2001年07月10日(火) |
宮部みゆき「模倣犯」のこと |
宮部みゆき「模倣犯」(小学館)これは何日か前に読んだ本。小野不由美の「屍鬼」を思い出す。内容も厚さも。この作者は巧みだ。いわゆるページターナーとは違うが、文章の端々に読み手が気になる表現や言葉を置いて退屈させない。1ページ一ページの文字数は決して少なくないが興味を持って先に先に読み進む仕掛けが多い。心地よい読み方ができるようになっているのだ。冒頭すぐに登場の少年が後になってもその日の細部まで覚えている、その理由や意味ありげな犬の描写など読み手を引きつけて話さない工夫が惜しみなく使われている。全編、伏線の嵐で、その嵐に翻弄されることを楽しむしかない。そんな娯楽超大作である。
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