2003年08月14日(木) |
辞書はたまにあなどれない |
古い表現かもしれませんが「出歯亀」って言葉があります。
はい、今回の『馨絵詞』こんな話で恐縮です。
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「出歯亀」 辞書の説明にはこうありました。
〔もと、変態性欲者池田亀太郎のあだ名〕 女ぶろをのぞき見などする、変態性の男。
ここでの辞書は、三省堂『新明解国語辞典』の第4版を参考にしています。 新明解は「シンカイさん」の愛称のある辞書で、ユニークな説明で有名なんだそうです。
「出歯亀」のこの説明、どうでしょう。 説明自体には異論ありません。 そのとおり。 しかしカッコの中、語源の説明がすごいですね。 変態性欲者って辞書の硬い雰囲気で書かれてしまうと、もう弁護の余地がないですね。
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池田亀太郎さんってのは明治の人なんですね。 確かそうなんですね。 もしかしたら大正に入るかも。 確証はありませんが、まあその辺の人です。
つうことは、直接の子孫・親族がまだいるはず。 いいんですかね、語源の説明とはいえ、辞書にこんなこと書いちゃって。
のぞきは確かにダメです。 ダメだけど、やってる男もいっぱいいる中で、不幸にも目を付けられて日本語として登録されてしまった亀太郎さん。 軽犯罪者には違いないものの、多少の同情を禁じえない。 この人、出っ歯で目が付けやすかったんですね。 だから「出歯亀」。
のぞきなんてするもんじゃありません。
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亀太郎さんは明治の人。 つうことは、時代劇なんかで「なぁに出歯亀やってんだい、クマさん」て言ってるのは間違いなんですね。 亀太郎さんはまだ生まれてないし、ましてや覗いてもいない。
今ではあまり使わない言葉なんで、時代劇では使いやすいんでしょうが、意外なところで落とし穴。 使い方にも要注意。
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