7年前の7月7日。 この日は稲葉の10700日に及ぶ人生の中でもベスト3に入るであろう良き日でありました。
この日、稲葉は自分が作・演出した舞台の千秋楽を迎えていました。
江古田ストアハウス、という劇場で。
◆
母校である日本大学芸術学部もある江古田。 駅の南口から徒歩10秒の雑居ビルの中にある小さな劇場。
稲葉が本格的にお芝居を始めて最初に立った舞台もここでした。
小さな劇場からあふれ出るほどに、多くの経験・思い出・愛情が詰まっている劇場です。
そのストアハウス。
今月いっぱいで閉鎖されるそうです。
移転先を探しているそうですがいまだ決まらず、事実上の閉鎖。
ストアハウスから届けられた閉鎖の通知を読み、空虚感に包まれていました。 寂しい、なんてもんじゃないですよ。
役者として売れて有名になってから。 身内や仲間や古いお客さんだけを集めて(だって小さい劇場だからさ)凱旋公演を定期的に行うつもりでいたのに。
閉鎖されたらできないじゃないですか。
しかたがないから、 いつか江古田に劇場を作ることにしました。 小さな劇場を。 もちろん日芸生には特別割引で。
夢がひとつ、潰されてしまいました。 その代わり、にはほど遠いかもしれないけれど、 夢をひとつ、むりやり作ってみました。
◆
卒業してから江古田に行くたびに、「あの店なくなっちゃったんだ…」という寂しさに襲われてきました。
その中でも江古田ストアハウスを失う辛さは一入ですわ。
|