昨日は高校時代の先生のお話でした。 今日は高校時代のカバンのお話。
稲葉との付き合いが長い人なら稲葉が学生カバンで大学に通っている姿を見たことがあると思います。 あれ、高校で使っていたカバンなのですね。 以前はいちいち突っ込まれたりもしましたけどね。
大学の1年から2年生の途中まで使っていましたが、徐々に傷んできたのでしばらく休ませていました。 それがこの秋、再び大活躍。
まずインスタ企画(PHOENIX殿とコウジ殿による企画)で登場。 箱殿演じる男子高校生が持ってる学生カバン。
次いでNORI−MIX(源斗殿主催の芝居企画)。 こちらはまだこれからなのでなんとも。 ともかく、引退させていた思い出のアイテムがこういう形で復活するのは嬉しいものです。
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このカバン、5、6年前、横浜でブランド性が出て学生アイテムのトレンドになりました。 通称「浅野カバン」。 稲葉の母校は浅野中学・高校なので、にしてもひねりのない通称。 横浜屈指の進学校で、持ってるだけで頭がよく見えるアイテムとして広まりました。 べつにほかの学校の学生カバンとデザイン的に大差ないのですが、側面にプリントされた「Asano」の文字が魔力を持っていたようです。
横浜の町を歩くとブレザー制服の男が浅野カバンを持ってたりします(浅野高校は学ラン)。 京浜東北線に乗ると女子高生までもが浅野カバンを持ってたりします(浅野高校は男子校)。
ふつう、こういうブームが出ると「本家」としては嬉しいのでしょうが、そうも言ってられませんでした。
はじめは浅野生の中から小遣い目当てで売る奴が出ました。 制服とかパンツ売っちゃう女子高生と同じ感覚です。 進学校にもバカはいるものです。 これはカバンの販売方法の変更でやがて消えていきました。
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販売がなくなると、続いて起きたのがカバン狩り。 しかもその手口が凄い。
ガタイの良い強面のお兄さんが帰り道に立ちはだかります。 浅野生は頭こそ良いものの、身体の方は弱い。 勝負になるはずもなく、カバンはお兄さんの手に。 するとお兄さん、地面に倒れこんだ浅野生の前にカバンの中身を全部出して置きます。 なんと財布までだします。 狙いは本当にカバンのみ。 徹底してますね。 そして風呂敷をだして一言。
「荷物、この風呂敷に入れて持って帰りな」
なんなんでしょう。 志村けんのコントでしょうか。 しかしこんな被害報告が相次いだというのですから世の中わかりませんね。 全校集会でも話されましたが、風呂敷のくだりになると場の緊張感が萎えますな。
なかにはカバンの中身ごと奪う「過激派」もいたようですが、やはり被害の中心は「風呂敷派」によるものでした。
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幸い稲葉はカバンを奪われることもなく、平穏な学生生活を送れました。
受験という大テーマが高校生活で一気にその重みを増していく頃、浅野カバンブームは去っていったらしく、町で浅野カバンを見かけなくなっていきました。
ブームというものの儚さと、その裏にある恐ろしさを知らされた事件でした。
かつて横浜学生の中で栄華を誇ったことを忘れたかのように、稲葉の浅野カバンは映画に芝居に頑張っています。
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