風の行方...深真珠

 

 

shinen - 2005年07月11日(月)

「厳密に言えば、思念と言っても思念とは少し違う。
 思念とはあるものを示しているだけなのじゃ。
 違う言い方をすれば、あるものの身代わりとして、思念という形を借りて、
 こうやって表現されているわけじゃ。
 お分かりかな?」
「そのあるものとは何ですか?」
「それをうまく言えないから、身代わりを立ててるわけじゃない。」
「でも、それじゃわからないんです。」
「仕方ないの〜。そしたら、このビルの中を見なさい。
 何が見える?」
僕は言われたとおりに、ビルの中を覗いた。
「・・・何も見えません。」
「そうじゃろう。それが思念のないビルじゃ。」
「思念のないビルとは、中が見えないビルのことなんですね。」
「正確に言えば、思念のないことと見えないことは直接的な関係はないんじゃが、
 このケースでは、中が見えないという現象として表れているだけの話じゃ。」
もう一度、覗いてみた。
中に少女の姿が見える。
「あなたには私が見えている?」
「はい、見えています。」
「思念があれば、こうやって覗きみることができるわ。
 そして、それは同時に覗きみられることもできるということになるの。」

続く・・・


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