自分の好きなものは、わかってくれなくても構わないけれど、 やっぱりわかってくれる人がひとりでもいたらとても嬉しい。
そう思っているので、 私の好きなマイナーなものをとりあえず知ってみて欲しい。 あなたがそれを知ったら、好きかそうでないかを知りたい。 押しつけたいわけではないんだけれど。
そういう気持ちで、那音がとっても好きな、 とあるマイナー漫画を広めようと 謙虚な気持ちで(?)順繰りに回していたら、 「布教中だね、」 と言われてしまった。 その通り。
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あなたがコレを知り、そしてコレが好きな人なら、 きっとコレを知ったことがあなたのプラスになる。 人生にとって素敵なもののひとつになる。
好きなものを新しく知る、ということは そういうことだと思っている。
人生をすこしずつ長く生きてゆくと、 自分の好きなものはたいてい過去に生まれたもので、 なかなか現在作られつつあるものであることがすくなくなる。
その中で、たとえ過去のものであろうとも現在のものであろうとも 新しく好きなものを知るということは 価値のあることだと思う。
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そしてそれは、きっと、 宗教を広めたいという気持ちと、とても近しいものなのだろうと思う。
さらっと差し入れができるようになりたいのだけれど、 自己顕示欲が強いせいで、あまりさらっとしていない。
けれどおいしいと思うものや、大好きなものには、 どうしても同意が欲しいようだ。 必ずしもわかってくれなくてもいいけれど、 わかってくれるひとがひとりでもいたらとても嬉しい。
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だから、誰かの差し入れには過剰反応するわたし。
ル・クルーゼは奥様の憧れグッズ。 …だと思うのだけれど、そりゃお高価いそのお鍋。
とはいえ、アクセサリィやきれいなドレスと比べれば 出せないお値段じゃないけれど。
お店で眺めてみては、もちあげてみていつも断念。 重い、重たい。 さすがにフライパンとは違ってもちあげて使う器具ではないけれど 重たいと使い勝手が悪そうだし…
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そもそも、日本には土鍋ってものがあって、 これが結構使い勝手がよい。 那音は土鍋でシチューを作る。カレーも作る。 じゃがいもなんてほくほくになる。
だったらル・クルーゼじゃなくてもいいんじゃない? 素敵な土鍋ならおでんだって作れちゃうんだぜ! と思って、迷いっぱなし。
「 食べんかったら体重が減るンは、 誰でも100%確実なことやねんで? 」
宝くじとは比較にならんくらい確実な賭やろ。
と彼は言った。
いや、そうなんやけどさあ・・・
と、口ごもる那音。
秋。
来年版のスケジュール帖が店頭に並び始めてから一月になる。 来年は何にしようか、まだ決めかねている。
いわゆるノートってものが好きで、 けれどお財布に、スケジュール帖に、手帳、となると それだけで鞄の中はいっぱいいっぱい。
そういう自分の「重さ」が嫌いで、だから本当は何も持たなくていい旅人になりたい。 けれど、まあ、それが性(さが)ってやつなので、 荷物をひきずって歩く自分に甘んじている。
ノート機能の充実したスケジュール帖を持ち歩くのか、 はたまたスケジュール機能をあきらめて、ノートだけでいくのか・・・
本気で書き込むのなら、A5ノートがものすごく好きだ。 しかも180度開くことのできるリングでなくてはいけない。 けれどそのサイズは持ち歩くには大きすぎる。 と、なればさらにその半分のA6。
今年使っている、デルフォニクスのサイズだ。 けれどデルフォニクスの中身はとても好きだけれど、ノート機能が少なく、 また私がスケジュールメモの機能を十分生かせていない。
うーん、ノートを買って、 そこにスケジュール表を貼りつけるかな・・・ とまで考えているところ。
寒くなったので、豆をひいてコーヒーを淹れはじめた。 ずいぶんまえからある頂いたコーヒー豆はやっとなくなって、 あらたに豆を探し始めて気づいたこと。
私は食通や味にうるさい方ではないので、 豆なんてなんでもいいに違いないと思っていたのだけれど、 意外と、そうでもない。
そもそも思った以上に豆は高価い。 そして結構、それぞれに癖がある。
たぶん、酸味が少なくて・・・苦みも沈まなくて・・・ そんなそつのない甘いコーヒーを探している。
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苦くて渋くて、最後に澱の沈むような濃いコーヒーが苦手だ。 それではコーヒー好きとは言えない、とおっしゃるかも知れない。 なら、コーヒー好きだとは言わないでおこう。
喫茶店でコーヒーを飲んで、 店を出てからいつまでたっても口の中がコーヒーくさい、という あの後味の悪さがないものがいい。
そういえば、そもそもひとの口から出るにおい・かおりが苦手だ。 ガムや飴や歯磨き粉のにおいも、全然だめだ。 もちろん自分のことは棚に上げている。
だからなのか・・・コーヒーのあとあじは、いっそない方がいい。
「初めがね姿ですね」 と言われた。つい最近、勤め先にいらした方に。 めがねをかけると、すっかりおばさんぽくなってしまう。
めがね姿は、普段の己への手入れが直に反映されるようだ。 反省。
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だからというわけではないけれど、 「かもめ食堂」と「めがね」を借りてみたことを思い出した。
「かもめ食堂」は、まあ、爽やかで、のんびり心地よいお話だった。 旅行中に行方不明だったトランクが出てきて、久しぶりにあけたら 中身がまるで”きのこ”のように感じられたという描写は なかなか素敵だった。
けれどそれ以上に「めがね」の雰囲気が好きだった。 よもぎくん(と聞こえた)がいい。 あんな彼が”帰る”ことを知っているなんて、とても素敵だ。
さくらさんとよもぎくんがおなじ世界の人で、 そのほか三人が、それにあこがれるひと、なのかな・・・
主人公が、舞台の世界観に反発しつつもさいごは取り込まれてしまう、 という題材を私はとても愛している。
「植物を育てられるひとになる」 と常々つぶやいている那音だが、 そう豪語していた時期に、勤め先のみなさんから植物を分けてもらったりした。 いやいや、勤め先は妙に植物好きが多く みなさん上手に何かを育てていらっしゃる。
現場にはいま、ちいさなグリーンがひとつある。 いちど本を落として根が浮き、ぐらぐらになってしまったが、 ある日ふと直っていた。 否、これを分けてくだすった方が、ふと気になって直してくださったそうだ。
ありがたい。
まだ植物を育てられるひとには遠いけれど、 丈夫なその植物はまだ元気に生きている。
ほんとうは少しずつ卓上の緑を増やすつもりだったのだけれど、 まだこのひとつで止まっている。
まだちょっと二つめの自信がないのかも知れない。
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