ぶらい回顧録

2011年05月12日(木) 中学3年生の終わりから高校卒業まで家族5人で住んだ家

中学3年生の終わりから高校卒業まで家族5人で住んだ家の前を通る。
家族5人全員で最後に住んだ家。
今は僕の家ではない。
3階建ての家。
部屋の矢鱈たくさんある家。
トイレの矢鱈たくさんある家。全部で3つ。
生まれて初めて自分だけの部屋を持つことができた家。
3階の窓から2階の屋根に降りることできた家。
2階の屋根から長良川の花火大会を眺めることができた家。
花火大会を眺めながら煙草を吸って頭痛に悩まされた家。
酒を飲んで頭痛と嘔吐に悩まされた家。
ギターを演奏することを覚えた家。
ドラムを演奏することを楽しんだ家。
兄と一緒に演奏することの楽しさを知った家。
B面最後はいつも「夢の旅人」だった家。
中学3年生の終わりから高校卒業まで家族5人で住んだ家の前を通る。
今は僕の家ではない。
今は何かの寮になっている家。看護士さんの寮?
扉を開ける勇気は無い。通り過ぎる。
中学3年生の終わりから高校卒業まで家族5人で住んだ家の前を通る。
意を決して扉を開ける。
薄暗い。
今のあるじ夫妻が玄関にいる。
挨拶し事情を説明する。
快く家にあげてくれる。
非番で私服の看護士さんは次々と外に遊びに行くところ。
あるじ夫妻が「以前ここに住んでいた人の持ち物」だと部屋の一角に積み上がった荷物を見せてくれる。
古い写真アルバムがたくさんある。
開く。
間違いなく僕と僕の家族の写真がそこにある。
僕と僕の双子の兄の初めて観る写真がたくさん。
僕と僕の双子の兄の初めて観る笑顔がたくさん。
父と母と姉と兄と僕の笑顔。
ありがとうございます取っておいてくれてこれは間違いなく僕の写真。
僕と僕の家族の写真。
家族5人全員で最後に住んだこの家の僕の家族の写真。
段ボールにつめる。2箱におさまらない。3箱。
ありがとうございますありがたくいただいて帰ります歩いては持ち帰れないのでレンタカーを借りて戻ってきますタクシーを呼んできます。
部屋の中がますます薄暗くなる。
部屋の中がますます薄暗くなって部屋の向こうが見えない。
あるじの姿は見えない。
ああここは僕が中学3年生の終わりから高校卒業まで家族5人で住んだ家だ。
ああそうだ僕はもうずっとここにいて良いのだったな。
良かった。
本当に良かったなここに戻って来られて。
今朝みた夢。
幸せな夢。


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