2001年08月08日(水) |
「パソコン徹底指南」(林望)「歩くひとりもの」(津野海太郎)を読んだ。 |
「パソコン徹底指南」 林望(文春新書、2001.2)「歩くひとりもの」津野海太郎(ちくま文庫、1998.3)を読む。 「パソコン徹底指南」の筆者はマック派である。このウインドウズ全盛期の現代にマック信奉者の書いたパソコン入門書はいかがというところだが、非常に常識的かつ基本的で全く問題がない。初期のワープロ専用機やNECの98(エプソンの互換機)を使い倒していただけにパソコンについては詳しいようだ。奇抜または独創的な提案や意見はない分実践的である。マックに限らず有益な指南書といってよい。その中の「累積バックアップ法」は別段目新しいアイデアではないが、自分が漠然と考えていたことをわかりやすく説明してくれた感じで納得した。これからは実行してみようと思った。 「創造的作業にはパソコンが最適」にも得心した。 いろいろなことでパソコンを使いこなせないでいる人にとって自信をつけるためのよい参考書である。 「歩くひとりもの」は独身の男性への贈り物である。独り者でいることの「哲学」を表した書である。暴騰の「自分用の応援歌」「ひとりもの、年を越す」「コーヒーを入れる老人」「妹の力」3つ飛んで「わが愚行」が軽妙かつ簡明な文章で読ませる。思いがけず楽しい読書をした。 76ページから77ページにかけてレイ・ブラッドベリの名前が出ているが、これはフレドリック・ブラウンの間違い。この誤記については2、3年前に何かの本で指摘されていた記憶がある。その時は何のことかわかっていなかった。 懐かしかったのは大判の雑誌「ワンダーランド」と植草甚一さんのこと。あの頃SF雑誌「奇想天外」と一緒に定期購読していたのが「ワンダーランド」。その後確か「宝島」と名前が変わってしまった幻の雑誌である。植草甚一さんへの強いあこがれや長谷川四郎が知る人ぞ知る文豪だという思い込みもこの頃の記憶である。 わずか251ページの薄い文庫本でさらに1993年出版の単行本が元になっている古さだが、「神は細部に宿る」で読み直したくなるような気になるエピソードが結構ある。
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