
道標|≪過去を見つめて|あさっての方向へ≫
祖父の墓前に手を合わせた。 深夜12時、某所墓地。
祖父を看取った17歳のあの日から何度も夏は過ぎたけれど ここに来る度、私は祖父に無理なお願いを祈ってばかりいる。
死んでしまった祖父には何の力もない。
現状を打破できるような言葉も身体も失ってしまった、 骨壷に収まる祖父の影に、それでも私は何度も祈る。
かわいそうなあの人達のことを。 かわいそうなあの愚かな男のことを。
私には成す術が無くて。
出来もしないことを口に出して ただ逃げてばかりいるあの男が死んでくれさえしたら どれだけ救われるのか。
でも、 誰一人そんなこと望んでなんかいないのに 男は橋の上に立つ。死ぬ気などさらさらないのに。 引き止めてくれる言葉が欲しいだけなのか、 必要とされていることを認識したいだけなのか、 不毛極まりない追いかけっこに疲れても 私は言葉をかけずにいられない。
私はやれるだけやりたいのだ。 後で泣かないためにも。
橋の上は風が吹いていて。
男が川岸に去る。 幼女のように、嗚咽してその姿を見送った。
帰り道がわからない。
|