真夜中、物音ひとつしない家の台所で米を研いでいて、小学生の頃 味噌汁を水からつくるとは思っていなかったことを、思い出した。
味噌汁は「味噌汁」という液体でできていると思っていたんだな。
「義なる者のうえにも 不義なる者のうえにも」 静かに夜は来る 皆のうえに来る
聖書の言葉を引用しましたよ、お母さん、貴女は今でもそれが嬉しい のでしょうか。それとも今いるところは信じていたところとは違いま したか。
窓の外で微かになにかが鳴った。米を研ぐ音が妙に響く。
この音が彼を(彼女を)起こしていませんように。
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