馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2003年10月13日(月) 街角プチレトロ

先日、ネズミとオジサンのバトルがなんとなくレトロで好きって話をしましたっけ。
はい確かにしました、下のリンク参照です。
そんなちょっと古風な光景に軽く心が踊ります。

   ◆

JR有楽町駅の高架下。
ビックカメラの方面じゃなくて銀座方面の高架下。
狭くて暗くてちっこい飲食店が立ち並んでいます。
むりやり詰め込みましたって具合に。
高架下のきっちきちのスペースでどこも頑張っています。
駅の反対側のオフィスビルや国際フォーラムなんかの小奇麗な佇まいと対照的で面白いです。
いちおうツーカーショップはあるんですが、これもどこか古くさい。

でね、その高架下に靴磨きのオジサンがいるのです。
いつも並んで2人、たまに3人。
道の端っこに道具並べて、うす汚れた小さな看板立てて座っています。
「スリコミ式靴磨き 五百円」とあります。
磨き方にナニ式があるのか、相場はいくらくらいなのかよく分からないんですが、そぉか、スリコミ式で5百円か、うーむ…などと勝手に唸りながら脇を通っています。
靴磨きって古い映画なんかでけっこう見ている印象が強い。
「おぉブンヤの兄ちゃん、今日はデイトかい。よっしゃ負けといてやるよ」みたいな。
ブンヤって表現も近頃めっきり聞きませんね。

でね、この靴磨き屋さん、あなどれないことにけっこう繁盛しているのです。
毎朝、前を通っているんですが、いつもお客さんが座っているの。
靴磨きなんて今じゃ手軽におうちでできるでしょうに。
びしっとスーツ決めた丸の内サラリーマンがいつもしっかり座っている。
なんですかね、やっぱりプロの業ってのは違うんですかね。

綺麗なスーツ姿の足元で職人が手を真っ黒にして仕事している。
21世紀にはちょっと似合わない光景です。
有楽町の高架下には靴磨きと周りの商店と合わせて、いまも昭和が残ってます。
あの一画がとても大好きです。

   ◆

貨物列車も味があって良いですね。
常磐線のホームなんかに立っていると、たまに1本向こうの線路を走る貨物列車を見られます。
長ーい車列にコンテナ載せて、ガッタンゴットンガッタンゴットン。
あのコンテナのデザインといったらもう。
ただ四角いだけで色も単色で褪せててね。
ださいの。
ださいんだけど味はあるんだなあ。

しかし交通機関も整って、航空輸送もあるこの現代にあってなお貨物列車が走ってるってのは嬉しいものです。
実際不便そうだけどな。

あのコンテナの中って具体的にどんなモノが入ってるんですかね。
電車で運ぶ荷物となると、なんとなく牧草ってイメージがあるんですが。
でもさすがに牧草は東京は走りませんかね。
牧草と一緒に牛も運んでて、見習い魔女が紛れ込んだりするの。

貨物列車を間近で見たいなら、西日暮里がお勧めです。
西日暮里駅から少し歩いたところに貨物列車用の線路の踏切があります。
まあ滅多に走ってるものじゃないんでなかなか閉まらない踏み切りなんですが。
でも遭遇するとすごいですよ。
ださいだけのコンテナ、意外と大きくてびっくりします。

   ◆

鉄道がらみでついでに書くと、電車でたまに大きな葛籠(つづら)を背負ったおばあさんを見かけることがあります。
あれも稲葉の心をくすぐってくれます。
朝の早い時間の品川駅、山手線の外回りの電車から葛籠バアサンが大挙して降りてくるのが見られます。
なかなか壮観なものがあります。

葛籠バアサンたちは元気です。
自分たちの身体より確実に大きい葛籠を苦しい顔することなくヒョイっと背負います。
そりゃあ中身は空っぽなんでしょうが、にしても見た目的にものすごくアンバランス。
でもさ、あれ、いつも空っぽってわけじゃないんでしょ?
中身(…って具体的に何なんでしょうか。ここでもコンテナのときと同じ疑問が…)が入ってるときもあるはずで、それでもおばあさん方は軽々と背負って見せるものなんですかね。

このおばあさん達が見られなくなるのは絶対に寂しい。
身体(特に足腰)を大切にしていただきたいものです。

   ◆◆◆

【関連記事リンク】
2003年10月11日『大ネズミがあらわれた!』


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稲葉 馨

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