なべて世はこともなし
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2003年07月31日(木) ミニ更新。「グッバイレーニン」を見てくる

疲れ果てております。理由はよく分かりませんが、かなり疲れてます。と言っても別に昔のように一日13時間働き続けているとか、ドロヘダまで歩いていったとかそういう話じゃありません。ひたすらに会社で目が回るほど忙しい思いをしているだけなのですが…。トシもあるだろうなあ(自虐的)。会社から帰ってビールを2本空けたら何時の間にか2時間ほど居眠りをしてしまいました。今も今何時なんだかよく分からん状況です。メシも食ってないし。


昨夜久しぶりに映画なぞ見てきました。「グッバイレーニン」アイルランドにしては本当に珍しいのですが、なんとドイツの映画で字幕付。考えてみるとマニアックな映画ばかりやっているアイリッシュフィルムセンターを除けば他の映画館で字幕付の英語以外の映画をやることはまれな話です。つまりそれだけよくできている映画ということもできるわけですが。


実際面白い映画でした。ジャンルとしてはコメディを交えたドラマという感じかな。数行であらすじを書くと(見ていない人もネタバレではないので安心して読んでね)、「社会主義を崇拝している旧東ドイツに住む母親があるひ心臓発作でひっくり返る。で、彼女の意識が戻ったときにはベルリンの壁がすでに崩壊。医者は『彼女に刺激を与えないこと。与えるとショックで死ぬよ』と警告。で、彼女の家族が必死でベルリンの壁の崩壊を隠そうとする話」です。


…すまんが、腹が減った。とりあえずメシ食ってくる(何も台所にはないけど)。なんだかだらけた生活だなあ(反省)。


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2003年07月29日(火) たった一つの避妊具が呼ぶ謎。誰か推理してくれ。

<謹告>今日の日記は読者さんの「これをネタにしてくれ!」というリクエスト兼報告を元に再構成したものです。つまり事実とはほんのちょっとずれたフィクションということでご了承くださいませ。しかもR指定推奨ものなので、良い子は今日の日記はパスしてね(まあ、大したもんじゃないけどさ)。


彼女はいつもの通り16番のバスで郊外の家に向かっていた。夕方のラッシュ、彼女は座るところがなく、やむなく1階席の後部に立っていた。郊外に向かうにつれ当然バスは空いてきて、彼女はようやく座席に腰掛けることができた。


で、いよいよ終点に近いバス停で彼女が降りようとすると、バスの最後部の足元に落ちていた「物体」を発見。彼女、絶句。


使用済み、しかも生暖かそうな避妊具


え????


なぜこんなところにこんなものが?


もうバスの車内にはお客さんはほとんどいなかったので、降りる間際に彼女は思い切って運転手さんにその「物体」のことを報告したそうな。


運転手さん:「あっそう」


…あっそう、ってなによ?あっそうって。少しもびっくりしてくれないの?


話はこれだけなんですが、私なりにいろいろ考えてみました。


夕方の混んだバスの車内でのいかがわしい行為は可能か?


んなこと考えるな!というツッコミは無視しまして。あのー、ダブリンバスがいくら混んでいると言っても、立っている人はせいぜい10人がいいところです。つまり日本の地下鉄のような大混雑とは話の次元が違います。しかも座席の数が多いので立席スペースが限られてます。つまり痴漢を働こうとしても座っている人に見咎められる可能性が大。つまりたとえ合意の上でもいかがわしい行為をすることはほぼ不可能に近いと思うのですが。かといって、そんなもんをわざわざバスの中に捨てるというのも解せません。


もしかするとナイトリンクの2階席の最後尾の座席とかだといかがわしい行為をするバカがいないとも限りませんが、何せ、ラッシュ時の混み合ったしかも運転手さんの目が届きやすい1階席。いくらみんなが進行方向を向いていたとしても無理だと思うのですが。


そこでSnigelの推論。


アイリッシュの女性Aは白昼堂々愛人の家に行っていた。で、白昼堂々愛人といかがわしい行為を働く。で、ちょうどクライマックスを迎えたとたんに階下で音が。やばい。愛人の奥さんが帰ってきた。


Aは慌てまくって下着を履く暇すらなく脱走。で、避妊具が彼女の中に残っていてしかもバスの中で落ちたことに気がつかなかった。


…んなことはありえんな。書いてて思った。強いて言えば、ベッドサイドのテーブルの上にハンドバックを何気なく置いて、その底に使用済みの避妊具がついてきた…これも「ありえない」とは言いきれないけど、可能性としては低い。となるとやっぱりバスの中で…いやーそれも考えられないんだよなあ。


皆様の推論を(あまりグロくならない程度で)お待ちいたしております。あまりグロくなりそうならメールにて。中和した上で可能ならここに掲載させていただきます。


あ、ちなみに一部のバスは監視カメラが作動しているという噂(「一部しかしてないんかい」というツッコミは不要)。


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2003年07月27日(日) アジア人を見たらドロボーの共犯と思え?!...ってことなのか

数日前。場所はBlanchardstown shopping Centreの隣りのWestendというショッピングセンター。ここでLIDLで買い物をしてついでにカー用品店でエンジンオイルを買った私。さあ帰ろうと車に乗る。ここまでは別になんでもなかった。エンジンをかけていざバックしようと(かなり珍しいことだが私は車を前進駐車していた)バックミラーで後方確認。…が、後方には白い乗用車が止まっている。


離合でもしてるのかなあと思って数秒待ったが動く気配がない。のみならず良く見ると白い乗用車の運転手が私に手招きをしている。


無視。


当たり前。用があるならお前が来いっつうの。


が白い乗用車の運転手、動く気配がない。仕方なくエンジンを切って(もちろん念のためにキーも自分で持って)私が車から降りる。


運転手はたぶん30代前半と思われる男。結構いい体格をしている。車は92年式くらいのせこいフォード(と自分がせこい車に乗っていることを忘れたコメント)。


私:「何の用だよ?」(英語では"What do you want?"ともろ不機嫌な声で)。
男:「ほら、ここを見てごらん」


と指差すのは助手席。そこには真新しいデジタルビデオカメラと、最新のシャープのカメラ付ケータイが。


男:「安くしとくよ。買わない?最新のビデオカメラにケータイ」


と、盗品?


まあこの状況からしてまともなものをまともな値段で売っていると思う人はいないはず。


私:「いらん。だから、退いてくれ」
男:「え?安くしとくよ」
私:「いらんからどいてくれ」



それでおしまい。…考えてみるとせめて値段くらい聞いてついでに車のナンバーくらい控えておいても良かった気もしたが、さらに考えてみると車自体も盗品かもしれないし、きわめてまっとうな考えとしていらんことには首を突っ込まないのが一番。そう、君子危うきに近寄らず。


だいたいこれで何度目だろう。盗品を売りつけようとする連中に話しかけられたの。私、自慢にならないけど、表彰状をもらうような偉いことをしたことはないけど、反面こういう悪質な犯罪に手を染めたこともない。そりゃ、デジタルビデオカメラ、あったらいいなとは思う。けど、人様の家から盗まれたビデオなんて使いたくない。そもそも、(アイルランドの法律は知らんが)こんな状況で手に入れたモノ、「正当な取り引きで善意の第三者に渡った」とは到底言い難い。そんなもん、誰が買うかっつうの。


とはいえ、こうやって白昼堂々と直接取引を申込んでくる不届きな輩がいるところからして、たぶん盗品への需要はあるのではないかと思う。で、ここでさらに一歩突っ込んで考えると、なぜ私に売ろうとしてきたか。まさにランダムで売ろうとしており誰彼に声をかけている…とは思わないんですよね。あの広い駐車場で数ある人の中から私に声をかけてきた理由。


私がガイジンだから


と思うのは被害妄想ですかね。多分そうではないと思うのですが。で、もっと言えば私がアジア人に見えるからとまで言うと論理が飛躍しすぎてますかね?彼ら盗品を売る側からしてガイジン(特にアジア人 )は上級の顧客だ…とかいうことはないですかね?


むろんこれらは何の根拠もない推論です。強いて言えば第六感。だけどなんかあながち間違っていないような気がしてならないのです。例えばアイリッシュに不用意に声をかけたら実は相手は警察官だったとかいうオチもなきにしもあらず。だけどガイジンならその可能性は限りなく低い。しかもガイジンの方が不法滞在を始めとして犯罪に手を染めている確率が高い。だからモラルも低いからこういう盗品を買う…うーん、あり得ないとは言い切れないような。


もっと言えば読者さんからの報告で、「夜、シティセンターを歩いていたらアジア人らしき人が盗品と思われるケータイの取り引きをしていた」なんて話も聞きました。考えてみると、盗品のケータイがきちんと動くかどうかというのはまったく謎ですが、なにやら怪しい動きがあったというのは事実のようで。


私が一番嫌だなと思うことは、こういうことの積み重ねでそのうち「ガイジン=犯罪者(とその共犯)」という方程式が成り立ってしまうこと。日本のマスコミを見てもらえばそうですよね。一部とはいえ「ガイジンを見たら犯罪者と思え」と言わんばかりの報道を見かけませんか?


確かにそういう側面を感じざるを得ない時もあるのですが、反面、私のように例えホムペに悪口は書いてもちゃんと税金を納めてまっとうに働いて犯罪とは無縁にまじめに生活している人のことが忘れ去られようとしてるような。ま、この手の議論は古くは「腐ったミカンの方程式」からある話なのですが。とりあえずアイルランドの皆様、また日本でガイジンに対しいい目で見ていない皆様「善良なガイジン」という人種が存在することを忘れないでください。


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2003年07月26日(土) アイルランドの交通検問

2週間前のこと。コンタクトレンズを買ってVHIに申請するといくらか返ってくるので(正確には2年に1回70ユーロを限度とする実際に支払った額の半額)それを利用しないテはないと、いつもお世話になっているGrafotn StreetにあるSpecsaversへ。


ここの(私にとっての)最高にして最大の特長は店員の質。なぜだかよくわからないが気味が悪いくらい丁寧な対応をする。私がどこかに出かけてMr何とかと呼ばれるのはたぶんここだけではないだろうか(そういうふうに呼ばれる高級ホテルやレストランとは無縁なもので)。


…あ、ここまでは2週間前の日記に書いたんだった(すっかり忘れている)。で、今日再び行ってきたんですよ。Specsavers。


いやいや、何ともはや観光客の多いこと。Jervis Centreに車をとめてTemple Barを横切ると、日本人の中年3人という考えてみるとちょっと珍しいタイプの観光客が地球の歩き方を広げて往来のど真ん中で立ち止まっている。他にも語学学校に通っている感じの日本人女性がイタリア人・スペイン人とまざって楽しそうにスナップ写真を撮っていたりといろいろ。とりわけ夏になると観光客が増えるのですが、日本人も増えたなあと思います。ま、ロンドンとかに比べるとはるかに少ないですが。


そんな中、5年も住んでTemple BarやGrafton Streetに微塵の興味もなくなってしまった私はSpecsaversへ直行。昼前でさほど混んでいなかったこともあってか10分も待たずに眼科医の待つ暗い個室へ。今日の眼科医もやはり若い女性。で、私のカルテを見て…


眼科医:「ふむふむ、目に傷を入れてたのね。じゃ、目を見てみましょう」


といいつつ私の目を染色液で染めて…


眼科医:「ふむふむ。傷はなくなってますね。…でもねえ…」


でも何よ?


眼科医:「あなた2年前にコンタクトレンズを買った時にも同じこと言われて再検査になってるじゃない。あなた目を引っかく癖とかあるの?」

へ?んなものないと思うが。まあ、なくて七癖あって四十九癖…だっけ?本人も気がつかない癖とかあるのかも知れんが。


眼科医:「とにかく!目をこすっても百害あって一利なし!即刻止めること!」


私は反論。


私:「そうはいうけどねえ、あなた癖や習慣を改めることってどんなに難しいか知ってるでしょ?」


むろん冗談めかしてです。ただ、こういう「へ理屈」になるとアイルランド人にはかないませんねえ。彼女はすかさず


眼科医:「ほら、私の指を見てごらん!爪をかむという習慣をもう26年も改めてるわよ。あなたにもできるでしょ?」


と私に見せる薄く白いマニキュアを塗った爪。確かに爪はきれいに伸ばされている。ただ…


眼科医なら爪くらい短く切れよ。お前。


で、この後、帰りに検問に引っかかってしまいました。アイルランドで2度目。どうやら税金・車検・自動車保険(のうちの一つあるいは全部)のフロントガラスに貼られているべきステッカーをチェックしていたようです。私の場合、納税も車検もちゃんと先月済ませて、ついでに保険もちゃんと入ってますので何ら問題にはなりませんでしたが。警官氏は私のステッカーを一瞥して「行ってよし!」のポーズ。


実は車を輸入したての時もやはり検問に引っかかったんですよ。この時の検問がまたすごかった。この時の私の車、税金も払っていたし、保険もちゃんと入っていたのですが、まだステッカーが間に合ってなかった。つまりステッカーを貼っていない状態。つまり傍目にはちゃんと納税や保険加入の義務を果たしているかナゾ。つまり検問にあったらちょっと面倒なことになりかねない状態。


で、郊外の見通しの良い道路を走っていると突然目の前に現われる警官。確かに書類一式持ってるから何ら後ろ暗いところはないけど面倒なことになるかなあと思っていると、警察官氏窓を開けるように私にジェスチャー。


警察官氏:「この車はあなたのですか」
私:「そうです」
警察官氏:「あ、そうですか。」



で行ってもいいよというジェスチャー。


…この国ではドロボーは自己申告制なんですかね。


警察官氏:「この車はあなたのですか」
私:「いいえ。盗みました」



…もっともこう答えたところで…


警察官氏:「あ、そうですか。」


と、問答自体は変わらないような気もする。まったく何のために検問をしているのか問い詰めてみたい。


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2003年07月25日(金) アイルランド北部で発掘した超越B&B

先日の日記に書いた通り、私、アイルランド北部を2泊3日で旅行してきました。この時に考えられない超越B&B体験をしたのでそのお話です。


場所は例のオススメ国道56号線沿いとしか言えない。いえ、秘密にしてるわけじゃなくて標識全部が全部ゲーリックで書いてたし、しかも助手席のナビゲーターが任せておいたらイスカンダルにワープしてしまうような使えないやつでして…つまりは覚えてないんですわ。覚えているのはドネゴール空港から車でレタケニーに向かってたぶん30分くらい走ったかなあという場所。


ともあれ、昼ご飯を抜いていた私たちはお腹が空いて空いて仕方がないという状況でN56を走っていた。時刻は午後6時。たぶんレタケニーまではあと最低1時間はかかるだろうが、そこまで食事を我慢できる状況ではない。かくして、


私:「よし、次の村でB&Bを見つけて、見つかったらメシにしよう」


と決めた次第。


で、次の村というのがまた名もない村でして。村の規模としてはガソリンスタンドが1軒。銀行がAIBとBOIが各1軒。よく分からん店があり、B&Bは2軒。そんな村にもパブだけは4軒もあった


で、B&B、村の中心に近いところのは外から見ても汚いしとても入る気にならない。で、もう1軒は、村の中心から少し離れており(と言っても100メートルくらい)あまり新しくなく、かつきれいでもなかったが、ま、いっかというわけで取り合えず中を見せてもらうことにした。前庭にはB&Bのマークはあるが、シャムロックのマークはなし(シャムロックのマークはアイルランドの政府が決めた基準を満たしているB&Bに発行される。つまり政府のお墨付きなわけね)。


前庭から入り、玄関のドアをノック。


無反応。


もう一度ノック。


無反応。


ドアノブに手をかけてみると…開いている


ドアを開けて今度は大声で


「ごめんくださーい」


無反応。


もういちど


「ごめんくださーい」


…どうやらお留守のようです。そう、アイルランドのイナカは、未だに家の鍵をかけないところがあるのです。「鍵の数だけ不幸の数」という言い得て妙なことを誰かが言ってましたが(鍵ってのは他人が信用できないからつけるのであって、この世に善人しかいないなら鍵なんて必要ないでしょ?)そういう意味ではこの地域の人はシアワセな人のようです。


で、誰もいないので諦めて車に戻る。で、車を動かそうとすると、お、誰かが裏庭のガレージに入っていった。


で、もう一度車から降りると、イナカの素朴そうなばあちゃんがいた。


ばあちゃん:「部屋?空いてるよー」


考えてみると、あと1分ここを早く去っていれば以下の経験はできなかったのだが。


で、見せてもらった部屋は、なんというか狭くてダブルベッドと洋服ダンスをむりやり力ずくで入れた感じ。これで50ユーロは高い、他を探したかったが、何せ空腹で死にそうな私たち。部屋は諦めて妥協することに。


で、そのベッドルームはバストイレ付とかいうしゃれたものではなく、バス・トイレは共用。共用って言っても良く見ると、ここ以外の部屋は全部家族用。つまりひと部屋だけB&Bに使っているらしい。つまり、ここの家の家族と共用


で、バスルームに行くと、そのおばあちゃんのセクシー下着が洗濯物のカゴの中に転がっているわ、洗面所の流しの上の棚にはおばあちゃんの水虫のクリームにいたるまで全部置きっぱなし。そう、イナカのおばあちゃんちに遊びに行ったらたぶんこんな感じだろうなあというのを想像してもらえばわかりやすいかと。


で、恐いもの見たさで洋服ダンスを開けてみると、案の定といえば案の定、洋服ダンスはおばあちゃんの素敵な冬物のコートとジャケットで一杯。


で、翌朝、朝ご飯を食べにキッチンに行くと、これがまたすごかった。私の座った場所からはキッチンの一部が見えたが、このおばあちゃんが出してきたアイリッシュブレックファーストはなんと冷凍もの!さすがにそれじゃ悪いと思ったのかどうかは知らんが、レンジで解凍したアイリッシュブレックファーストをわざわざ油たっぷりのフライパンの中でちょっと炒めてさらに油まみれにしてくれる。私は嬉しくて涙が出そうになる。


他方、私の連れはアイリッシュブレックファーストはパス。おばあちゃんは気にして


おばあちゃん:「スクランブルエッグでも作ろうか」


おお、いいとこあるじゃんばあちゃんと思った私はバカだった。私をして目を真ん丸にさせたこと。このばあちゃん、タマゴを3つばかし割ってかき混ぜたかと思うと、それをフライパンに入れるのではなくなんとそのままレンジでチン!頃合いを見計らって取り出してもう一度かき混ぜてさらにチン!あーら不思議、タマゴは見事にスクランブルエッグに。


わ、技だ!


呆れるやら驚くやらでした。


今日の教訓:スクランブルエッグはレンジでも作れる…じゃなくてB&Bはちゃんとシャムロックマーク輝くところに泊まりましょう。


ちなみに最初の日はドニゴールに泊まったのですが、この日は本当にきれいなB&Bだったのですが、隣りの部屋の中年夫婦がそりゃもうねっとりとした激しい交尾をされてまして(しかも長い間)、これはこれでうんざりしました。しかもオーナーの女性はすごく冷たかった。なかなか素敵なB&Bにたどり着くのは難しいようです。


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2003年07月23日(水) アイルランド北西部のオススメスポット紹介

数週間前の金曜日、計画的に病欠を取り会社を休みました。理由。2泊3日アイルランド北部ツアーに出るため。白状しますとこの話、日記のネタにする予定はありませんでした。ところが掲示板で「オススメの場所を教えてくれ!」というリクエストがありましたので急遽ネタにした次第です。ともあれ、ネタにするつもりがなかったので写真もあまり撮ってません(ボートツアーはネタにするつもりがあったので写真をかなりたくさん撮った)。かくして端的に要所要所を箇条書きしたメモスタイルとしましたのでご了承を。


アイルランド北西部オススメスポット1 Marble Arch Caves


平たく言えば鍾乳洞。規模としては山口の秋芳洞の方が100倍でかい。ここのポイントはふたつ。


(1)アイルランド・イギリスでは当たり前だがガイドツアーのみ。ガイドさんにあたりはずれはあると思うが知的好奇心をかなり満足させてくれると思う。


(2)ツアーの最初がボートで始まる点。鍾乳洞のツアーをボートで始めるというのはなかなかオツなもの。




写真をご覧頂いてわかるとおり、日本の数ある鍾乳洞に比べて鐘乳石がかなり若い感じがします。そういう意味ではわざわざアイルランドくんだりまで来て鍾乳洞ツアーをする価値はないと言い切れるかもしれない。ちなみに場所はEnniskillenから西へ15キロ程度。車がないとつらい。ツアーバスがEnniskillenからあると思われるが真偽は不明。


アイルランド北西部オススメスポット2 Lough Navar Forest


これまたEnniskillenから北西におおよそ25キロ。ここのポイントはLower Lough Erneという湖を一望できる展望所。



いい感じでしょ?ここもまた、車がないと着くことは困難と思われます。


アイルランド北西部オススメスポット3 N56(国道56号線)


DonegalからLetterkennyまでのおおよそ150キロの二級国道。この地域、アイルランド西部のご多分に漏れず未だにゲーリックを日常語として聞ける地域。だからと言って…



標識までゲーリックで書くことないでしょう?
(この写真、来月の「今月の写真」に転載させていただく予定です)


おかげで自分がどこにいるかわからなくなったりして。



で、地の果てまで行きたいという奇特な方はSt John’s Pointという岬に行くとビーチで日光浴をする牛という冗談としか思えない光景を見ることもできます。ちなみにこの写真を撮る直前に牛さん二頭が交尾をされてました。Sex on the beachという決定的瞬間を撮り損ねました(←こらこら)。



で、このN56から2キロ程度離れた村にあったBurtonportという村にあったシーフードレストラン、かなりいい感じだったが道理かかったのがちょうど食事時でなかったのでパス。今度ぜひ行ってみたいと思っている。名前?覚えてないけど(←もう一度こらこら)、大丈夫、村にたったひとつしかないレストランだから見逃すはずはない。


で、このN56のハイライトは何と言ってもBunglass Cliffです。Malin Moreという村から根性を出せば歩けます(推定5キロ程度)。このBunglas Cliffは実は「ヨーロッパ一高い崖」だそうな。高さ600メートル以上。つまりCliff of Moherの3倍。こういうふうに考えるとなぜBunglass CliffよりCliff of Moherの方が有名なのか私には分からない。違いを無理に挙げればCliff of Moherは崖の上から海を見れるけど、Bunglas Cliffは写真のように崖を反対岸から見る点。崖にたどり着くまで例え車で行っても歩くことになるのでピクニックがてらに最適。





アイルランド北西部オススメスポット4 Carrick-a-Rede Ropebridge


ここ、かのGiant's Causewayから東へ10キロちょい(つまり根性があれば歩ける)。詳細は写真を見ての通り。






アイルランド北西部オススメスポット5 Torr Head


ホムペに載せるつもりがなかったので写真なし。この岬にたどり着くまでの岬の周遊路がすごい。崖っぷちの急坂はほとんど海にまっさかさまに落ちる感じ。しかも離合困難なくらいな狭い道なので怖さ倍増。


個人的には南アイルランドより北アイルランドの方が旅行しやすいと思ってます。たとえば公衆トイレ。まあアイルランドにいる限りはパブを公衆トイレに使えばいいという説もありますが、ともあれ、公衆トイレが整備されてるのは北アイルランド。北の方が旅行していても安心感があります。

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2003年07月21日(月) 嗚呼、事実は日記よりヒサンなり。ぎっくり腰その後の悲劇

さてさて、7/20の日記でたかがスピードボートツアーでぎっくり腰になり、救急車でBermount Hospitalに運ばれたヒサンなInverの話をしましたが、その続報です。


御存知の方も多いでしょうが、アイルランド、イギリスあるいは推定ですがヨーロッパの多くの国で救急車はタダではありません。日本のようにタクシーがわりに使うなどもってのほかです。私の知る限りたとえばイギリスの某地区では救急車を一回呼ぶと140イギリスポンドかかります。


ひるがえってアイルランド。某保険会社に勤める私の友人によるとアイルランドでは救急車一回につきなんとおよそ300ユーロかかるそうな。ちなみにレスキュー隊はそれはそれで別途請求だそうな。つまり下手をするとInverの手許に600ユーロだかのとんでもない請求書が届く可能性があるわけ。


今回の事故の場合、素朴に考えればボートツアーの主催会社がInverの医療費を払うべき。だけど実を言うとInver、今まで大問題になったことはないものの実は腰に持病があったらしいのだ。逆に言えば腰に持病がなかったらたかがスピードボートごときで救急車の世話になることはなかったはず。つまり、ボートツアーの主催会社が彼の医療費を負担するかどうかは微妙なところ。まあ、ツアー出発前にそういう問診表を書かせなかったとか誓約書を書かせなかったとかなんだかんだで万一裁判にでもなったらボートの主催会社が負けそうだが。


ともあれ、Inverの様態は極めてよく、かれ、翌土曜日に退院できたそうな。むろん家に這って帰ったことは言うまでもないと思うが。で、家の階段を這って登っている時に足を踏み外してそのまま階下にドスン


ふたたび腰を痛めたInverはそのまま病院直行。


ウソだと思う方。信じていただかなくてけっこうです。が事実は日記よりもヒサンなり。これ、本当なんだから仕方がない。ましてや、実は彼のパートナーが今週出産予定だとか言っても誰も信じてくれないだろうなあ(でも事実)。


さて、ついでですので最近頂いた病院ネタに対する読者様からのお便りをちょっと紹介させてくださいな。


私、本日体調がすぐれずちょいと病院に行ってきました。(風邪が完治していないらしい?)本日は検査の為「採血」されたのですが(採血、大嫌い!)その時、Snigelサンの日記を思い出したので看護婦さんに血液検査のために刺された針の再利用について聞いてみました。

お返事は・・・
「採血に利用した針をそのまま点滴に利用するのは大丈夫よ」
との事でした。ただし、一度抜いた針は再利用する事は不可能との事。(当り前ですね)

この時点で私の採血は完了してましたが、本日は検査用に2本も採血された(涙)
私の採血に使用した針を目の前にかざして看護婦さんが「このチューブと本体(血を入れる所)を分けて、なんたらかんたら」等と長く説明をしてくれました。

がっ、私には今しがたの自分の血がついているチューブしか目に入りません。私「採血大っ嫌い!苦手です!」ちょっと目の前がフラフラしました。

看護婦さんから聞いた話なので「正確な情報」だと言えるでしょう。



ほうほう。体調の悪い中わざわざ聞いていただいて恐縮です。針の再利用は当たり前なんですね。覚えておこう。


採血、私も嫌いですが、針がブスッときてもあまり思ったほど痛くないなあと思います。で、いつも私の血が出て行くさまを「おー、出てるよ出てるよ」と妙に冷静に見ています。


で、こんな投稿。


病院ネタでもうひとつ。DUBLINを出たあとイギリスの田舎でボランティアをしていました。その時他の日本人ボランティアがひどい湿疹のために病院に行くことになりました。彼女はイギリス人に I'm going to a hospital. と言ったらすごく驚かれて心配されてしまいました。近所の診療所に行く程度ならsee a doctorというのだと間違いを直されてました。日本は「診療程度」でも大学病院に行く人もいてごちゃ混ぜな感じがしますけど、HOSPITALは入院を必要とするところで SERGERYは総合診療所、目的が違うんですね。


そうなんですよ。たとえばうつ病とかそういう心の病でもまずは近所の医者に行き、そこで紹介状を書いてもらうことになりますです。私も会社内で「SnigelがHospitalに行った!」とちょっとした騒動になったらしいです。無用な混乱を避けるためにもここの使い分けには気をつけたいですね。


Snigelサンが日記に書かれていたキリスト教の「パン」の事ですが、あれは「ホスチア」です。(日本語では「御聖体」と言います)
あっ、もうすでに誰からかこんな情報聞いてますか?もっと詳しく知りたければお教えしますが(笑)本当に「パン」にあたる物なので、一応信者さん以外の人が食べても
(食べ物としては)問題無しです。(Snigelサンは食べたのかな?)

私が気になるのはスーツ姿の女性が来て
「××をされますか」と言った事です。
その×に入る言葉は何だったんでしょうね?
その女性はシスターだったのでしょうか?(謎)


シスターだったかどうかはわかりません。シスターってそれっぽい格好をしてるんじゃないんですか?この女性はスーツ姿でしたから。ただ、病院というところは生老病死を嫌でも感じるところですから、こういう人も働いてるんだなあと思った次第(もしかしたらボランティアの方のかな)。

ちなみに私は「お作法」が分からないしキリスト教とでもないというわけで謹んで辞退させていただきました。ついでに何と言ったかはわかりません。宗教関連のボキャブラリが乏しいもので...。

皆様の投稿、いつでもお待ち致しております。


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2003年07月20日(日) 電気の修理は男の仕事なんて言うつもりは毛頭ありません...が...

うちのドイツ人住人Samantha(仮名)が5日くらい前から文句を言い続けてる。


「部屋の電気がつかないわ」


で、だんだんその文句はエスカレートしてきまして


「電気が4日も点かないのにだれも直してくれないわ!」


だいたい電気の修理は男の仕事という発想こそ前世紀に忘れ去られた過去の遺物のような発想のような気がするのだが、彼女はそうは思わないらしい。どうやら私・もしくはひでかすが直すというのが彼女の中では当たり前だと思えるらしい。


で、状況を聞いてみると、部屋の天井の電灯は点くものの、壁のソケットから電源を取っているラジオやベッド脇の電灯が点かないという。そう、まっとうに考えればブレーカーが落っこちたわけですな。



アイルランドすべてがそうかは知らんが、うちのブレーカーは日本のそれと違って落っこちたブレーカーを指一本でぱちんと上げればいいというものではない。写真右の6つの球状のものそれぞれがヒューズになっていてそれを取り替えなくてはいけない。つまり部品がいる。ややこしいことにはヒューズの大きさはまちまちでして、6つのヒューズの大きさ実はひとつではなく数種類に分かれている。あーめんどくせー。


で、どのヒューズが飛んだかよくわからないので数種類のヒューズを買って、取り替えてみるものの直らない。


うーん、どうしたものかと思ったが、ヒューズが原因でないとなると文系学部卒の私にはお手上げ(関係ないか)。で、翌日、理系は電気学部卒のひでかすがヒューズを触りはじめた。ちなみに日曜日の朝の話で私は部屋で日記の更新をしておりました。彼がヒューズの交換をしてるなんてつゆ知らずに。


日記をそろそろ書き終わるかという段階になって突然切れるコンピューターの電源。そう、ひでかすが私の部屋のヒューズを外したわけ。


不注意なひでかすのケツを蹴っ飛ばすため私は階下へ。ひでかすとSamanthaは私が昨日したのと同じようにすべてのヒューズを交換してる。結果はやっぱりだめ。私はふっと気がついた。そういえばコンセントそのものにもヒューズがついてるからそれがぶっ飛んだ可能性もあるなあと。



かくしてSmanthaの部屋へ行きコンセントがどこにあるかと聞く。ベッドの向こうだそうな。でベッドをゆっくりどけると、唖然。


ひでかすを手招きで呼び、ひでかすにその様を見せる。で次の瞬間、ひでかすと私はSamanthaをSamanthaの枕でタコ殴りの刑に処す。


その唖然とした光景とはこれ。



コンセントが抜けている。


それだけ。



そりゃコンセントが抜けりゃあ電気も点かなきゃラジオも鳴らないわな。ま、この事実に昨日の時点で気がつかなかった私も十分アホタレですが。


で、Samanthaは私がこのホムペを持っているのを知ってるから、


Samantha:「また、これホムペのネタにするの?」
私:「ああ、そのテがあったか。毎日おおよそ200人の人が見に来てくれてる日記に載っけてあげるね」
(はあと)

ただいまSamanthaファンクラブの会員を広く募集しております。ご応募はふるって作者まで。

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2003年07月18日(金) 本当の冒険シーサファリツアー

<謹告>今日の日記、「Snigel行くところ事件あり」という説を見事に裏付けるものになってます。こういう事件がある限りこのホムペは永遠に続きます。


3/6の日記で会社のSport and Social Committeeなる組織にキレた話をしたかと思います。で、この後、このSport and Social Committeeから抜けれるかと交渉したのですが、結局「(雇用契約時の)契約書に明記してある」とかでSport and Social Committeeから抜けることもできず。毎月10ユーロだかを給料から天引きされて貴重な金を無駄にしておりました。


いつか元を取ってやると思っていたところ、突然こんなメールがやってきました。


各位

7/19にMalahideのマリーナからスピードボートツアーをやるよん。興味のある人は申込んでね。

Sport and Social Committee




よっしゃー。元は取ってやる!


と言うわけで金曜日、Malahideの村のハーバーにやってきました。今まで来たことはなかったのですが、個人用のボートが係留されており、なかなかいい感じ。それはいいんですが…


午後7時の出発なのにどうして午後6時50分にだれも来ていないのよ?


暇なので、スピードボートの事務所に行ってパンフレットをゲット。あ、いい加減Sport and Social Committeeのこと、そんなパンフレットは当然配られてません。


シーサファリ


…なかなかいい感じじゃおまへんか。



パンフの中もなかなかのものです。


「スリルシーカー。最高時速72キロでIreland's Eye、Howth、Bailey Lighthouseを見てまわります。所要1時間。」


なかなか面白そうじゃない。Sport and Social Committeeさん、初めてまともな企画を立てましたね。


そんなパンフに見入っていると、同僚がぽつりぽつり集まってくる。で、午後7時30分。ライフジャケットに防水服という完全武装で出発。出発前に荷物はすべて預けられる。私はカメラをそっと防水服のポケットに忍ばせる。それ以外はすべて預ける。



10人乗りのボート。マリーナの中はゆっくり走っていたものの、マリーナを出るやいなやダブリン唯一のヌーディストビーチ(んなもんがあるなんて私はついと知らなかったが)を横目に、ボートはスピードを上げる。水飛沫はまともに全身にかかってくるし、ボートは跳ね回る。そんなに波が高かったわけじゃあない。だけどボートはこれでもかと跳ねるのだ(写真をご覧頂けば分かると思いますが、船首はこれでもかというくらい上がってます)。


…なのに、このボート、各席にシートベルトがついてない。


もしかしたら万一転覆した時にシートベルトがついていない方が脱出しやすいとかそれなりの理由があるのかもしれない。だけど、跳ね回るボートの上で私(を含め全員)はしっかり目の前の手すりにつかまるを得ない。そんな状況下で写真を撮った私はこのホムペのために命を張っていると威張ってもいいかもしれない。ちなみに上の写真、2隻のボートで出発したので私が乗っていない方のボートを撮ってます。



そんなこんなでたった10分ほどでIreland's Eyeに到着。Howthのハーバーから見るとおそろしくちっぽけなIreland's Eyeも近くで見ると意外にでかい。



さらに、勝手に無人島だと思い込んでいたのだが、実はこのように建物もある。なんでもどっかの銀行のオーナーがこの島を所有しており、「私有地につき立入厳禁」なんだそうな。まあひところに比べて落ち着いてきたとはいえ地価狂乱のダブリンで何と贅沢な。


かくして上陸できないIreland's Eyeの岸に沿ってボートは進む。ここではボートは動物観察の目的も兼ねてゆっくりと進む。




見てくださいよ。これ。Howthからたった数キロ沖合いの島に住む動物たち。ダブリンの交通渋滞の中で毎日ケンカしながら、猫の額のような狭い家に住む私にとって、ダブリンからたった数キロのところにこんな「聖域」があるという事実自体が大きな驚き。ダブリンに5年も住んで初めて知った事実。


かくしてカンドー的なIreland's Eyeを見物してボートは一路Howthへ。島の反対側にくると、沖合いに出たせいか波はひときわ高く、ボートは振り落とされるんじゃないかというくらい激しく上下する。ボートがすーっと波の谷間に落ちるたびに大きな歓声(というか悲鳴というか)が上がる。私はもはや写真を撮る余裕もなくなり、カメラを必死に右手で防水服の中にしまいつつ、左手で目の前の手すりをしっかり握る。


折りしも襲ってきたシャワー。雨粒が顔を叩きそれも痛い。でどんどん顔が濡れているのは波のせいなのか雨のせいなのかわからなくなる。


するとひときわ大きな波がボートを襲う。海水をもろに被ると同時に感覚としては2メートルくらいボートは落っこちた。再び上がる歓声と悲鳴。ところがその歓声に紛れて


Stop the boat!!


という苦しげな声。後ろを見ると、私の真後ろに座っていたIT担当のInver(仮名)がひっくり返っている。


緊急事態発生。


…と今は無き「電波少年」ならテロップが流れるところ。賢明な読者さんならもうお気づきと思いますが、Inverはボートの上下運動に耐え切れず腰を痛めてしまったわけ。しかもInverの真っ青な顔を見る限りではシャレにならない事態。Inverは絶対に子供だったら泣いていただろうという激痛に歯を食いしばって耐えている。船長(というか操縦士)の若い兄ちゃんは、


船長: 「大丈夫?」


と心配顔。たぶん、Inverの様態よりも自分の過失の方が恐かったのではないかと推察。くだんのInverの顔はますます青くなるも改善される兆しは無し。船長の判断でボートはそのまま「微速でMalahideに戻る」ことに。船長はひとこと


船長:「誰か痛み止めを持ってない?」


…お前が荷物は全部置いていけと言ったんだろうが!


Malahideへの帰路。これがまた長い旅でして。時速70キロで進んだところを時速15キロで進めば当然5倍近く時間がかかるわけで。取り合えず船は揺れないが、シャワーと時折襲う波のおかげで顔がずぶ濡れになりながら所要45分でMalahideに戻る。


で、到着後、問題発生。


Inverが動けない。


わかりやすく言えばぎっくり腰の状態です。私はなったことはないものの、経験者によると動けないほどの激痛だそうな。Inverも何とか船から下りようとするものの動けない。この日記を書いている時点ではまだわかっていませんが、たぶんぎっくり腰よりももっと深刻だと思うのですが。


船長判断で救急車を呼ぶことに(ここから先の写真、暗くなってきた上にこんな緊急事態時にフラッシュを焚いてアホ面をして写真を撮っていると顰蹙を買うというきわめてまっとうな判断からフラッシュ無しでこっそり撮影してます。ゆえに写真は暗くて見づらいですがご勘弁を)。


救急車を呼ぶくらいだったら沖合いから救急車を呼んでいればマリーナに着くなりにInverを搬送できたのではと思うのは結果論でしょうか。



ともあれ、驚いたことに連絡からおよそ15分で救急車到着。アイルランドのことだから1時間は来ないのではないかと思っていた私には素朴に驚き。救急隊員は2名、ゆっくりと走ることなく歩いて船へ。…ポーズでもいいから走れよ。お前ら。


他方Inver。彼は救急車が到着するまでに根性で船から降りる。がそこで力尽きマリーナで四つんばいになって動けなくなっている。世にも情けないポーズ。ま、本人じゃないからそんなふざけたコメントができるのだが。



で、彼が動けないという事実にようやく気がついた救急隊員(さもなきゃおまえらなんか誰も呼ばんというのに)は担架を持ってくる。そんなことをしていると別の緊急車両のサイレンの音。



…しょ、しょ、しょ、消防車まで来たー。


どうやら動けないInverのためにレスキュー隊が呼ばれたらしい。その頃すでにInverは最後の力を振り絞り担架の上に。そう


お呼びでない。こりゃまたシツレーいたしました


…状態なわけで。


かくして、Inverは、私が数週間前にお世話になったBermount Hospitalに運ばれていきました。


ねえねえ、Inverさん。今日の事故。非常に不運だったというかなんというか。心から同情する。でもさあ、今回のボートツアー


あんたが幹事


じゃなかったっけ。こういうのを自爆テロっていうんだよ。たぶん。


で、いつもの日記ならここで終わるわけですが、今日の日記は映画よりも見事な多段オチになってまして、さらにもう一つオチがつくわけです。


救急車が去り、取り合えず解散…という状況になり各自が車に向かっていると


ああぁぁぁぁぁぁ


という情けない声。声の方を見ると、同僚の車は



駐車違反で輪留めをつけられていたそうな。


かくして一部の人にヒジョーに高くついたSport and Social Committeeのイベントでした。この本当の意味でのアドベンチャーが楽しめるシーサファリツアー、御興味のある方はオフィシャルサイトからどうぞ。

<謹告>今回のシーサファリツアー、とんでもない内容になってしまいましたが、船長いわく「初めての騒動」だそうで、通常であればこのツアー、本当に楽しいらしいです。私も機会があればまた参加しようと思っているくらいですのでオススメできます。ただ、Snigel行くところに騒動ありというわけで私が行くとこういう騒動になってしまうわけです。

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2003年07月17日(木) <投稿編>あなたはまだいい。私の超越入院体験記(1)

Snigel、ここ数日アホな愚客に翻弄されてまともに日記を更新する暇がありません。折りも折り、すんばらしい「アイルランド入院記」が届きましたのでご紹介です。totoさん投稿ありがとうございます。


事の発端は十月のある金曜の午後。ベルギー一人旅の際にブルージュのホステルに泊まって以来続いていた喉の痛みが悪化し、ご飯を食べたくない、飲み込みたくないという状態になってきた。これはやばいと思い、語学学校の先生に相談すると、私の元ホストマザーのフィルが働く自然食品の店オープンセサミに喉に効くスプレーがあるという。早速行ってスプレーと風邪に効くという薬まで購入した。とりあえず薬を飲みスプレーをすると心なしか少し良くなったような気がする。これに気を良くした私はきょうこ(友達です=仮名)の家にてどう考えても喉に良さそうではない堅いピザを食べついでにアイスクリームののったチョコレートパフェまで食べたのだった。


 次の朝。唾液を飲み込むと、激痛。パンを食べようとすると激激痛。今まで「まぁどうせ風邪だろう」と気楽に構えていた私だったが、こうなってくると考えを変えずにはおれない。だってその痛みは「食べたい」という気力を挫くとかそういったレベルじゃなくて、何かを飲み込むとあまりの痛さに涙目になり5秒くらいのた打ち回るという凄まじさだったのだ。これは尋常じゃない。ハウスメイトのナイジェリアウーマンに話すと家から車で総合病院に連れて行ってくれた。


ありがたいことにここは土日もやっているそうなのである。診療に現れたのは黒人の医師。私の喉を見ると「たいしたこと無いよ。処方箋あげるから薬屋で買ってね。」診療は30秒で終わった。「え、これだけ・・・?」この痛みに釣り合わないあまりに短い診療時間に拍子抜けしたものの、大したことないと言われるとやっぱり嬉しい。この後フィル(前出のホストマザーです=仮名)と映画を見に行く約束だったのでcity centreに行き薬を買い、早速飲んでフィルと会う。薬屋お薦めの鎮痛剤も飲んだので、痛みは少し引いたようだ。朝ごはんを食べていなかったので、ポップコーンがやけにおいしい。ちなみに見た映画は「boat trip」。馬鹿らしく下品な私好みの映画である(笑)大いに笑った二時間であったが、これから笑わない(笑えない)三日間を過ごすことになるとはあのときの私は知らなかった・・・


 フィルにオレンジジュースとのど飴を買ってもらい家に送ってもらう。部屋でベットに横になる。痛い、痛い、痛い。喉の痛みはどんどん痛くなる。鎮静剤を飲んでみる。効かない。飲んでいいと書いてある最高の数を最低守らなければいけない時間さえも守らずに飲む。でも痛い。どうも薬さえも効かないようだった。「この病気は本当にあの医者が言ったように大したことないのか?」という不安がよぎる。喉の痛みはどう考えても「大したこと」あった。暇な私は喉の痛みの傾向を観察してみる。どうもこの痛みは何かを飲み込む動作をするときだけに起こるようだった。日本では家庭の医学を読むのが趣味の一つであった私だが、もちろんここにはない。そこで電子辞書の広辞苑で喉関係の病気を調べてみる。扁桃腺炎か?まさか・・・咽頭癌?!考えはネガティブな方向へと進んでいくのだった。
 

夜の11時ごろだったか。コンコンコンと窓をノックする音。(私の部屋は一階だったので、友達は皆窓から出入りしていた)開けてみるとそこにはA(彼氏です。)がいた。Aはきょうこと一緒の中華料理屋で働いていたためきょうこから私の調子が悪かったのを聞いたという。それでバイトが終わった後にロールケーキとオレンジなどを買ってきてくれたのだ。ありがたい、持つべきものは彼氏だと実感した瞬間だった。(余談ですが、私とAは今も続いているのですが、本当に彼氏彼女らしくなったのは私のこの病気がきっかけでした。これがなかったら今どうなっていたかはわからないな〜と思います。アイルランドにいる間に別れてたかも。)ロールケーキとオレンジを食べやすく切ってくれ、しばらく話をして彼は帰っていった。


 次の日。やってきたAはびっくり。昨日のロールケーキとオレンジにはほとんど手がつけられていない。あの大食いのtotoが(作者さんの名前です=もちろん仮名)?!とようやく事の大きさが飲み込めたようだった。そのあと彼はほぼ一日中一緒にいてくれた。そして肩を揉んでくれてたのだが、彼が「What's this?!」と叫んだ。私の首に「何か」?があるのだという。自分で首を触ってみるとそこには確かに小さなこりこりしたものがある。その後Aがおかゆを作ってくれている間に(本当に甲斐甲斐しいでしょ?そういう人なんです・・・)(Snigel注:ごちそうさまです=笑)また昼寝をした私、起きて、ふと首に手をやると「???!!!」首のしこりは明らかに大きくなっていた。2cm位ある。しかもそれだけではない。増えているのである。首の左右に2、3個ずつ・・・・鏡を見てみるとしこりの部分が明らかに目で見える。腫れている。なにかが首から生まれてきそうな気配だった。


 次の日の朝。かすかな期待を持ちながら目覚めるもやはり喉の痛みは消えていない。それどころかまたひどくなっている。これは明らかに異常である。私は友達にメールした。「校長に電話していい病院を教えてもらってくれ・・・」そして友達が校長に尋ねたところ、彼女自ら私を病院に連れて行ってくれることになった。迎えに来てくれた校長は言うには、アイルランドでは初めから病院になど行くべきではなく、まずドクターにかかって、そこで紹介状をもらい病院に行くべきだとのこと。う〜ん、もう少し早く知りたかった。


 その医者はとても古い(後で聞いたところ100年以上経つという)趣のある家に住んでいて、とてもエキセントリックであった。診察室の壁には浮世絵が飾ってあり、大丈夫か?と私を漠然とした不安に突き落としたりもしたのだが、今思えば彼が救いの神だったと言えなくはない。彼は私の喉を見ると言った、「Oh!なんて汚い、ただれた喉だ!汚いだろ、見てごらん(と校長に話しかける)」入院だね。」・・・はっ?今なんて言ったと?!うそぉ、私のリスニング力不足よね?だがお目出度いことに半年間のアイルランド生活は私のリスニングをばっちり上達させていたらしく、私は町で唯一の病院(てわけでもないんですが、他の病院はどうも老人病院だったりするみたいなので、実質ここしかないのでしょう)前出の総合病院へと舞い戻ることになったのである。


 病院の待合室は結構込み合っている。10分、20分位たったか、いつまで経っても私の名前は呼ばれない。そこでとうとう激情型の校長先生はぶち切れ、看護婦にまくし立てた。「このPoor girlはこんなに重症なのよ!それをあなたたちどれだけ待たせる気?!」その後私はすぐに診療室へと招きいれられた。そして看護婦は校長先生と付き添ってきてくれた友達に言った。「これから検査やなんかで1時間くらいはかかるからそのくらいにまた来なさいよ。」二人は帰っていき、私は検査台らしきものに寝かせれた。3分経過、誰も来ない。5分経過、やっぱり来ない。10分経過、それでも来ない。ここにきて私は気付いた。恐らく看護婦は校長先生を黙らせて、ここからいなくならせるためだけに私を診療室にいれたのだろう。一人でぽつんと検査台に乗っていると涙が出てくる。


 落ち着いてみて見ると、棚などで分けられた隣のスペースでは骨折患者が治療を受けたりしている。今でも私が疑問に思うのは、あの病院に内科とか外科とかの区別はないのかということである。日本で私みたいな症状の患者と骨折患者が同じ部屋の中で検査や治療を受けているというのはなかなかありえないことだと思うんだけど・・・


 30分も待っただろうか、この前とは違う黒人の医者がとうとう私の診察にやってきた。問診を始めたと思ったら、彼の携帯電話が鳴り、彼は話し始めた。「F**king busyだよ、ほんっとに、忙しい。いやぁ〜、まいったねぇ。ホントやすむ暇もないよぉ」・・・ていうか・・・患者を前にして携帯電話で話すか、普通?まぁ仕事の話なら分かる。でも聞いてたらなんか全然どうでもいい話題じゃん・・・


 診察は明らかに彼の電話よりは短い時間で終わり、X線を取られる。移動は車椅子でなんだか重病人になったような気持ちだった。そこで来てくれた友達と合流し、病室へと向かった。


 この病院は診療室や待合室がある母屋から放射線状に廊下で繋がった離れが出ているという作りみたいで、私の入院室はその離れの一番端っこにあった。10人位の広い入院室を抜けると三人部屋がある。それが私の部屋だった。三人部屋といってもとなりの大きな部屋との間に壁はあるもののドアはなく、向こうからをこちらからも隣の部屋が見渡せる、実質同じ部屋みたいなものだった。でも一応隣の部屋との間に壁があるというのは精神的に良かったと思う。しかも私のベッドの隣は非常口になっていたためベッドがなく、広々と使えた。


 向かい側のベッドには30代前半くらいに見える女性が二人。二人とも結構な長期入院らしく仲が良く、よく二人で煙草を吸っていた。カーテンを閉めて隠れて吸った後、におい消しスプレーを豪快にふっていたが、その臭いにはかなり閉口した。それほどフレンドリーというわけでもなかったが、適度に親切だった。


 私の部屋には特に問題はなかったが、隣の大部屋はなかなかすごかった。大部屋にいるのはほとんどがおばあちゃん達ばっかりで大部分はただお喋りなだけで無害だったが、二人はちょっとしたトラブルメーカーだった。


 一人の婆さんは少し呆けているらしく、深夜の2時3時に叫び続けた。「家に帰りたいよぉ、帰りたいよぉ!」看護婦が宥めるが、聞かず1時間以上叫び続けた。その日は徹夜で本を読んだ。消灯がないところだけはアイルランドの病院がとても気に入った。


 もう一人の婆さんもどうやら呆けているらしく、私の部屋にぶつぶつ言いながら入ってくる。そして「靴がない、私の靴がない。」と言いながら、私のベッドの下を覗いているではないか。あれには参った。その後もときどき私のベッドの側に立ちつくしていたりして、昼寝から起きたときにかなりびっくりさせられた。


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2003年07月15日(火) プチ愚客。彼女の意外な正体とは?

なんだかここ数日いい天気です…が、私あまり気分がよくありません。理由は簡単。




電話番。


あ、いちおう書いときますが、私はこの写真ような「スマートなビジネスマン」とは全く無縁の存在です。すなわち写真と私には一切カンケーはございません。


ともあれ、「電話の向こうはどんな顔」って大昔のコマーシャルにあったような気がしますがその通りです。電話を取るまで電話の向こうに誰がいるのか、男性か女性か、若い人か年配か、平社員か社長か、はたまた怒っているのかいないのかさっぱりわからない。電話、ともあれ嫌いです。


さてそんな中かかってきた電話。


私:「XX社でーす」
相手:「スーパーバイザーを出して!スーパーバイザーを!」
(怒)


電話の向こうは多分私よりちょっと年上の女性。マンガだったら彼女の上に


キーッ


という吹き出しがついていると思われる。ヒステリーというか怒っているというか。


私:「どういったご要件でしょう」
相手:「お金が払われてないのよ。お金が」
私:「失礼ですがお客様番号頂けますか」
相手:「12345よ」



キーボードをぱちぱち叩くと、…おお、確かにお金を払ってない


10ユーロほど。(しかも1000ユーロ中の10ユーロ)


私:「はあ、5月1日の請求書の10ユーロですね。これは契約上手数料としていただくようになってますが」
相手:「何言ってるのよ!今までちゃんと払ってきて、今回だけ払わないってあるの!話にならないわ。スーパーバイザーを出して!スーパーバイザーを」



話にならないも何も、何も話をしてないじゃないの。


私:「ええとですね、4月1日からお客様ご同意の上で契約が変わり、10ユーロの手数料にご同意頂いたはずですが」
相手:「そんなもの知らないわ!そんな書類見てないわよ!スーパーバイザーを出して!」



電話口ではさすがに言えなかったのでここで言わせていただきますが、スーパーバイザーコールにはそれなりの理由がいります。こっちに手落ちがあったとか、何かの行き違いがあったとか、要するに、お客さんの側に理がある(と思われる)時。ただ、「スーパーバイザーを出せ!」と言われてほいほいとスーパーバイザーにつなぐような使えない人間じゃあありません。


私:「理由なしでスーパーバイザーにはおつなぎできません」
相手:「何よ!私の手許にあるのは領収書。その領収書にはそんなこと書いてないわ」



当たり前でしょうが、どこのバカが領収書に契約書の内容全部コピーするんだよ。


私:「私領収書の話をしておりません。手数料の件は契約書に明記されております。お客様自信がサインされた契約書のコピーを今すぐファクスでお送りしますのでお受取になりそれでも納得できないようでしたら改めて私Snigelまでご連絡ください」


と言って電話を切る。


まあ、この程度のプチ愚客は割といます。こんな愚客にいちいちまともに付き合うつもりは毛頭ありません。が、この電話、私をして思い切り凹ませるに十分な内容だったのです。


電話の相手は私の前の会社のマネージャー


正確には同一人物じゃあありません。当時のマネージャーはとっくに転職してしまいましたので。その後がまの女性。


私はこんなアホタレマネージメントの下で3年も働いてきたかと思うと本気で凹みました。トホホ。

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2003年07月14日(月) 土曜日のだらだら日記。アイルランドでの日常が垣間見れる...かな?

土曜日のお話。…別に大事件が起こったわけではありません。Snigelの休みの日の平凡な過ごし方からアイルランドにおける日常生活を垣間見てもらおうという企画です(などと言うとかっこいいが実際は何も考えてない)。オチも事件もないくせにだらだら長いぞ(通常の2回分の分量です)と最初に警告しておきますので読んで後で文句を言わぬように。


午前9時。起床。当然といえば当然。金曜日自宅で飲んでいただけで日付が変わる前に寝たのだからそんなにいつまでも眠れない。


天気がやたらいいことに気がついてまずはシーツの洗濯。洗濯機ががんがら回っている間、自分の部屋でメールのお返事を書く。


午前11時。洗濯終了。洗濯を干したはいいが、インターネットで訳のわからんページを発掘してしまい、それに見入る。気がつくと午後1時。慌てて街に出かける。


近所のニュースエージェントでバスのチケットを買う。店員のインド人と思われる兄ちゃんに根掘り葉掘り質問される。挙げ句に勤務先まで聞かれる。なんだか「艶めかしい目」で見ていたのはきっと気のせいだろう。


この前来たSamanthaのゲイの友人が私のことを「かわいい」と思ったという情報はきっとガセネタだろう。ちなみにSnigel、ゲイの同僚や友人はおりますが、その方面には才能を開花させておりませんし、今後もさせるつもりはありません。…それにしてもここではヨーロッパにおける日本男子、女性には悲しいくらいモテないのに(一部の)男性にはそこそこモテる。喜ぶべきか悲しむべきか。


で、バスで街へ。車で行っても良かったが、駐車料金と、駐車場の出入庫の手間ひま、それに天気等も考えて久しぶりにバスで行くことに。バスは程なくやってきて、そのまま街へ。


オコンネルストリートに着くなり私は帰りたくなる。人が多すぎ。天気がよかったこともあって、みんなタンクトップも含めて薄着。お腹からたわわなお肉がはみ出している女性多数。


と同時に夏が来ればやってくるイタリア人・スペイン人のお子様(推定12歳から16歳くらいがメイン)方もシティセンターに多数。ラテン系の陽気なお子様大歓迎。楽しそうに町を歩いて、歌うようにイタリア語を話しているのを見るとこっちまでうきうきしてくる。ただねえ、


10人横一列になってオコンネルストリートの歩道を占領すな。しかも牛よりもゆっくり歩くな。



(資料写真。写真と本文はカンケーありません。ないんだってば)


…その横一列でゆっくり歩く様、おまえらはGメン75なのかと聞いてみたい。


…そんなドラマイタリア人のお子様が知るはずもなく(それに当時彼らはまだ生まれてなかったという説も)。


そんなイタリア人、短パン・サンダル姿のアメリカ人観光客の間を擦り抜けてテンプルバーの行きつけの美容室へ。ここに通いはじめてすでに3年。何時の間にか常連になっていた。


予約の時の電話での会話。


店長:「XX美容室です」
私:
(あ、この声は店長だと思いながら)「すいませーん、土曜日、XXさんを予約したいんですけど」
店長:「午後2時でいい?」
私:「いいっすよー」
店長:「午後2時、Snigelさんね」
私:
(唖然)「なんで私って分かるのよ?」
店長:「声で分かるって」



…考えてみたら恐ろしい店長です。私は店長に髪を触ってもらったのは私をいつも担当してくれる女性が産休だった時一度だけ。それなのに私の名前(いうまでもなく私は中国人のように西洋風の名前なんてつけてませんよ。コテコテの日本人の名前です)を覚えている。やっぱ客商売で成功する人は違うというべきか、それとも私が美容室くんだりでまで目立っているのか(たぶん後者に100000ルピー)。


ここまでかいて気がついたが、そういえばなぜかあの美容室、男性客を私以外でほとんど見たことがないし(たぶん50人にひとりとかいう感じだと思う)、ましてやアジア人の客なんて見たことない。考えてみたら、アイルランドでの男性の常識は恐怖のバーバーに行くことで美容室に30ユーロもかけるのはただのアホタレなのだろう。


未だに私の同僚の男性は私が美容室に行くことを分かってくれない。「金の無駄」と信じて疑っていないようだ。少なくとも「アイルランド版・バーバーの恐怖」を読んでくださった読者様には分かっていただけると信じているが。


で、午後2時5分前に美容室。5分前に着くあたりがまだ日本人の気質が抜けきってない。で、小一時間かけて髪を切ってもらう。


美容師さん:「今日はこれからどうするの?」
私:「うーん、Duke Streetのパブ、表にテーブルがあるからそこで飲んでるよ。読みかけの本も持って来たし」
美容師さん:「髪も切ったし、見せびらかせるね」
(←私というヘタレモデルはともかく、彼女はアイルランドの一流店で働き、かつ、某テレビ番組でのヘアメイクの担当をしているので自分の腕に絶対の自信を持っている)
私:「そうだね。じゃ、紙にマーカーで『この髪はXXが切りました。電話番号679-xxxx』って書いて。それ首から下げとくから」
美容師さん:「嫌よ!私今日はWitness
(ギネス主催のコンサート)に行くんだから。私ね、彼とね今日ねWitnessのコンサートに行くの。彼ったら…」(以下親ばかならぬ彼女ばかの彼自慢につき省略)


こんな感じでいろいろ話す。で、私の声はでかいから目立ってんだろうなあ。


で、髪を切ってもらい、今度はコンタクトレンズを買いにグランフトンストリートの某メガネ店へ。受付は信じられないくらい丁寧で礼儀正しい。けっこうかわいい女性(推定私よりちょっと年上につき萎え)と四畳半くらいの密室で検診。で、日本と同じような(ちゅうか全く同じ。あごを乗せて双眼鏡のようになった機械の中を見ると地平線と道路と気球が見えるやつ。メガネ屋コンタクトレンズを使う人ならなんとなく覚えがあるでしょ)機械を使うのだが、その機械を使う前にペンライトのようなもので私の目を照らして実際に私の目を見るのだが、センセイの鼻息が顔にかかって、変な気持ちを起こした…という風に当然話は行かず、あまりに荒い鼻息に閉口する。


そういえば、お客さんと電話で話している時もたまにいるのだ。鼻息の荒い女性(男性もだけどさ)。例えばうら若き女性とこんな会話。結構かわいい声できっとかわいい女性と勝手に推察。


私:「分かりました。お調べしますので少々お待ちいただけますか」


(ホントは保留ボタンを押すべきなのだが、血液型B型の私は受話器をアゴに挟んだままコンピューターのキーボードを叩くことが多い)


女性:「フーーー、フーーーン、ハーーーー、ハーーーーッ」(注:鼻息です。誰が何と言おうと)


…あんたと勤務中にテレフォンセックスするつもりはないのですが…(勤務時間外でもやりたくないが)。


で、その鼻息の荒いセンセイとの会話。どうやら問診表もどきを埋めたいらしい。


センセイ:「持病は?」
私:「アレルギーがあるくらいかな」
センセイ:「家族にガンで死んだ人は?」
私:「たぶんいない」
センセイ:「高血圧(hypertension)の人は?」
私:「いない」
センセイ:「糖尿病(diabetic)の人は?」
私:「いない」
センセイ:「緑内障(glaucoma)の人は?」
私:「いない」
センセイ:「職業(occupation)は?」
私:「え?それってどんな病気ですか?」



…ずっと病名を聞かれていたので完全にフェイントをかけられてしまった。


「え?オキュペーションとかいう病名、聞いたことないよ」


とひとりで焦った私はやっぱりアホタレですね。センセイは笑ってました。


で、一通り検査を終えるとセンセイは


センセイ:「目に傷入ってるね。2週間後に再検査。あ、それまでコンタクトしちゃだめよ。あと今日コンタクトレンズはお売りできません。ちゃんと2週間後に来るように」


で、受付に行くと


受付:「それでは今日の検査費を頂きます。お支払いは現金にされますか。それともクレジットカードにされますか?」
私:「あ、クレジットカードで」



ちなみに私の銀行口座、給料日まであと2週間あるのに32ユーロしか残ってません。クレジットカードで払わないと生活費がなくなる(クレジットカードの支払いは来月かながず来るので行き着くところ問題の先送りというやつですな)。


受付:「申し訳ありません。クレジットカードの端末が壊れてまして。現金のみでの承りになるのですが」


なら最初から聞くな。ヴォケッ!


私:「いくらよ」
受付:「44ユーロです」



財布の中を見ると、20ユーロ札2枚と5ユーロ札一枚。よかった、足りた…ちゅうか


今月の生活費、どうせいと言うんじゃ。こらっ!

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2003年07月11日(金) とことん行きます地の果てまで。スコットランド旅行記(3)

関連日記
6/18の日記
6/26の日記
7/7の日記


スコットランドの地図をじっと見ていると北、つまり地の果てに行けば行くほど点線で書かれた国道が増えることに気がつく。イギリスの国道は基本的に3種類。地図上で緑で示されたA道路赤で示されたA道路。そしてBクラスの道路。言うまでもなく緑は主要幹線で、Bクラスは地方主要道という感じなのだと思う。



これが例のお城ユースの近所の地図。この点線はいったい何?

お答え。



これがスコットランドの「国道」です。アイルランドに5年だか住んでいる私にすら驚愕。で、要所要所に




こんな感じの看板が立っている。Passing place…つまり「待避所」。同行のアホSamantha(仮名)は「ああ、これPissing place(直訳:「おしっこ場所」)と書いているのかと思った」などと天然ボケなのかなんなのか分からないことをほざいていた。


もう、見てくださいよ。この地の果てとしか思えないこの光景。




…なのに公衆電話はちゃんとあったりして。年に3人くらいの利用者はあるんだろうか(ちなみに似たような光景はアイルランドでも見ることができます)。


そしてこのスコットランド名物の動物。



え?名前?たぶん「ハイランドカウ」というはず。(←こら)



こんな感じで途中ちょっとした山歩きをしたりして。(ちなみに写真はひでかすとSamantha、これくらいならぎりぎりわかんないべ。)



そして夕焼け。このヘタレ写真からは伝わらないだろうけど、すごい光景でした。



スコットランドにはこんな感じであちこちに古城があります。これがまたいい感じなのです。そしてその古城をスコットランドに無数にある湖をからめてみるとこれがまたいい感じ。



ね?かくして私は一気にスコットランドのファンになりました。

訂正:
7/7の日記に

ついでに書くと、この駅にたどり着くまでの道がまたすごい。この鉄橋の脇に取りつけた橋がユースホステル側の対岸から唯一の道なのだが

と書きましたが写真を見て分かるとおり、これ、誰がどう見ても石橋で鉄橋ではありませんね。「鉄道用の橋」っていったいなんて言うんですかねえ?

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2003年07月10日(木) ついに完結。アイルランド入院体験記(8)

関連日記 (お読みでない方はまずはこちらからどぞ)
6/23
6/24
6/27
6/30
7/1
7/8
7/9


金曜日の夜に風邪のために近所の医者に行き、盲腸の疑いをかけられそのまま病院へ直行。そしてそのまま入院。その日の晩に緊急手術を宣告されたものの、盲腸にしては元気がよすぎるということで手術が延期され、土曜日には食事を許され、その日の午後にはついに痛みも何もなく、日曜日には自分が病院で何をしているか分からなくなった…というのがこれまでの話の流れですが、そのまま日曜日の夜もぼーっと病院で過ごす。細かい話は省略。書くのが面倒になったんじゃなくて、土曜と全く同じで目新しく書くことがなかったりするのだ。


他の患者さん等と話す機会が何度かあったがどうも私はものすごい幸運の持ち主らしい(意味のない入院自体がものすごい不運だという説もあるが)。やはり最初の晩(の朝5時)に病室に入れたというのがまず奇跡に近いというわけ。ただ他の患者さんと話すのはある意味辛かった。何せ自分が病院で何をしているのかさっぱり分からないのだから。


で、翌月曜日。朝ご飯が終わりしばらくすると、私の主治医ミスターアイルランドが他の若い医師を引き連れて登場。


ミスターアイルランド:「退院してよし!」


…かくして月曜日の朝11時、私は晴れて自由の身になりました。


自宅に帰るなり、自分の部屋の掃除をして、ついでに庭の芝を刈って、週末できなかった洗濯をして…おーいこれのどこが病人なんだ?


で、この日記を書くに当たっていったい病院で何をしてもらったかを考えてみた。


医師の診察:推定10回程度。
点滴:1000mlを2本。ただし2本目は半分で中断。食事もしっかりしていたので意味なし。
薬:痛み止め等を含め何一つも処方されず。退院に当たっても処方なし。
その他:毎晩寝る前に注射1本。3泊4日だったので計3本。


以上です。あのー、誰か分かる人は教えてください。


私は何のために病院に3泊4日もいたんですか?


で、この注射、何の意味があったのかよく分からなかった。最初は盲腸の化膿止めか何かでこれが役に立ったのかなあとも思った。そこで知り合いの看護婦さんに聞いてみた。


看護婦さん:「ああ、それ寝る前にお腹に打ったやつでしょ?それはね、ベッドでずっと寝てると血液の循環が悪くなるからそれを防いだり床擦れを防ぐ注射よ」


なんですと?


注射すらも意味なし?



私は何のために病院に3泊4日もいたんですか?


医師の意味のない診察。意味のない点滴。そして意味のない注射。


もう一度だけ聞かせてください。


私は何のために病院に3泊4日もいたんですか?


アイルランドで今日も空きベッドを待ってくる患者の皆様。救急病棟の廊下で不安な夜を過ごしている皆様。皆様に私はここに手をついて謝ります。意味のない入院をして申し訳ありませんでした。


さっきの知り合いの看護婦さんの言葉。


看護婦さん:「アイルランドの病院は本当に必要な人を入院させないで、必要ない人を入院させて何を考えているのかしら」


…そのとおりだと思います。


ま、VHIのおかげでびた一文払わなくていい訳だし、日記のネタに八回も困らなかったのでよしとするか。ただ、私の「今まで入院をしたことがない」という健康記録は、28年と3ヶ月で切れてしまったことがちょっと口惜しい。


8回にわたりおつきあいくださいましてありがとうございました。皆様のご乾燥をお待ちいたしております。さらに皆様からの体験記も広く募集しております。お笑いのネタになりたい方・怒りの告発をしたい方、どうぞご遠慮なくメール・掲示板にてお寄せくださいませ。


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2003年07月09日(水) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(7)

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さて話は翌日曜日。金曜日から病院にいるから3日目ということになる。やはり朝6時30分にみんな起きだして来て、7時30分頃になると看護婦が検温および血圧測定。体温36度。血圧上が95の下が65。「低血圧気味。もっと水を飲みなさい!」と怒られる。別に今始まったことじゃないのに。


それから先は昨日と全く同じ。時間は昨日と同じようにゆっくりと流れてゆく。唯一の違いは午前11時30分にスーツ姿の女性がやってきて、


女性:「XXをされますか」

と聞いてきたこと。「へっ」と思い「それ何?」と聞くと、何やらキリスト教の宗教上のことらしい。ちなみに私はキリスト教とではないのでパス。なんたらかたらと言ったかと思うと2センチくらいの「何か」を口に入れた。後で聞いたところによれば、これ「パン」なんだそうな。


そして今度は12時過ぎに医師がやってきた。たった一度2分しか私を診ていない私の主治医ミスターアイルランドではなく別の医師。


医師:「どうですか?調子は?」
私:「絶好調」
医師:「痛みは?」
私:「ない」



ない。ときっぱり言い切る。何せ本当にないんだから。


医師:「そうですか。では退院としますか」


と私は彼が言うと固く信じて疑わなかった。ところが彼の口から出た言葉は…
次回に続く。








…とか無駄に引き伸ばすと石が飛んできそうなので続けましょう。すると医師は


医師:「そうですか。調子はいいんですね。じゃああと一日調子を見ましょうか」


なんですと?


この期におよんでまだここにいろというんですか?私はショックで寝込む…というかふて寝する。


昼食は昨日とほぼ同じメニュー。はっきり言えば、まずい。まあフツーの病院は古今東西未来永劫飯がまずいと相場が決まっている。考えてみれば飯がうまくて部屋がホテル並みでしかも治療費が政府や保険会社から支払うとなれば病院に住もうという輩が出てくるに違いない。


それにしても病院での時間は流れない。あまりにゆっくりとはがれていくので流れているのかどうかもわからなくなる。そうなると昨日見えなかったいろんなことが見えてくる。


たとえばこんなちょっとした発見。日本の学校では教師のことを「先生」と呼ぶが、アイルランド(あるいは英語圏全般)では「teacher」とは呼ばない。ゆえに、日本では看護婦さんを「看護婦さん」と呼んでも英語では「nurse」と呼ばないのではないかと思っていた。


間違い。みんな「ナース!」って呼んでる。でそのあとも患者は「XXしてくれ」と完全に命令口調。まさに主人と家来の関係。それでも看護婦は嫌な顔一つせずにもくもくと仕事をこなす。これじゃあ男がころりと(以下略)。ただし、「ナース!チョコレート食べるか」なんてこともしょっちゅう言っているようだが。


さらに別の発見。私の右腕には金曜日の夜に血液検査のために刺された針(というか極細のチューブ)が刺さったまんま。この針を使って点滴をしたりしてうまく再利用している。これって普通なんだろうか。



昨日のニュースによればアイルランドの失業率は目にみえて上がる見込みだとか。こうなるとますますわれわれ外国人労働者の立場が悪くなりそうです。いったいこの先どうなるんだか。


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2003年07月08日(火) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(6)

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前回の日記から大分日が空いてしまいました。続きものですので、過去日記からご覧になっていただけると嬉しいです。


午後12時30分。昼食。メニューは私をして唖然とさせる「典型的アイルランド」。チキンキエブ(要するに鳥肉をガーリックソースをはさんで揚げたもの)にマッシュドポテトそして豆。さらにはフルーツの盛り合わせ。さすがに量こそ多くはないが、それでもこれ食って一日ベッドにいたら…どうなるんだ?この国の人間は「食事療法」とかいう言葉を知らないのだろうか。さすがの私もフルーツ以外はほとんど手をつけずに残す。食べたくなかったというのもあるが、それ以上にこんな重いものをぺろっと平らげたらまず間違いなく「ニセ患者」扱いされそうだったから。ま、もとよりニセ患者には違いないのだが。考えてみるとニセ患者とエセ医者、いい勝負です。


その後。…時間は流れない。病棟からの外出は認められていないので、結局病室に居ざるをえない。最初の数時間は読みかけの本を読んでいたけれどだんだん飽きてきた。他のベッドには土曜日ということも会ってか家族とおぼしき見舞い客がやってきて見舞いの言葉をかけている。あー、お見舞いって来てくれると嬉しいもんだろうなって、入院してみて初めて気がついた。


午後3時。退屈に堪えかねて、「20分」という限定つきで病棟の外へ。千波にここで紙と鉛筆を買ってきて実はこの日記、全くの同時進行で書いていたりします(打ったらさっさとタイプしてあぷすればいいようなものを)。


午後4時30分。夕食。…早い。早すぎる。知る限りでは日本ですら午後5時30分とかなのに。夕食はサラダにフルーツと昼食に比べ軽め。夕食を食べた時点で全く無意味な点滴は外される。今まではトイレに行くのにもこの点滴のスタンドをもって出かけていたので気分だけは重症患者だったのだが、この時点で本当のニセ患者になってしまう。


午後6時。ひでかすが見舞いに来る。


ひでかす:「手術はどうだった?」
私:「してない」
ひでかす:「いつするの?」
私:「わからん。しないかも」
ひでかす:「…じゃあお前ここで何やってんだよ?」
私:「……………わからん」



…確かに何やってんだか。


午後8時。今度はお茶のサービス。ビスケットや希望によってはパンももらえる。…よくできてるというか患者をそのまま肉屋に売り飛ばすつもりなのか。で、9時ごろ再び検温・血圧測定。注射を1本刺されておしまい。


ところでこの6人病棟には入口のドアの上に20インチくらいのテレビが一台釣り下げられている。もとよりテレビなど全く見ない私にはどうでもいいことなのだが、テレビのリモコンは、この病室の重鎮と思われる70代の男性がいつも握っていて離さない。


彼をはじめ暇を持て余した私を含む6人全員がこの日見ていたのはおりしも行われていたスペシャルオリンピックの開会式。「日本にも中継されてます」なんて言ってたけど、日本でどの局がやったかは知らんが(BS第2あたりが怪しいかな)、夜中の3時とかにこんなものを見た酔狂な人はほとんどいないでしょう。とはいえ開会式で誰かが言った「talk about ability, not disability」という言葉。アイルランドの病院の病室で右足の膝から先のない車椅子に乗ったオッサンの隣で見ていると、妙に重みのある言葉に響いた。


さてさて。アイルランドの病院ではいつ頃消灯時間かが興味のあった私。結論から言うと、特に指定はなし。電気は50代のオッサンのひとりが消したが、テレビはスペシャルオリンピックが終わってしばらくして午後11時過ぎまでつけっぱなしだった。それでいて朝の6時30分に起きるというのはなんとなく入院しているという事実に関わらずこの人たちは元気なんじゃないかと思わせる。


元気といえば先ほど書きかけた50代の比較的若いオッサンが70-80代のじいさまを助けているという事実について。私の場合、さらに若いし元気そう(というか実際元気)だし何かしなければいけないと思った反面何をしていいのかいまいち分からない。というのもあまりしつこすぎてもいけないと思ったから。隣のじいさまが何かするたびにいちいちかまってきたのでは多分じいさまにもストレスになると思う。かといって放置しておくのも悪いし…判断が難しかった。


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2003年07月07日(月) とことん行きます地の果てまで。スコットランド旅行記(2)

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6/26の日記

かくして期せずして「ハリーポッター撮影ツアー」をした私たち。スコットランドのこのあたりを総称してHighlandと呼ぶらしいのだが、そのHighlandで最大の町Fort Williamへ。ちょっとした買い出しをしてLoch Nessへ。こうやって横文字で書くとなにがなんだか分からないけど、早い話がネッシーですっかりお馴染みになったネス湖。ネッシーは捏造だと暴露した輩がいてネッシー騒動にはピリオドが打たれたわけだが、なるほど、なんだか知らんが不思議なオーラを出している湖には違いない。




…ちゅうか、ネッシーがなくてもいい感じの湖じゃん。



で、さらに北上。北に行けば行くほど、だんだんイナカ度が増してくる。私は今回は助手席でふんぞり返っていることに決めていたので、ひでかすに運転させつつ、私は助手席のダッシュボードに足を乗っけて偉そげに風景を楽しむ。



そんなこんなで本日の宿に到着。ここ、ひでかすが「どうしても泊まってみたかった」といういわくつきのユースホステル。ビンボー人のくせしてユースは嫌い…という私も、このアイディアの前には私の考えを曲げざるをえなかった。そんなユースホステル。いったいどんなホステルなのか?


答えはこれ。




お城?




…お城ですなあ。確かに。


たぶん世界中探してもそんなにないと思われるお城のユースホステル。中は上の写真を見てもらっても分かるとおり、お城の趣を残しているものの、どことなくユースホステルとなり管理が行き届かなくなった気もする。考えてみたら、このお城の歴代の主はここがユースホステルになってしまったことを本気で嘆いているに違いない。とはいえ、ここ、ユースホステルにしては破格の一晩14ポンドという値段を取ります(ただし朝食付)。この値段を払えばドミトリーではないB&Bに泊まれることを考えるとかなりお高くとまってます。ま、腐ってもお城ですからね。


ちなみに部屋は7人の何の変哲もないドミトリーでした。もし、このユースホステルに泊まってみたいという奇特な方がいらっしゃれば、このページをチェックしてみてください(英語)。ここ、車がないとちょっとたどり着くのは困難かも。最寄り駅から徒歩10分程度ですが、そこ、一日に5本とかしか列車がない。






列車と書いたついでに駅を紹介すると、…こんな感じ。駅にたどり着くためにはこの誰がどう見ても廃道というか私有地入口という感じの道を入っていかねばならない。


私が何より驚いたのはこの駅。なんと、「リクエストストップ」なのだ。リクエストストップ。バスではよく聞くけど列車でリクエストストップ?リクエストストップとはバスを考えてもらうとわかりやすい。バス停に誰もいなかったり、また降りる人がいなかったらバスはそのバス停を当然通過する。これを列車でやろうというわけ。つまり乗降客がいなかったら列車はこの駅を通過してしまう。ひでかすの解説によるとスコットランドにはそういう駅が結構あるらしいが少なくとも私には充分カルチャーショック。



ついでに書くと、この駅にたどり着くまでの道がまたすごい。この鉄橋の脇に取りつけた橋がユースホステル側の対岸から唯一の道なのだが(これを渡らないと車で15分ほどかかる別の橋まで大きく迂回しなければならない)、この橋、私のへっぽこ写真では伝わらないだろうけど、またとんでもないところにかかっている。水面から50メートルくらいはあるのではないだろうか。それなのに橋の表面はこんな感じの網目状の鉄板。恐い。



恐いといえばこのユースホステル。出る…らしい。まあ古城にユーレイはつきものなのだが。かくして、夜10時ごろ、ひでかすと二人でユースホステル内のゴーストハンティングに出発。…午後10時といってもまだ外は薄暗い。というかスコットランドの北の果てという高緯度の場所のせいか一晩中完全には暗くならなかった。



なかはなかなかにして不気味だったが、残念ながらユーレイを見つけることはできなかった。以上がスコットランド一日目。

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2003年07月03日(木) Droghedaバイパス、勝負じゃ!

DroghedaとSwordにあいついでバイパス(高速道路)が完成しました。土地カンのない人のために解説すると、DroghedaもSwordsもどちらもBelfastに向かう幹線道路N1(国道一号線)沿いにあり、Swordはダブリン空港から北へ2キロほど行ったところ、Droghedaはさらに50キロくらい行ったところです。高速道路の距離はどちらもたぶん15キロ程度。たぶんDroghedaの方が長い。


これ、私にとってかなりの朗報です。というのも、月に一度の割で「Newryビール買いだめツアー」に出る私。そう、いつぞやの日記で書いた記憶がありますが、北アイルランドは何はともあれビールが安いアイルランドのほぼ半額


で、いつも目が回るような数のRoundaboutと渋滞で泣かされるSwordsと、これまたいつも大渋滞で抜けるのに30分近くかかるDroghedaが一気に高速道路でパスできるというのは非常にありがたい話。しかもDroghedaとSwordsの高速道路の完成により、信じられない話ながら、なんとこのアイルランドにダブリンからダンドークまでおよそ80キロにわたる途切れのない高速道路が完成してしまったわけ。これ私が96年にアイルランドに初めて来た時、高速道路の全長がアイルランド全体で50キロとかだったことを考えるととんでもない大進歩と言っていいと思う。


かくして、「便利さ体験Newryビール買いツアー」に出た私はやっぱりアホタレですかね?


参考までに今までのNewryまでの所用時間は最短で1時間30分。いや、これはかなりいいほうでDroghedaで渋滞に巻き込まれようものなら、下手をすると2時間近くかかることもあった。それがどうなったか。


自宅を出て、ダブリン港トンネルの工事で忙しいM1を北上。空港から新しく完成したSwordsバイパスへ。で、そこから数年前に完成したBalburygganバイパスそして今回開通したDroghedaバイパスからDandalkバイパスを抜けてNewryへ。驚愕。わずか1時間で(あるんだかないんだかわからない)国境まで着いてしまった。Newryまでの所用時間は1時間15分。早くなったわ。


ただ、問題が一つ。アイルランド政府は「今後開通する高速道路は受益者負担の原則から金を取るけんね」と宣言している。今回開通したDroghedaバイパスもこの原則にのっとり乗用車は1回につき1.5ユーロの通行料金が必要となる。かくして料金所がバイパスに設けられている。


こうなると、「フリーライダー」なる輩が問題になる。いえ、何も難しい話じゃありません。要は通行料金を払わずに通行しようというアホタレが出てくるわけですよ…私のような。とはいえ「無料通行宣言書」なるものを手渡すとかいう法に触れるようなものではなく、ただ単に料金所を避けて通ろうという方法。


ご近所の有料道路とかにありませんか?入口で通行券をもらい出口で通行券を係に渡して料金を精算するのではなく、途中に1個所だけ料金所があってその区間を避ければ通行料金を払わなくていい…という道路。


わかりにくい?(ここ、下の内容を理解していただくために面倒でも読んでくれると嬉しい)例えば4つインターチェンジがある高速道路。入口から順に1・2・3・4番とします。料金所は2と3の間にあるだけなので1から2まで高速道路を使い2から一般道に出て3までの区間を通行。で、3から高速道路に戻って4で降りる。こうすればたしかに1から4まで通行するより多分時間はかかりますが、1から2と3から4の間で「無料通行」ができるわけで。しかも合法的に。これ、例えば東京の八王子バイパスやQ州では(地元の人でもない限り誰も知らんだろうけど)福岡県の椎田道路など、地元の人ならだれしもが知っているやり方です。


そこで私は考えた。この方法でDroghedaバイパスも無料通行できないだろうかと。はい、私はどうせせこいケツの穴の小さな人間です。たかが1.5ユーロ。されど1.5ユーロ。払わなくていいならそれに超した方法はない。


実はDroghedaバイパスも4つのインターチェンジがあります(正確には3つのインターチェンジと出入りの方向が限定された2つの「ハーフインターチェンジ」ですがこの際細かいことは無視します)。で、ダブリン方向からインターチェンジの番号を1・2・3・4とします。で料金所は1と2の間にあります。で、Droghedaの市街は2と3の間。つまり、1から2の間を一般道で通行して2から4を無料通行できるのではないか…と踏んだわけ。


帰りに実験してました。4から1へ行くのに4から2までの区間を無料通行できんだろうかと。


4から3のインターチェンジへ向かうと「12キロ先料金所。(支払いは)ユーロのみ」の表示。「へっへっへっ、2のインターで降りればいいんだもんね」と思いそのまま2のインターチェンジへ。


2のインターチェンジ。本線料金所はまだ数キロ先。「よっしゃー、ここで降りれば料金は発生しない!さすがアイルランド政府。やることが抜けている!」と思い2のインターで降りた。そこには


料金所が待ち構えていた。


そう、アイルランド政府、私のようなせこい人間が出てくることを見こして、本線料金所とは別に2の出口にしっかり料金所を作ったわけ。


Snigel、フリーライダーになる作戦、見事に玉砕。


せ、せこいぞアイルランド政府!


…ってお前がいちばんせこいんじゃないのか?ちなみに4から3の間は確かに無料通行できますが…しても意味がない。


なお、金曜日から日曜日まで作者お出かけのため日記の更新はお休みです。ご了承ください。


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2003年07月01日(火) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(5)

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病室のほかの5人が朝食を食べているのを横目で見つつ、窓から見えるSuttonとHowthの丘を見ながら時間を潰す。腕の点滴がぽたりぽたりとゆっくりと流れ落ちてゆく。時間もこの点滴と同じくらいゆっくりと流れていく。こんなふうにぼーっとしてたら、「ああ、あの最後の葉っぱが散ると僕も死ぬのかなあ」なんて考え出すのは当然のような気がしてきた。


食事が終わると、退屈をもてあましている5人はどうやら新入りの私に興味を持ったらしくぼそぼそと話しはじめる。特に向かいのベッドの例の右足の膝から先がないおじさんが聞きもしないのに膝から先がなくなった理由を話しはじめる。


おじさん:「俺の右足のここから先は立った数日前に切ったばっかしだよ。原因?タバコ。俺なあ、12の時からたばこを吸いはじめてすげえヘビースモーカーだったんだよな。で、気がついたらそのせいで血管が詰まって足が腐っちまった。切る前にいろいろバイパス手術とかしたんだけどだめでなあ。たぶん左も切る羽目になるし早かれ遅かれ両足なくなっちまうんだろうなあ。お前タバコ吸うのか?吸わない?そうか。俺はタバコを吸っている奴みんなに言いたい。俺みたいになるからやめろって」


…そんなことがあるのかなあ。アイリッシュお得意のフカシが入っているんじゃないか(タバコの話ですしね)とか一瞬思ったが、そういえばむかし一度オーストラリアの政府筋が作ったビデオを見たことがある。タバコを吸っている人のたぶん気管支と思われる部分をぎゅっと絞ると、脂肪のような白いものが歯磨きこのチューブを絞るようにぎゅーって出てくるのを。あ、喫煙者の皆様気分を害したなら陳謝。


そんな話をしていると、今度は医師がやってきた。インド人でもなければフィリピン人でもなさそう。よくは分からんがインドネシア人ってこんな顔をしているんだろうか。ともあれ彼は友好的ながらとってもよく分からない英語で…


医師:「キミは、ここで何してんの?」
私:「よー分からんのですが、なにやら…」



「盲腸の疑いで…」と言おうとすると、彼はそれを遮り、


医師:「ああ、SARSか?」


またくそ寒いギャグを飛ばしてきやがって。いくらアイルランドがいい加減でもSARS疑いの患者を一般病室に入れるわけないだろうが。


私:「SARS患者が、一般病棟にいるとは思わないのですがねえ」


で、例によって触診をしておわり。昨日ほどの痛みはない。…というか昨日もほとんど痛みがなかったからほとんど無痛になったというほうが正しい言い方か。前にも書いたとおり、私は風邪薬をもらいに近所の医者に行き、そこでまさに青天のへきれきで盲腸を疑われて病院に来たわけで、けっして激しい腹痛に襲われて病院に担ぎ込まれたわけではない。


で、今度は別の医師が昨日の医師をつれてやってくる。この医師は白衣姿ではなくスーツ姿。いわゆる専門医の「ボスキャラ」であることが容易に想像できる。この40くらいの黒ぶちの眼鏡をかけたオッサン。誰かに似ている…。だれだっけ。うーん。


このMr Irelandというジョークのような名前の医師。この医師が去ってから誰に似ているか気がついた。ディルレヴァンガーだ。(あ、「誰それ?」という方。知らぬがホトケとはこのことです。Googleで検索をかけたりすると後悔することになるのでしないほうがいいです。ゆえにリンクも貼りません)。

で、このディルレヴァンガー改めミスターアイルランド(改めも何もこっちが本名なんだけどさ)、ひととおりのおざなりの検診をして、


医師:「しばらく様子を見よう。お腹は空いたかね?」
私:(涙目で)「はい」
医師:「よし、食事をしてもいいよ」
看護婦:「先生、この点滴はどうしますか?」
医師:「ついでにもう1本やっとけ」


今にして思えば「ついでにもう1本」とはなんだ?というツッコミどころだが、「メシが食える」という喜びでそこまで頭が回らなかった。


数分後。トースト2枚とお茶が出てくる。この時のトーストのおいしさは忘れられない。で、その数分後の10時30分。今度は「ティータイム」とやらでお茶とビスケットが出てくる。さすがはアイルランドといいたかったが、このお茶のまずいこと。ミルクをたっぷり入れないと飲めない代物だった。


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