馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2005年12月03日(土) 近頃めっきり足腰がねぇ…

電車に乗っているときの稲葉は、イヤホンで音楽を聴きつつ手には本というスタイル。
本は小説だったり、パズル本でシャーペン動かしてたり。
あ、座っているときの話ですよ。

そんなだから、周囲への注意が無いのです。
目の前にデカイ荷物を持って立っているおばあちゃんがいても気付かない。
席を譲ってあげないひどい奴です。

   ◆

この日は稲葉の向かいに座っているオバちゃんが、席を譲るために立ち上がりました。
「すみませんねぇ」と笑顔で座るおばあちゃん。
なんて微笑ましい光景かしら。

それをきっかけに、2人はおしゃべりを始めました。

稲葉の祖母もそうですけれど、まったくの他人といきなり世間話が出来てしまうオバちゃんていますね。
オバちゃんに限りませんけど。
そういうのって、なんかすごい、と思うのよ。
一昔前は当たり前だったのかもしれないけどさ。

   ◆

で、ある程度年齢がいった方たちが世間話を始めると、やがて「持病自慢」になるのはお約束。
「リウマチがひどい」など具体的な症状を競ったり、「週に3日は…」など通院ペースを誇ったり。
「物忘れがひどい」もやや趣が違うけれど、ベクトルは同じ。

こうなると、相手よりも重い症状をほじくり返してでも探して誇らしげに語りたくなる…ものなんですかね。
稲葉はあまり経験が無いんでよく分からないんですけど。
でもこの手の会話って、食堂の伝票争い並みに譲らないんだよね、みんな。

上の2人もやがて持病について触れだしました。
しばらくすると席を譲った方のオバちゃんが「足腰が悪い」と言い出しました。
「立ち上がるときとか階段とかねぇ……」と続く続く。

さっきはあんなに颯爽と席を譲ってたのにぃ。
この告白、どこまで本当だろう?
お年寄りに席を譲るっていうのは大切なことだけど、オバちゃん、本当に辛いなら無理はしないで。
隣なら動けるんですけど、向いだから稲葉が席を譲るのも変だし。
ちなみに向かいの隣の男性は爆睡してました。

席を譲ってもらったおばあちゃんは気付いてないのか、普通に聞き流して座ってました。
2人並んで座るようなことにはならないまま、席を立って3つ目の駅でオバちゃんは降りていかれました。


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