雨の旋律が意識を遠ざけていく
声の届く距離で居て
波打ち際で見つけた 小さな貝殻は
波にさらわれて 海に降る月光の破片となり
守られていく
消えることなく
夏の音を眩しくのせて 水面は夏の色を奏で
指先で弾くと 跳ねた水玉に 夏の粒子が踊る
一瞬は ただその瞬間に 瞬きの奥へ
戻らない そのときを
悔やんだりはしない
悔やんだとしても 先に意味を成し得ることに 形を変えていくだろう
この夏の未来が続くことを このときを今 知っているから
離れていても ひとときの抱擁が すべてを結ぶ
流れて流れて
流れて
ひとつ
隠れて見えない
入道雲の背中を
僕は想像する
僕が僕に孵る瞬間を待ちわびて
楽を覚えて消化しては すれ違い
いつのまにか欲を渇かし 迷う
臆しては行ったり来たり 気付けば単純な線であるのに
もう 見送らずに
今
今に寄り添う涙を知ろう
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