馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2003年05月30日(金) 日活通い・♯1

ここ5日間、調布の日活撮影所に通っていました。

阪本順治監督の『クラブ進駐軍』という撮影にエキストラで参加してました。
始発に乗って撮影所へ行き、終電に滑り込んで帰宅する。
なかなかハードなスケジュールですが、それに見合うだけの経験は得られたと思います。

終戦直後から朝鮮戦争の頃、今からおよそ50年位前の日本が舞台です。
ジャズという音楽に初めて出会った日本人の若者を描いたドラマです。
台本は全部読ませていただきましたが、今の段階ではこのくらいしか内容については語れません。
でも面白いですよ、筋書きは。
台本の最初のページの配役紹介に「豪華登場人物」と書かれてました。
こんな所に遊び心入れてもしゃあないのですが、こーゆーの嫌いじゃないなあ。

   ◆

稲葉は進駐アメリカ兵が集うクラブのウェイターの役です。
このクラブはストーリー上メインとなる場所です。
ですからクライマックス、最後のシーンの撮影にも参加することができました。
凄かったですよ。
内容あんま言っちゃいけないんですけど、ほんと。

大きめの体育館ほどのスタジオの中に、小さめの体育館ほどのクラブのセットが建てられています。
片面空いてるような造りじゃなくて、ちゃんと全面カベがあるの。
外から見たらベニヤですけど、中の雰囲気はとてもよく出ているの。
大袈裟な表現かもしれないけどタイムスリップ気分。
ノスタルジーノスタルジー。
何時間も続けてセットの中にいると、ここがスタジオだってこと忘れます。
プロはやることがでかくて凄い。

   ◆

そのセットの中に
メインの俳優が5〜7人
米兵エキストラが30〜70人
稲葉含む日本人エキストラが5人
監督含むスタッフ20〜30人が入って撮影をするわけです。
もうね、すごい人口密度。
米兵70人入ったときは圧巻ですよ。
彼ら、ただでさえ大きいのに軍服着てるんだもの。

クラブのステージで行われる演奏に盛り上がる場面があるんですが、収集つかなくなります。
個々のエキストラにアクションを付ける助監督さんはてんやわんやでした。
ジャパニーズオーケーな外人さんは半分くらい、あとはイングリッシュオンリー。
でも助監督さんはジャパニーズオンリー。
通訳のデイビッドさんとリンダさんフル回転。

撮影が終わって監督がカットかけても、音楽と歓声にかき消されてちっとも聞こえないの。
だから助監督さんたちがカット連呼しながらカチンコを嵐の如く連打。
あんなカチンコの使い方、見たことない。

   ◆

そんな現場なんですが、やっぱり慣れてるスタッフさんは動じませんね。

メイクさん・衣装さんはゴチャゴチャした中でも乱れた人をちゃんと見つけ出して、さささっと手直しして去っていきます。
照明さん・美術さんは大きな機材や資材をうまーくすり抜けるようにして運んでいきます。
投げやりな「エクスキューズミー」言いながら。

阪本監督もメインの役者さんや、カメラさんなど必要なところへ素早く移動。
ふと気付くと稲葉の隣にいて「いつの間に?」と驚くことがたびたび。
でも次の瞬間にはカメラの後ろにいてリハーサルの指示。
フットワークが実に見事な監督さんです。
かっこいいなあ。
スリッパに(役者以外はセット内土足厳禁)マジックで書かれた「カントク」って字はかっこ悪かったけど。

   ◆

大学の映画学科の撮影録音コースだった同輩が助監督見習いとして現場にいました。
彼は2カメで撮るときにBカメのカチンコを叩いてました。

また、今回の現場では一緒にならなかったのですが、監督コースにいた友人も撮影所の中で働いていました。
とても新鮮で素敵な再会。

さらに、大学のサークルの後輩もエキストラで参加してて稲葉と共演。
当日会って、お互いにびっくりね。
こういう出会いって、どんな有名人を見られるよりも良いです、嬉しいです。
……ってその後輩が言ってました。

   ◆◆◆

【関連記事リンク】
2001年8月16日『稲葉、ロケ弁を喰らう』
2001年8月21日『稲葉、台風に踊る』

※阪本監督の現場には2年前の『KT』の時にもお邪魔させていただきました。
そのときの記事であります。


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