読書日記

2001年07月13日(金) 川端康成の掌編「バッタと鈴虫」のこと

 川端康成の掌編「バッタと鈴虫」は忘れがたい魅力を持っている。旧帝大、旧制高校界隈の描写から始まって鈴虫取りの子供達を見ながらの独白で終わるのだが、語り手の急激とも思える想像力が思いもかけない展開を見せる。語り手の、または作者の得て勝手な思い込みの押し付けが過ぎるとも受け取れるが、二十人におよぶ子供たちが集まって一緒に虫取りをする夕暮れの景色は今となっては懐かしい景色である。「掌の小説」中の一編。


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