さて、私のような仕事にはあまり、休日、祝日は関係 ないものですが、昨日の私はレッスンもなく、のんび り雑用をかたつけようと思っていました。その雑用は 山積みなので(笑)、あんまりのんびりしていられな かったんだけど。
そのうちの雑用のひとつ、「ダイエーに写真をとりに いく」というものがあった。母親に駅までおくって もらえることになったし、写真をうけとったらすぐに 帰るつもりだったので化粧もろくにせずにでかける。
ダイエー地下で写真をうけとり、ついでにお菓子とか、なんか買 っておこうかと思ってそのまま食品売り場をうろついていたら、 花柄のシャツに革パン、水色のダウンをきた20代中くらいの男 性に「こんにちは」といわれる。よく覚えていなかったけど、ど っかでみたことのある気もしたのでとりあえず「あ、こんにちは。 あけましておめでとうございます。」というと、 「やっぱり!あんときとぜんぜんちがうけど、そうだと思ったん ですよ。」という。「あんとき?って?え。あの、どこっていう かすみません、わからないんですけど。」と答えた私は、しまっ た、どっかの市民バンドの人か、それとも、クリニックでずっと 前におしえたとかそういうラッパ関係なのか、コンサートホール であったのかよくわからないが失礼なことをしたなと思ったのだ。 でも失礼は向こうだった...。それは、今のところ「二度と会いたく ないやつリスト」に登録されている『おおみそかに私をだまして カラオケにさそってきた』若者ふたりのうちの、『片割れ』だっ たのだ!!!!よく見ると、その時と同じような服装だ...しかも、 当時20才くらいと判断したけどそれはどうみても25くらいで ある。 私は、何かいってやりたかったが、気がまわらず、「こういうと きはシカトするのだ」と心の中でつぶやき、無視をした。
非常にいやな気分になった。「あいつらのせいで、私は、寒空の なか余計な遠回りをしてあるき、唇がぱさぱさになり、悲しくな り、そのあと宗教につかまって差し入れしようと思った食べ物を うっかりわたしてしまったのだ」という、思い出したくもない『 からまれ連鎖』の記憶がなまなましく蘇った。実家についた後も、 おおみそかで親類が平和に集まっていて、紅白とかみてたから、 外でからまれた話しなんてできるはずもなく、私は非常にいらい らして孤独な元旦を迎えたのだ。そんな目にあったせいで、私は その後もたちなおるのが大変だったのだ。しまいにはぼんやり してるからわるいとまでいわれたのだ。 でも、ここで簡単にやけをおこしてはニの舞なので、気分をなお そうと思ってミスドにはいる。
そこには、仕事がえりらしい女性、成人式がえりらしい女の子たち が普通にすわっていて、ものすごくほっとしたのだ。私は、はじの 席をえらんですわり、コーヒーをたのんでぼんやりしていた。でも、 こんな時どうしてもただではすまないのが私の宿命なのか、隣に、 大きな箱のはいったような紙袋をもった男性がすわる。 別に座るのはかまわないけど、その人は奇妙なことばかりする。
無線機で会話をしながら、携帯で話し、そして、たばこをすいなが ら、なんと「お香」をたきはじめたのだ!!ありえないようなこと がおきたと思った。夕方のミスド、平和だと思ってよったのに...。 そしてその男性は「おまえのしたこと全部、みてんだよ」となんど もおどろおどろしい声でくりかえしている。そして、無線からは 「目のみえないやつには、盲動犬が必要だ!」とか、「おまえの 信じる政治家はもういない」とか、よくわからない台詞がなんども きこえてきた。 「こわい...」 さっさとたちあがって出ていこうと思ったけれど、真隣にすわられ て、通路が二つの紙袋で塞がれていてまたげそうもない。店員さん はドーナツを売るのに忙しそうで、気付かないし、そのまた隣の 成人式グループは、歌ったり写メールしたりで大騒ぎでまったく 気にしていない様子である。 何分たったかわからないけど、私はずっと硬直していた...。 店のなかでは、有線がながれていた。何もきこえなかったけど、 「だいじょうぶ..」という歌詞が断片的にきこえた。ぜんぜん だいじょうぶじゃないだろうと思っていた。 やっとその男性はでていった。店員に「ごちそうさま」といって。
しばらく呆然としていたが、ここで、いじけてはいけないと思い、 さめたコーヒーを取り替えてもらって飲んで、バス停にむかう。 「こういう時は、また、飲もうとか思わないで普通に家にかえる のが一番よい」と思って。「ここでダークにはまってはいけない のだ。家にかえったら普通に練習して、歯を磨いてねるんだ」 と思って。
しかし、話はまだおわらない。 さっきの花柄革パン男が、私の帰路のバス停にたっていたのだ!! 夢をみているのかと思ったけれど、びっくりして立ち止まって しまい呆然としていた。「シカトするのだ」「すぐに逃げるの だ」「目をあわせない」など、みなさんからの指導がよみがえる けど体がうごかない。 そいつはまた、おおみそかの時とおなじように何の悪気もなさそ うに話している。 「お家、こっちなんですか?」 「ほんとはちっちゃいんですね。なんか、そういう方がおねー さん系よりかわいいですよ。ほんとは若いんですね。おねーさん じゃなかったんだ。」とかずっと勝手にしゃべってる。 「しらない人と口をきいてはいけない」幼稚園のころ母親に いわれた言葉しか思い出せず、私は必死にシカトをしてバス亭 から離れることにした。
「ほっとしたい。」と思って私がはいったのは道銀だった。 何人かの人がATMのまえで普通に並んだり、それぞれの作業 をしている。普通の風景だと思ったら、安心して涙がでてきて 掲示板の前にしゃがみこんでしまった。 「こんな時、いちいち泣くのは、おおげさだ。たいしたこと じゃないんだ。ただの偶然だ。気にしない」といいきかせて いると、 「大丈夫ですか?」という声が。具合が悪いと思われたのかも しれないと思ってみあげると、それは...そいつだったのだ。 しかも私のマフラーと手袋をなぜだか手にしている。 「落としてったからこれ。てぶくろかたっぽしかないですけ どバス停にはおちてなかったです。」という。そこだけ切り抜 けば普通に親切な人のようだ。前後のストーリーのない映像 のほんの一部分のような。一部分だけじゃわからないんだよ と思った。
いらないと思ったが、うけとり、「ありがとうございます」 といいたくもない礼の言葉が条件反射のように口からでて きた。全然ありがたくないのに。 「ありがとう」と「ごめんなさい」は人間の基本だと思って きたが、なんでここでありがとうといってしまったのか、 ふにおちない気持ちでいっぱいになった。 不思議とぱたりと涙はとまり、さっさとタクシーにのって ようやく家につく。こういうとき、ビールをのんだりすると 少しの量でよっぱらい、またテンションが落ち着かずに 楽器の調子がめちゃくちゃになるという経験をしたばかり なんだから、のんではいけない。パソコンをたちあげると、 石丸謙二郎の正露丸の壁紙がでてきて、パットメセニーの 音がはじまり、恐竜ともだちからのメールがきていた。 やっとほっとした。いつもの自分の生活に帰ってきたんだ と思って、落ち着いた。この日記ものせてよいものかどうか わからないけど、実際自分におきたことを毎日書いている からたぶんのせてしまうだろう。
でも...こんな時。正直いってあんまり楽器を吹く気がしない。 でもかわりに吹いてもらうわけにはいかないので、たぶん お風呂にはいってあたたまったら吹くんでしょう...。 それにしても、ぼんやりしてしまう。落ち込まないように するだけで精一杯。てぶくろが両方そろっているかどうか 確かめると、電話まってます、と書かれた名刺がてぶくろ のなかにはいっていた...。ほんとうにほんとうに、どなり たくなった。でもここでどなったりきれたりしたらだめ、 せっかく家にかえってきたんだから。静かにすごしたい んだから。ふりまわされちゃだめだ...たぶん...。 でも、どうしてもきれいな音がうかばない...。きれいな絵も 思い出せない。こんな日も、必要なんでしょうか。神様、 きらいになってもいいですかって感じ。暗い日記でごめん なさい。しかし嘘はかけないのです。
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