たとえばおうちで。 自分の部屋で1人で、ですね。 ボーっとしてる。 なんとなくテレビ眺めて、お茶をすすったりしてる時。
ぐらんぐらんと揺れを感じます。 「地震かな」と一瞬ドキリ。 でも他の家具は揺れていない。
はて、と考えます。 で、震源地が自分の心臓だって気付いた時。
心臓のドクンドクンってリズムに身体のほうが揺さぶられる。 あー、稲葉の心臓、ちゃんと動いているなーって。 聴診器で心音を聴くのなんかよりずっとリアルに感じます。
そういうのを感じちゃうのってちょっと嫌だったりもします。 なんかね。 気持ち悪い。 気味が悪い、の方が近いかなあ。 アレはどうやって動いているの?
ドクンドクンと心臓が動く。 身体が揺れる揺れる。 これが止まっちゃったらって考えると、ねえ。 たまらなく嫌。 だから揺れを感じるのが怖くなって無駄に身体を動かそうとする。 椅子を立ってみたり。 本棚に手を伸ばしに行ったり。 そうすっと心臓が何とか動いていてくれることを忘れられて。 ちょっと安心してしまうのです。
ドクンドクン。 稲葉はいま、確かに生きています。 良かったなあ。
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