A 今週目を通した本や文章など。
雑誌 イ 『季刊 本とコンピュタ 2003春号』(トランスアート 1500円) ロ 『本の雑誌 2003年5月号 自転車キコキコ麦笛号』特集=名セリフ大博覧会!(本の雑誌社530円) ハ 『SFマガジン2003年6月号』スプロール・フィクション特集拡がりゆく小説(早川書房890円)
文庫本 ニ 岩合光昭・岩合日出子『海ちゃん(ある猫の物語)』(新潮社560円) ホ 安藤哲也『本屋はサイコー!(本を売る仕事はこんなに面白い)』(新潮社OH!文庫486円) ヘ 斎藤美奈子『読者は踊る』(文春文庫676円)
単行本 ト 覚慶悟『よろしく、うつ病(闘病者から「いのちがけ」のメッセージ)』(彩流社1400円)
B 拾い読み程度の本など。 チ 野村正樹『ビジネスマンのための知的時間術(「自分時間」を豊かにする101のヒント)』(PHP文庫500円) リ R・シャパード/ジェームズ・トーマス編(訳=村上春樹/小川高義)『SUDDEN FICTION(超短編小説70)』(文春文庫690円) ヌ ジョージ・RR・マーティン(訳=岡部宏之)『七王国の玉座(下)』(早川書房2800円)
この他、めぼしい出版社の宣伝誌も見ているがすぐに思い出せないのでカット。 イとロはほとんど読んだ。特にイは無駄がなく読み所満載。津野海太郎の本を読んでいるうちにちゃんと読みたくなり定期購読することにした1冊目。もちろんロも無駄がない。読者を楽しませる手管を目一杯ふるう執筆者ばかりで、興味のわかない分野の話でも読んでみると感心することになる。巻頭の「今月の1冊」の浜本発行人から始まる、下森真澄VS柴口育子・田口俊樹・新保博久・青木逸美・亀和田武の執筆陣は充実と感動の二言。 二は猫の海ちゃんの生活と意見を見事に表現した写真と文章に見とれるばかり。 ハは、特集の短編五編は全部読んだ。まるでミステリ・マガジンのお株を奪う企画。 アーサー・ブラッドフォード「ドッグズ」ポール・パーク「ブレイクスルー」ケリー・リンク「私の友人はたいてい三分の二が水でできている」は現代文学、ブルース・ホランド・ロジャース「死んだ少年はあなたの窓辺に」とニール・ゲイマン「十月が椅子に座る」が幻想文学で、SFマガジンよりもミステリ・マガジンの方がふさわしかった。監修者の小川隆の解説は充実度が高く、目配りが利き、読ませる。 他に、初登場作家の林巧「栄曜邸の娘の魂が抜けた話」は中国風幻想物。主人公の阿婪の特徴や他の登場人物が興味を引く。設定の面白さがある。 ホはその元気さがうらやましい。 ヘは驚きの一冊。辛口とはこれだ!のエッセイ風書評。守備範囲もしくは攻撃範囲が広く、すべて的を射ているので反論できない。最近、同じような趣旨の本を出しているが、恐れ多くてすぐには読む気にはなれない。その踊りが融通無碍で感心しきりの本だった。 トは、題名の中にある通り「うつ病」についての本。うつ病になり、はかり知れない苦しみを味わった著者の半生と意見のしょである。意外にもその話がこころにずんずんしみ通ってくるような気がするのは、誰もが抱えている問題(意識)とぴったり合うからだろうか。特殊なことを語っているはずなのに、生きている人間であれば多分だれにでも覚えがあることを語っているのだ。読んでいる自分自身についての確認の本のようになってしまった。 チとリは、まだ拾い読みの段階。もう読まない可能性もある。 ヌは、一カ月以上も前に上巻を一気に読んでいるのに、まだ読み終わっていない。読もうと思えばいつでも読める状態を楽しんでいる、わけでもない。このシリーズの続編が今年中に出るはずもないからいくら粘っても仕方がない、ね。
日記の更新が毎日はできない状態になったので一週間分まとめることにした。最近は拾い読みが主で一冊読み通す気力と器量が失せてしまったのでそれでもきついがただでさえ弱い知力がさらに衰え縮んでいかぬようにするための便法と考えたい。
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