2001年08月30日(木) |
発見!佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」は「鬼平犯科帳」を継ぐ。 |
発見!佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」は「鬼平犯科帳」を継ぐ。 「元和二年、死の床にあった大御所家康は秘密裏に・・・」「裏では徳川家を護持する影旗本としての任務を果たすよう命じ、・・・」「渾身の書下し」 時代劇は題名で決まる、とは限らないが、少なくとも題名から入っていく。魅力的かつ刺激的な題名は時代劇にこそ似合う。その点で「古着屋総兵衛影始末 死闘!」は及第点。次に裏の売り出し文が重要である。その点でも上のような設定は合格で、ダマサレタツモリデ読んでみる気になった。 家康は、隆慶一郎の傑作を想起した。作者本人の名前は「本の雑誌」などで記憶にあり、(本当に「本の雑誌」で見たかどうかは自信はないが)今まで読んだことはないが、いわば未知の強豪というイメージがあった。 場所が古本屋だったことも財布を開きやすくした。シリーズ四冊揃っていたが、手堅く一冊だけにしたが。 そして、一気に275ページまで読んでしまった。文句なくはまってしまった。六代目の総兵衛一族に突然仕掛けてきた謎の対抗勢力。両者の死闘が静かに深く激しく厳しく繰り広げられる。主人公の総兵衛の存在感はもちろんのこと、配下たちも個性的で池波正太郎の「鬼平」や「雲霧」を思い出した。 宮城賢秀に新しい「鬼平」ものがあるが、「総兵衛」の方が近いように感じた。 魅力的な時代劇シリーズが誕生していた。別の古本屋にも四冊揃っていたので知らないのは私一人なのかもしれないが、宮本昌孝と同様注目の作家である。 というわけで今日はこの本ばかり。続編を求めてまた以下のような買い物をした。 「古着屋総兵衛影始末2 異心!」(佐伯泰英)「夜はわが友」(ホック)「戦中派天才老人・山田風太郎」(関川夏央)「ロボットの夜」(井上雅彦・監修)「冬の教室」(大塚英志)「ハイウェイ惑星」(石原藤夫)「憑融」(青木和)「天国の悪戯」(喜国雅彦)「ジャーナリズム性悪説」(バルザック)「警視の休暇」(クロンビー)「告解の日 上・下」(フォルサム)
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