ内部での連絡なんてうまくいってないと思ったよ。


こいつらのアホタレぶりを熟知している私、こんなこともあろうかと、ウェブサイトに載っていた「お詫び」文書のスクリーンショットをコピーして持参。運転手に見せる。運転手は、ほかの乗客に向かって


運転手:「悪い。あした、運賃、タダにするから」


…いや、そうじゃなくて、取った運賃を返せよ。それが筋だろ?


いやはや、一事が万事というか、いい加減で呆れかえるばかりです。何よりも、こんなことがあろうかとウェブサイトのコピーを用意している自分の人間不信ぶりにもちょっと悲しくなったりして。




このバス会社の話を始めたら、たぶんしばらくは日記のネタに困らない自信あり。ご感想はこちらへ(掲示板へのリンクです)。


2008年02月11日(月) 【ミニ更新】漢字はクール…なのか?

ようやく春らしくなってきました。…というと日本に住む方には違和感のある話かもしれませんが、実はアイルランドの暦の上では2月から4月は「春」なのです。朝晩は未だに冷えますけど、昼間は暖かくなってきてます。


会社で忙しくキーボードを叩いていると、顔は知ってるけど名前を知らない同僚がやってきました。長身。結構イケ面かも。男なので興味はありませんが。


同僚:「ねえねえSnigel.日本語書ける?」
私:「は?私、れっきとした日本人なんですけど」
同僚:「そうだよね。だったら、"Never surrender"って日本語で書いてくれない?」



Never Surrenderねえ。「負けないで」とかになるのかな。待て、もっといい訳があるだろう…とか考え始めたのだが、ふと考える。なんでそんなもんが必要なんだ?


私、このテの質問には細心の注意を払ってます。以前の日記に書いたかもしれないのですが、かなり昔にこんなことがあったのです。


友人:「私の名前をこの紙に日本語で書いてくれない?」
私:「いいよ。はい(カタカナで彼女の名前を書いて)できたよ」
友人:「わあ、きれい、ありがとう」
私:「別にこれくらいいいよ。で、これ、どーすんの?」
友人:「これ見せてタトゥー(刺青)入れてもらってくる



慌てて私はその紙を彼女の手から引っぺがして破り捨てたことは想像に難くないかと。


別にこれは今始まったことじゃないんだけど、こっちの人、漢字に対してエキゾチックと感じるというのか、クールに感じるというのか、よくは知りませんが、かっこいいと思う人が多いようです。それ自体一向に構わないのだけど、私の悪筆が誰かの肌に一生残るなんて私には責任取れません。たまに街中で「なんちゃって漢字」の書かれたシャツとかを着ている人を見かけますが、シャツは着替えられれても、肌はそう簡単にはいかない。


で、今日は「負けないで」と書いてくれ…と言われたわけですが、とりあえず、用途を確認。


私:「それは構わないけど、いったい何すんの?」
同僚:「実はね、ボクの背中にタトゥー…」



…来たよ。なんて言って断ろうか。


同僚:「タトゥーがすでに彫ってあるんだけど、本当に『負けるな』って彫ってあるかどうか確かめてもらいたくて」


…ってか、あんた、本当に正しいかどうかも確認せずにタトゥーを彫ったの?その勇気、ある意味感心するよ。


これで背中に、けないで」とか「ボクはヘンタイ」とか書いてあれば、日記のネタとしては申し分なかったのだけど、首筋から一瞬だけ見た彼の背中には背中いっぱいに何やら絵が描かれていて、その中心に見事なフォントで


「不屈」

と書かれていた。なるほど、いい訳だわ。しかも、ちゃんとしたフォントで書かれている。よかったね。笑いのネタにならなくて。とか言いつつ、「屈」の字が「屁」に似てるとか思ったのも事実だけど。





次回はバレンタインスペシャル…の予定。何がスペシャルって?まだ決めてません。とりあえず、今日のつなぎ更新のご感想はこちらへ(掲示板へのリンクです)。


2008年02月04日(月) チョコレートはリンツ

今日の日記、出雲の決して味にも自分の方針にも妥協しない頑固者フレンチシェフMさんに捧げます。いつか食べに行かせてくださいねー(←私信)。


私、実を言うと両刀遣いです。…と言っても(青少年健全育成のため自主規制)の話ではなく、酒と甘いものの話です。酒も好きだけど、甘いものも好きです。甘いものといえばチョコレート、もう、封を開けたら最後、かっぱえびせん状態になります。…てなわけで、あると食べてしまうので、買わないようにしているのですが。


チョコレートといえば、誰が何と言おうとスイスのリンツです。私の小学生の頃の友人が店員の上野のチョコレートのたたき売りでも買えるのでぜひ試してほしい逸品ですが、友人が先日わけのわからんものを持ってきてくれました。





チリ味のチョコレート。


ちょっと待った。どっかの10円チョコレート会社じゃあるまいし、老舗がこんなゲテモノを作っていいのか?甘いものの代表格チョコレートのチリ味って考えられねえよ。


…と言いつつ食ってみる。


まずはフツーのダークチョコレートの味。個人的にはホワイトチョコ>ミルクチョコ>ダークチョコなので、ポイントは低い。…が、さすがリンツ、うまい!


で、しばらくすると、おおおっ、ホントにチリ味がしてきた


なんだかものすごいキワモノなんだけど、でも正直言っておいしかった。これを思いついた人には素朴に敬意を表します。どうやら日本でも手に入るようなので、興味のある方は是非どうぞ。


チョコレートといえば、あと10日ほどであの、日本にいたころもっとも忌むべき日だったバレンタインデーがやってきます。思い起こせば私が小学生の頃、チョコレートを誰からももらえなかったと家で愚痴ってたら、ばーちゃんがスーパーに連れていってくれてチョコレートを買ってくれました。ああ、処女バレンタインチョコ(造語)がばあちゃんだったってのはちょっと悲しいかも。たとえば、女の子の初キスがその子の父親だったりしたら、きっとその女の子は一生父親を恨むでしょうね。それと同じかも。


それから20年以上経った今でも、義理チョコを含めもらったチョコレートの数はたぶん両手の指で数えられる程度。そんな私はアイルランドが大好きです。


だってバレンタインデーなるものがないんだもーん♪


よく言われることですが、バレンタインデーなんて日本のチョコレート会社の陰謀ですよ。だいたいがバレンタインデーに対してホワイトデーなる贈与・互酬のカンケーがあることが気に入らない(贈与・互酬に関してはこの本がかなり詳しく触れています。面白かったのでおヒマな方は読んでみてくだされ)。2月14日、私は勝者(=贈与、互酬のある世間から脱出成功したもの)として、冷めた目で日本を見てます。あ、でも、チョコレート歓迎ですよ。ぜひダブリンまで送ってくださーい(←やっぱり欲しいのかよ)。





作者へ愛のチョコレートを送ってくださるという方、不幸の手紙を送ってやるという方はこちらへ(掲示板へのリンクです)。


2008年02月02日(土) 給料から見たアイルランドの経済発展となぜ就職が不可能かについて考える

なんだか日本ではここ数日、中国産毒入りギョーザが問題になっているようで。まだまだ諸説いろいろで結論が出るまでには至っていないようですが、中国産の商品に対する信頼が地に落ちていたところにこのトドメを刺すような話。そりゃ、マスコミが飛びつかないわけはない。騒ぎにならないはずがない。


もとより、「中国産」と言っても、中国全部の企業が悪いとは考えられないのですが、なんてったって、商品のパッケージには「中国製」とか"Made in China"としか書いてないんだから消費者としては良い企業産なのか悪い企業産なのか判断のしようがないというか。


ちなみに、こちらアイルランドでも去年の秋あたりに中国産のおもちゃに有害な物質(鉛)が入っていただのいないだのでちょっとした騒動になっていました。で、きょうび中国産の商品のない生活など不可能なのに私の周りでもあーだこーだ言ってました。できたらMade In Chinaは買いたくないねとか言って。


一部の中国企業はある意味さすがと思いましたね。Made In ChinaのかわりにMade in PRCと書いて売ってる商品を見かけました。なるほど、それが中国だと気がつかなければ、中国産を避けようと思っている人も間違って買ってしまうかもしれない。さすがです。


まあ、そんな折も折、ひでかすが買い物に行ってきまして買ってきたものは





Made in Korea


意識してそうしたのかどうか知りませんが、相変わらずです。この男は。


さて、今日の本題です。今日の本題は、ずばり、お金の話。日頃金の話ばかりするやつは嫌われる…という思いがあるので今までできるだけ避けてきた話題ですが、今日はちょっとその話をば。アイルランドの現状がうちの家計から垣間見えてきます。たぶん。


実はですね、1月に昇給があったのです。何だか知りませんが、私が勤める会社、去年の業績はサブプライム問題だ、アイルランドの家の値段が下落だなんだをものともせず、増収増益うはうは悪魔怪獣何でも来い状態だったようです。そのことは私の努力のたまものではないことは衆目の意見の一致するところなのですが、それでもおこぼれを預かって昇給があった…というわけ。わーいわーいと思っていたら、月夜は長く続きませんでした。


ヨーロッパの証券市場から2400億ユーロ(38兆円)が消える


そうその昇給発表の数日後に株価が暴落。生まれて初めて去年買った株(なんのこたーない、自社株ね)も大暴落!その消えた2200億ユーロの50万分の1くらいは私の金です。


そんな愚痴は置いておいて、私、家も買ってなければ、車も中古車と借金がない無借金経営が自慢ですが、実はその実、財形貯蓄もありません。正確に言えば、給料天引きの厚生年金が結構バカにできない額まで溜まっているくらいでしょうか。


ま、これは私が65歳になるまで受け取れない金ですので、あるようなないような…という金ですね。まあ、あくまで自分で積み立てた金は自分でもらえる…はず…ですので、どっかの国の国民年金みたいにもらえるかどうかわからん…という状態でないのはいいのですが。


今だから白状しますけど、私がアイルランドで一番最初に採用された時の年収は13,000アイリッシュプントでした。ユーロ換算で16,500ユーロ。それを日本円に換算すると264万円。月収税引き前22万円の計算になりますね(当時は1アイリッシュプント130円の時代だったからこの計算で行けば年収169万円!)。よくもこの金で生活できたもんだと思いますが…できたんだよね。実際。9年前は。


現在のアイルランド、年間5%の割でインフレが進んでます(去年12月の速報値)。ものすごく乱暴な計算で私が就職した当時から5%のインフレが進んできたとすると、この金額、現在のユーロでの価値は25,000ユーロちょっとという計算になります。が、たぶんこの計算方法には無理があって、実感および、現在の新規採用の給料の相場から考えて、おそらく今の価値では2万ユーロ(320万円)くらいじゃあないだろうか。


2万ユーロを多いと見るか少ないと見るかはこーゆー計算をしてみるといいかも。現在のアイルランドの最低賃金は時給8.65ユーロ(2007年)日本円にして1380円。これって日本から考えると驚異的な数字です。だって、日本のこと地方では時給700円の仕事とかフツーにあるでしょ。それって、むろん現在のユーロ高などの要因はあるにせよ、アイルランドの最低賃金の半額で仕事をしているって計算になるんですよね。


上記の9年前の状況で考えると、年収169万円は時給換算で812円(1日8時間、週に5日、52週働くとして計算)。時給812円が合法だった時代からわずか9年で最低時給は1380円へ(4割増)。しつこいけど、確かに現在のユーロ高という要因はあるけどいかにこの国の経済が一気に発展したかを端的に表す数字と言っていいと思います。


ともあれ、時給8.65ユーロでの年収は18,000ユーロ。これがアイルランドでフルタイムで働くときの最低賃金ということになります。この計算を逆にすると、年収2万ユーロって時給9.6ユーロという計算になるから…いきなり時給1500円超から仕事を始めた…ってことになりますな。…と聞くとすごいようだけれど、忘れちゃいけない、アイルランドの最低賃金は時給1380円なのです。


ここでちょっと脱線すると、現在のアイルランドでの合法的な就職が絶望的になっている理由は、就労許可証の申請のための条件として、最低でも年収3万ユーロ以上あること…というのがあるから。一昔前なら、私のように手に職のないアホタレでもちょっとした努力と運があれば合法的に就職ができたのですが、今じゃ、いきなり年収3万ユーロがもらえる人、言いかえれば、ある程度の手に職がある人じゃないとダメ…ということになるわけ。だって、時給換算で14.4ユーロ、2300円もらえる人なじゃいと就職できないんだから、ハードルは高い。


忘れたころから読者さんから「アイルランドで就職したいんですが」というメールをいただきます。必死さが文面に表れる人もいれば、果たしてこの人本気なんだろうかと疑問に思う人まで様々。つい1か月前にいただいたメールに対する私のお返事をメールをちょっとコピーしてみる。何か知らないけど、このメール、この読者さんにはちょっときつかったろうけど、言いたいことをかなりはっきりと書いてしまった。間違ったことは言ってないと思う(間違い指摘歓迎)。


こんにちは。メールありがとうございました。Snigel@アイルランド真実紀行管理人です。

もし、ワーホリや留学がいやとなると、よほどの金があって起業するとか、年金生活をするというのでない限り、当然仕事を探すことになりますが、ご存知のように、現在、アイルランドで合法的に就職することは昨日の法改正以来ほとんど無理といっていいほど難しいようです。

確かに、5-6年前まで、ある程度の実力と運があれば(あるいは私のようにとんでもない強運だけでもあれば)、アイルランドで合法的に就職することは出来たようですが、現在は法改正により状況が一変しています。ご指摘のように就労ビザを申請したとしてもこちらに住んでいる人には下りないようですし(ゆえに日本に一時帰国する必要がある)、もし、運良く、就労ビザを申請してくれる会社が現れても、そのビザが下りるとは限らないようです。

いろんな人の話を聞くに、頑張っても仕事が見つからない人、何度挑戦してもビザが下りない人、日本で待っていたけど結局ビザが下りずに諦めた人等々、大変な話ばかりです。それでも本当に仕事を見つけたいですか?正直苦労して就職できたところで、夢のような暮らしは待ってないと思いますよ…7年ほど仕事をしている人間の正直な意見として。

「真剣に」考えていらっしゃることを茶化したり、軽く見たりするつもりは毛頭ありませんが、やるならやるで、ある一定の期限を決めてその期間本気で頑張って、それでダメだったら素直に諦める…くらいの気持ちで行ったほうがいいと思います。

おそらく、このページはご存知だと思いますが、まず、必読です。以下、ご存知のことも多いかもしれませんが、おさらいです。

ご覧のように、年収3万ユーロを切る労働者にはビザはほぼ絶対の確率で降りません
(追記:降りた方、降りた人の話を知っている方、ぜひお話をお聞かせください)。ちなみに、コールセンター(サポセン)の新規での雇用は2万ユーロ程度からのようです。つまり、エントリーレベル(日本で言えば新卒入社レベル)での就労許可証交付は無理ということです。

もう、この時点で、アイルランド政府はよほどの技術を持った人(=国のためになる人)でない限り新規の就労許可証を出さないんだと言う決意が伝わってきます。もし、この時点で少しでも難しそうだとお考えだったり、「日本食レストランなら雇ってくれるかな」程度のことをお考えなら、素直に諦めたほうがいいと思います。

その上で、確かに数は少ないものの、日本人の求人はあるようです。その求人は、現在働いている人がやめたとか何かでの入れ替えがほとんどのようです。このような場合は確かにチャンスはありますが、そのかわり、多くの人とひとつの席を奪い合いになる大激戦になることは覚悟をしておいてください。

また、5-6年前に運良く仕事を始めた人(=今よりゆるい状態の法律の下で仕事を始めた人)は、そろそろビザが不要になる頃なので、会社側からみると、下りるかどうかわからない就労許可証を申請するより、誰か即戦力になってビザ不要の人を雇いたがることは当然だと思いますので、新規の就労許可証の交付は、本当によほどの強運の持ち主か、よほどの実力の持ち主でないと無理だと言い切れます。あと、いやらしいことを書くと、この国は
日本以上にコネ社会です。コネがあるなしで状況が変わることがありえる…ということもいちおうお知らせしておきます。

すいません。面識もないのにかなり厳しいことを書き連ねてきましたが、これが私の知る限りでの現実です。いわば赤の他人である私がどうこう指図する権利も筋合いもないことは充分理解しているつもりです。ただ、「話は簡単じゃないよ」ということはご理解いただきたく思います。それでも頑張るとおっしゃるなら、何とかうまくいくようにご健闘をお祈りいたします。よろしければ、どうなったかも教えていただけるとうれしいです。

(転載ここまで)



どさくさにまぎれて本音を一言書いときますが、アイルランドでの就職なんてもはや無理ですよー。


話を元に戻しましょう。なんの話だっけ。…あ、金の話でしたね。…と、まあ、最低賃金が時給1380円の国、私の給料も何もしてない割には日本円にすれば決して悪くない金をもらってます。が、それが自分に豊かさをもたらしてくれているかというとむしろその逆で、財形貯蓄がないという事実が端的に表すように全く豊かさは感じません。ひでかすとシェアしているアパートの家賃は1200ユーロ。19万円。ここから始まって、今日実はLidlに行ってきたのですが、格安と言われるスーパーで170ユーロ使ってきましたよ。





見てのとおり、安ワインを1ダース買ったりしてますが(買うなよ)、フツーにスーパーで1週間分の買い物をしただけで27,000円を使うってのはありえないと思います。仮にワインを除いたって110ユーロ使ってますからね。で、この程度の金は週に一度の買い物で必ず使ってます。


この国の景気は、なんだか世界経済同様先行き不透明です。私の会社は幸い未だに月夜が続いているようですが、それとていつまで続くやら。家も持っていなきゃ、この国に骨を埋めるつもりのない人間ですから気安く言えるのですが。…あ、でも、株式相場が持ち直してくれないと大損するっ。




すいません。結局オチなしになってしまいました。が、ツッコミどころは満載だと思われるので、ツッコミはこちらへ(掲示板へのリンクです)。




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